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【肝臓がんステージ2】主な症状とは?余命や生存率を伸ばすためにできること

【肝臓がんステージ2】主な症状とは?余命や生存率を伸ばすためにできること

人体の中で最も大きな臓器である「肝臓」。肝臓は予備力が高く悪性腫瘍が生じた場合、自覚症状が現れにくく早期発見が比較的困難です。この記事では、肝臓がんステージ2の症状や治療法、気になる生存率や余命の延伸を目指すための方法を紹介します。

※ 肝臓がんの概要については以下の記事を参考にしてください。
>>肝細胞がんとは?その原因と治療法について

日置医院長

この記事の監修者
日置クリニック 院長
日置 正人 医学博士

【経歴】
昭和56年3月 
大阪市立大学医学部卒業
昭和63年3月 
大阪市立大学大学院医学研究科卒業
平成5年4月 
医療法人紘祥会 日置医院開設

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肝臓がんステージ2はどのような状態?症状はあるの?

肝臓は人体の中で数多くある臓器の中でも「沈黙の臓器」といわれ、異変が起きても自覚症状として発症しにくい特徴があります。

肝臓がんの場合も同様で、ステージ2の場合自覚症状として何らかの異変が出現するケースは比較的稀です。肝臓は他の臓器に比べ予備力が大きいため、病気になっても相当進行しない限り症状が出てきにくいのです。

※予備力:対象の臓器が治療などを含めたストレスにどれだけ耐えられるのかを示す指標

初期の頃は検査によって発見できるかどうかという程度。「何となく調子がおかしい」と思ったら放置せず、早めに精密検査の受診を検討しましょう。

肝臓の疾患でも炎症性の疾患であれば、炎症反応や白血球数などに異常が検出されます。しかし、がんの場合は自分の体の細胞が増殖していく状態なので、体は異物として検出できません。このため、初期や中期の頃は自覚症状に乏しくなりがちなのです。

肝臓がんの早期発見の秘訣は健康診断。通常の血液検査に加えて「腫瘍マーカー」と呼ばれる、がん細胞の増殖の有無を検出できる検査項目を追加します。ほとんどの腫瘍マーカーは、血液検査の追加検査で検出が可能です。

一般的な血液検査では検出されないので、注意が必要です。

とくに肝臓がんはB型肝炎やC型肝炎から移行して発症する傾向にあります。B・C型肝炎にかかっている、またはかかったことがある場合も、定期的に検査を受けることが大切です。

肝臓がんステージ2は進行度分類により評価

肝臓がんの進行度を評価する際には、「TNM分類」が使用されます。
TNM分類は以下のような判別基準のひとつです。

  • T:原発のがんの広がり、深さ、大きさなど
  • N:がん細胞のリンパ節への転移の有無と広がり
  • M:原発から離れた臓器への遠隔転移

肝臓がんステージ2ではNとMが共に「0」と評価され、リンパ節や他臓器への転移はありません。T分類として、肝臓の臓器内に原発がんがとどまっている状態です。

肝臓がんステージ2は進行度分類により評価
(参照:https://ganjoho.jp/public/cancer/liver/treatment.html

また、T因子の

  • 腫瘍が1つ
  • 腫瘍の大きさは2cm以下
  • 脈管(がん周囲の血管やリンパ管)へのがん細胞の侵襲がない

のうち、2つが該当する場合を「肝臓がんステージ2」としています。

※侵襲:がんが入り込むこと

肝臓がんの基本治療となる3本柱「手術・焼灼・塞栓」について

肝臓がんの基本治療となる3本柱「手術・焼灼・塞栓」について
肝臓がんの基本的な治療法は

  • 手術でがん腫瘍の切除・摘出
  • がん細胞を焼灼
  • がん細胞周囲の血管からアプローチする塞栓治療

の3本柱。肝臓がんの病態像や、肝臓の機能がどのくらい保たれているかにより治療方針は異なります。場合によっては複数の治療法を複合して進めることもあります。

肝臓がんの治療法は、手術以外の治療法も多種多様にあり、選択肢が多いのも特徴のひとつです。患者さんの状況により個別性に合わせた治療プランが検討されます。

ここでは、がん細胞が単発で発生している場合に検討される、肝臓がんの手術療法について掘り下げていきます。

手術療法

肝臓がんで手術を選択する場合、がんを含めた周辺の肝臓を切って取り去る「肝切除術」が主流です。肝臓がん治療の中でも、比較的しっかりとがんを取り除ける方法のひとつといえます。

しかし、肝臓の手術は肝臓をはじめとして全身への負担が大きいため、肝臓の機能が良くてがんの大きさが比較的小さい場合や、がんが1つだけ、もしくは数が少ない場合に選択されます。肝臓は細かな血管が密集していて、小さな切除でも大出血を起こす可能性があるのです。

手術の難易度だけでなく手術後の患者さんの回復力なども想定すると、肝臓の予備力が比較的良好に残っており、手術で取り除いてしまったほうが経過が良い場合に検討されます。

手術療法
(参照:https://www.jsh.or.jp/lib/files/medical/guidelines/jsh_guidlines/medical/guideline_jp_2021_v3.pdf|P102

肝切除術

肝切除術は、医師の治療方針や患者さんの個別性により多少の違いもありますが以下のような3つの条件がそろっていれば選択されます。

  • 肝臓の予備力を評価する障害度判定検査で判定Aの場合(B判定の場合も状況により検討)※1
  • 腫瘍の数が3個以内
  • 腫瘍の大きさは制限なし

※1→A判定:腹水なし、ビリルビン:2.0mg/㎗未満、アルブミン:3.5g/dl以上、ICGR15分値15%未満、プロトロンビン活性値80%以上
B判定:腹水は治療効果あり、ビリルビン:2.0〜3.0mgdl、アルブミン:3.0〜3.5g/dl以上、ICGR15分値15〜40%未満、プロトロンビン活性値50〜80%

肝臓の手術には「部分切除」「区域切除(亜区域切除含む)」「肝葉切除」術があります。
肝切除術
(参照:http://www.rgmc.izumisano.osaka.jp/department/digestive/digestive5/

肝切除術では、がんが発生している場所と大きさ、脈管への侵襲の状況によりどの程度切除するかが検討されます。

肝移植術

初期症例ではあまり見られませんが、肝臓の手術法として肝移植が検討されることもあります。手術療法のひとつです。

肝臓移植は、おもに以下の2パターンがあります。

  • 生体肝移植:移植は6親等までの親族、あるいは配偶者より健康な肝臓を移植する
  • 脳死肝移植:ドナー登録している脳死者等から提供してもらう

ここでは生体肝移植について解説します。

生体肝移植とは、患者さんの肝臓をすべて摘出して、健康な人から正常な肝臓の一部をもらい患者さんに移植する方法です。
肝臓は、私たちの人体の中で唯一再生する能力を持っており、肝臓の7割を切除したとしてもほぼ元通りに再生します。これは、切り離した肝臓でも同様です。

健康な人から肝臓の約1/3〜2/3を提供してもらいます。移植後は約半年でほぼ元の状態に戻ります。

移植を選択する条件には以下の基準が設けられています。

  • 脈管へのがんの侵襲がなく、遠隔転移がない
  • がんが5cm以下で1個、もしくは3cm以下で3個以内

これには、手術以外の何らかの治療を施して、腫瘍の大きさが基準値内になったものも含まれます。

焼灼療法

焼灼療法とは、ラジオ波やマイクロ波で腫瘍を焼いて死滅させる方法です。がんのサイズがそれほど大きくなく、個数が少ない場合に有効な治療法のひとつとされています。手術療法に比べると体の負担も軽く済む治療法のひとつです。

焼灼療法について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
>>【肝臓がんステージ3】症状を進行度から解説。余命や生存率を知り、適切な治療で完治を目指す

塞栓注入治療

肝臓がんにおける塞栓注入治療とは、肝臓に入り込み肝臓の腫瘍を成長させる血流のルートである「門脈」や「肝動脈」を遮断し、腫瘍へのエネルギー供給を防ぐ治療法です。血流の豊富な肝臓におけるがんは、その成長に多くの血流量を必要とするため、有効な治療法とされています。

塞栓注入治療について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
>>【肝臓がんステージ4】余命や生存率とは。知っておくべき適切な治療法と完治に対する考え方

その他の治療

肝臓がんの治療では、メインとなる3つの治療のほかに抗がん剤や分子標的薬などを用いてがん細胞を攻撃する「化学療法」や、放射線の一種である陽子線や重粒子線をがん細胞に照射し死滅されることを狙った「放射線療法」があります。手術療法や焼灼療法では適応にならない脈管の侵襲や遠隔転移がある場合などに用いられる治療法です。

肝がんステージ2の気になる生存率は?

肝臓がんに罹患した場合、「生存率」は気になる事柄のひとつでしょう。肝臓がんステージ2の場合、実測5年生存率は40.6%。しかし、手術後の5年生存率は65.6%、10年生存率は42.1%と推移する場合もあり、生存率は病院や担当医師により必ずしも一致しない実情があります。※2

ステージ2では手術療法を選択する症例もあり、手術後の生活の意識も予後に影響を与えるといえそうです。

※2 岡山済生会総合病院
肝臓がんに対する外科的治療について

余命延伸・完治を目指した食事の意識づけ

肝臓病に罹患した場合、意識しておきたいことのひとつが食事です。肝臓は栄養の代謝や 有害物質の解毒、胆汁の生成など行う臓器で、24時間休みなく稼働しています。 肝臓の負担を少しでもサポートし、できるだけ負担をかけない生活を意識することが、予後を決めるひとつの要素になるでしょう。

余命延伸・完治を目指した食事の意識づけ 余命延伸・完治を目指した食事の意識づけ

(参照:http://www11.plala.or.jp/nosan/kanjyukai/kyo37/kyo37-2/kyo37-2.html

肝臓は三大栄養素である「糖質・脂質・タンパク質」の代謝を担っています。 糖質と脂質はおもにエネルギー源として使われますが、余った分は肝臓に蓄積されます。過剰なエネルギー摂取は脂肪肝の要因になってしまい、肝臓への負担になってしまうのです。

とはいえ、摂取エネルギーを減らしすぎると肝細胞が再生する余力もなくなり、思うような治療が進められません。 自分の活動量に見合うエネルギー量を把握し、適切なカロリー摂取を心がけることが重要です。

また、肝臓が行っている各種代謝にはビタミンやミネラルの充足も必須。 肝細胞の再生に必要な必須アミノ酸をはじめとした良質なタンパク質を取りましょう。 注意したいのはタンパク質の過剰摂取です。

タンパク質は過剰摂取してしまうと代謝処理のために、肝臓の負担を増やすことにもなりかねません。一日摂取量の目安はありますが、厳密な必要量は医師に相談して把握すると良いでしょう。

食品添加物は意識的に避ける

肝臓疾患を抱えている人がとくに意識したいのは食品添加物。現在の食品は、長期保存などを視野に入れて食品添加物が使われているものもあります。

食品添加物の解毒を担っているのも肝臓。 肝臓の機能が低下している場合は、少ない量であっても肝臓のダメージにつながる可能性があります。 加工食品をできるだけ控え、食べ物は極力食材から作り食べることを意識しましょう。

まとめ

まとめ
肝臓がんステージ2は自覚症状に乏しく発見が遅れてしまうこともあります。もともと肝臓の病気を抱えているのならば定期的に受診・検査を試みて早期発見につなげられるよう意識しておきたいところです。

症状が現れる前に発見でき、手術で治療できれば良好な予後につなげることも可能でしょう。自分の体の声に耳を傾け、異変を感じたら放置せず専門医への相談を検討したいですね。

近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。

なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。

フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。

それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。

>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ

がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。

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この記事の執筆者
日置クリニック コラム編集部

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