2023.03.30
がんAYA世代(若い世代)のがんは種類が違う?問題点や支援の概要
若い世代(AYA世代)に発生するがんは、一般的な壮年期以降に生じるがんとは異なる特徴や問題を抱えています。この記事では、AYA世代のがんについて、特徴や問題点について解説しています。
目次
AYA世代のがんとは
がん治療を進めるうえでしばしば問題となる「AYA世代」。AYA世代とは、Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)の頭文字をとったもので、10代から30代までの若い世代をを指します。AYA世代のがんは、子供や高齢者に発生するがんと比べて頻度は比較的低め。
また、若く体力もある一方で社会生活をはじめとしたさまざまな困難に直面するケースが多いのです。サポートツールの活用や社会資源の活用において問題が生じるケースも多く、スムーズな治療を進めるのが難しいという特徴もあります。
AYA世代のがん支援の概要
AYA世代がん治療に対する支援は、個別性に合わせた問題点を考慮して選択されるのが一般的。治療を進めるうえで、本人の強い意志や継続心はなくてはならないもの。がんの再発や副作用の管理、生活への適応支援などを含め、治療をスムーズに進めるための長期的な支援が必要になるでしょう。
また、心理的なサポートも必要不可欠。がんとの闘いは心理的な負担が大きいもの。心理カウンセリングやサポートグループなどを提示して、メンタルケアにつなげます。
さらにAYA世代は学生生活真っ盛りであったり、働き盛りの患者も多いはず。学業や仕事、結婚や出産などの将来に関わる問題に直面します。これらの問題についての情報提供やアドバイス、必要な支援の提供が求められます。
AYA世代におけるがんの種類
AYA世代(10代から30代)には、さまざまながんの種類が存在します。ここでは、AYA世代でよく見られるがんの種類とその特徴、若い世代で発生する要因について解説します。
1.乳がん
AYA世代の女性のがんで最も頻度が高いもの。若い女性の乳がんは通常、乳房組織の密度が高く、発見も難しい傾向にあります。
2.甲状腺がん
甲状腺がんはAYA世代の女性によく見られるがんです。しかし、一般的にAYA世代の甲状腺がんは予後良好です。
3.精巣がんをはじめとした性腺腫瘍
AYA世代男性によく発生するがんのひとつが精巣がんです。一般的に、精巣腫瘍は早期に発見されやすく、治療の成功率も高い傾向にあるため、患者との連携を保ち速やかな治療が求められます。
4.悪性リンパ腫や白血病などの造血器のがん
悪性リンパ腫や白血病もAYA世代のがんの中で比較的よく見られます。特に10代後半から20代にかけて発症することが多いです。(注1)
AYA世代のがんの罹患率を年代別に見てみると、その多くは20代後半以降の年代。世代的に見てみると働き盛りの若者が中心であることがわかります。
若い世代に特徴的ながんには初期症状がでない、もしくはわかりにくいので「早期発見が困難」なのが、罹患に至るまで気が付かれない理由のひとつです。
働き盛りのAYA世代は多少の不調でも「休めば治る」と思ってしまい、また、体力もあるのである程度なら我慢できてしまうこともすぐに病院を受診しない理由でしょう。また、「まさか自分ががんになるなんて…」というような思い込みも影響していることが考えられます。
AYA世代は、年齢から考えると健康診断の内容としてもがんスクリーニングの対象になることは少なく、がんの早期発見が難しい状況にあります。そのため、気が付いた時にはがんが進行しているケースも少なくありません。
(注1)参考:国立研究開発法人国立がん研究センター.“小児・AYA世代のがん罹患”.がん情報サービス.2021-09-01
AYA世代のがんに関する問題点
では、AYA世代ががんに直面すると、どのような問題点が生じるのでしょうか?例として代表的なものについて解説します。
生殖機能への問題
AYA世代のがんは一般的に進行が速い一方で、治療への耐性は高い傾向にあります。患者の病状や体力にもよりますが、より強力な治療法を施せるものの、副作用の管理が必要になることも少なくありません。
治療を検討し進める際に考えたい事項のひとつが「不妊のリスク」。一部のがん治療は、将来的な生殖に悪影響を及ぼす可能性があり、AYA世代の治療を進めるうえで患者と十分に話し合いながら進める必要があります。
心理的な不安
がんの診断はAYA世代にとって大きなショックとなるはずです。がんへの対処、治療への取り組み、将来の不安などがストレスを引き起こす主な要因。
また、治療に伴う副作用により外見的な変化が生じることがあります。体の変化や治療による副作用は、自己イメージにも影響を及ぼし、さらなるストレスや治療の進行への不安につながる可能性があります。
生活面への影響
がんの治療や療養期間は、学業や仕事に影響を与えることもあります。学校や職場との調整、学業やキャリアの遅れへの対応やフォローを検討し、治療に支障をきたさない対処法を見出す必要があるでしょう。
また、家族や友人、パートナーとの関係にも影響を及ぼすことがあります。時には関係性の変化や調整が生じることもあり、サポートや理解を得られるような関わりが重要です。
AYA世代のがん患者へのサポートと支援
AYA世代のがん患者のために専門のがん支援組織やグループが存在し、心理的なサポートや情報提供、就労支援などさまざまな取り組みが行われています。AYA世代に特徴的なサポートについて紹介します。
専門のがん支援組織やグループ
AYA世代のがん治療に特化した専門のがんセンターがあります。専門の医師や看護師、カウンセラーが在籍し、AYA世代のがん患者に特化した治療とサポートを提供しています。
また、がん体験者同士の交流やその家族が集まり経験の共有をするグループもあります。心のケアにつながるのはもちろん、治療と社会生活の同時進行をするための情報収集や体験談、困難が生じた際の対処方法など生きた知識を学べる場として活用されています。
心理的なサポートやインターネットによる情報提供
AYA世代はがんになると、学業や仕事、人間関係などさまざまな困難に直面します。もちろん患者の心理的なストレスが生じ、時には治療の進行に影響を及ぼしてしまうでしょう。
AYA世代のがん治療を進めるうえで専門のカウンセラーが、がん患者やその家族に対して心理的なサポートを提供します。
がんと向き合う中で生じる悩みや不安、自己イメージの変化などについて話し合い、心のケアを行いながら、穏やかに過ごせる工夫を一緒に模索します。
また、インターネットでは専門のがん支援機関やウェブサイトが、AYA世代のがんに関する情報を提供しています。がんの種類や治療法、副作用などについての最新の知識や情報を提供し、がん患者とその家族がより理解を深める体制も整いつつあるので、うまく活用しましょう。
就労支援
がん治療を進めるうえで仕事を辞めてしまったり、休職した場合の後の職場復帰を支援するプログラムもあります。職業訓練やキャリアカウンセリング、職場環境の適応支援などを通じて、がん患者の社会復帰をサポートします。
AYA世代のがん患者に対するサポートと支援は多岐にわたります。がんセンターやがんサポートグループを活用し、心理的なケアや情報の収集を行うことで、がんとの向き合い方や日常生活の課題への対処がスムーズになるでしょう。また、就労支援制度や職業復帰プログラムを利用することで、職場への復帰や仕事と治療の両立が実現可能になります
まとめ
若い世代(AYA世代)に発生するがんは、さまざまな問題を抱えています。AYA世代ががんに直面すると、生殖機能への問題や心理的な不安、生活面への影響が生じることも少なくありません。
AYA世代のがん治療には、個別性に合わせた長期的な支援が必要であり、心理カウンセリングやサポートグループなどを上手に活用しましょう。
AYA世代のがん患者へのサポートと支援は多岐にわたり、がんセンターやがんサポートグループの活用、心理的なケアや情報の収集、就労支援制度や職業復帰プログラムの利用などがあります。これらの取り組みを通じて、AYA世代のがん患者が、がんとの向き合い方や日常生活の課題に対処し、よりよいサポートを受けられるようにしていきましょう。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
がんの種類を知る
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