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がんの痛みは治療できる|痛みの原因と治療方法について

現代のがん医療では、がんの痛みは我慢するのではなく、コントロールするものという考え方が主流となっています。そのための様々な治療方法も研究が進められています。

がん患者さんには、心身ともに多大なストレスがかかります。がんによる苦痛を少しでも緩和することで、その人らしさを保つことができます。

日置医院長

この記事の監修者
日置クリニック 院長
日置 正人 医学博士

【経歴】
昭和56年3月 
大阪市立大学医学部卒業
昭和63年3月 
大阪市立大学大学院医学研究科卒業
平成5年4月 
医療法人紘祥会 日置医院開設

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がんと痛みの関係

感覚のひとつである痛みは、私たちを守るために必要な生体反応のひとつです。熱いものに触ったときには、熱さを感じ手をひきます。痛みなどの危険を知らせる感覚は、私たちの体に異変を伝える大切な反応です。例えば足の指を骨折したとき、レントゲンを撮って骨折を確認する前に、痛みや腫れで病院に行かなければならないとわかります。また痛みが気になり病院に受診することで、その原因である疾患がわかることも。

しかし、がんの痛みはそうではありません。がんが痛みの原因と既にわかっている場合は、その痛みは必要がないものなのです。がんによる痛みは、がん患者にとってはストレスにしかなりません。よって、がんによる痛みに対して対処することは、がん治療において重要であることがわかります。

がんの痛みは3つの種類に分類される

がんの痛みは3つの種類に分類される

がんが関与する痛みは、がん治療中の患者さんのほとんどに見られます。そして痛みの原因は、大きく分けて3つです。

  • がんそのものが原因の痛み
  • がん治療に伴う痛み
  • がんに関連して起こる症状からの痛み

それぞれ解説します。

がんそのものが原因の痛み

がんそのものが原因で感じる痛みのことを「がん疼痛(とうつう)」と呼びます。さらに分類され、がんが内臓にある場合は内臓痛、がんが骨や皮膚、筋肉など体にある場合は体性痛、そしてがんが神経に影響を与えることで起こる神経障害性疼痛の3つです。

痛みの強さや治療に関しては 「WHO式がん疼痛治療法」によって決定されます。痛みの強さは、感じている患者さん本人しかわかりません。ですので、痛みがどれくらいなのかを伝えることは治療においても重要です。

がん治療に伴う痛み

がん治療における手術や抗がん剤の副作用による口内炎などの痛みなどは、がん治療に伴う痛みです。

例えば、食道がんによる放射線治療の副作用により、食べ物が食道を通る際に痛みを感じることも。手足の先のピリピリ、チクチクした痛みは、抗がん剤による副作用の場合があります。

しかし、先の手足の例でいうと、がん細胞が神経を圧迫することで起こっている可能性もあります。痛み出した時期や、痛みの場所、強さなどの変化はこまめにチェックし受診した際に医師に伝えましょう。

がんに関連して起こる症状からの痛み

がんに関連して起こる症状からの痛みもあります。例えば、長い闘病生活による床ずれや筋肉がつってしまう痛み、手足のむくみなどによる痛みなどです。

他にも大腸がんでは、がんが進行することにより腸が狭くなり便秘や下痢の症状が出ることも。便秘や下痢がひどくなったり、腸の閉塞が起きたりすることにより腹痛が症状として出ます。

また変形性脊椎症や骨関節炎など、がん患者さんが併発する疾患からの痛みが起こることがあります。

がんの痛みは治療できる

がんによる痛みは、末期であっても早期であっても、がんが進行している度合いは関係ありません。がん患者さんのほとんどに生じるがんの痛みは治療することが可能です。

痛みに対してどう治療するかが重要です。がんが原因の痛みであれば、そのがんに対する治療で痛みが改善することも。また、痛みに合わせて、痛み止めをきちんと使うことで痛みのコントロールができます。

がんの痛みへの考え方は、我慢することではありません。我慢せずに、痛みをコントロールしながらがんの治療をおこなうことが大切です。また体への痛みだけでなく、心の痛みに関してもケアが必要です。体と心は結びついているので、心のケアをおこなうことで痛みが軽減されるケースもあります。

がんの痛みを治療する方法

がんの痛みを治療する方法

がんの痛みに対する治療は、痛みの種類や強さによってさまざまです。痛み止めと呼ばれる薬には解熱鎮痛剤、医療用麻薬など種類があります。また剤形も飲み薬だけでなく、坐薬や貼り薬などもあるので、患者さんの痛みの状態によって使い分けることが重要です。ここでは、がんの痛みを治療する代表的な方法を解説します。

解熱鎮痛薬で痛みを緩和

比較的弱い痛みに関しては、解熱鎮痛薬と呼ばれる種類の痛み止めが使われます。非オピオイド系なので、麻薬ではありません。解熱鎮痛薬は、大きく2つに分けられます。NSAIDsと呼ばれる非ステロイド性消炎鎮痛剤とアセトアミノフェンです。

アセトアミノフェンには炎症を抑える作用はほとんどありません。カロナール®と聞いてピンとくる方は多いのではないでしょうか?カロナールはアセトアミノフェンの商品名です。

NSAIDsでは、炎症を抑えるタイプの解熱鎮痛剤です。特に初期の痛みに用いられることが多くあります。薬によっては胃腸障害が起こったり、腎臓や肝臓に影響したりすることも。服用によりだるさや手足のむくみが出るようであれば、早めに医師や薬剤師に相談しましょう。

医療用麻薬で痛みを緩和

医療用麻薬は、オピオイド鎮痛薬に分類されます。非オピオイド鎮痛薬のNSAIDsやアセトアミノフェンより強い作用のある薬です。麻薬と名前がついていますが、法律で医療用として痛みの治療のために使用が許可されています。

痛みに合わせて適切に使うことで、がん治療における痛みのコントロールに効果的です。さまざまな種類があるため、主治医と相談の上、自分にあった医療用麻薬を使用するようにしましょう。

副作用として、嘔吐や便秘、悪心などがあります。他には眠気や幻覚、呼吸抑制、排尿障害、口腔内の乾燥などです。副作用が出たとしても痛みをコントロールする上で医療用麻薬が必要な場合は、副作用に対する適切な対処がおこなわれます。

放射線治療で痛みを緩和

がんによっては、抗がん剤や手術より放射線治療で痛みを緩和できる場合があります。放射線治療は、がんを治すためにおこなう「根治的放射線治療」とがんによる痛みなどの症状をやわらげることが目的の「緩和的放射線治療」があります。緩和とありますが、末期がんなのでおこなうわけではなく、がん治療における痛みを改善する治療です。

例えば、骨にがんが転移した場合、強い痛みが伴います。その転移したがんに対して放射線治療をおこなうことで痛みを抑えられます。

神経ブロック療法で痛みを緩和

神経ブロック療法は、神経や神経がある周りに局所麻酔薬を注射する方法です。局所麻酔薬が、神経や神経の周りに作用し、痛みの伝わりをブロックし痛みを取り除きます。

痛み止めの内服が効きにくい、痛み止めによる副作用が強い場合に使用されます。ただし、1回治療するだけでよくなるわけではありません。薬による痛みの改善と共に複数回おこないます。

痛みのある場所や強さで神経ブロック療法の種類が異なります。主治医と痛みに関してよく相談し、自分にあった神経ブロック療法を試してみましょう。

がんの痛みには心のケアも大切

がんになることで、身体的な痛みだけでなく心の痛みも発生します。がんになった自分の人生について考えたり、痛みからのストレスにより元気がなくなったりなどです。他にも、悲しみや絶望感、他の人にはわかってもらえないなどの孤独感、がん治療による経済への不安など深く落ち込んでしまう方もいます。

がんの痛みには心のケアも大切。心と体はつながっているからです。心の痛みが強くなるほど、体の痛みが強くなってしまう場合もあります。無理に元気を出す必要はありません。ただ、心のケアもがんの痛みに対して有効であることを覚えておいてください。医師や看護師などの医療従事者だけでなく、臨床心理士やソーシャルワーカーに相談することで解決できるかもしれません。少しずつ前向きに、そして心を少しでも軽くし、がんの痛みを改善して生活の質を大切にしましょう。

まとめ

がんによる痛みについて解説しました。がんからに痛みは我慢せずに治療することが大切です。主治医と相談しながら自分にあった痛みの改善方法をみつけましょう。

また、がんに対する注目されている療法として「中分子フコイダン療法」があります。フコイダンは、モズクやワカメなどに含まれているネバネバ成分です。最近では、腸で吸収されやすい機能から中分子フコイダンが注目されています。

「フコイダンとは何か?種類や成分と健康への影響について解説」の記事ではフコイダンに関して解説。中分子フコイダン療法についてもっと知りたい方はご相談、お問い合わせください。

近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。

なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。

フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。

それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。

>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ

がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。

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この記事の執筆者
日置クリニック コラム編集部

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