2021.11.26
がん子宮頸がんステージ4の余命と治療方法は?がんとの向き合い方について解説
子宮頸がんのステージ4。子宮頸がんのなかでは最も深刻な状態で、医療的な介入を余儀なくされるでしょう。この記事では、子宮頸がんステージ4に置ける症状や治療法、余命について解説しています。
目次
子宮頸がんの末期「ステージ4」とは
子宮頸がんのステージ4は、がんが最も進行した末期の状態です。この段階ではがん細胞が子宮頸部周辺だけではなく、遠く離れた部位にまで広がり(遠隔転移)、周囲の組織や器官に侵入している場合もあります。
肺、肝臓、腎臓、骨などの部位にがんが転移することもあり、子宮周囲の臓器や組織を圧迫する可能性もあります。これにより、排尿や排便の問題、腰痛、脚のむくみなどの症状が引き起こされることがあります。
子宮頸がんステージ4は膀胱や直腸に悪性腫瘍が浸潤している状態です。ステージ4はさらに2種類に分類され、A期は「膀胱や直腸粘膜に腫瘍が浸潤している」状態で、B期は「腫瘍が小骨盤腔を越えて広がっている(遠隔転移が見られる)」状態を示しています。
※浸潤 がんが周りに広がっていくこと
子宮頸がんステージ4の状態と症状
(参照:https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/treatment.html)
初期の頃にはまったく自覚症状がない子宮頸がんですが、ステージ4にもなってくると何らかの症状が生じていることがほとんどです。
自覚する症状も当初のうちは、性交渉などの刺激により出血が見られる程度でしたが、進行してくるとおりものの量が増え悪臭をともなうようになり、不正出血も刺激の有無に限らず見られるようになります。
また、子宮は骨盤のなかに存在する臓器なので腫瘍が増大してくると膣壁や直腸膀胱骨盤の壁などに広がり、侵食した部分にも症状が現れ始めます。
例えば、膀胱に浸潤することで血尿や排尿障害、尿路閉塞などを、直腸に浸潤することで血便や腸閉塞などを起こし得ます。
また、がんが下半身に向かう神経を圧迫することで腰や背骨、下腹部、下肢に痛みやしびれを感じることもあります。
子宮頸がんステージ4の治療法
子宮頸がんステージ4は、末期の状態だと手術で取り除く選択肢は基本的にありません。子宮頸がんのステージ4の治療には、放射線療法と化学療法が一般的に用いられます。治療方法としては「化学放射線療法」か「化学療法」かのいずれかが選択されます。
化学放射線療法
化学放射線療法は、子宮頸がんステージ4のA期で選択されます。放射線治療と化学治療を同時進行で進め、子宮周辺に存在する悪性腫瘍と、全身に広がりを見せるがん細胞を同時に叩くことを目的とします。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>子宮頸がんステージ2・3の症状は?治療法・余命を解説!
放射線療法
放射線は細胞のDNAを壊し、増殖できないようにしてがん細胞を死滅させます。放射線は正常な細胞にも作用しますが、活発に分裂を繰り返しているがん細胞に対してのほうが与えるダメージが大きいため、がん治療の1つとしてよく用いられる方法です。
子宮頸がんは、比較的放射線治療がよく効くがんです。がん細胞を手術などでは取りきれない場合の治療法としても用いられます。放射線療法は、高エネルギーの放射線をがん細胞に照射して、がん細胞の成長を抑制し、縮小させる治療法です。
子宮頸がんのステージ4では、がんが周囲の組織や臓器に広がっている可能性が高いため、放射線療法は病巣の縮小や症状の緩和を目指す主要な治療法の1つとなります。子宮頸がんの放射線療法には、体の外部から放射線を照射する「外照射法」と内部から照射する「腔内照射法」の2種類があります。
(参照:https://www.yamanashi-obgy.org/kay-kenshin/know/9/)
外照射法
外照射法は体の外から放射線を照射する方法で、子宮やリンパ節などがんが進展する可能性のある広い範囲に放射線を照射することができます。
できるだけ狙った範囲にしっかりと照射するために、CT検査などをして治療部位や放射線の照射方向を決め照射するのが一般的です。外照射の場合、1回の照射にかかる時間はおよそ10分〜20分程度、1日1回の照射を週に5日間、5〜6週続けて1クールとしています。
腔内照射法
腔内照射法は、あらかじめ膣から子宮口内に小さなアプリケーターを挿入しておいて、そこに自然に放射線を出す物質を入れて子宮の内側から照射をおこなう方法です。狙った病巣に多くの放射線を当てることができます。1回の照射にかかる時間は30分〜1時間程度で、週に1日、4〜5回照射します。
外照射と膣内照射を並行して進める放射線療法もあります。子宮頸がんのステージ3とステージ4のA期では、根治を期待できる治療法の1つです。
化学療法
化学療法は、がん細胞を破壊するための抗がん剤を使用する治療法です。
子宮頸がんのステージ4の特にB期では、原則として放射線治療や手術をおこないません。遠隔転移が見られるものの、その転移が肺のごく一部にとどまっている状態や鎖骨・鼠径リンパ節などにとどまっている場合には放射線治療や手術での切除を試みる場合もありますが、基本的には化学療法での治療をおこないます。
一般的に子宮頸がんの場合、「シスプラチン」という抗がん剤が最も効果が高いとされていますが、ステージ4・B期の患者さんではがん進行の影響で腎機能が低下していることも多く、腎臓に負担をかけやすいシスプラチンが使えない場合もあります。
その場合は腎臓への負担が少ない「カルボプラチン」という抗がん剤を用いることがあります。
近年ベバーシスマブ(商品名:アバスチン)やレムブロリズム(商品名:キートルーダー)という薬を同時に使用すると、抗がん剤の効果が高まることもわかってきました。複数の薬を同時に使用する際は、患者さんの体調や病状を考慮したうえで、個人個人に最適な処方を担当医が検討し決定します。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>抗がん剤の種類について
>>抗がん剤の副作用について
対症療法・緩和治療
対症療法や緩和治療は、子宮頸がんのステージ4で使用される治療法の1つです。本来はステージ4・B期の患者さんに限らず、すべてのがん患者さんにとって、がんと診断された時点からさまざまなつらい症状を緩和するためのもので、非常に重要な治療法となります。特にステージ4・B期の患者さんにとっては、治療や病気からくるつらい症状を和らげ、QOLを保ちながらがんと共存できる可能性を探る重要な治療の1つです。
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- 対症療法
対症療法は、がん治療の一環としてがんの症状や合併症を緩和するためにおこなわれます。子宮頸がんのステージ4では、疼痛や吐き気、食欲不振などの症状を軽減させるために対症療法が用いられます。代表的なものには鎮痛剤や抗吐気薬などが挙げられ、服用することでQOLを向上させ「つらくない」毎日を送ることを目指すことができます。
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- 緩和治療
緩和治療は、がんの進行にともない生じる痛みや不快感を和らげ、患者さんの生活の質を改善することを目的としておこなわれます。体の苦痛を和らげることだけではなく、疼痛管理や症状管理など、心理的なケアなどによりこころ穏やかに過ごすための心理的支援なども含まれます。緩和ケアチームとして組織的に介入し患者さんはもちろんご家族も支援し、身体的、精神的、社会的なニーズに対処しながら、がんの進行にともなう症状の管理や生活の質の向上を図ります。
子宮頸がんステージ4の余命は?
(参照:https://www.togoiryou.com/gan/sikyuu_keigan/)
子宮頸がんのステージ4の5年生存率は24.7%とされています。ステージ4がんは、がんが周囲の組織や他の臓器に広がっている段階であり、がんの進行が遠隔転移をともなう場合が多いです。
治療に積極的に挑むことも意識するでしょうが、ステージ4の場合、対症療法や緩和治療も重要です。これらの治療法を併用することで、がんの症状や合併症を緩和し、生活の質の向上も目指せます。
自分らしく生きるために「がまんをしない」
子宮頸がんステージ4だからといって悲観せず、自分らしく生きるためには身体的な苦痛の緩和だけでなく、「がまんしない」ための工夫も重要です。
実は進行したがんの場合、治療を進めることにこだわるよりも「自分らしく生きる」ことを念頭に、患者さんの価値観や希望、好みを尊重し、その人らしい生活を維持することが、思った以上に治療効果の発揮につながることもあります。
毎日のなかで生きがいや楽しさを感じられれば、治療を受けるモチベーションや、医学的なケアを享受する姿勢、社会的な人々との絆が構築され「病に振り回されない」生活を送る一助となるはず。
毎日を楽しく、ハツラツと笑顔で過ごせれば、免疫力アップにつながる「NK細胞(ナチュラルキラー細胞)」が活性化することがわかっています。
免疫力は、がんと闘うのにもっとも重要な患者さん自身の力の1つです。
患者さん本人だけではなく、家族や医療チームとのコミュニケーションを通じて患者さんが望む治療やケアの方針を明確にすることで、身体的なサポートだけではなく、心理的な支援や精神的なケアも活用することにつながります。
自分らしく、楽しく豊かに生きるために、「がまん」をせずに、周囲とのコミュニケーションを大切にして上手に資源を活用し、周囲の人たちとの絆の構築を意識したいですね。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>末期がんとは|そもそも治る?治療方法とは?
まとめ
子宮頸がんステージ4は、子宮頸がんのなかでは深刻な状態であるといえます。状態に応じた治療とともに早い段階から対症療法や緩和治療の導入を検討し、がまんのない日常生活を送ることを意識したいところです。
痛みや不快な症状を軽減し、患者さんにとって日々の生活が楽しく生きがいのあるものになれば、病気の状態にとらわれない活力のある毎日を過ごすための一助となるでしょう。
「楽しく過ごす」ことは、生活の質(QOL)を向上させるだけではなく精神的なゆとりにもつながり、治療に挑む姿勢も異なってくるはずです。
しかしながらQOLの向上には患者さんひとりの頑張りだけではなく、緩和ケアチームや支える家族などの支援も必要です。身体的、精神的、社会的なニーズに応じた包括的なケアが重要といえるでしょう。
生存率ばかりにとらわれてしまっては悲観的な毎日になってしまうはず……。特に子宮頸がんは女性特有の疾患です。患者さんが自分らしく生きるためには身体的な苦痛を和らげるだけでなく、精神的なサポートや家族とのコミュニケーションも重要です。周囲の人との良好な絆の構築ができれば、自然と気持ちも和らぎ穏やかな毎日を送るサポートとなるはずです。
また、趣味ややりたいことにいそしむのも、活力のある生活へとつながるでしょう。
患者さん自身の価値観や希望を尊重し、医療チームと協力しながら、穏やかで充実した生活を目指したいですね。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
がんの種類を知る
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