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がん患者の熱について解説!余命や治療が影響する症状とは?

がん患者さんの発熱。その原因は治療による副作用、免疫力の低下などさまざまです。熱が出るたびに患者さん本人だけではなく家族も不安になってしまうでしょう。本記事では、がん患者さんが熱を発した場合の対処法や、何度の熱が危険なのかなどを含めて解説します。

日置医院長

この記事の監修者
日置クリニック 院長
日置 正人 医学博士

【経歴】
昭和56年3月 
大阪市立大学医学部卒業
昭和63年3月 
大阪市立大学大学院医学研究科卒業
平成5年4月 
医療法人紘祥会 日置医院開設

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がん患者さんによくある熱の原因とは

がん患者さんは、さまざまな要素が絡み合い、一般的な成人よりも発熱しやすい傾向にあります。以下に、がん患者さんによくある熱の原因をいくつかご紹介します。

・治療による副作用

がん治療には化学療法や放射線療法などがありますが、これらの治療は免疫系や自律神経系に影響を及ぼすことで発熱することがあります。また、手術をした場合は手術後の回復反応の過程で発熱する場合もあります。

>>がん化学療法について|使われ方や種類についてご紹介

・感染症

がん患者さんは、免疫力が低下しているため感染症にかかりやすくなります。思わぬ感染症が原因で熱を発することがあります。感染症による発熱はがん患者さんの発熱要因で最も多い要素です。

・腫瘍の破裂や壊死

がんが進行する過程で、腫瘍が破裂したり壊死する影響が原因になることもあります。

熱が出やすい弱い状態にある患者さんの特徴

がん患者さんは、治療やがん自体によって体力が低下し、免疫力が弱まることがあります。そのため、熱に対する耐性が低下し、熱が出やすくなる特徴があります。また、がんの進行や合併症の存在によっても体力が低下し、発熱しやすくなる傾向にあります。

・抗がん剤治療などの影響が出ている

がん治療には、放射線療法や抗がん剤療法など、患者さんの免疫力を低下させる治療法が含まれる場合があります。抗がん剤はがん細胞を攻撃する一方で、正常細胞も破壊します。そのため、免疫力が低下し、感染症などにかかりやすくなる傾向があります。

抗がん剤の副作用について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
>>抗がん剤の副作用について

・がん自体が進行している

がん自体が進行している場合、腫瘍が増大することによって体内で発生する熱の量が増えることもあります。「腫瘍熱」と言われ、がん細胞自らが産生する発熱物質の影響を受けるのです。

このように、がん患者さんはさまざまな要因で免疫力が弱まり、熱が出やすい状態になってしまうのです。熱のリスクを下げるためには、日頃から免疫力をつけるための生活を心がける必要があります。

免疫力をつける方法については以下の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
>>感染症に負けない!免疫力をつける5つの方法

熱が出た場合の対処法

熱が出た場合の対処法

がん患者さんが発熱した場合、適切な対処を早めにとるのが重要です。状況により医師の診察を受けることを検討しましょう。まずは一般的にすぐにできる、熱が出た場合の対処法を解説します。

発熱した場合にすぐできる対処法

 

・服薬

がん患者さんのがん治療が進められる中で、あらかじめ医師により頓服用の処方薬が出されている場合があります。医師の指示に従って解熱剤を使用しましょう。

・クーリング

熱が高く、上がりきったのが確認できれば、薄着になり冷却パッドや氷枕、腋窩クーリングを使用しましょう。しかし、長時間の冷却や極端な冷却は避け、患者さんの訴えを聞きながら適宜調整しましょう。

・水分摂取

熱が出ているときは、水分を十分に摂取することが重要です。水分補給により脱水症状を防ぎ、体温調節をサポートします。体の調子を崩さないためにも特別な制限がない限りは積極的に水を飲みましょう。

・休息

熱が出ているときは、十分な休息をとることも大切です。体力を回復させるために十分な睡眠をとり、無理な活動や運動は避けましょう。不安感なども体の回復を遅らせる要因に。無理をせず深く考え込まずに穏やかに過ごすのも大切です。

熱が引かない場合の対処法

熱が引かない場合、まずは医師への相談を検討しましょう。診察によりその後の対処法が検討されます。
熱が引かない場合、感染症の可能性も考えられます。咳や喉の痛み、下痢などの感染症に伴う症状やいつもと違う症状があれば感染症の検査や治療を受け、必要な治療を検討する際の判断材料とします。

検査の結果によってはがんが進んでいたり合併症の可能性もあります。

 

何度の熱が危険なのか

一般的に、38度以上の熱は注意が必要とされます。がん患者さんは免疫力が低下しているため、体温が上昇することで感染症や炎症の進行が起こる可能性が高くなります。そして、個人の状態や治療の影響によって判断が異なる場合も多いです。「これ以上は危険、これ以下は大丈夫」と安易に捉えず、医師に相談しながら連携をとってがん治療を進めることが重要です。

個人の体調や治療内容、疾患の状況により細かい判断基準は異なりますが、一般的な発熱の基準は以下の通りです。

・37.5度以上

体温が37.5度以上に上昇した場合、一般的には特別な治療や対処を必要としません。適切な水分補給や休息、症状の経過観察が行われます。

・38度以上の発熱

体温が38度以上に上昇した場合、がん患者さんは感染症の罹患を視野に入れて対処を検討します。医師へ相談するのが良いでしょう。抗生物質や抗熱剤などの薬物治療が必要な場合もあります。

・38.5度以上の発熱

38.5度以上に上昇した場合は、感染症のリスクがさらに高まり、重篤な状態に進展する可能性があります。医師への速やかな連絡を検討しましょう。適切な処置や治療を受ける場合が多い発熱です。

高熱が続くときには早めに医師への相談を検討

がん患者さんは免疫機能が低下しているため、感染症に対するリスクが高くなっています。以下のような状況では、迅速な医師の判断と適切な治療が必要となる可能性が高くなります。

1.発熱が長時間続く場合

熱が数日間続き症状が改善しない場合は、感染症の可能性も高くなります。無理をせず早めの相談・報告を検討しましょう。

2.熱に加えて他の症状が出る場合

熱だけでなく、咳や喉の痛み、呼吸困難、下痢、吐き気などの症状が現れる場合もあります。他の症状が伴う場合には、医師に報告しましょう。

3.免疫抑制状態にある場合

抗がん治療や免疫抑制剤を受けている場合、感染症のリスクが高まります。発熱がある場合は、早急に医師に連絡し適切な指示を仰ぎましょう。

熱による体への影響と治療への影響

がん患者さんの熱が持続する場合、体への影響や治療への影響が発生し、がん治療がスムーズに進まなくなる可能性もあります。在宅で経過を見ている患者さんなどであればついつい「次の受診日でいいか」と報告・相談を先延ばしにしてしまい、影響が生じるケースも少なくありません。発熱が体や治療にどのような影響を及ぼすのか把握しておくのも大切です。

・体への影響

(水分と電解質の喪失)
発熱により、体内の水分と電解質が失われる可能性が高まります。脱水症状が悪化すると、体力の低下や疲労感につながり体の回復に影響を及ぼす場合もあります。

(免疫機能の低下)
高熱が続くと、免疫機能が低下し、感染症のリスクが増加します。がん治療中の患者さんは免疫細胞に影響を受ける場合もあるため、感染症に対する注意が必要です。

・治療への影響

(抗がん剤治療への影響)
発熱により、一部の抗がん剤治療が中断または遅延する場合があります。これは、治療が免疫系や造血系に影響を及ぼす可能性があるためです。医師は発熱の原因を評価し、治療の調整が必要かどうか検討します。

(薬物の代謝や排泄の変化)
発熱があると、薬物の代謝や排泄が変化する可能性もあります。これにより、抗がん薬や他の薬剤の血中濃度が変動し、治療効果や副作用に影響を及ぼす可能性も考えられるのです。

発熱が持続する場合は、早めに医師に相談して適切な治療を受けることを検討しましょう。医師は熱の原因を特定し、適切な対処法や治療計画を立てて早期対処につなげることができます。

また、体への影響や治療への影響を最小限に抑えるため、適切な水分補給や栄養摂取、十分な休息など、セルフケアも重要です。がん治療は個別の状況に基づいて行われるため、医師とのコミュニケーションを大切にし、状況に応じた適切な対応をとれるように心がけましょう。

まとめ

まとめ

がん患者さんの熱は、治療やがん自体の影響により発生することがあります。熱が出た場合は、適切な対処法を行い、熱を速やかに下げる対処が重要です。熱が引かない場合や高熱が続く場合には、早めに医師への相談を検討しましょう。がん患者さんの場合、「早期発見・早期対処」が重要です。日ごろから体温をはじめとした自分のバイタルサインを計測する習慣をつけて、異常の早期発見の指標をつけておくことも重要です。

近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。

なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。

フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。

それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。

>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ

がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。

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この記事の執筆者
日置クリニック コラム編集部

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