2022.05.30
海藻の化学【フコイダン】わかめに含まれる成分とは?効能とヌメリの秘密について
「わかめは海藻だからあまり栄養がないのかな」
「わかめは髪にいいって聞いたことはあるけれど……」
海の野菜ともいわれるわかめには、豊富な栄養が含まれていることをご存じでしょうか。
わかめは、最近話題のフコイダンを含むことも知られています。
この記事では、わかめの豊富な栄養や成分についてみていきましょう。毎日の食事にも取り入れて健康効果を感じてみませんか。
目次
わかめは健康効果が高い食材?
普段の食事でも使いやすいわかめ。カットわかめなど、食事に使いやすいように加工品も売られています。わかめは含まれている栄養素が豊富で、健康効果が高い食材です。ミネラルが多いことから、髪の毛や肌に潤いを与える効果もあります。他には、生活習慣病の予防効果や新陳代謝を上げる効果なども。また海藻なので、カロリーが低いこともうれしいポイントですね。わかめは、健康効果が高い食材であるといえます。
わかめの主な栄養素と成分
わかめの主な栄養素と成分を紹介します。便を出しやすくする食物繊維や、体にさまざまなよい影響を与えるミネラルが含まれていることが特徴的です。そして骨を強くする作用のある、脂溶性ビタミンのビタミンもわかめに含まれています。それぞれをみていきましょう。
フコイダンなどの食物繊維
生わかめの可食部100gあたり食物繊維は3.6g含まれています。生キャベツの食物繊維は、100gあたり1.8gです。2倍も多くの食物繊維が含まれていますね。食物繊維の主な効果としては以下があげられます。
- 便秘の予防などの整腸効果
- 血糖値の上昇を抑える
- 血液中のコレステロールをさげる
食物繊維は、胃や小腸で消化・吸収されずに大腸まで届きます。だからこそ、便秘の予防などにも効果的ですね。
また、最近話題のフコイダンは水溶性食物繊維の一種です。フコイダンとは海藻類のネバネバ成分のひとつ。最近の研究では、私たちの体にとってのよい作用が報告されています。
カルシウムなどのミネラル
わかめに含まれるミネラルには、私たちの体におけるさまざまな効果があげられます。
カルシウムの主な働きは、骨や歯を作ることです。骨粗しょう症の予防にもおすすめですね。他にも血液が固まる過程にも作用して、出血を予防する効果もあります。
カリウムは、体の水分バランスを整えます。余分な塩分を体の外へ出す働きがあることから、高血圧の予防効果やむくみ対策にもおすすめです。
ヨウ素は、甲状腺ホルモンの成分となるミネラルです。海水に多く存在するミネラルのため、海藻であるわかめにも多く含まれています。エネルギー代謝を促したり、体の成長に関わったり、肌や髪に潤いを与える働きがあります。
ビタミンK
ビタミンKは、出血した時に血液を固め、止血する働きを持つビタミンです。
また骨の健康にも作用するので、骨粗しょう症を治療する薬としても利用されています。ビタミンKは、カルシウムが骨にくっつく作用を強めることによって、骨密度が減少するのを防ぎます。
一緒にカルシウムの吸収を助けるビタミンDも摂るようにしましょう。特に閉経後の女性に多い骨粗しょう症に効果的な栄養素です。
わかめに含まれるフコイダンってなに?
フコイダンとは、海藻のヌメリに含まれる成分です。わかめに含まれる食物繊維の一種でもあります。1913年に、スウェーデンの学者Kylin(キリン)氏によって発見されました。海藻の健康効果は昔から知られていましたが、フコイダンの抗がん作用が報告されたことによりさらに注目度がアップ。現在でも研究がすすめられ、さまざまな作用が発見されている成分です。
>>フコイダンとは何か?種類や成分と健康への影響について解説
フコイダンの代表的な作用をみてみましょう。
ただし上記の作用の中には、研究の中でみられる効果もあります。フコイダンを含むわかめを摂ることによって症状の改善や治療につながるわけではないので注意しましょう。
フコイダンは、低分子・中分子・高分子と分類されており、それぞれに構造や特徴が異なります。分子が小さいほど、腸から体内へ吸収されやすいとされています。しかし、小さすぎると構造的な問題から十分な働きが期待できないとも考えられています。
フコイダンの分子量ごとの特徴については、以下の記事をご参考にしてください。
>>高分子フコイダンとは?その特徴や構造について解説
>>中分子フコイダンとは?
>>低分子フコイダンとは?特徴や構造などを解説
生わかめと乾燥わかめで栄養は変わる?
わかめには、生のままで売っているものとカットわかめのように乾燥させて売っているものがあります。生わかめと乾燥わかめで、栄養は変わるのでしょうか。
カットわかめなどの乾燥わかめは、生わかめと比べて水分量が少ないです。しかし、乾燥させている分、可食部100gあたりでみると生わかめより栄養素が多く含まれています。水にもどすとどうでしょうか。栄養素にもよりますが、カリウムやビタミンKなどは、水でもどした乾燥わかめより生わかめの方が多く含まれています。
※参考:食品成分データベース
それぞれの特徴をみていきましょう。
生わかめとは
生わかめとは、海から採取したそのままのわかめです。日持ちはあまりしません。しかし生わかめは、食感がしっかりしており海の塩の香りもすることから、新鮮なうちに味わうことをおすすめします。旬は、冬の2−3月です。宮城県、岩手県、徳島県などで生産されています。
※参考:食品成分データベース
よく「生わかめ」と間違えられる普段スーパーなどで売られているわかめは「湯通し塩蔵わかめ」と呼ばれます。生わかめと湯通し塩蔵わかめ、めかぶわかめの成分を比べてみると、生わかめの方が豊富な栄養を含んでいることがわかります。
乾燥わかめとは
乾燥わかめとは、湯通し塩蔵わかめを食塩水で洗浄し、湯通しをし乾燥させカットしたものです。乾燥させている分、100gあたりの栄養素は生わかめよりも多くなります。しかし、水でもどすとミネラルなどの栄養素が水に溶け出すため、ミネラル分が減ってしまいます。
また、乾燥わかめは、水でもどすと重量比は約10〜12倍です。みそ汁などで使う場合、乾燥わかめは1人前が約1〜2gです。栄養だけでみるのではなく、もどした後の量も考えて食べることが大切ですね。
効果的なわかめの食べ方とは?
わかめの栄養素をしっかりと摂るためにも、効果的にわかめを食べるようにしましょう。ここでは、わかめのおすすめの食べ方を紹介します。
- 食事の前に食べる
- お酢と一緒に食べる
- 油と一緒に食べる
- 茹でて食べる
自分の食べやすい方法をみつけてみましょう。
食事の前に食べる
ダイエットしたいという方は、わかめを食事の前に食べることがおすすめです。わかめは低カロリーで、食物繊維が豊富に含まれています。おなかにしっかりたまる食材です。食事の前に食べることで、食べすぎを防ぎます。
また、わかめは食事による急激な血糖値の上昇や食後の脂質の上昇を抑えるのにも効果的です。食べすぎはよくありませんが、食前にわかめを食べることでダイエットにもつながり、健康効果も期待できます。
お酢と一緒に食べる
お酢は発酵食品のひとつです。アミノ酸やクエン酸が多く含まれていることから疲労回復にも効果が期待できます。お酢の酸味や香りには食欲増進作用も。夏バテには栄養素が豊富なわかめとの相性が抜群です。
お酢に含まれるクエン酸や酢酸には、カルシウムの吸収を促す効果があります。カルシウムを含むわかめとの相性はよいといえます。また、血糖値の上昇を抑える作用もあるので、わかめの作用と合わせて血糖値の急激な上昇に効果的です。
油と一緒に食べる
わかめにはカロテンというビタミンAの仲間である栄養素が含まれています。ビタミンAは脂溶性ビタミンで、私たちの体では作ることができないビタミンです。脂溶性ビタミンは、水には溶けず油(脂)に溶けやすい性質を持っているので、油で炒めることでカロテンを効果的に摂ることができます。
カロテンは、ビタミンAに変換されて私たちの体に作用します。よく知られている効果は、肌や粘膜の健康を守る作用ですね。他にも免疫機能の維持など、私たちの体に大切な役割を持ちます。
茹でて食べる
生わかめで食べるのもおいしくておすすめですが、日持ちしなかったり処理が大変だったりすることも。わかめは基本的に乾燥させたり、加熱したりすることで栄養素が損なわれることはありません。茹でて食べることで、食べやすくなります。
しかし、水溶性の栄養分は煮汁に溶け出てしまい栄養が損なわれることも。みそ汁やスープなどにいれることで、煮汁ごと食べられるので、茹でる場合は汁物がおすすめです。
まとめ
わかめの成分やおすすめの食べ方について紹介しました。わかめは、食物繊維やミネラル、ビタミンなど栄養素が多く含まれる食材です。
わかめに含まれる食物繊維のひとつであるフコイダンには、さまざまな健康効果が報告されています。抗がん作用や抗ウイルス作用、抗生活習慣病など、私たちの健康にうれしい効果です。これからのさらなる研究に期待が持てます。
わかめは、酢の物や炒め物、茹でてもおいしく使いやすい食材です。栄養素が豊富で健康効果が高いわかめを、さまざまな方法で毎日の食事にも取り入れて毎日を健康に過ごしましょう。
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