2024.01.04
がんスキルス胃がんの症状は?早期発見方法や治療法について解説
スキルス胃がんは、特有の症状が現れにくく進行が早いため、初期段階での発見が非常に重要です。スキルス胃がんは、通常の胃がんと異なり胃壁全体に浸潤し、非常にわかりにくい状態で進行します。
この記事では、スキルス胃がんがどのような症状を引き起こすのか、またその症状が現れた際にできるだけ早くおこないたい対処方法について解説します。
※胃がんの概要については以下の記事を参考にしてください。
>>>胃がんとは?その症状や治療法などについてご紹介
目次
難治性のスキルス胃がん
スキルス胃がんは非常に進行しやすく、治療が難しい性質から「難治性がん」に分類されることが多いです。スキルス胃がんは、粘膜の下層に潜んで無秩序に増殖するのが特徴。
表面の胃粘膜に明確な変化が生じず、従来の内視鏡検査では見逃されやすい傾向もあります。
特にがんが周囲の組織に広がっている場合、手術で完全に取り除くことが困難なケースもあり、残留がんが問題となることもあるのです。
スキルス胃がんの患者数
胃がんは日本で高い発症率を持つがんの一つであり、特に男性においては新規発症者数が最も多いがんとされています。2017年のデータによると、スキルス胃がんは全胃がんの約7%を占めており、進行胃がんの場合にはその割合が15%に上ります。
スキルス胃がんは、その他のタイプの胃がんと比較しても特に厄介です。手術が可能な段階で発見された場合であっても、5年生存率は15〜20%と非常に低いです。
胃がん全体の実測生存率61.5%と比較しても大きな差が見られます。この低い生存率から見ても、スキルス胃がんが他の胃がんよりも治療が困難であることがわかります。
スキルス胃がんにおいては、早期発見とより病状に沿った効果的な治療を取り入れることが予後につなげる重要な要素といえそうです。
スキルス胃がんの好発年齢
スキルス胃がんの発症年齢は、一般的な胃がんと異なる特徴を持っています。通常の胃がんは50歳を超えると発症率が増加し、高齢者にかけて発症のピークを迎えます。
一方で、スキルス胃がんは他の胃がんタイプとは異なり、20代から40代の比較的若い年齢層、特に女性に発症するケースがみられるのです。
スキルス胃がんの発症要因について、はっきりとしたことはわかっていません。発症につながる遺伝子は見つかっているものの、決定的な研究結果についてはまだ報告がなされていない実情があります。
スキルス胃がんの特徴
スキルス胃がんは、一般的な胃がんとは異なる進行の特性を持ちます。スキルス胃がんは「4型」胃がん、または「びまん浸潤型」胃がんとして知られており、内視鏡やX線検査で肉眼的には確認しにくい特徴があります。
スキルス胃がんは、初期の頃のバリウム検査では見過ごされてしまうこともあります。そのため、進行状態で発見されることも少なくありません。
非充実型の低分化腺がんが多い
スキルス胃がんは、非充実型の低分化腺がんが主に見られます。これは腺腔の形成がほとんどないかまったくないためがん細胞がバラバラに見え、通常の腺がんに比べて悪性度が高くなるのです。
スキルス胃がんは俗称
スキルス胃がんは、医学的には「びまん性浸潤型胃がん」と呼ばれる病態の一つです。この「びまん性」のがんを俗にスキルス胃がんと称しています。この名前は、ギリシャ語の「硬いもの」という意味の言葉から来ています。がんが胃壁やその周囲の組織に広がり、しみ込むように進行するという特徴があり、胃壁全体が厚く硬くなった状態で進行します。
スキルス胃がんの分類
(参照:https://www.kango-roo.com/learning/6220/)
胃がんの病態像を把握するのには、さまざまな分類方法が用いられています。一般的に胃がんは、「進行度分類、肉眼型分類、組織型分類」の3つにわけられます。
スキルス胃がんは、肉眼型分類で「4型」の「びまん浸潤型」に該当します。
スキルス胃がんの原因
スキルス胃がんは、その発生原因が完全に解明されていないがんの一種です。多様な要因が複雑に絡み合い発生すると考えられています。
なかでも、ヘリコバクター・ピロリ菌感染は注目される原因の一つです。ヘリコバクター・ピロリ菌は、胃粘膜に慢性的な炎症を引き起こし、長期にわたる炎症が胃がん、特にスキルス胃がんへと進展するリスクを高めると考えられています。
スキルス胃がんの原因について詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>スキルス胃がんになりやすい人は?原因と早期発見・予防について解説
スキルス胃がんの症状
スキルス胃がんは難治性のがんですが、初期の頃は他の胃がんと同じように胃がん特有の症状が症状が出にくい傾向にあります。
自覚症状があったとしても、胃もたれや胃の不快感程度。
胃がんでなくてもよく見られる症状が多いため、市販の胃薬などを用いて対処してしまう人もいます。そのため、胃がんの症状としてとらえられにくく、異変だとは思わずに見過ごされてしまいがちです。
スキルス胃がんの罹患者は、年齢が若い方も少なくありません。「ちょっと無理をしてしまったかな?」「最近調子が悪いな……」ぐらいで無理がきいてしまうのも、症状を見過ごされがちな要因といえそうです。
ですので、発見した段階ではがんがかなり進行していたという例も少なくありません。
以下に胃がんに起こりがちな症状について解説します。
食欲不振・体重減少
胃がんが進行すると、なんとなく感じていた胃周辺の違和感や症状が重く大きくなってきます。主にスキルス胃がんにより、胃の働きが悪くなることによる症状の一つです。スキルス胃がんは胃の粘膜を硬く、動きにくくします。胃の動きが悪くなることで食欲が低下し、それにともなって体重も減少してきます。
また、胃がんの病変部分は胃液でただれやすく、炎症が起こったり潰瘍ができやすくなります。その影響で、胃がジリジリと焼けるような胸焼け感や不快感による嘔吐が生じることもあります
下血・黒色便
胃がんの病変部分は、胃液に負けて潰瘍ができたり、潰瘍部分から出血します。その影響で黒っぽいような血液成分を排泄する「下血」が生じたり、便のなかに血液が混じった「黒色便」として排泄される場合もあります。
貧血症状
胃がんが進行してくると、がんの部分から出血し始めて、下血などの症状が生じることもあります。
消化管内部で出血することにより貧血症状が現れ始めると、顔色が悪くなったり知らぬ間に貧血が進み、動悸や息切れが生じることもあります。
下痢・便秘などの排便障害
胃がんは、進行してくると下痢や便秘などの排便障害が生じることもあります。これは、胃の粘膜の大部分が病巣に侵されることで生じることがあり、胃液の分泌が減り消化不良となるために下痢が生じます。
逆に食欲がなくなることにより、自然と食事量や水分摂取量が減るために便秘になってしまうこともあります。
スキルス胃がんの検査
スキルス胃がんは、若い世代に生じることも少なくありません。何らかの自覚症状が発症していたとしても受診をするに及ばないと過信して、発見されたときには進行しているケースも珍しくないのです。
何かしらの自覚症状があり、長く続くようであれば最初から胃の内視鏡検査を受けることも検討しましょう。
胃カメラ検査
一般的に地域の定期健診などであれば、バリウム検査を先に受けるケースが多いでしょう。
バリウム検査は比較的短時間で簡単に終了するため、胃がんであるかそうでないかのふるいわけ検査として用いられています。
しかしながらスキル性胃がんの場合、最初から内視鏡検査を受けたほうが確実性は上がります。内視鏡検査は胃の粘膜を直接観察する検査だからです。
スキルス胃がんは、胃粘膜の凸凹が生じにくく、胃の粘膜の表面を表出して撮影するバリウム検査では見過ごされてしまうこともあります。
確定診断は「生検」をおこなう
スキルス胃がんにおいて、確定診断をつける方法は「生検」です。生検は、疑わしい胃粘膜の一部を実際に採取して、顕微鏡で詳細に調べることにより、がん細胞の存在を直接確認します。生検によりがん細胞が確認されれば、スキルス胃がんを含む胃がんの確定診断が下されます。
スキルス胃がんの検査について詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>スキルス胃がんとは?原因・特徴・治療法から予後までを解説
スキルス胃がんの治療法
スキルス胃がんは進行が早く、一般的な胃がんと比べて治療が難しいとされます。そのため、治療アプローチも標準的な胃がん治療とは異なるケースもあります。治療の主な目的はがんの進行を遅らせ、辛い症状を緩和し、可能であれば病気を根治することです。
手術
早期に発見されたスキルス胃がんは、手術でしっかりと病巣を取り除くのが効果的な治療方法とされています。手術では、がん組織とそれを取り巻く一部の正常組織、必要に応じてリンパ節も切除されます。しかし、スキルス胃がんが進行している場合、手術の適用が難しい場合もあります。
胃がんの手術について詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>胃がん2-3期ステージの症状・治療法を解説
薬物療法
手術が困難な進行スキルス胃がんや、手術後の再発防止として抗がん剤を始めとした薬物療法が用いられます。化学療法では、がん細胞の成長を阻害する薬剤を体内に投与します。化学療法は、がんの進行を遅らせる効果がある一方で、副作用もともなうため患者の全身状態を考慮して治療計画が立てられます。
薬物療法について詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>がん化学療法について|使われ方や種類についてご紹介
分子標的治療
特定のがん細胞に特異的に作用する薬剤を用いる分子標的治療も、一部のスキルス胃がんの患者の治療法です。この治療法は、がん細胞の特定の生物学的標的を攻撃し、正常細胞への影響を最小限に抑えることが期待できます。
分子標的治療について詳しくは以下の記事を参考にしてください。
免疫療法
免疫チェックポイント阻害薬を使用した免疫療法も、スキルス胃がん治療において研究が進められています。この治療は、患者の免疫システムを活性化させてがん細胞を攻撃するように促します。
免疫療法について詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>がん免疫療法とは?仕組みと具体的な治療方法について解説
放射線療法
ときとして、放射線療法がスキルス胃がんの治療に用いられることもあります。放射線治療は主に局所的ながんの成長を抑制するためや、痛みなどの症状緩和のためにおこなわれます。
緩和ケア
進行したスキルス胃がんの患者には、緩和ケアも重要な治療選択肢です。緩和ケアは、生活の質を改善し、痛みや他の不快な症状を管理することを目的として導入します。
緩和ケアについて詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>緩和ケアとは?どこで受けられるかなど解説
スキルス胃がんの治療法について詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>スキルス胃がんとは?原因・特徴・治療法から予後までを解説
まとめ
スキルス胃がんの初期症状は非常にわかりにくく、自覚症状が生じないこともあります。
早期発見は困難を極めますが、可能性を高めるためには自分のリスクファクターを把握し、意識を持って行動することが重要です。胃の不調、消化不良などが見られた場合は、ただちに専門医の診断を受けることを検討しましょう。
また、定期的な健康診断と胃カメラ検査は、スキルス胃がんの早期発見と治療に大いに役立ちます。それぞれ積極的に活用することをおすすめします。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
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