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がん患者はなぜ痩せるのか?原因と対策

日置医院長

この記事の監修者
日置クリニック 院長
日置 正人 医学博士

【経歴】
昭和56年3月 
大阪市立大学医学部卒業
昭和63年3月 
大阪市立大学大学院医学研究科卒業
平成5年4月 
医療法人紘祥会 日置医院開設

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体重減少はがんのサイン?

がんになると痩せるといいますが、実際に体重減少がきっかけとなってがんが診断されることがあります。

最近の海外からの研究報告では、体重減少でみつかったがんの種類として最も多いのは、肺がんで44%、次いで、結腸がん(20%)、前立腺がん(10%)、直腸がん(10%)、腎臓がん(6%)でした。また、体重減少で発見されががんのうち、およそ半数はステージ4だったということです。つまり、体重減少がきっかけで発見されたがんは、進行したものが多いことがわかります。※1

※1 Presenting symptoms of cancer and stage at diagnosis: evidence from a cross-sectional, population-based study.Lancet Oncol. 2020 Jan;21(1):73-79.

がんで痩せる理由

がん患者がやせる原因には、以下のように色々なものがあります。※2

  • がんの増大などによる消化管の通過障害
  • がんによる代謝の亢進
  • がんの進行や倦怠感による食欲低下
  • 食道や胃の手術による消化管の障害
  • 抗がん剤の副作用による食事摂取量の減少
  • 放射線治療にともなう食事摂取量の減少
  • がん告知にの精神的ストレスやうつ症状による食欲低下

※2 田村和夫 他:がん患者の症状 まるわかりBOOK, 照林社、2018年

このうち、最大の原因は、食事がとれなくなること(いわゆる飢餓)と考えられています。

また、がん患者がやせる原因の一つに筋肉量の減少があります。とくに、筋肉量の減少に、筋力の低下または身体機能の低下を伴う状態をサルコペニアといいます。

サルコペニアがあるがん患者では、がんの手術後の合併症が増え、手術に伴う死亡率が上昇すること、あるいは、抗がん剤など薬物療法の副作用が強くなって治療効果が低下することなどがわかっています。※3

※3 葛谷 雅文 (編集)、新版 栄養・運動で予防するサルコペニア サルコペニア診療ガイドライン2017年度版準拠、医歯薬出版、2018年

がん悪液質(カヘキシア)とは?

がん悪液質(カヘキシア)とは?

体重減少は、多くのがん患者さんにみられる一般的な症状ですが、6ヶ月以内で5%以上の体重減少は、がん悪液質(カヘキシア)の診断基準のひとつとなっています。

がん悪液質とは、通常の栄養サポートでは完全に回復することができず、進行性の機能障害にいたる骨格筋量の持続的な減少(脂肪量減少の有無を問わない)を特徴とする多因子性の症候群と定義されています。

がん悪液質は進行がん患者の80%に認められ、体重減少と食欲不振といった典型的な症状に加えて、化学療法の効果の減弱、副作用や治療中断の増加、さらには生存率にまで影響をおよぼすとされています。

したがって、がん患者の生活の質を保ち、生存期間を延長するために、このがん悪液質を予防あるいは治療して、体重減少を最小限に抑えることが重要と考えられています。※4 

※4 日本がんサポーティブケア学会.がん悪液質ハンドブック

がん患者の体重減少を防ぐ方法とは?

がん患者の体重減少を防ぐ確立された方法は、まだありません。しかし、一部の研究では栄養療法、運動療法、薬物療法などの有効性が示されています。

具体的には、食事を工夫して良質のタンパク質(アミノ酸)をしっかりと摂取すること、経腸栄養剤・栄養補助食品などを利用すること、適度な運動(レジスタンス運動、持久力トレーニングなど)を継続することが推奨されています。

また、薬物療法では、最近、がん患者の体重減少を防ぐ作用が期待できる新薬が登場しました。2020年の12月に、4つのがん(非小細胞肺がん、胃がん、膵がん、大腸がん)におけるがん悪液質に対して適応が承認されたエドルミズ(アナモレリン塩酸塩)という薬です。エドルミズは、グレリン様作用薬で、胃で産生される「空腹ホルモン」と言われているグレリンに似た構造をもっている薬です。脳の視床下部を介して、食欲の増進効果に加え、成長ホルモンの分泌が促進されます。その結果、筋肉量と体重の増加が期待できるという画期的な薬です。

悪液質を認めるがん患者を対象とした臨床試験では、エドルミズはがん悪液質の患者において体重、筋肉量(徐脂肪体重)の増加と、食欲の増加を示しました。とくに、体重(脂肪を除いた体重)は、プラセボ群では減少していたのに対して、エドルミズ群では平均でおよそ1Kg以上も増えていたという結果です。

この薬によってがん患者の食欲が増進して体重減少を防ぐことができれば、生活の質が向上することが期待されます。

また、最新のがん治療として、「光免疫療法」「がんウイルス療法」「CAR-T細胞療法」が開発されました。他にも、iPS細胞から作った免疫細胞を使ったがん治療なども開発が進み、がん患者の体重減少について解明されるかもしれません。最新のがん治療について詳しく知りたい方は、下記をご覧ください。

>>がんの最新治療とは?3つの種類について

まとめ

がん患者がやせる原因には色々ありますが、食事がとれなくなること(いわゆる飢餓)が最大の原因と考えられています。がん患者の体重減少を防ぐ確立された方法は、まだありませんが、一部の研究では栄養療法、運動療法、薬物療法などの有効性が示されています。

また、がんには、手術や化学療法などさまざまな治療法がありますが、その中でも近年注目されているのが「中分子フコイダン療法」です。

海藻類に含まれるフコイダンという成分を、機能性を保ちつつ腸管から吸収されやすい分子量に整えたものが中分子フコイダン。抗がん作用をはじめ、以下のような作用も報告されています。

抗腫瘍・抗がん作用/抗アレルギー作用/肝機能向上作用/抗生活習慣病/抗ウイルス作用/抗ピロリ菌作用/血液凝固阻止作用/美肌作用/育毛作用

>>フコイダンについてもっと詳しく知りたい方はこちらへ。

中分子フコイダンを摂取することで、抗がん剤との組み合わせによる相乗効果や、副作用の軽減などが期待できる治療法で、実際の臨床結果でも、確かな可能性を感じさせる症例が数多く存在しています。

中分子フコイダン療法についてもっと知りたいという方には相談・お問合せも承っておりますので、がん治療の選択肢の一つとして、ご検討の一助となれば幸いです。

近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。

なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。

フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。

それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。

>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ

がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。

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この記事の執筆者
日置クリニック コラム編集部

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