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がんとブドウ糖の関係性とは?がんが増殖する仕組みと取るべき栄養素についても解説

現在日本では2人に1人ががんになると言われ、死因の第1位はがんとなっています。
医学の進歩によりがんは治すことができる病気という認識に変わりつつありますが、死因の1位が変わらずがんであることから、がん治療に関しては、まだまだ課題が残されていると言えるでしょう。

がんは、生活習慣と密接な関わりのある病気です。喫煙や飲酒、運動習慣の少なさや乱れた食生活などによって、がんになるリスクは高くなります。
そのため、がんを予防するには「生活習慣の見直し」が必要不可欠です。

そこで注目されているのが、がんとブドウ糖の関係です。
研究により、がん細胞はブドウ糖をエネルギー源として成長することがわかっています。
研究内容としては「がん細胞の餌となるブドウ糖を控えた食事にすることで、がん細胞の成長を防止することができるのではないか」と考えられています。

この記事では、がんとブドウ糖の関係性について詳しく解説していきます。

日置医院長

この記事の監修者
日置クリニック 院長
日置 正人 医学博士

【経歴】
昭和56年3月 
大阪市立大学医学部卒業
昭和63年3月 
大阪市立大学大学院医学研究科卒業
平成5年4月 
医療法人紘祥会 日置医院開設

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がんが増殖するのに必要なのは「ブドウ糖」

私たちの体は、細胞がたくさん集まり構成されています。通常、細胞は常に分裂と死滅を繰り返しています。
がん細胞は、細胞に傷がついたり、遺伝子に異常が起きたりした際にできる「死滅しない細胞」です。免疫機能がしっかり働いている状態であれば、がん細胞は自分の免疫細胞によって攻撃され死滅します。
しかし、生活習慣の乱れなどで免疫が正常に働かない場合、がん細胞は破壊されず増え続けてしまうのです。

1931年にノーベル生理学・医学賞を受賞したオットー・ワールブルグ博士は、一連の研究のなかで、「がん細胞は、ブドウ糖をエネルギー源とする」と発表しました。
さらに、がん細胞は健康な細胞と比較すると、速いスピードで増殖していくことがわかっています。がん細胞は多くのエネルギーを必要とするので、正常細胞の3〜8倍ものブドウ糖を取り込まなければならないとされています。

がん細胞が生成されるメカニズムについては以下の記事でも解説しています。併せてご覧ください。
>>がんとはどのような病気なのか?その正体と治療法についてご紹介

がんと食事の関係性は?


がんのリスクを高める要素として、食生活の乱れは切っても切り離せない問題です。
具体的な食事改善の方法としては、がん細胞が成長する際にエネルギー源としているブドウ糖を抑える 「低糖質食」やビタミン摂取が良いという論文が多数発表されています。

低糖質食はがんにいいのは本当?

がん細胞の成長に必要なブドウ糖を減らした食事は、がんの成長を抑えることができ、予防にもつながると考えられています。しかし、がんの原因には糖類以外にもさまざまな要因があるため、 一概に良いとは言えないというのが現状です。

がん細胞が増殖するには、糖類だけではなくアミノ酸や脂肪など、他の多くの栄養素が必要です。しかし、健康な細胞も同じくブドウ糖やアミノ酸をエネルギーとして働いています。がん細胞だけにエネルギーを与えないというのは難しいため、結果的に健康細胞にも悪影響が出てしまう可能性があります。

ブドウ糖は炭水化物に多く含まれています。
炭水化物抜きの食事は、ブドウ糖の他にも食物繊維やビタミンも不足してしまうため、栄養が偏ってしまう恐れもあります。
がんの患者さんは治療により食欲が落ちてしまうことも多く、栄養素の制限は大幅な体重減少の原因にもなりかねません。体重が落ちてしまうと、体の免疫機能も落ちてしまうことにつながります。

そのため、がん治療において低糖質食が有効といわれている一方で、低糖質な食事によるリスクも考えられ、すべてのがん患者に適応するのは難しいでしょう。

ブドウ糖×がんに関する研究の紹介

ここでは、がんの治療に低糖質食を導入した研究をご紹介していきます。
私たちの体は、エネルギー源となるブドウ糖が枯渇すると、緊急用のエネルギーとしてケトン体が作られます。がん細胞には、ケトン体をエネルギーに変換するための酵素が欠けているため、ケトン体をエネルギーとして成長することはできません。
さらに、ケトン体自体にもがんに対してアプローチできる働きがあるとも考えられています。

日本静脈経腸栄養学会雑誌に掲載された研究では、9人のがん患者さんに糖質を極限までにカットした「ケトン食」を実施。化学療法を併用しながら、1年間治療を行いました。
その結果、9人中6人が改善傾向、1人が現状維持、2人が悪化という結果になり、病態コントロール率78%と、ケトン食の有効性が示唆されています。
(出典:(ステージⅣ進行再発大腸がん、乳がんに対する修正MCTケトン食による安全性と有効性の評価)|日本静脈経腸栄養学会雑誌32巻 (2017) 3号)

ビタミンとがんの関係性

がんの食事療法においては、ビタミン摂取についても多くの研究が行われています。しかし、「血中のビタミンD濃度が高いほど、がん全体のリスクが低くなる」という研究結果もあれば、「女性のビタミンサプリメントの過去摂取者や摂取開始者は全がんリスクが高い」という報告もあり、がんに対するビタミンの有効性については、諸説あるというのが現状です。

ビタミン×がんに関する研究の紹介

ここでは、実際にがんの治療にビタミンCの点滴が有効であるという研究について紹介していきます。

ビタミンCは天然の抗がん剤との説があり、免疫力アップや活力の向上によるQOL(生活の質)の改善などの効果が確認されています。
アメリカでは、抗がん剤と併用して50〜100gの超高濃度ビタミンCを投与することで、1/3の患者にがんの消失が見られたというデータもあるほど。
点滴の速度やビタミンCの濃度などの調節が必要になるため、医師は専門的知識の保有が必須となります。しかし、ビタミンCの治療はどこの医療機関でも実施することができるため、充分にがん治療の助けとなる可能性を秘めた栄養素といえるでしょう。
(出典:(超高濃度ビタミンC点滴療法の臨床)|ビタミン広報センター2009年 12月 No.113

できればタンパク質も補う

がんが進行していくと食欲が低下してしまい、大幅な体重減少が起こることも少なくありません。食事量が確保できず痩せてしまうと免疫力も低下してしまい、がんの進行を早めたり感染症のリスクが高まったりすることにもつながります。

タンパク質は、身体の組織や免疫に関わる物質の材料です。
そのため、免疫に関わる脂肪や筋肉を維持するためにも、タンパク質の摂取は積極的に行いましょう

がんの要因につながる栄養素は?

がんの大きな原因は生活習慣であるとお話をしてきましたが、具体的にはどのような食べ物ががんの要因となっているのでしょうか。
ここでは、がんの要因となりうる栄養素について詳しく解説していきます。

飽和脂肪酸

飽和脂肪酸は、バターなどの乳製品や肉類など常温で固形になる油に多く含まれている物質です。

飽和脂肪酸の過剰摂取は、大腸がんや乳がん、膵がんの原因になることがわかっています。アメリカの研究によれば、飽和脂肪酸摂取量が最も多いグループの膵がんの発症率は52.0%、最も少ないグループは32.2%と大きな差が出ました。

しかし、肉類は貴重なタンパク源であり、健康管理には欠かせない食べ物です。適量を守って食べていく意識が重要です。

トランス脂肪酸

トランス脂肪酸は、マーガリンや揚げ物の油などに含まれています。
がんと直接的な関係は明らかにされていませんが、トランス脂肪酸は心血管系疾患リスクを高めるとされています。

さらに、油であるトランス脂肪酸はカロリーが多く肥満につながります。
肥満はがんのリスクを高める要素であるため、肥満につながるトランス脂肪酸はがんのリスクを直接的ではないにしても高めていると言えるでしょう。

ナトリウム

ナトリウム、つまり塩分もがんのリスクを高める要因です。
塩分の取りすぎは高血圧の原因となることは知られていますが、魚の干物やたらこなどの塩蔵食品は、胃がんや大腸がんのリスクを高めることもわかっています。
味付けを控えめにし、塩蔵食品を日常的に食べるのは控えた方ほうがよいといえるでしょう。

このように、がんが好む食べ物はいくつかあります。それらを避けた食事を心がけることが、がん対策には大切です。

反対に、がんが嫌う食べ物ももちろんあります。できるだけそれらの食べ物を取り入れるようにすることでもがん対策につながります。

がんが好む食べ物、嫌う食べ物を具体的に知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>がんが嫌う食べ物、好む食べ物とは?具体例と合わせてご紹介

食事改善でがんを100%改善できるわけではありませんが、リスクを低減することは可能です。がん対策に今日から食事改善を始めてみてはいかがでしょうか?

がんと食事の関係性、そして日々の食事改善については以下の記事も併せて参考にしてください。
>>がんと食事の関係性 がん予防は日々の食事改善から

また、がん予防には食事以外の生活習慣改善も効果的です。改善すべき具体的な生活習慣については以下の記事をご覧ください。
>>がんの予防法とは?今すぐできる方法についてご紹介

まとめ

がんは、喫煙や飲酒、食生活の乱れなどから引き起こされる生活習慣病のひとつです。2人に1人ががんになる時代とされています。しかし、がんの治療法や原因に関して絶対的なものはわかっていないというのが現状です。
がん細胞はブドウ糖をエネルギー源としていることは研究で明らかになっていますが、ブドウ糖の摂取を減らすと他の影響が出てくる可能性もあります。

しかし、がんのリスクを高める原因として、飲酒や喫煙、肥満などが影響しているのは明らかです。
規則正しい飲酒や喫煙の習慣、適度な運動と食生活を整えることが、誰でもできるがん予防ではないでしょうか。
闘病中かどうかに限らず、免疫力を保つことは重要です。良質な栄養素を選んで、体に優しい食生活・生活習慣を心がけましょう。

近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。

なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。

フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。

それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。

>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ

がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。

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この記事の執筆者
日置クリニック コラム編集部

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