2021.08.31
がん子宮頸がんステージ2・3の症状は?治療法・余命を解説!
子宮頸がんのステージ2・3。初期の頃はほとんど症状が出ない子宮頸がんですが、ステージ2・3になると刺激により不正出血が現れたり、おりものの性状に変化が生じたりする症例があります。この記事では、子宮頸がん「ステージ2・3」の症状や治療法、5年生存率・余命について解説しています。
目次
子宮頸がんステージ2・3の状態
子宮頸がんのステージ2・3は、がんが子宮頸部を越えて膣壁や子宮周辺の組織まで広がってきている状態です。
(参照:https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/treatment.html)
ステージ2の場合、がんが子宮頸部を越えて広がり始めてはいますが、膣壁の下1/3、または骨盤の壁には達していない状態です。ステージ2はさらに3段階に分類され、A1期は「悪性腫瘍の最大部分の大きさが4cm以下のもの」、A2期は「悪性腫瘍の最大部分の大きさが4cmを超えるもの」、B期は「子宮頸部の周囲の組織まで、浸潤(※1)が確認できるものの骨盤壁までには達していないもの」とされています。
(参照:https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/treatment.html)
一方、ステージ3の場合、がんはさらに周囲の臓器にまで広がり始めます。ステージ3はさらに3分類に分けられ、A期は「膣の下1/3にまで広がってはいるものの骨盤壁までには達していないもの」、B期は「子宮頸部の周囲の組織への浸潤が骨盤壁まで達しているもの、もしくは水腎症や腎臓が機能しなくなっているもの」、C期は「骨盤リンパ節あるいは周辺の大動脈リンパ節に転移が認められるもの」です。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>子宮頸がんの初期(ステージ0・1)の症状や治療法について解説!余命を伸ばすための方法とは
※1 浸潤 がんが周りに広がっていくこと
子宮頸がんステージ2・3で見られる症状
初期の頃には自覚症状がまったくなかった子宮頸がんでも、進行するとともに徐々に何らかの症状が生じてきます。進行状態にもよりますが、最初は子宮頸部に対して刺激があったときに出血したり、生理日以外のときでも出血する不正出血の症状が現れたりします。
特に子宮頸部に生じる腫瘍は、比較的もろく血管の新生が生じやすいので性交時の刺激により出血が起こることが多いです。
また、いつもと違うおりものが出てきたり、おりものの性質が変わったりなども子宮頸がんの症状の1つです。おりものの変化としては、血が混ざったようなおりものに変化したり、においが変化したりする症状が生じることもあります。
子宮頸がんステージ2・3における治療
(参照:https://cancer.qlife.jp/cervix/cervix_feature/article3848.html)
子宮頸がんのステージ2・3では、治療法は手術で病変部位を切除する「広汎子宮全摘出手術」のほかに、「化学療法」「放射線療法」が主な治療です。
広汎子宮全摘出手術
(参照:https://ohori-hosp.jp/division/gynecology/cervical-cancer/)
広汎子宮全摘出手術は子宮だけではなく、卵巣や卵管、周囲の子宮を支えている靭帯や膣壁、リンパも含めて広範囲をしっかりと摘出する方法です。子宮頸がんは基本的に膣壁と子宮を支える「基靭帯」という方向に浸潤していくため、悪性腫瘍が広がっている部位を含めてしっかりと切除することを目的とした術式です。
開腹手術のほかに、腹腔鏡下やロボット支援腹腔鏡下手術など、医師や施設の方向性により、術式は選択されます。
切除範囲が広範囲に及ぶため、膀胱や直腸の働きをサポートしている神経などにダメージを及ぼすこともあります。広汎子宮全摘出手術の後遺症として、術後に尿意を感じにくくなったり排尿時に勢いがなくなったりするなどの「排尿困難症」や、腸管の動きに影響が及ぶことで生じる「便秘」や「下痢」、リンパ節郭清(※2)をおこなった場合にはリンパ液の流れが悪くなることで起こる「足のむくみ」が生じやすくなります。
※2:悪性腫瘍周辺にあるリンパ節を切除すること。がん細胞はリンパ節を通って他の臓器や全身に広がっていくので、再発予防や転移予防としてがん細胞に侵されている可能性のあるリンパ節を取り除く。
同時化学放射線療法
子宮頸がんもステージ3になってくると、手術で悪性腫瘍を完全に切除するのが難しい症例も出てきます。その場合に選択される治療法は、化学療法と放射線療法を併用して進める同時化学放射線療法です。
同時化学放射線療法は、放射線や化学療法それぞれを単独で行った場合よりも治療成績がよいことがわかっていて、欧米ではステージ3とステージ4の症例に対しては標準治療とされています。
実際に同時化学放射線療法は、完全に治すことを目的として両者の治療を進めるケースも少なくありません。化学療法で放射線治療の効果を高めて、骨盤内のがんの再発率を低下させ、さらに全身に広がっている可能性のあるがん細胞を抗がん剤で叩くことを目標として治療効果を期待します。
化学療法
子宮頸がんのステージ2・3で主に用いられる抗がん剤は「シスプラチン」という薬。週に1回、点滴で投与するのが一般的です。放射線療法と同時に5~6回おこなうスケジュールで組まれます。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>子宮頸がんステージ4の余命と治療方法は?がんとの向き合い方について解説
放射線療法
子宮頸がんのステージ2・3における放射線療法は、子宮の内部にアプリケーターと呼ばれる特殊な器具を挿入して照射する「腔内照射」と、体外から経皮的に放射線を照射する「外部照射」を併用する治療法です。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>子宮頸がんステージ4の余命と治療方法は?がんとの向き合い方について解説
子宮頸がんステージ2・3の余命は?
(参照:https://www.togoiryou.com/gan/sikyuu_keigan/)
子宮頸がんのステージ2・3では、治療や予後に関する指標として、5年生存率が注目されてます。
2015年の統計によれば、ステージ2・3の子宮頸がん患者の5年生存率は「 62.7%〜77%」。他のがんより比較的高い数値を示しています。これは治療の進歩や早期発見の取り組みにより、近年では5年生存率が向上してはいるものの、再発の可能性が依然として存在することを示唆しているともいえるでしょう。
再発防止に向けて患者さんは、治療や予後に関する情報を正しく理解して適切なフォローアップを受け、定期検診をしっかりと受ける心がけが重要です。
「子宮頸がん治療ガイドライン(第6章 治療後の経過観察)」によると「治療終了後2年間は3〜6ヵ月ごと、その後5年までは6〜12ヵ月ごとを推奨、5年以降は一般婦人科医による診察を推奨」としています。
定期的な検査や健康的な生活習慣の維持が再発リスクの低減につながることを意識して、きちんと定期検診を受けながら自身の体の声にしっかりと耳を傾けることを忘れてはなりません。
また、手術や治療により、少なからず後遺症が生じる可能性があるのも子宮頸がんステージ2・3の特徴ともいえるでしょう。
治療後のQOLを維持するための生活の工夫を見出しながら過ごすことも重要です。
子宮全摘出手術後の生活の変容
子宮頸がんステージ2・3で選択されやすい広汎子宮全摘出術。お腹の中を広く摘出するので、多くの人に起こりやすい後遺症の1つに排尿障害があります。
膀胱につながる神経がダメージを受け、排尿の調節がうまくいかなくなったり尿意を感じなくなったり、残尿感が出るなど尿に関する症状に悩まされるケースも少なくありません。
排尿障害になると、排尿をスムーズにコントロールできるように排尿訓練と呼ばれるリハビリをおこなったり、自力での排尿が難しい場合は、自分でカテーテルを入れて尿を出す訓練が必要となります。
また、尿意を感じない場合には膀胱に尿が溜まりすぎないよう時間経過によりトイレに行って排尿するなど生活習慣の工夫も必要です。
また、同じように腸の動きを調節している神経がダメージを負えば、便秘や下痢などのお悩みが生じることもあります。
リンパ節を広く摘出した場合、リンパ液の流れが悪くなり下半身がむくみやすくなることもあります。
まとめ
子宮頸がんのステージ2・3は、進行とともに不正出血やおりものの変化などの症状が顕在化して来る頃です。
治療法としては、広汎子宮全摘出手術、同時化学放射線療法、化学療法、放射線療法など多岐にわたり、個人の症状や状態によりときとして治療を併用する場合もあります。
また、治療後には後遺症や生活の変容が生じることも。特に排尿障害や便秘、リンパ浮腫などは手術後に生じやすい症状で、術後の生活のなかで対処するためにはリハビリや生活習慣の工夫も必要です。
とはいえ、子宮頸がんステージ2・3の5年生存率は比較的高めです。再発のリスクを考慮して、定期検診や健康的な生活習慣の維持を意識しましょう。
子宮頸がんステージ2・3の症状や治療法、予後について理解を深めて、適切な治療とフォローアップを受けながら、前向きに生活をおくるためにお役立てください。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
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