2024.06.27
がんがんの余命宣告を受けたら?信頼性と正しい受け止め方
がん患者さんにとって、医師から告げられる「余命宣告」は、最も聞きたくない言葉でしょう。自分の生命の残り時間が否応なく宣告されて、心穏やかでいることは難しいものです。
ただ、医師としても患者さんに絶望してほしくて、余命宣告を行うわけではありません。今回は、余命宣告の信頼性や余命を告げられた時の正しい受け止め方について解説していきます。
目次
がんの余命はどうやって受け止めるべきか
がん患者さん、またはがん患者さんのご家族のなかには、医師から「余命」を宣告されることがあります。
余命とは、あとどのくらい生きられるのかという時間のことです。しかし、余命より長く生きる方もいれば、余命より早めに亡くなってしまう方もいます。余命とは、治療方針を医師と話し合う際に伝えられることが多く、その治療であったりがんの再発の可能性であったり、条件によっても異なります。また、がん患者における高齢者の割合も増加していることから、余命の前に寿命で亡くなる方もいます。
がんの余命とはどのように受け止めるべきでしょうか。余命宣告にショックを受け悲しむべきなのか、または残された時間を前向きに生きようと切り替えるのか。余命を宣告された方やそのご家族しかわかりません。しかし、余命とは予測です。余命と伝えられた年月に振り回されるのではなく、あくまで可能性であると考えることも大切です。
余命はただの“推測”
余命はただの推測でしかありません。告げられた余命ぴったりに亡くなる方はいません。名医と呼ばれる医師であっても正確な亡くなるまでの期間はわからないでしょう。余命は、がん患者のデータや医師の経験をもとに推計されます。つまり、告げられる余命は確定した残り時間ではなく、「これくらいの期間が生存できるかもしれない」推測の期間なのです。
がんの余命宣告を受けるタイミング
一般的にがんによる余命宣告を受けるタイミングは、標準治療ではがんを治療できない状態のときです。標準治療とは、外科的手術・抗がん剤による薬物治療・放射線治療の3つを指します。手術でがんを摘出したが転移したり、抗がん剤や放射線があまり効かなかったりなどの状態です。
余命宣告は、治療を投げ出すというネガティブな気持ちではありません。考えられる余命を告げることによって、残された時間をどう使うかを投げかける意味で医師は余命を伝えます。
「緩和ケアのスタート=余命わずか」ではない
医師から「緩和ケアを始めましょう」といわれると、どう考えますか?「私はもう末期なんだ」「もう尽くす手がなく余命わずかなんだ……」という方がほとんどかもしれません。
しかし、緩和ケアにおける本当の意味は、痛みをやわらげることで病気とともに生きていくためのケアです。「緩和ケアをスタートさせる=余命わずか」ではないということ。
また緩和ケアは、体の痛みをケアするだけではありません。病気になったことで受けてしまうネガティブな気持ち、絶望感、孤独感、そして経済的な不安による心への苦痛もケアすることを含みます。緩和ケアの目的は、がんを治療する毎日における生活の質の向上です。
緩和ケア病棟に転院して緩和ケアを始める方もいるでしょう。また、訪問診療や在宅で緩和ケアを受ける方もいます。それぞれが、心安まる場所で緩和ケアを始めることで、がんと共に生きていく道がひらけるのです。
以下の記事では、緩和ケアについて詳しく紹介していますので、ぜひあわせてご覧ください。
>>緩和ケアとは?どこで受けられるかなど解説
がんの余命はデータによって推測される
余命とは、医師による勘ではなく、データによって推測される値です。多くの場合「5年相対生存率」というデータをもとに導かれます。
5年相対生存率とは、あるがんと診断された場合に、治療でどのくらい命を救えるかを示す指標です。あるがんと診断された人のうち、5年後も生存している人の割合が、性別や年齢が近い日本人の集団全体で5年後に生存している人の割合に比べてどのくらい低いかです。値が高いと治療で命を救える可能性が高いと考えられます。
国立がん研究センターの2021年での発表では、全部位全臨床病期の5年相対生存率は68.9%でした。がんの部位や進行度によって結果は異なります。このデータは、日本で生活している日本人であれば、ほとんどの場合に当てはまります。
また、高齢者の場合は以下の内容も考慮されます。
- 患者が健康寿命ではなく、がんによって亡くなるかと考えられるか
- がんによる合併症を発症するリスクがあるか
- 患者さんががん治療に耐えうるか
参考:NCCN 腫瘍学実践ガイドライン 高齢者のがん治療 2007 年第 2版
医師は、5年相対生存率のデータやがん患者の年齢、経験、治療の可能性すべてを考慮したうえで、余命を推計します。
余命宣告はどのくらい正確?
余命宣告された通りの年月ぴったりで亡くなる方はほとんどいません。余命の間に新しい治療方法が確立されたり、新薬が発表されたりなど医学の進歩もあります。余命宣告をされたときと状況が異なることもあるからです。
また、医師が余命を伝える際、推計される余命よりも短く伝えていることが多いようです。短く伝えることで、宣告された余命より長く生きているとプラスに考えることが多いからです。ですので、余命宣告は完全に正確ではないことを知っておきましょう。
国立がん研究センターでは、5年相対生存率をはじめ、さまざまながんに関わるデータを集計し、分析、管理しています。データが精査されるほど、余命の推計は正確になると考えられます。
患者本人・家族の心のケアの重要性
余命を宣告された場合、がん患者本人や周りの家族の受け止め方はさまざまです。悲しさや絶望感におちいる方もいれば、前向きにがんばろうとする方もいます。どちらの反応であったとしても、心のケアが大切です。ここでは、がん患者本人、そして家族の心のケアについて紹介します。
患者本人の心のケアについて
余命宣告という、衝撃を受けると以下の3つの時期を経ると考えられています。
- 第一期「衝撃の時期」
- 第二期「不安・抑うつの時期」
- 第三期「適応の時期」
第一期と第二期は、それぞれ1週間程度といわれています。第三期の適応の時期では、徐々に心が落ち着き、適切な判断や対応ができるようになりますが、どの時期においても心のケアが重要です。
第一期や第二期の間は、衝撃の大きさから気持ちの整理がつかず、家族や周囲の人に感情をぶつけてしまうこともあります。しかし、患者さんの状態を理解し、常に寄り添う姿勢を保つことが大切です。患者さんが話たくなった時、信頼できる方やご家族に話すことで心が軽くなることがあります。臨床心理士やソーシャルワーカーによるケアも有効な場合があります。
患者の家族の心のケアについて
がん患者さんの家族の心のケアも重要です。自分の大切な人が余命を宣告された場合、適切な対応を理解できている人の方が少ないでしょう。大切な人を思う気持ちからの行動であっても、家族の気の使いすぎや励ましが逆に患者さんを追い詰めてしまうこともあります。
そうしたケースでは、時に患者さん本人よりも家族の方が精神的にまいってしまうケースもあります。大切なのは、患者さんやその家族が孤独を感じないような支援体制を作ることです。
患者さんやご家族と関わる医療従事者はもちろんのこと、事情を知っている親族や友人、職場の方でもできることはあるはず。一番つらく大変なのは患者さんやご家族である、ということを念頭に、少しでも負担を減らし、ストレスを緩和できるような支援を心がけましょう。
ご家族の精神状態が不安定な場合には、臨床心理士などによる心のケアを受けていただくことも重要です。
まとめ
今回は、がんの余命宣告について解説しました。余命をどう受け止めるかも重要ですが、心のケアについても忘れないようにしましょう。一人で抱え込ませないことが大切です。
最近では、がん治療のうえで最近注目されている療法として「中分子フコイダン療法」があります。フコイダンとは、モズクやワカメに含まれているネバネバ成分で、健康への良い影響が話題です。
「フコイダンとは何か?種類や成分と健康への影響について解説」の記事では、フコイダンの健康への影響について紹介しています。中分子フコイダン療法についてもっと知りたい方はご相談、お問い合わせください。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
がんの種類を知る
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