2021.07.26
がん子宮頸がんは性行為だけが原因ではない|HPV陰性例や性行為以外のリスクを医師が解説
子宮頸がんは「性行為によるヒトパピローマウイルス(以下:HPV)感染が原因」といわれていますが、実際にはHPVが検出されない子宮頸がんの症例もあります。子宮頸がんのなかの「腺がん」では、その割合が高いことが報告されています。
HPVが子宮頸がんのおもな原因であることは確かですが、HPVに感染しても多くは自然に排除され、がんへ進行するのはごく一部です。では、なぜ一部の人ではHPVが排除されず、前がん病変やがんへと進行してしまうのでしょうか。その背景には、免疫力の低下や慢性的な炎症、喫煙、ホルモン環境など、性行為以外にも複数のリスク因子が関与していることが明らかになってきました。
この記事では、子宮頸がんの原因のうち「性行為以外の要因」について詳しく解説します。
※子宮頸がんの概要については以下の記事を参考にしてください。
>>子宮頸がんとは?その症状と治療法について
目次
子宮頸がんの性行為以外の要因

(参照:子宮頸がん・子宮体がん最新治療2024-2025 / 子宮全摘 / 薬物療法 /免疫チェックポイント阻害薬など、https://gmcl.jp/uterinecancer24-25/)
子宮頸がんは「性行為によるヒトパピローマウイルス(以下:HPV)感染が原因」として知られています。実際にHPVが原因となっている浸潤性の子宮頸がん患者さんは全体の95%以上にのぼるというデータもあります。ですが、HPVが検出されない子宮頸がん症例も一定数存在している実態もあるのです。
子宮頸がんのなかでも腺がん(子宮頸部の奥に発生するタイプ)では、HPV陰性例が報告されています。腺がんは慢性的な炎症や細胞ストレスが発がんの引き金になると考えられているようです。
子宮頸がんのおもな原因である「HPV」ですが、感染したとしても一般的には90%以上が2年程度でほぼ自然に排除されます。何らかの要因によりうまく排除されない場合は、10年以上かけて前がん病変やがん細胞へ変化します。
つまり子宮頸がん発症の背景には、「性行為以外のリスク因子」として、以下のような「HPVが排除されない何らかの要因」があること、「細胞のがん化につながる何らかの要因があること」が考えられるといえるでしょう。性行為以外の要因について深堀りします。
免疫力が低い状態が続く
基本的に人体には免疫力が備わっていて、体内に侵入したウイルスや異常細胞を排除するようにつくられています。子宮頸がんの原因であるHPVやがん細胞も例外ではなく、免疫力がきちんと働けば悪性腫瘍になる前に免疫細胞により排除されるのです。
ですが、ストレスをはじめとした何らかの要因により免疫力が低下した状態が続くと、子宮頸がん発症につながる以下のようなリスクが高まります。
- HPVに感染した際に排除できず、持続感染につながる
- HPV以外の何らかの要因による炎症性疾患が長引き、細胞の異常増殖が起こる
- 子宮頸がんの前がん病変が進行しやすくなる
免疫力低下の原因にはストレス、睡眠不足、栄養不足、過度なダイエット、基礎疾患(糖尿病・膠原病など)、免疫抑制剤の使用などがあります。
HPV感染以外の疾患の罹患
HPV以外の性感染症や炎症性疾患も子宮頸部の細胞にダメージを与え、子宮頸がんのリスクを高めることがわかっています。なかでも、子宮頸部の慢性炎症を引き起こしやすい疾患は子宮頸がんの要因になりえるといえるでしょう。
- クラミジア感染症
- 淋菌感染症
- トリコモナス感染症
- HIV感染(免疫低下をともなうためリスクが大幅に上昇)
海外での報告になりますが、子宮頸がんの患者さんのおよそ60%の人にHPV以外の性感染症の併発が確認されたとの報告例もあがっています。
喫煙
喫煙は、子宮頸がんに関わらずさまざまながんのリスク因子です。タバコに含まれる有害物質は血流を通じて全身の細胞のDNAにダメージを及ぼします。日本の疫学研究では「日本人において、喫煙により子宮頸がんのリスクが確実に上昇する」という結論も出されています。
さらにWHOも、喫煙を子宮頸がんのリスク因子として「喫煙と子宮頸がんの発症には因果関係がある」と、はっきりと提示しています。
ピルの長期服用
あすか製薬などが提供している医師向けの資料を参照すると、「ピルの長期間(5年以上)の服用が子宮頸がんのリスクをわずかに上昇させ、10年経つと2倍程度まで上昇する」という報告があります。
ピルの長期服用により子宮頸がんのリスクが上昇すると考えられている理由の一つとして、子宮内膜の代謝にかかるペースが長くなることが挙げられています。これにより、HPVに感染したときに排除する機能が穏やかになり持続感染が成立しやすくなるといえるのでしょう。
一方でピルの内服を中止して10年ほど経つと、使用していない人と同レベルに戻ることもわかっています。
妊娠・出産回数
妊娠や出産回数も子宮頸がんのリスク因子といわれています。妊娠・出産回数そのものが要因というよりかは、正確には「性交渉の回数」が多いとみなされるためのようです。性交渉の機会が多いとそのぶんHPV感染のリスクが高まります。
生活習慣により膣内フローラ(膣内細菌叢)が乱れている
近年、膣内フローラ(膣内の細菌バランス)という、膣内の恒常性が保たれていることと、子宮頸がん発症の因果関係が注目されています。健康な膣内では「ラクトバチルス属」という善玉菌が優位の状態です。このラクトバチルス属の菌とその他の細菌バランスが乱れると炎症が起こりやすくなり、HPVが排除されにくい環境になります。こうした関係は、アジア、北米、アフリカなどの大陸から集められた2,014人の参加者を対象とした研究により明らかになったのです。
膣内フローラの乱れは、性行為だけでなく、ストレス、生活習慣、抗生剤の使用、ホルモンバランスの変化など、さまざまな要因で起こります。つまり、性交経験が少ない人でも膣内環境が乱れていれば、子宮頸がんのリスクが高まる可能性があるといえるでしょう。
膣内環境の改善や免疫バランスの調整にフコイダンが役立つ可能性

フコイダンとは海藻由来の多糖体で、抗炎症作用・免疫調整作用・抗ウイルス作用など、さまざまな働きが報告されています。子宮頸がん発症につながる予防的な効果への期待や、がんになった際の治療方法の一つとして参考になる事例があります。当院の事例の一つとして性器周辺の起因菌による膀胱炎や過活動膀胱に関する医療記事でも、慢性炎症の改善や免疫バランスの調整に関する考察の可能性をまとめています。
膣内フローラの乱れや慢性的な炎症は、HPVの持続感染や子宮頸部の細胞異常を助長する要因となるため、炎症を抑え、免疫の働きを整えることができるフコイダンを活用したアプローチは理論的に有効だと考えられます。
フコイダンには、以下のような効果が示されています。
- NF-κB(炎症シグナル)の抑制
- 免疫バランスの調整
- 抗ウイルス作用
- 粘膜バリアの保護
などの作用があるため、子宮頸がんの性行為以外の要因につながる膣内環境の乱れの改善やHPV排除をサポートする効果が期待できそうです。
フコイダン自体が、子宮頸がんの治療薬として確立しているわけではありませんが、慢性炎症の軽減や免疫サポートという観点では補助的なアプローチとしての効果も期待できるでしょう。
フコイダンは食品として摂取できる栄養素のため、副作用が少ない点もメリットです。膣内フローラの乱れや子宮頸部周辺の慢性炎症が気になる方にとって、生活習慣の改善とあわせて取り入れやすい選択肢の一つといえるでしょう。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>”膀胱炎の治し方。原因や症状もご紹介”
性交渉をしなくてもHPVには感染する

HPVは「性行為で感染するウイルス」といわれていますが、実際には性器同士の接触がなくても感染は起こります。
- 外陰部の皮膚接触
- 肛門周囲の接触
- 手指を介した接触
- コンドームなどの性具の共有
など、粘膜や皮膚の接触があれば感染する可能性があります。HPVは外性器や肛門周辺にも存在するのでコンドームだけではカバーできずに、避妊具だけでは防ぎきれないのが実情です。コンドームは性器以外は覆われないので、露出部分から感染が起こることもあり、予防効果は約70%程度とされています。
特定のパートナーだけでもHPV感染リスクがある
また、「パートナーが一人だから安心」というわけでもありません。その理由としてパートナー側も、感染者であることが少なくないためです。
- パートナーが過去にHPVに感染していた
- HPV感染は症状がなく気付かない
- 男性側はHPV検査が一般的ではない
このようなHPV感染の特徴的な理由から、特定のパートナーのみでもHPV感染は十分に起こりえます。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>子宮頸がんの原因を医学的に解説|HPVの持続感染とその他のリスク因子
まとめ
子宮頸がんはHPV感染が主要な原因であるものの、性行為だけがリスクではなく、免疫力の低下や喫煙、他の感染症など、性行為以外にも発症に関わる要因が複数存在します。
HPVは性器同士の接触がなくても感染する可能性があり、コンドームでも完全には防ぎきれません。そのため、性交経験の有無やパートナーの人数に関わらず、誰にでもリスクがあるという前提で予防を考えることが重要です。
子宮頸がんのリスク因子として膣内環境・免疫・炎症は関連していると考えられ、性行為の有無に関わらず子宮頸がんリスクに影響します。生活習慣の見直しや膣内フローラのケア、フコイダンのような免疫サポート成分の活用は、将来的なリスク低減に役立つ可能性があるでしょう。
また、子宮頸がんはワクチンと定期検診によって大きく予防できるがんなので、正しい知識を持ち自分の体を守る行動をとることが将来の健康につながります。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>子宮頸がんワクチンの副作用とは?知っておきたい種類とリスク・救済制度まで解説
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
「中分子フコイダン」を用いた臨床結果の一例を紹介しています。どういった症状に効果があるか具体的に知りたい方は臨床ページをご覧ください。
>>「中分子フコイダン」を用いた臨床結果
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
がんの種類を知る
おすすめの関連記事
-
胃がんの初期「ステージ0-1期」の症状・治療法・余命を解説。食べてはいけないものは?2024.03.13
がん -
ステージ3のがんとは?症状や具体的な治療法について2022.02.24
がん -
悪性腫瘍と癌って何が違う?定義から見たそれぞれの違いを解説2023.08.31
がん -
肝臓がんの症状とは?見逃しやすい初期サインと原因・予防法まで解説2025.10.29
がん -
がんの薬物療法とは?その治療方法や方法についてご紹介2021.11.26
がん

