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【膀胱がんステージ4】主な症状・治療法とは?余命や治療時の家族のサポートの大切さも解説

【膀胱がんステージ4】主な症状・治療法とは?余命や治療時の家族のサポートの大切さも解説

膀胱がんのステージ4は膀胱がんの最も進んだ段階で、がんが膀胱の壁を越えて周囲の組織や他の臓器に広がっている状態です。この記事では膀胱がんステージ4のときに知っておきたい情報をまとめています。

※ 膀胱がんの概要については以下の記事を参考にしてください。
>>膀胱がんとは?その症状と特徴について

日置医院長

この記事の監修者
日置クリニック 院長
日置 正人 医学博士

【経歴】
昭和56年3月 
大阪市立大学医学部卒業
昭和63年3月 
大阪市立大学大学院医学研究科卒業
平成5年4月 
医療法人紘祥会 日置医院開設

詳しいプロフィールはこちら

膀胱がんステージ4とは

膀胱がんステージ4は、がんが膀胱の外に広がり、近隣のリンパ節や他の臓器にも広がっている段階です。そのなかでも骨盤内にとどまっている状態を「局所進展」とし、骨盤の外にまで転移が見られる状態を「遠隔転移」と分別しています。
膀胱がんステージ4とは

(参照:https://p.ono-oncology.jp/cancers/uc/03/01_stage/01.html
膀胱がんではリンパ節性の転移がおこりやすく、肺や骨、肝臓などへの転移が確認できます。局所的な治療では包括できないことも多いため、治療は薬物療法である化学療法が中心です。

 

膀胱がんステージ4の状態と症状

膀胱がんもステージ4になると、頻尿や排尿時の痛み、排尿困難など、多様な症状が現れます。腫瘍のサイズが大きくなると、尿が出てくる膀胱内の出口をふさいでしまい、腎臓が腫れる「水腎症」や膀胱や尿管、腎臓のある背中から腰にかけて鈍痛を感じるケースも出てきます。

膀胱がんステージ4の治療法

膀胱がんステージ4の治療法
膀胱がんステージ4で基本的な治療となるのは化学療法です。しかし、ステージ0-1期とは異なり、局所的な薬物療法ではなく、全身にあるがん細胞がターゲットになります。ステージ4になると、進行のスピードも早くなり治療の難易度が高まるのも特徴です。

薬物療法

薬物療法
(参照:https://www.specialist-doctor.com/contents/bladder-cancer/bladder-cancer-treatment/drug-therapy/

①GC療法
膀胱がんは2種類の抗がん剤を併用する治療が主としておこなわれます。最近の膀胱がんの治療は「GC療法(ゲムシタビン+シスプラチン)」が主流です。GC療法は1コース4週間として複数回繰り返すのが通常です。

ゲムシタビンはがん細胞のDNA合成を阻害します。シスプラチンはがん細胞のDNAと結合することで抗がん作用を示します。

副作用としては、一般的な抗がん剤と同様に吐き気や食欲不振、味覚障害などが現れることがあります。また、血液検査のデータとしては血球数の現象や血小板の減少、貧血症状が現れることもあります。

発熱や倦怠感、脱毛症なども生じます。副作用の強さには個人差もあるので、患者さんの状態に応じ、対症療法の検討などもしていきます

②免疫チェックポイント阻害薬
免疫チェックポイント阻害薬といえば「キイトルーダ」で、近年膀胱がんの治療薬としてよく使われるようになりました。主にGC療法をおこなっても腫瘍に対するよい反応が得られなかった場合や、再発の症例に使用されます。

「抗PD-1(ピーディーワン)抗体」とよばれる免疫チェックポイント阻害薬であるキイトルーダ。免疫細胞のひとつである「T細胞」を活性化してがん細胞を攻撃する治療薬です。
キイトルーダは点滴で、3週〜6週間隔で投与します。

がん細胞によって抑えられていた免疫機能を再び活性化させる作用を持つキイトルーダ。一般的な抗がん剤とは異なり、免疫がはたらき過ぎることによる反応としての症状が副作用として現れることもあります。

症状は多種多様ですが、免疫に関与した副作用を「免疫関連有害事象(めんえきかんれんゆうがいじしょう(irAEアイアールエーイー)」とよんでいて、全身のどこにでも生じる可能性があります。頻度はまれですが、間質性肺疾患、大腸炎・小腸炎・重度の下痢や皮膚障害、神経障害など多種多様です。irAEは治療終了後にも生じる可能性があるので、患者さんの体調の変化をこまめに観察し、早期発見・対処につなげることが重要です。

しかしながら免疫に関連して生じることがわかっているので、ステロイドなどの免疫抑制剤を活用してコントロールすることもあるのです。

放射線療法

膀胱がんにおいて、放射線療法はメインの治療法ではありませんが、膀胱がんが骨や脳などに転移している場合や膀胱から持続出血があるときに、痛みや出血を軽減させる目的で放射線治療をおこなうケースがあります。放射線にはがん細胞を死滅させる効果があり、がんの治療やがんにより引き起こされる症状を緩和する目的で治療をおこなうこともあります。

また膀胱がんステージ2・3の場合で、膀胱の摘出を望まない患者さんに対して薬物療法やTUR-Btなどと併用しながら放射線療法をおこなう場合もあります。放射線療法は基本的に外来通院で治療を進められるのもメリットです。1回の照射時間はわずか数分で、基本的に痛みはありません。

手術療法

膀胱がんステージ4では、膀胱以外にもがん細胞が転移しているので、積極的に手術はおこないません。まれなケースではありますが、化学療法の効果が奏して膀胱がんのサイズが小さくなった場合、膀胱摘出術の適用になるケースもあります。

また、転移先の悪性腫瘍が化学療法の結果により小さくなり、摘出することで完全に治療が完了できると見込まれる場合には、転移先の悪性腫瘍摘出手術がおこなわれる場合もあります。

 

膀胱がんステージ4の余命は?

膀胱がんステージ4の余命は?
(参照:https://hbcr-survival.ganjoho.jp/graph?year=2014-2015&elapsed=5&type=c15#h-title

膀胱がんステージ4の余命に関するデータ。がん情報サービスを参照すると、非常に悲観的な数字です。

しかし、別の施設の5年生存率を見てみると50%以上を示しているデータもあります。
膀胱がんステージ4の余命は?
(参照:https://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/bladder.html

これらのデータを参照すると、病院や主治医の選択する治療法により余命に関するデータに違いが生じている実態があることもわかります。こちらのデータは「がん研有明病院」の膀胱がんの治療成績を抜粋しました。また、10年生存率を見てみると、5年生存率と大きく変わらない点も注目です。

膀胱がんステージ4は完治の難しいステージだと言われています。しかし、「がんを治す」ということにとらわれずに、がんの症状や痛みと上手に付き合いながら、質のいい人生をどのように送るかも重要な要素であると言えるでしょう。

痛みに悩まされない選択肢を

膀胱がんに限らずですが、がんが末期になってくると完治を目指すことよりも「いかに充実した人生を過ごすか」という部分にフォーカスし、治療を進めるケースも出てきます。

完治は難しいとわかっていながら副作用に悩まされる治療を進めるよりも、がんによる痛みを軽減したり治療の副作用を緩和したりすることに重きを置く「ベスト・サポーティブ・ケア(BSC)」。つまり、「QOL(生活の質)」を高めることを重要視する方法もあるのです。

QOLを低下させる大きな要因の一つに、「がんによる痛み」があげられます。鎮痛剤などを活用して痛みと上手に付き合いながら「自分らしい人生を過ごす」ことで、毎日が充実したものになることもあるでしょう。

痛みに悩まされず、趣味や生きがいなどを通じて生き生きと笑顔で過ごしていると、免疫細胞のひとつである「NK(ナチュラルキラー)細胞」が活性化することもわかっています。

NK細胞はがん細胞を破壊する能力を持っている免疫細胞です。「自分らしくいきること」はがんと上手に過ごすための一助にもなるのです。

末期がんの患者さんが家族にいる場合、サポートするご家族の立ち位置も重要です。なかにはまじめな性格により、一人ですべてを抱え込んでしまって患者さんのサポートすらままならなくなってしまうこともあります。

患者さんの意志や体調を優先するあまり、サポートする家族が病に倒れてしまっては元も子もありません。根を詰めすぎず、患者さんとうまく付き合うために、社会資源や医療従事者のことを頼ったり相談したりしながら「お互いの存在を大切に」することが重要です。

困ったことがあったら病院の担当医や看護師、ケアマネージャーなどに相談しながら適切なサポートを受けるようにしましょう。

まとめ

まとめ

膀胱がんステージ4は進行がんの最も進んだ段階です。膀胱外の骨盤内やその他の遠隔臓器に転移しています。膀胱がんステージ4は治療法として主に化学療法が用いられ、GC療法(ゲムシタビン+シスプラチン)が主流。免疫チェックポイント阻害薬も使用します。

手術療法は積極的にはおこなわれず、放射線治療は症状緩和のために選択されることもあります。ステージ4の余命は悲観的なデータもありますが、治療法や病院により大きなばらつきがあるのも事実です。

また、QOL向上に焦点を当てる「ベスト・サポーティブ・ケア(BSC)」も視野に入れながら毎日を過ごすことも重要です。痛みの軽減や充実した生活は人生を豊かに過ごすための重要な要素です。完治にとらわれず「どのようにして自分らしく生きるのか」も考えていきたいですね。

近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。

なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。

フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。

それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。

>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ

がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。

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この記事の執筆者
日置クリニック コラム編集部

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