1. コラムTOP
  2. 海藻の化学
  3. フコイダンを多く含む「もずく」についてご紹介
海藻の化学

フコイダンを多く含む「もずく」についてご紹介

フコイダンを多く含む「モズク」についてご紹介

スーパーの鮮魚売り場で気軽に買える「もずく」。酢で味付けされた「もずく酢」は、そのまま食べられるので、食卓に上る機会も多いのではないでしょうか。
生もずく、塩蔵もずく、乾燥もずくは、様々な料理に使えて、風味や独特の食感が魅力です。

さらに最近は、もずくに含まれる「フコイダン」という成分に多くの健康効果があると分かり、メディアでも頻繁に取り上げられています。
おいしくて体にいい「もずく」について、気になる情報をまとめました。

日置医院長

この記事の監修者
日置クリニック 院長
日置 正人 医学博士

【経歴】
昭和56年3月 
大阪市立大学医学部卒業
昭和63年3月 
大阪市立大学大学院医学研究科卒業
平成5年4月 
医療法人紘祥会 日置医院開設

詳しいプロフィールはこちら

もずくとは

もずくは、古くから日本各地で食べられている細長い糸状の海藻です。
他の海藻に付着して生息することから「藻付く」と呼ばれるようになり、そこから「もずく」になったと言われます。

はじめに「もずく」の生態と栄養についてみていきましょう。

もずくの生態

海藻類は色の違いで「緑藻・褐藻・紅藻」に大別され、その中でももずくは褐色なので「褐藻」に分類されます。
褐藻類の中でモズク科やナガマツモ科に属する植物がもずくです。

さらに詳細に見ると、もずくの仲間は実にたくさんの種類がありますが、私たちがよく食べるもずくは主に2種類。
モズク科の「モズク」と、ナガマツモ科の「オキナワモズク」です。

モズクは別名「糸もずく」といい、北陸より南の日本海沿岸や瀬戸内海、九州沿岸などに自生しています。
収穫量が少ないため、とても高価であまりお目にかかれません。

一方、オキナワモズクは「太もずく」と呼ばれ、日本で流通しているもずくの9割以上を占めています。
そのほとんどは沖縄県で養殖されたもので、旬は4~6月。枝の直径が1.5~3.5mmと太く、シャキシャキとした食感が特徴です。

もずくの栄養

もずくは低カロリーで食物繊維を豊富に含み、ダイエットや美容に良いとされています。
酢と一緒に摂ると脂肪が燃えやすくなるため、もずく酢はまさに理にかなった食べ方です。

海産物なので塩分はありますが、もずくに含まれる「アルギン酸」にはナトリウムを排出して高血圧を防ぐ作用があります。
また、コレステロール低下作用や整腸作用が認められており、特定保健用食品(トクホ)の関与成分になっています。

さらに、もずくには「フコイダン」という滑り成分も含まれており、こちらはアルギン酸と同様の働きに加えて、がんの予防と治療、肝機能向上、消化器粘膜の保護などの効果があると言われます。
フコイダンもアルギン酸も、食品学では水溶性食物繊維に分類され、生活習慣病予防のために積極的に摂りたい成分です。

また、「フコキサンチン」という色素には強い抗酸化作用があります。
抗酸化作用には私たちの細胞を傷つける活性酸素から守ってくれる働きがあることから、「抗老化」をサポートする作用があると言い換えても良いでしょう。

同じく抗酸化作用のあるβ-カロテンも含んでおり、こちらは体内で一部ビタミンAに変換されて働きます。

もずくにも多く含まれる成分「フコイダン」とは

今、もずくに注目が集まっているのは、滑り成分の「フコイダン」に驚くほどの健康パワーがあると分かってきたからです。

例えば、抗がん剤とフコイダンの併用によって、抗がん剤の副作用を抑制する作用もあるといわれていることが挙げられます。その他にも、フコイダンを摂取することのメリットを下記で紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

>>フコイダンを抗がん剤と併用することで期待できる効果とは?

ここからはフコイダンについて、詳しく見ていきましょう。

フコイダンの定義

フコイダンの定義
インターネットで「フコイダン」と検索すると、「低分子フコイダン」「高分子フコイダン」といったワードが目につきます。
これらの呼び方は学術的に正しい表現ではありませんが、フコイダンにおいて分子量は本質的な問題であることから便宜的に分類されております。

どのような分子量や構造がフコイダンとして最適であるのかは更なる解明が待たれます。

フコイダンの構造

フコイダンは含まれる海藻によって構造が異なります。基本的にはフコイダンの健康パワーを発揮するには以下の定義に当てはまることが必要であると言われます。

① フコイダンとしての立体構造を有している(分子量1,000以上が目安)
② 結合している糖の中で「フコース」が最も多い
③ 硫酸基が結合している

フコイダンは人間の消化酵素では分解できません。そのため、メーカーが抽出の際にある程度の大きさまで分解しており、それが分子量の違いになります。

フコイダンの抗がん作用

フコイダンには、がん細胞を抑制する3つの作用があると考えられています。※1

① アポトーシス誘導作用
② 血管新生抑制作用
③ 免疫活性作用

正常な細胞は古くなるとアポトーシスという仕組みが作動し、自ら滅びるようにできています。
このアポトーシスが機能せず、無秩序に増え続けるのが、がん細胞です。
フコイダンを摂ると、がん細胞のアポトーシスが誘導され、自ら滅びることが明らかになりました。

さらに、がん細胞は自らの周りに新しい血管をつくって、そこから栄養を取り込もうとします。
これが血管新生と呼ばれるもので、フコイダンを摂ると抑制されます。

免疫活性作用は、がん細胞と戦う免疫細胞を増やして、強くする働きです。

アポトーシスについて、さらに詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
>>がんとアポトーシスとの関係

※1 統合医療と健康を考える会.フコイダンの三大作用

もずくに含まれるフコイダン含有量について

フコイダンは褐藻類特有の成分で、中でもモズクはフコイダンを最も多く含んでいます。
例えば、乾燥したトンガ産モズク1,000gからはフコイダンを250g抽出できますが、同じ量のガゴメコンブでは40gほどしか抽出できないとされます。
つまり、食べ物からフコイダンを摂るなら、もずくがベストと言えるでしょう。

ただし、健康食品のフコイダン製品に何gのフコイダンを含有させるかは、メーカーの設計次第です。
モズクがフコイダンを多く含むことばかりを強調し、製品中の含有量を記載していないものは要注意。
また、エキスや原末の量は実際のフコイダンの量とは違いますので、きちんとフコイダンの含有量を確かめることが大切です。

まとめ

話題の成分「フコイダン」を豊富に含むもずく。
美容やダイエットはもちろん、がん予防や生活習慣病対策のためにも毎日摂りたい食材です。

また、健康食品のフコイダン製品を選ぶ際には、製品中のフコイダン含有量を確認するようにしましょう。

参考文献:
海藻フコイダンの科学.山田 信夫.成山堂書店

最近では、フコイダンを効率的に摂取できる方法として「中分子フコイダンドリンク」というものが販売されています。

毎日飲むだけで簡単に続けられるので、健康のための新習慣として、誰もが取り入れやすいといえるでしょう。

興味のある方はぜひ一度「中分子フコイダン」で検索してみてください。

1

この記事の執筆者
日置クリニック コラム編集部

がんの種類を知る

おすすめの関連記事

スマホ用のフローティングバナー