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代替療法・統合医療について

日置医院長

この記事の監修者
日置クリニック 院長
日置 正人 医学博士

【経歴】
昭和56年3月 
大阪市立大学医学部卒業
昭和63年3月 
大阪市立大学大学院医学研究科卒業
平成5年4月 
医療法人紘祥会 日置医院開設

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代替医療・統合医療とは

がんの治療では、現時点で最も推奨され、健康保険の適応となっている治療を「標準治療」といいます。一方で、標準治療以外にも多くの治療法があります。

「代替医療」あるいは「代替療法」とは、標準治療に置き換わるものとして、まだ標準治療とはみなされていない療法や関連製品を用いることをさします。

明確な言葉の定義はありませんが、標準治療と代替医療を併用した医療のことを「統合医療」あるいは「補完代替医療」などと呼んでいます。

代替医療には、保険適応外の薬物療法(抗がん剤を含む)、遺伝子治療、サプリメント療法、ハーブ(漢方)、鍼灸マッサージ、運動療法、ヨガ、瞑想、心理療法など、さまざまな治療法があります。

標準治療が、臨床試験で有効性が確認された科学的根拠(エビデンス)に基づいた治療であるのに対して、代替医療はエビデンスが乏しいと言われます。しかしながら、欧米では、代替医療(あるいは統合医療)は、多くの臨床研究で有効性が認められており、エビデンスに基づいた治療として広く行われています。例えば、瞑想(マインドルフルネス瞑想)、ヨガ、音楽療法などが、がん患者の不安やストレスを軽減し、生活の質を高めることが臨床試験で明らかになっています。※1

※1 Integrative Therapies During and After Breast Cancer Treatment: ASCO Endorsement of the SIO Clinical Practice Guideline.J Clin Oncol.2018 Sep 1;36(25):2647-2655.

一方で、代替医療だけに頼ると、生存率が低下するという報告があります。※2

この研究では、4つのがん(乳がん、前立腺がん、肺がん、大腸がん)に対して、標準治療(抗がん剤、放射線、手術、および/またはホルモン療法)を受けた患者と、これらの標準治療を一切受けずに代替医療のみを受けた患者の生存期間を比較したところ、代替医療のみを受けた患者では死亡リスクが2.5倍にも上昇していました。がんの種類別の解析では、代替医療による死亡リスクは、乳がんで5.68倍、大腸がん4.57倍、肺がんで2.17倍に増加していました。

したがって、標準治療を拒否して、代替医療だけに頼ることは危険であると考えられます。
※2 Toxicity of Extended Adjuvant Therapy With Aromatase Inhibitors in Early Breast Cancer: A Systematic Review and Meta-analysis.J Natl Cancer Inst.2018 Jan 1;110(1).

代表的な代替医療について

代表的な代替医療について

代表的な代替医療を紹介します。

がんワクチン療法(樹状細胞ワクチン療法)

がんワクチン療法は、がん細胞の表面についている目印(がん抗原)を、患者さんに注射したり、患者さんの免疫細胞に取り込ませたりしてがんの特徴を覚えてもらうことで、がんに対する免疫の攻撃力を高める治療法です。

がんワクチンにはさまざまな種類がありますが、実際によく行われている樹状細胞ワクチンについて解説します。樹状細胞とは、抗原提示細胞に分類される免疫細胞の一種で、リンパ球にがんの目印を教えて、がんを攻撃させるという役目があります。まず、患者さんから、血液を採取して、免疫細胞のもととなる細胞(単球)を取り出し、特殊な方法で樹状細胞へ分化誘導します。この樹状細胞にがんの目印であるがん抗原を取り込ませ、活性化した樹状細胞を患者さんにもどすという治療です。

また最近、「個別化ネオアンチゲン樹状細胞ワクチン」という新しい治療法が開発されました。この治療では、患者さんからがんの組織を採取して、遺伝子解析を行います。これによって、実際にがん細胞だけの表面に発現している「ネオアンチゲン(がん細胞独自の遺伝子変異に伴って新たに生まれた変異抗原)」を解析して、樹状細胞に取り込ませるという方法です。従来のがんワクチンでは、多くのがんに共通した目印である共通抗原を使用していましたが、正常細胞にも少なからず発現していることがあり、影響(副作用)が出るリスクがありました。一方で、個別化ネオアンチゲン樹状細胞ワクチンでは、患者さんひとりひとりに応じた個別のネオアンチゲンを使用するので、理論上がん細胞のみに免疫反応を引き起こすことができるというメリットがあります。

樹状細胞ワクチン療法は、現時点では効果が証明されていないため、保険適応外の治療です。しかし、一部のがんに対する効果を確認するために、大学病院が中心となって臨床試験(治験)をおこなっているものもあります。※3

※3 膵臓癌に対する樹状細胞ワクチン(TLP0-001)開発の医師主導治験

高濃度ビタミンC点滴療法

高濃度のビタミンC(アスコルビン酸)を静脈内に投与する治療法で、一部のクリニックで行われています。ビタミンCを点滴すると、毛細血管からしみ出たビタミンCががん細胞に取り込まれます。この時、大量の過酸化水素が発生し、がん細胞を殺傷すると考えられています。

この高濃度ビタミンC療法は、動物実験ではがんを抑制する効果が確認されています。例えば、人の大腸がんをマウスに移植した動物実験モデルを用いた研究では、高濃度ビタミンC療法はがんの成長を抑制し、絶食に近いカロリー制限ダイエットを併用すると、さらに治療効果は高まったということです。

※4 Synergistic effect of fasting-mimicking diet and vitamin C against KRAS mutated cancers.Nat Commun. 2020 May 11;11(1):2332.

一方で、人を対象とした臨床試験で高濃度ビタミンC療法の有効性を示した研究は報告されていません。

まとめ

「代替医療」とは、標準治療に置き換わるものとして、まだ標準治療とはみなされていない療法や関連製品を用いることをさします。また、標準治療と代替医療を併用した医療のことを「統合医療」あるいは「補完代替医療」などと呼んでいます。代替医療には、保険適応外の薬物療法(抗がん剤を含む)、遺伝子治療、サプリメント療法、ハーブ(漢方)、鍼灸マッサージ、運動療法、ヨガ、瞑想、心理療法など、さまざまな治療法があります。

また、がんには、手術や化学療法などさまざまな治療法がありますが、その中でも近年注目されているのが「中分子フコイダン療法」です。

海藻類に含まれるフコイダンという成分を、機能性を保ちつつ腸管から吸収されやすい分子量に整えたものが中分子フコイダン。抗がん作用をはじめ、以下のような作用も報告されています。

抗腫瘍・抗がん作用/抗アレルギー作用/肝機能向上作用/抗生活習慣病/抗ウイルス作用/抗ピロリ菌作用/血液凝固阻止作用/美肌作用/育毛作用

>>フコイダンについてもっと詳しく知りたい方はこちらへ。

中分子フコイダンを摂取することで、抗がん剤との組み合わせによる相乗効果や、副作用の軽減などが期待できる治療法で、実際の臨床結果でも、確かな可能性を感じさせる症例が数多く存在しています。

中分子フコイダン療法についてもっと知りたいという方には相談・お問合せも承っておりますので、がん治療の選択肢の一つとして、ご検討の一助となれば幸いです。

近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。

なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。

フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。

それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。

>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ

がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。

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この記事の執筆者
日置クリニック コラム編集部

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