2021.12.28
健康の科学抗アレルギー作用とは?アレルギーが起こる仕組みなどを解説
アレルギー疾患を持つ人は年々増えており、今では日本人の2人に1人は何らかのアレルギーがあると言われています。特に多いのは、喘息と花粉症です。※1
アレルギーのある方は、抗ヒスタミン作用、抗アレルギー作用、などという言葉を聞いたことがあるかもしれません。今回は抗アレルギー作用について解説していきます。
目次
アレルギーを抑える働きは2つある
アレルギーは、その特徴によってアトピーやアナフィラキシーショックなど4種類に分けられますが、今回は花粉症や喘息といったI型アレルギーを中心にお話していきます。
アレルギーの種類は、以下の記事にて詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてください。
>>アレルギーは4種類。代表的なアレルギー疾患や症状は?
アレルギーが起こる仕組み
アレルギーは、外から侵入してきた異物(アレルゲン)に対して体が起こす過剰な防御反応のことです。
アレルゲンが侵入すると、顆粒球というアレルゲンを見つける細胞が動き出します。この細胞の中には、炎症反応を起こす物質であるケミカルメディエーターと呼ばれる化学物質が含まれています。ヒスタミンも、ケミカルメディエーターの1種です。
顆粒球とアレルゲンが出会うと、まずはアレルゲンをキャッチしやすくするための”抗体”を作ります。抗体は顆粒球の表面でアレルゲンと結びつきます。
アレルゲンと交代が結びつくと、顆粒球からケミカルメディエーターが放出されます。こうして、鼻水や咳など、アレルギーの即時反応が引き起こされるのです。
アトピーや喘息をお持ちの方はイメージできるかもしれませんが、アレルゲンに接した時だけでなく、その後もじわじわと炎症が続くのがI型アレルギーの特徴です。この慢性的な炎症反応は、好酸球という細胞から炎症物質が放出されることで生じます。
※2 休み時間の免疫学 第3版.齋藤 紀先 p152−169
抗ヒスタミン作用は即効性あり
抗ヒスタミン作用というのは、アレルギーの即時反応に対応する作用です。顆粒球から放出されたケミカルメディエーターが、鼻水などの症状を起こすスイッチを押さないよう、ブロックする働きがあります。
症状に対して即効性があります。
抗アレルギー作用はゆっくり効く
抗アレルギー作用は、顆粒球からケミカルメディエーターが放出されること自体を抑える作用などのことです。ヒスタミンをブロックする以外の方法でアレルギーを抑えます。あまり即効性はありませんがゆっくりとアレルギーの原因になる根本を制御していきます。
抗アレルギー作用を持つ食品
薬だけでなく、食品の一部にも抗アレルギー作用が認められたものがあります。身近なものが多いので、アレルギー症状に悩んでいる方は取り入れてみてはいかがでしょうか。
お茶に含まれるカテキン
お茶に含まれるカテキンやカフェインには、抗アレルギー作用があることが以前からわかっています。マスト細胞内で作られるケミカルメディエーターの量を減らすようです。
また、カテキン・カフェインはそれぞれ単体だけでも抗アレルギー効果はありますが、一緒に合わせてとることでさらに抗アレルギー作用が高まります。※3
特に、カテキンの中でもエピガロカテキンガレートという成分は、お茶に特有の成分で、抗アレルギー効果も認められたものです。※4
ほうじ茶のようにカフェインの少ないお茶でも効果は期待できますが、緑茶はカテキンとカフェインが両方摂取できて効率が良いでしょう。
※3 抗アレルギー効果のある茶葉成分.山本万里.第22回三支部合同学術集会:2006
野菜や果物に含まれるフラボノイド
さまざまな食品に含まれるフラボノイドは、アレルギー症状の元になる抗体ができないように働きかけることがわかっています。抗体によってアレルゲンが認識されているため、抗体が作られなければアレルゲンにも反応しないということです。※5
また、アトピー性皮膚炎の患者にフラボノイドを摂取してもらったところ、摂取していない患者と比べて皮膚症状の改善が見られたという報告もあります。
セロリ、パセリ、ケール、玉ねぎ、いちご、みかんなどに含まれていますので、少しずつ取り入れてみてはいかがでしょうか。
※5 アレルギーとフラボノイド.田中俊郎.第22回三支部合同学術集会:2006
ビフィズス菌などのプロバイオティクス
乳製品等に含まれる体に良い菌であるビフィズス菌などのことを、プロバイオティクスと呼びます。これらの一部には、腸内環境を改善することを通じた抗アレルギー作用を持っていることがわかってきました。
アレルギー症状を起こしている人の腸内では、バクテロイデスという菌が増え、腸内環境のバランスが崩れています。ビフィズス菌などのプロバイオティクスは、腸内でバクテロイデスが増えにくい環境を作り、アレルギー症状を抑えるのです。※6 ※7
また、好酸球の脱顆粒を抑え、慢性的なアレルギー症状にも効果があるとされています。
ヨーグルトなどで取り入れてみるのも良さそうです。
※6 ビフィズス菌による抗アレルギー作用.岩渕紀介ほか.2013
※7 バクテロイデスと免疫.細野朗.腸内細菌学雑誌 27 : 203-209,2013
海藻類に含まれるフコイダン
また、もずくやめかぶ、昆布に含まれる「フコイダン」という成分には抗アレルギー作用があることが報告されているため、積極的に食事に取り入れてみるといいでしょう。
フコイダンで報告されている作用は、現時点で以下の通りです。
抗腫瘍・抗がん作用/抗アレルギー作用/肝機能向上作用/抗生活習慣病/抗ウイルス作用/抗ピロリ菌作用/血液凝固阻止作用/美肌作用/育毛作用
中でも注目したいのは、日本の死因第1位であるがんに対する作用です。
がん治療の統合医療においてフコイダンは、抗がん剤との併用が可能であり、かつその効果を高めたり、副作用を軽減したりすると期待されています。
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
毎日の食事に気軽に取り入れられることから、治療だけではなく予防のための活用も可能。
フコイダンは、様々な病気に対する良いアプローチを見込める成分です。健康維持にぜひお役立てください。
まとめ
抗アレルギー作用には、アレルギーを起こす物質を出ないようにしたり、物質自体を少なくしたりとさまざまな種類があり、即効性はありませんが長く続くアレルギー症状を抑える働きをします。
今回紹介したカテキン、カフェイン、フラボノイド、プロバイオティクスなどの持つ抗アレルギー作用を利用して、花粉症や喘息の症状を少しでも緩和させてみませんか。
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