2024.06.27
がん初期乳がんの症状は?早期発見の対策と意識すべき生活習慣について解説
女性のがん罹患数で最も多いのが乳がんです。しかし、乳がんはステージ1などで早期発見ができれば、90%以上の確率で完治できると言われています。この記事では初期乳がんの症状と早期発見の対策や生活習慣について解説しています。
目次
初期乳がんの症状とは?
基本的に乳がんになった時の症状は、普段から意識してブレスト・アウェアネスなどを試みていないと気がつきにくいと言われています。
乳がんの主な症状は乳房のしこり。リンパ節などに転移すると脇の下にしこりとして触れる場合もありますが、よほど進行しない限り全身的な症状が出ることはなく、乳房の変化以外はあまり見られません。
初期のうちは基本的には元気で、普通に生活できるケースがほとんど。また乳房にしこりがあったとしても、痛みを感じるわけではないので「元気だから大丈夫」とか「痛くないから」などと考えてしまい、発見が遅れてしまうケースも少なくありません。
腫瘍ができる場所によっては外観的な変化として、しこりや乳房の左右差、赤み、皮膚の一部がへこんだり乳頭が陥没するなどの変化が見られることもあります。また、乳頭からの分泌物、とくに片方の乳頭から茶色~赤黒色の血液まじりの乳汁分泌が見られることもあります。
普段から自分で意識的に乳房の観察や触診などをしていれば、早期に発見できるがんでもあります。実際に乳がん患者さんの中には、自分でしこりなどの症状を感じて受診しているケースもあるのです。
乳がんの危険因子
乳がんの主要な要因のひとつは、女性ホルモンの影響です。女性ホルモンが乳がんの発生に関係してくるので、その影響を受けやすい状況にある人が乳がんの危険因子を持っているとも言えるでしょう。一般的に言われている乳がんのリスクファクターについて紹介します。
- 初潮が早く閉経が遅い
- 初産年齢が高い、または出産歴がない
- 授乳歴がない、授乳期間が短い
- 肥満(とくに閉経後の肥満)
- 血縁に乳がんや卵巣がんなど女性ホルモンの影響を受ける疾患にかかった人
- 乳がんや乳房の病気などにかかったことがある
一般的にこれらが乳がんのリスクファクターです。しかし、全く当てはまらなくても乳がんにかかるケースはあります。女性なら誰でもかかる「身近ながん」と考え、日頃から意識して後述する「ブレスト・アウェアネス」を心がけていくのが重要です。
乳がんの進行度・ステージについて
乳がんの重症度は主に、腫瘍の大きさや広がり、どのように増殖していくのかによって病期とタイプが決まります。以下に詳細を解説しています。
5つのステージ・サブタイプに分かれる乳がん
乳がんは主に5つのステージに分けられます。
(参照:https://www.sowaca.net/breast_cancer/
また、ステージのほかに乳がんのサブタイプ分類もあり、これらの組み合わせにより治療方針が決まります。
(参照:https://www.sowaca.net/breast_cancer/)
サブタイプを分類するホルモン受容体とハーツ受容体、Ki-67はいずれも針生検で採取したがん細胞を病理検査でチェックできます。
- ホルモン受容体
- ハーツ(HER2)とは
- Ki-67とは
ホルモン受容体にはエストロゲン受容体とプロレステロン受容体があります。これらのホルモン受容体が陽性のがんは女性ホルモンの影響を受けて育つためホルモン療法の効果が期待できます。
ハーツは細胞表面にあるタンパクで細胞の増殖に関係していると言われています。ハーツ陽性の乳がんは抗ハーツ薬による薬物療法の効果が期待できます。
細胞増殖の指標となるタンパクです。これが高いと細胞の増殖が早く、悪性度が高いと判定できます。
ステージ別・乳がんの治療法
(参照:https://ganjoho.jp/public/cancer/breast/treatment.html)
(0期)
0期は針生検の結果、乳管以外にがん細胞が飛び出していない「非浸潤性」と判定された場合です。基本的な治療方針は手術して根治治療を目指します。切除されたがんの病理検査で浸潤がどこにもなければ最終的にも0期のがんとなり、術後の薬物療法は基本的には不要です。しかし、ホルモン受容体陽性で乳房温存療法の場合、温存した乳房のがん再発を抑える目的でホルモン療法を行うケースもあります。
※ 非浸潤:がんが小葉にとどまっている状態
(1-2期)
腫瘍の大きさが2cm以下でリンパ節転移がない場合は1期です。2期になると腫瘍の大きさは 2cm〜5cm程度。腫瘍が大きくてリンパ節への転移がない、または 腫瘍は小さくとも腋窩リンパ節に転移が見られる状況です。手術と薬物療法が主な治療法です。手術が先か薬物療法を先行させるかは、サブタイプや腫瘍の大きさ、リンパ節転移の状況をベースとして、本人の乳房温存の希望があるかなどを考慮して決めます。
(3期)
腫瘍の大きさは5cm以上になります。3期は転移や症状によりA~Cに分類され、3Aでは腫瘍は5㎝以下でも腋窩リンパ節転移や内胸リンパ節に転移が見られます。3Bではがんの大きさやリンパ節転移の有無に関わらず、がんが皮膚に出たり、胸壁に固定されたり外観的な症状も現れるケースもあります。
3Cになるとがんの大きさに関わらず、腋窩リンパ節と内胸リンパ節療法に転移があるまたは、鎖骨リンパ節にも転移がある状況です。基本的には先に薬物療法をして腫瘍を小さくしたり、 腫瘍の増殖スピードを抑えてから手術を行い切除します。 症例によりますが、手術後放射線治療を行うケースもあります。
(4期)
がんの大きさやリンパ節転移の有無に関わらず、乳房や周囲のリンパ節以外の臓器にも遠隔転移があるのが4期です。基本的には薬物療法がメインとなり手術はしません。
乳がんの治療についてより詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
>>乳がんの治療法とは?乳がんの進行度に応じた「薬物・手術・放射線」などの治療法選択の考え方を解説
【乳腺のリンパ節】
(参照:https://jbcs.xsrv.jp/guidline/p2019/guidline/g4/q24/)
早期発見につながる生活習慣
乳がんは早期発見・治療が完治の鍵。そこで必要なのがブレスト・アウェアネス「乳房を意識する生活習慣」です。
ブレスト・アウェアネス
ブレスト・アウェアネス では、4つの具体的な実践方法を生活習慣に取り入れることで乳がんの早期発見につながるとしています。具体的な実践方法について解説します。
1. 自分の乳房の状態を知る
月に1回は、自分の乳房にしこりや変形などがないかをチェックしましょう。 閉経前の人は乳房が張っていない生理開始後から10日目くらいまでにチェックするのがおすすめです。閉経後の人は月に1回、おおむね同じ日にちを目安に行うとよいでしょう。
2. 乳房の変化に気をつける
乳がんのセルフチェックに合わせて、乳房に以前より硬いところやしこりはないかどうか、分泌液がないかどうかなどをチェックしましょう。また、外観的なへこみ・ひきつれ・くぼみなどがないかどうかも定期的にチェックします。
(参照:https://gyazo.com/9405f22f208fc25e69f2557aca6fa63e)
3. 変化に気がついたらすぐに受診する
乳房に変化があった場合でも、すべてが乳がんというわけではありません。しかし、ちょっとした異変が乳がんの初期症状である可能性もあります。些細なことでも変化に気がついたら、一度は専門家への受診を検討してみましょう。 早期に適切な治療を受けられることにもつながります。
4. 40歳になったら2年に1回乳がん検診
日本では自治体の乳がん検診として、40歳以上の女性を対象に2年に1回行われています。費用は自治体によって異なりますが、無料から3000円程度で受けられるのでスケジュールを調整して検診を受診しましょう。
乳がん検診
最低でも2年に1回、遺伝性の示唆があれば1年に1回を目安に検討しましょう。ここでは、乳がん検診で行われる代表的な検査を紹介します。
1. マンモグラフィー
乳腺用のX線を使った画像診断の検査「マンモグラフィー」。乳腺を2枚の透明な板で挟み、できるだけ薄く伸ばして撮影する方法です。乳腺にある石灰化やしこりの有無を確認できます。乳房をできるだけ薄くすることで鮮明な画像となり、小さな病変も見つけやすくなります。
2. 超音波検査
乳腺の超音波検査は皮膚の表面から超音波を当てて、病変の有無などを確認する検査です。若い女性の場合、乳腺が高濃度であるケースも多く、マンモグラフィーではがんを見逃してしまうこともあるため、超音波検査は非常に有用です。しっかりと超音波検査を行えば、5mm程度の小さな腫瘍でも見つかることがあります。
3. 乳房専用PET
がん細胞の代謝スピードが高い性質を利用して行う検査です。ブドウ糖内に放射線の元素を含有させた試薬を使用します。がん細胞はエネルギー代謝が活発で、放射線元素がたくさん撮影できればそこにがん細胞があると考えられる撮影方法です。乳房専用のPET検査は、検査機器にうつ伏せになり、中央に乳房を入れる穴が開いています。
4. MRI
乳房専用のMRIは乳房の形にくり抜かれた穴に胸を合わせて、うつ伏せになり検査をする方法です。磁石の性質を利用して撮影する検査なので、被ばくの心配もありません。
5. 生検・細胞診
これまで紹介した検査で何らかの異常が発見されると、腫瘍の可能性がある出来物を直接採取し、検査を行います。そのために行われる検査が「針生検」です。できている腫瘍が良性か悪性かなどを含めて検査をします。
乳がん予防や健やかな予後につながるおすすめの食べ物
近年、日本でも乳がんの発症が増加しており、その要因のひとつに欧米型の食事が乳がんのリスクを上昇させる可能性があるとされています。
特にアルコールや肉、加工肉の摂取は乳がんに限らず、発がんリスクとの関連が示唆されています。
また、乳がんは女性ホルモンの影響を受けるため、エストロゲンにつながる因子の摂取が重要な要因のひとつです。
大豆食品に含まれている「イソフラボン」は、女性ホルモンと化学構造が似ているため、女性ホルモンと乳がんの結びつきを低減させる可能性があるとされているのです。
(参照:https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/258.html)
健康な生活習慣やバランスの取れた食事は、免疫力を維持し、乳がんのリスクを低減させる一因となるでしょう。乳がんの予後につながる食事として意識したいことは2つです。
- 大豆製品を意識的に摂取すること
- アルコールや肉、加工肉などの発がん因子とつながりのある摂取は避けること
乳がんの予後を考えると、食事の内容だけではなく、適性体重を維持することも意識したいですね。
まとめ
初期乳がんの早期発見は、完治の可能性を高めるために極めて重要です。しかし、乳がんの初期症状は乳房のしこりが主なものであり、他の全身的な症状はほとんど現れません。早期発見につながる生活習慣として、「ブレスト・アウェアネス(乳房の意識)」を実践することが大切です。乳がんに対する意識と知識を高め、定期的な検診を受けることが乳がんの早期発見と治療の鍵と言えます。
普段から意識して自分の乳房と向き合い、毎日の健康維持にお役立てください。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
がんの種類を知る
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