2021.10.04
がん膵臓がんステージ1の症状は?原因や検査方法を解説!
膵臓はホルモン分泌や消化機能の一部を担う主要な臓器です。にも関わらず、体の奥側にあるため異変に気付きにくいという特徴があります。
膵臓がんは手術を含めて治療が難しいうえ、他の臓器に転移しやすく、がん全体のなかでも5年生存率が低いです。
※膵臓がんの概要については以下の記事を参考にしてください。
>>膵臓がんとは?その症状について
目次
膵臓がんは症状があらわれにくい病気
(参照:https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/clinic/hepatobiliary_oncology/pancreatic/index.html)
私たち人間の体は、さまざまな臓器が複雑に絡み合って恒常性を維持しています。膵臓は普通に生活しているとなかなか耳にする機会の少ない臓器です。
膵臓は血糖を調節するホルモンであるインスリン(※1)や消化液の一部である膵液を分泌し、消化機能を担う役割もあります。この膵臓にがんが生じると、膵臓がんといわれるようになるのです。
膵臓は解剖学的に見ると胃の裏側にあるため、体の表面から見ると比較的奥の場所にあります。
超音波検査などでも確認しにくく、消化管のように内視鏡などで直接観察することもできません。
そして膵臓がんは、早期の場合には自覚症状がほとんどないので、発見が遅れがちになります。
何らかの自覚症状が現れてから受診し、発覚する頃にはがんが進行しているケースも珍しくありません。
※1:膵臓から分泌されるホルモンの一つ。血糖値を調整する働きを持つ。
がんの早期発見について詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>がんを早期発見するには?検査方法などを詳しく解説
膵臓がんステージ1の初期の症状と状態
膵臓がんは初期の段階だと、基本的に自覚症状がありません。そのため、膵臓がんが生じていたとしても、初期に見つかることはほとんどないのが実情です。
まれに、比較的初期の膵臓がんが見つかるケースもあります。例えば、健康診断や別の病気のために腹部超音波検査やCT検査を受け、偶然に膵臓の異常が確認された場合などです。
膵臓がんのステージ分類
(参照:https://ganjoho.jp/public/cancer/pancreas/treatment.html)
膵臓がんは、主にその病状に応じて5つのステージにわけられています。基本的にはTNM分類を参照していますが、悪性腫瘍の侵蝕から見るとおおむね以下の状態です。
- ステージ0 がんが膵管内にとどまっている状態
- ステージ1 がんが膵臓内にとどまっている状態
- ステージ2 がんが膵臓の外に広がっている、もしくはリンパ節に転移がある状態
- ステージ3 がんが膵臓の周囲の主要な動脈に接している状態
- ステージ4 がんが他の臓器や腹膜などに転移している状態
ステージごとの膵臓がんの詳細について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>膵臓がんステージ2・3の治療法は?原因や余命について解説!
>>膵臓がんステージ4の治療方法は?症状や余命について解説!
膵臓がんの主な原因
膵臓がんにはいくつかの危険因子があり、現在のところ明確に因果関係がわかっているものは以下の6つです。
(膵臓がん診療ガイドライン P38 診断項-2)
家族性の要因
膵臓がんには、遺伝的要素が関与していることがわかっています。身内のなかに膵臓がんを発症した血縁者が多いほどリスクも高くなるとされていて、1人だと4.5倍、2人だと6.4倍、3人だと32倍にもなると報告されています。
大量の飲酒・喫煙習慣
お酒を毎日たくさん飲む習慣がある人や、喫煙習慣がある人は非喫煙者と比較すると膵臓がんの発症リスクが高くなるという報告もされています。1日のアルコール摂取量が24g〜50g以上あるとリスクが上がるとされています。また、喫煙による膵臓がんの発症リスクは喫煙本数と喫煙期間によって増加することもわかっています。
肥満
膵臓がんに関わらずですが、肥満になるほど生活習慣病のリスクが高くなることもわかっています。肥満の膵臓がんのリスクとしては男性は1.4倍、女性も1.3倍に上昇すると報告されています。特に20歳代の若い肥満男性のリスクは正常域のBMIの人たちに比べて3.5倍ものハイリスク群になるとされているのです。
糖尿病
糖尿病がある場合、膵臓がんのリスクは1.7倍から1.9倍とされています。そのなかでも特に糖尿病を発症してから1年未満はリスクが高いと考えられていて、2年〜5年経過後は1.6倍、10年以上経過すると1.5倍と徐々にリスク倍率は低下します。
慢性膵炎
慢性膵炎とは、膵臓の炎症が慢性的に続く病気です。炎症によって壊れた細胞を修復する過程で、膵臓の細胞に異常が起こりそれががん化すると考えられています。
膵臓がんの検査
膵臓がんは、初期の頃には自覚症状が見られません。膵臓がんと確定されるまでにはいくつかの検査を経ます。
膵臓がんを血液検査で検出する「腫瘍マーカー」
一般的な健康診断などでおこなわれる血液検査。一般項目では検査できませんが、希望により腫瘍マーカーという特別な指標を血液検査で検出することができます。膵臓がんの対象とされている腫瘍マーカーには以下のような種類があります。
- CA19-9
- SPan-1
- DUPAN-2
- CEA
- CA50
膵臓がんだけに反応する腫瘍マーカーではありませんが、膵臓がんの因子を複数持っていたり、家族性の傾向が見られたりする場合には、一般健診でも追加で申し込んでおくことで、血液検査であわせてチェックができます。
しかし、膵臓がんだとしても、まったく腫瘍マーカーが上昇しない人もいるため注意が必要です。
検索項目にもよりますが、検出感度としてはCA19-9、SPan-1が70〜80%、DUPAN-2が50〜60%、CEA、CA50が30〜60%といわれています。
画像診断
膵臓がんが疑われる場合、まず腫瘍マーカーと腹部の超音波の精密検査がおこなわれます。
これらの検査で膵臓がんの可能性が高いと判断された場合に、CTやMRI、MRCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)やEUS(超音波内視鏡検査)と呼ばれる方法でより詳細を調べます。
画像診断でおおむね確定診断に至りますが、膵臓がんは診断が難しい症例も少なくありません。
細胞診などを含む病理検査や内視鏡検査で直接細胞を採取して診断確定とする場合もあります。
またEUS(超音波内視鏡検査)がおこなわれることもあります。超音波装置のついた内視鏡を口から入れて胃や十二指腸まで挿入し、そこから膵臓へ向けて超音波を発して膵臓の状態を観察する検査です。海体外から超音波を照射するのではなく、臓器越しに観察するのでより精密な膵臓の状態を検査できます。
膵臓がんステージ1の治療法
(参照:https://ganjoho.jp/public/cancer/pancreas/treatment.html)
膵臓がんの初期といわれているのは、一般的にステージ0〜1です。ステージ0〜1の治療の基本方針は手術で、膵臓がんであることが確定すると、次に外科的な手術で切除可能ながんであるかどうかを診断します。
切除可能かどうかということと、膵臓がんがどの段階に相当するのかを診断する際には、主にCTの造影撮影(※2)などの所見を参考にします。
遠隔転移の有無や、門脈や主要な動脈へのがんの広がりの有無とその程度に基づいて判断します。切除可能かどうかの診断は手術の適用の可否につながるので、治療方針を正しく決めるための重要な要素です。
※2:造影剤と呼ばれる薬を点滴や注射から体内に入れて撮影する方法。より明瞭な画像検出ができる。
切除可能な状態
(参照:https://x.gd/5e86x)
悪性腫瘍の広がりが膵臓内に留まっている状態、または膵臓の外に広がっていてもごく近くに留まっている状態であれば腫瘍の切除可能であり、手術の適応となります。
以下のようなケースは腫瘍の切除が可能と判断されます。
- 遠隔転移がないこと
- がんが門脈や主要な動脈(腹腔動脈、総肝動脈、腸管膜動脈)に接触していないこと
- 横断面では門脈に180度未満で接触している程度
切除可能境界域
悪性腫瘍が門脈や主要な動脈に一定の範囲内で広がった状態で、遠隔転移がない場合は切除可能の境界域と判断されます。
- がんが主要な動脈(腹腔動脈、総肝動脈、腸管膜動脈)に接触していない
- 門脈に対しては180度接触している状態
- 主要な動脈のうち腹腔動脈あるいは上腸間膜動脈に180度未満で接触している状態
などは切除可能境界域の一例とされています。
切除不能
がんが局所にとどまっている状態でも、門脈や主要な動脈に浸潤(※3)し、広がっている状態は進行がんと判断され切除不能となり手術の適応外となります。また、遠隔転移をともなう状態は切除不能と判断され手術の適応外とされます。
※3:浸潤 がんが周りに広がっていくこと
手術前後に用いられる化学療法
(参照:https://suizogan.com/treatment/drug-therapy.html)
膵臓がんステージ1で悪性腫瘍を切除したあとに、補助療法として化学療法を導入し、より根治の可能性を高める場合もあります。
手術単独で治療を終えるよりも、補助療法としての化学療法が有効と判断された場合に導入されます。
膵臓がんの初期(ステージ0〜1)の生存率
(参照:https://hbcr-survival.ganjoho.jp/graph#h-title)
膵臓がんの初期(ステージ0〜1)の場合、5年生存率は52%。がん全体のなかでは比較的低めであるといえるでしょう。自覚症状がわかりにくいからこそ、治療を終えたあとも定期的な受診をして、再発の早期発見、対処を意識しなくてはいけません。
また、膵臓は毎日の栄養素の消化吸収を担う重要な組織です。再発防止を目指すためには、食生活をはじめとした生活習慣全体の見直しが必要でしょう。
膵臓がん再発予防につながる食べ物の食べ方
お酒の飲み過ぎや喫煙などは膵臓に負担をかけやすい生活習慣の一つになるため注意しましょう。
高脂肪食も膵臓に負担をかけやすい食生活の一つ。膵液は胃で消化された食べ物が十二指腸に到達したときの刺激で放出されます。消化の悪いものとして、いわゆる高脂肪食を摂りすぎると必要以上に膵液の分泌が増加することもわかっています。
脂肪の多い食品の摂りすぎは膵臓に負担をかけるため、1日の必要量を意識しながら摂取するようにしましょう。
また、同じように消化に負担のかかりやすい食物繊維の多いものや生もの、硬いものなどを摂りすぎないことも重要です。
ただし、食物繊維はコレステロールを下げる便秘予防になるなどのプラスの部分も大きいため、完全に避けるのではなく細かく切って食べたり、できるだけ咀嚼して飲み込むなど消化の負担を抑える食べ方を習慣付けるようにしましょう。
がん患者が食べてはいけないものについて詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>がん患者が食べてはいけないものってあるの!?がんと食事について解説
まとめ
膵臓がんは早期発見が難しく、他の臓器に転移しやすいがんの一つです。膵臓がんの初期(ステージ0〜1)では自覚症状がほとんどないため、遺伝性や体調といったリスク因子がある場合には定期的な検査が重要です。
手術が可能な状態であれば、外科的切除が最も有効な治療法です。再発予防には、適切な食生活や生活習慣を意識する必要があるでしょう。医師と相談しながら、定期的な検査と健康管理を続けることが、余命延長と生活の質向上につながります。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
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