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がん免疫療法とは?仕組みと具体的な治療方法について解説

免疫療法とは、免疫の力を利用してがんを攻撃する治療法です。
大きく分けると、免疫の攻撃力を高める治療(活性化リンパ球療法など)と、免疫に対するブレーキを解除する治療(免疫チェックポイント阻害薬)があります。

日置医院長

この記事の監修者
日置クリニック 院長
日置 正人 医学博士

【経歴】
昭和56年3月 
大阪市立大学医学部卒業
昭和63年3月 
大阪市立大学大学院医学研究科卒業
平成5年4月 
医療法人紘祥会 日置医院開設

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がんに対する免疫のしくみ

最初にがんに攻撃を仕掛けるのは、リンパ球の一種であるナチュラルキラー細胞(NK細胞)です。NK細胞は、極めて強い殺傷能力を持っており、細菌やウイルスなどに感染した細胞に加え、がん化した細胞をいち早く発見し攻撃します。次に、弱ったり、死んだがん細胞のまわりを抗原提示(こうげんていじ)細胞と呼ばれるマクロファージや樹状細胞が取り囲み、がんの断片や目印(がん抗原)を捕獲します。樹状細胞は、取り込んだがん細胞の特徴を司令塔であるヘルパーT細胞に知らせます。ヘルパーT細胞は、B細胞に指示を出して抗体を作らせたり、キラーT細胞(細胞傷害性T細胞)という兵隊に指示を出してがん細胞を攻撃させます。

このがんに対する免疫システムを利用した治療法を免疫療法といいます。以下に代表的な免疫療法である、活性化リンパ球療法、樹状細胞ワクチン療法、免疫チェックポイント阻害薬について説明します。

活性化リンパ球療法

がん患者さんの血液からリンパ球を採取し、体外で培養することによって増やし、ふたたび患者さん体内に戻す治療方法です。

NK細胞療法

NK細胞(Natural killer cell)とはリンパ球の一種で、がん細胞を攻撃する働きをします。
リンパ球の一種であるNK細胞を増殖・活性化して投与する治療法です。

樹状細胞ワクチン療法

樹状細胞ワクチン療法
がんワクチン療法は、がん細胞の表面についている目印(がん抗原)を、患者さんに注射したり、患者さんの免疫細胞に取り込ませたりしてがんの特徴を提供することで、がんに対する免疫の攻撃力を高める治療法です。

がんワクチンにはさまざまな種類がありますが、樹状細胞ワクチンについて解説します。樹状細胞は、がん抗原のタンパク質を取り込み、T細胞にがん細胞の情報を知らせる役目を持っています。したがって、がん細胞に対するT細胞の攻撃力を引き出すための免疫のかなめとなる細胞です。

まず、患者さんから、血液を採取して、免疫細胞のもととなる細胞(単球)を取り出し、特殊な方法で樹状細胞へ分化誘導します。この樹状細胞にがんの目印であるがん抗原を取り込ませ、活性化した樹状細胞を患者さんにもどします。

また最近、「個別化ネオアンチゲン樹状細胞ワクチン」という新しい治療法が開発され、がん免疫療法の個別化医療として期待されています。この治療では、患者さんからがんの組織(あるいは、血液)を採取して、遺伝子解析を行います。これによって、実際にがん細胞だけの表面に発現している個別のネオアンチゲン(遺伝子変異に伴って新たに生まれた変異抗原)を特定し、樹状細胞に取り込ませます。この活性化した樹状細胞を患者さんにもどします。

従来のがんワクチンでは、多くのがんに共通した目印である共通抗原を使用していましたが、正常細胞にも少なからず発現していることがあり、影響(副作用)が出るリスクがありました。一方で、個別化ネオアンチゲン樹状細胞ワクチンでは、患者さんひとりひとりに応じた個別のネオアンチゲンを使用するので、理論上がん細胞のみに免疫反応を引き起こすことができるというメリットがあります。

免疫チェックポイント阻害薬

免疫は異物を排除する重要なシステムですが、ときに暴走し、かえって身体に害をおよぼすことがあります。一方で、免疫の暴走を防ぐため、免疫細胞の働きを抑制するブレーキを免疫チェックポイントといいます。免疫チェックポイント阻害薬は、免疫チェックポイントを標的としたがん治療薬です。抗がん剤の一種であり、現在、PD-1、PD-L1、CTLA-4をターゲットとした薬ががんの治療薬として承認されています。

免疫チェックポイント阻害薬を含む抗がん剤の種類について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

>>抗がん剤の種類について

PD-1阻害薬には、ニボルマブ(オプジーボ)とペンブロリズマブ(キートルーダ)があり、悪性黒色腫(皮膚がん)、非小細胞肺がん、腎細胞がん、尿路上皮がん、ホジキンリンパ腫、頭頸部がん、胃がん、食道がんなどに適応となっています。

PD-L1阻害薬には、デュルマルマブ(イミフィンジ)、アテゾリズマブ(テセントリク)、アベルマブ(バベンチオ)があり、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、トリプルネガティブ乳がん、肝細胞がん、メルケル細胞がんなどに適応となっています。

CTLA-4阻害薬にはイピリミマブ(ヤーボイ)があり、(ニボルマブとの併用療法として)悪性黒色腫、腎細胞がんなどに適応となっています。

まとめ

これらの免疫療法のうち、大規模な臨床試験などにより、治療効果や安全性が科学的に証明された免疫療法は、免疫チェックポイント阻害薬だけです。自由診療でおこなわれる活性化リンパ球療法や樹状細胞ワクチンを使うがんワクチン療法などは、効果が証明されていない免疫療法です。そのため、治療効果、安全性はもちろん、費用の面からも慎重な確認が必要です。

がん発症や悪化のリスクを減らすには、個人で免疫力をつけることも大切。免疫力は食事や運動など、日常生活を少し変えるだけでも高めることができます。詳しくは以下の記事をご覧ください。

>>感染症に負けない!免疫力をつける5つの方法

参考サイト:
がん情報サービス.免疫療法
がん免疫.jp.がん免疫を知る

また、がんには、手術や化学療法などさまざまな治療法がありますが、その中でも近年注目されているのが「中分子フコイダン療法」です。

>>中分子フコイダンとは?

海藻類に含まれるフコイダンという成分を、機能性を保ちつつ腸管から吸収されやすい分子量に整えたものが中分子フコイダン。抗がん作用をはじめ、以下のような作用も報告されています。

抗腫瘍・抗がん作用/抗アレルギー作用/肝機能向上作用/抗生活習慣病/抗ウイルス作用/抗ピロリ菌作用/血液凝固阻止作用/美肌作用/育毛作用

フコイダンの種類や成分をもっと詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
>>フコイダンとは何か?種類や成分と健康への影響について解説

フコイダンの作用をもっと詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
>>健康食品として注目されるフコイダンとは?

中分子フコイダンの摂取は、抗がん剤との組み合わせによる相乗効果や、副作用の軽減などが期待できる治療法で、実際の臨床結果でも、確かな可能性を感じさせる症例が数多く存在しています。

中分子フコイダン療法についてもっと知りたい方には相談・お問合せも承っております。がん治療の選択肢の一つとして、ご検討の一助となれば幸いです。

近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。

なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。

フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。

それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。

>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ

がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。

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この記事の執筆者
日置クリニック コラム編集部

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