2024.05.29
がん胃がん2-3期ステージの症状・治療法を解説
胃がんにおいて進行度は上がっているものの、まだまだ完治を目指した医療が可能なのがステージ2.3の段階です。この記事では、胃がんのステージ2.3について治療法や手術後に意識したいことなどを詳しく解説しています。
目次
胃がんステージ2・3の状態
胃がんでも自覚症状が出てきて「おかしいな?」と感じてくる頃がステージ2.3。腫瘍の大きさが小さくても、がん細胞が深く浸潤していたり、周辺のリンパに細胞の広がりが見られたりする状態です。
(参照:胃がんとは|https://www.uwajima-mh.jp/cancer/03info/)
胃がんステージ2・3で見られる症状
初期の頃には、はっきりとした症状がないのも胃がんの特徴の一つです。初期症状として、
みぞおちあたりの痛みや胃の膨満感を感じているケースはあるのですが、がん特有の症状ではないため、見過ごされやすくなるのが胃がんの初期症状です。
胃がんが進行してくるとさまざまな症状が出てきます。胃の膨満感の他にもお腹全体が張った感じや食べたものを吐いてしまう、食欲がなくなり食べ物の嗜好が変化したり胸焼けがしたり、ゲップが頻繁に出るなど消化器症状にともなうさまざまな症状が色々と出てきます。
胃がんステージ2・3における治療
(参照:胃がん治療の最前線 〜新たな分子標的薬や免疫治療薬の登場で進行がんの治療が進歩|https://gan-mag.com/gastrointestinal/8826.html)
胃がんの治療で内視鏡的な治療が適用とならず、遠隔転移もない場合には手術療法が選択されます。胃がんの手術の原則は、悪性腫瘍部分を取り除きます。また、リンパ節へ腫瘍の転移があるなら、その部分のリンパ節もあわせて取り除く「リンパ節郭清術」が含まれます。
※郭清術:リンパ節を手術する外科的治療法
リンパ節郭清術は、胃がんの手術で必ず行われるものではありません。手術の中でも早期胃がんでリンパ節の切除をともなわなくてもよい手術や、通常の手術よりもリンパ節を切除する範囲を狭くした「縮小手術」などもあります。
手術療法
手術でがんを全て取り切れる場合に行う手術の中には、胃の3分の2以上とリンパを切除する「定型手術」と、進行度に応じて切除する胃の範囲やリンパ節の範囲を変えて行う「非定型手術」があります
進行胃がんなどに行われる場合の定型手術では、幽門側胃切除術か胃全摘術のどちらかが行われます。
(参照:胃がんの治療と予防|https://www.onaka-kenko.com/various-illnesses/stomach/stomach-cancer/03.html)
腫瘍から十分な距離を確保して切除した際に、口側の胃が残せる場合には幽門側胃切除術が行われます。胃の幽門側を切除し再建する方法には、ビルロード1法とビルロード2法があります。
腫瘍の広がりやリンパ節への転移を見て残せる組織がないと判断された場合には胃全摘出術が選択されます。胃をすべて摘出しつつも、胃腸の働きや消化の際に分泌される消化液の分泌機能をできるだけ温存するための手術としてルーワイ法などの再建術が用いられることもあります。
腫瘍ができた場所によっては、脾臓や膵臓なども一緒に切除される合併切除が用いられることもあります。
腹腔鏡手術
従来は、お腹を大きく切り開いて行う開腹手術が標準的な手術でした。最近ではお腹に小さな穴を数箇所開けて、そこから腹腔鏡というカメラや手術の道具を挿入して手術を行う腹腔鏡下で行える胃の手術も普及してきています。
現在ステージ1の胃がんに対しては、内視鏡の手術は開腹手術と比較して術後の生存期間には差がないことが証明されています。さらに術後の回復はより早いことから、胃がん治療ガイドラインにおいても幽門側の手術では腹腔鏡による手術の検討も示唆されています。
ロボット支援腹腔鏡手術ダヴィンチ
さらに近年、腹腔鏡手術をさらに発展させた方法で「ダヴィンチ」という手術をサポートするロボットを用いた腹腔鏡の手術が取り入れられるようになりました。
ダヴィンチロボットの操作アームが非常に優れていて、従来の腹腔鏡で医師が手動で行っていた鉗子と呼ばれる手術の器具よりも、医師がまるで開腹下で行っているような高い操作性が再現できるようになったのです。
さらに、腹腔鏡内を映し出す画像が3Dに変化したこともあり、多彩な機能により腹腔鏡下でも繊細な手術を行うことが可能になったのです。2018年より保険診療で受けられるようになったこともあり、患者さんの適用範囲も急速に拡大してきました。
薬物療法
胃がんのステージ2.3の場合は中心となる治療法は手術です。しかし、リンパ節転移や切除したがん細胞の病理検査によっては、手術後に化学療法で再発防止や根治的な治療を目指して追加で薬物療法が用いられることもあります。
また薬物療法によって取り除くのが難しいとされていた腫瘍の部分が縮小し、手術によって取り除けると判断された場合には手術療法に移行することもあります。薬物療法についての詳細はこちらの記事を参照にしてください。
胃がんステージ2・3の余命は?
(参照:がん情報サービス|https://hbcr-survival.ganjoho.jp/graph?year=2014-2015&elapsed=5&type=c01#h-title
胃がんのステージ2.3の5年生存率には30-60%代と広がりがあります。多くの症例でまずは外科手術での腫瘍切除が試みられますが、リンパ節などで広がりを見せ始めたがん細胞を治療により叩けるかどうかは、患者さんの気力や体力も影響する一因となるでしょう。
体調やメンタルを健やかに保ち、治療に立ち向かうコンディションを整えるには術後の体調管理も重要です。
しかし、普通にあった胃の大半を切除した場合、その生活様式は大きく変化します。以下に胃がんの手術後に意識したい食生活について解説します。
胃がんの手術後に生じる症状と意識する食事の注意点
手術により胃の一部を取り除いたり、胃を全摘出したりすると消化機能に対しての機能障害が現れます。今まで1日3回の食事で必要量をしっかりと摂取できていた、その食事方法が難しくなることもほとんどです。
胃を切除したことにより起こる合併症は以下の通りです。
・胃もたれや吐き気
胃を切除したことにより、食べ物を食べる機能が低下して胃もたれや吐き気が起こりやすくなります。
・ダンピング症候群
胃がんの手術の代表的な合併症の一つに、胃から腸へ急速に食べ物が送られることにより腸液やホルモンの分泌が過剰になり、めまいや冷や汗、動悸、脱力感、腹痛などの症状があります。
・逆流性食道炎
胃の入り口である噴門側を切除すると、胃液が食道側に逆流して炎症が起こりやすくなります。
・貧血
胃壁から分泌されるタンパク質と結合し吸収されるビタミンB12の吸収が阻害されやすくなります。ビタミンB12は赤血球の産生に関与しているので貧血になりやすくなります。
これらの症状を防ぐ予防法としては1回の食事量を減らしよく噛んでゆっくり食べることが重要です。手術後は意識してよく噛み、少しずつゆっくり食事をするようにしましょう。
また貧血症状を少しでも軽くするために、鉄分を多く含む食材を意識的に取るようにしましょう。ビタミンB12も意識して取ることが必要ですが、肝臓の貯蔵分が枯渇すると結果として不足するので、ビタミンB12に関しては注射や処方薬などのフォローが必要になるケースもあります。
鉄分を含む食材はほうれん草やレバー、カツオやアサリ、牡蠣などが代表的な食材です。また、あさりや牡蠣、サンマ、鮭などはビタミンB12を多く含みます。
・腸閉塞
胃がんの手術後には、腸閉塞が生じることもあります。特に開腹手術をした場合、腸がおなかの中でくっついてしまう「癒着」が起きてしまいます。腸が癒着し、スムーズな動きが阻害されれば便やガスがつまったり、時にはねじれが生じて強い腹痛が生じることもあるのです。
詳しくはこちらの記事も参考にしてください。
>>がんによる腸閉塞は?症状と一般的な治療法について解説
まとめ
胃がんのステージ2・3は自覚症状も出てくる段階で、がん細胞が深く浸潤したりリンパ節に広がりが見られたりする段階です。治療法として主に手術が選択され、定型・非定型手術が行われます。薬物療法もリンパ節転移がある場合や手術後の補助的な治療として考慮されます。
手術は胃の一部または全摘出が行われていますが、近年は腹腔鏡手術やダヴィンチロボットを用いた手術が進化しています。手術後には患者の生活様式が大きく変化し、食事管理が重要です。消化機能の低下に伴う合併症に対処するため、食事の量や質に気を付けることが必要です。
手術後の治療を進めるには患者さんの気力や体力も影響します。手術後の体調管理が重要であり、合併症の予防や痛みの軽減は食事管理を通じて調整することが重要です。意識して取り入れることから始めてみましょう。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
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