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健康の科学

アトピーを改善する食べ物は?美味しく食べてかゆみをケア

アトピーに良いとされる食べ物、悪いとされる食べ物はたくさんあります。辛いかゆみに長年悩んでいる人は、様々な情報を参考にしていることでしょう。でも、あれこれ気にしてストレスになると逆効果。大切なポイントだけはしっかり押さえて、毎日の食事を楽しみましょう。

日置医院長

この記事の監修者
日置クリニック 院長
日置 正人 医学博士

【経歴】
昭和56年3月 
大阪市立大学医学部卒業
昭和63年3月 
大阪市立大学大学院医学研究科卒業
平成5年4月 
医療法人紘祥会 日置医院開設

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アトピー性皮膚炎のかゆみは食べ物で改善できる?

アトピー性皮膚炎のかゆみは、本当に耐え難いもの。ワラにもすがる思いで遠方の病院に通ったり、漢方を試したりする人も多いと聞きます。

病院やクリニックでは、湿疹によるかゆみや赤み、乾燥などを抑える対症療法として、薬物療法やスキンケアをおこなうのが一般的です。

これに対して漢方は、体質改善を目指す根治療法として、体内を循環する要素(気・血・水)を整えるという考え方。薬食同源と言われるように、薬も食も元は同じなので、体によいものを食べれば元気になるということです。

ただ、この記事では漢方をすすめたいわけではありません。薬でかゆみをコントロールすることはとても大事ですし、かゆみのメカニズムは西洋医学の考え方で説明できます。かゆみのメカニズムが分かれば、体のなかに何を取り入れて、何を避けるべきかの目安になるのではないでしょうか。

アトピーのかゆみの原因はヒスタミン

アトピー性皮膚炎は「Ⅰ型アレルギー」というアレルギー疾患の一種です。食物アレルギー、花粉症、気管支喘息もⅠ型アレルギーに分類されます。

Ⅰ型アレルギーでは、アレルゲン(抗原)が体内に入ってくると、それを排除するために「IgE抗体」という物質が大量に作られます。IgE抗体は肥満細胞(マスト細胞)の表面にくっついて、アレルゲンを追い出すためにスタンバイします。そして再び入ってきたアレルゲンがIgE抗体と結合すると、肥満細胞から「ヒスタミン」が放出されます。このヒスタミンがアレルギー反応を引き起こすのです。

アレルギーは免疫細胞の暴走で起こる!

アレルギーは免疫反応の一部で、免疫細胞が過剰に反応することで起こります。

IgE抗体を作るB細胞も、ヒスタミンを放出する肥満細胞も、もともとは外から侵入してきた敵をやっつける免疫細胞の仲間です。つまり、体を守るために重要な役割を果たしているわけですが、アレルギー体質の人は、何らかの要因で免疫細胞のコントロールが効きにくい状態。そのため、たいして害のない食べ物や花粉、ハウスダストなどに対して、過剰に反応してしまうのです。

アトピーと食物アレルギーの関係

アトピー性皮膚炎の子どもは、食物アレルギーを発症しやすいと言われます。ひっかいて傷ついた皮膚から、食べ物に含まれるアレルゲンが入り込むからです。

そもそも食べ物は口から入ってきますが、ウイルスや細菌も一緒に取り込まれる可能性があるため、腸にはたくさんの免疫細胞が集まっています。でも、皮膚にはそこまでの免疫力がありません。というより、皮膚自体が外敵の侵入を防ぐためのバリアですが、かいて傷ついたりするとバリア機能が低下してしまいます。

だからこそ、かゆみをコントロールする薬やスキンケアが重要。アトピー性皮膚炎が改善されれば、食べられないと思っていた食べ物を食べられるようになることも多いそうです。

食物アレルギーの仕組みや症状などについては、以下の記事も参考にご覧ください。
>>食物アレルギーの仕組みや症状

腸が免疫の要と言われる理由

腸の中は、解剖学的には体の外。腸の粘膜は、口から入ってくる外敵に常にさらされているため、全身の免疫細胞の約7割が集まっているのです。これらの免疫細胞は腸でさまざまな敵と戦うことで鍛えられ、血流に乗って全身で活躍します。

また、腸内細菌も免疫力と深く関わっていることが、最近の研究で分かってきました。※1

腸には500~1000種類もの細菌が生息していますが、ある種の腸内細菌が減少すると、免疫細胞が暴走しやすくなるそうです。実は、免疫細胞には敵を攻撃する細胞だけでなく、過剰な反応を抑える細胞も存在します。「Tレグ(制御性T細胞)」と呼ばれるもので、これが暴走する免疫細胞のブレーキ役となるのです。

腸に集まっている免疫細胞は、腸内細菌が作る「酪酸」という成分に刺激されるとTレグに変身します。そのため、酪酸を作る菌が少ないとTレグが適正に生み出されなくなり、アレルギーなどの免疫疾患が起こりやすくなると考えられているのです。
※1 NHK健康ch.NHKスペシャル「人体」万病撃退!“腸”が免疫の鍵だった

毎日の食事でアトピーを改善しよう

毎日の食事でアトピーを改善しよう
アトピーなどのアレルギーを引き起こす免疫細胞の暴走を抑えるには、腸内の酪酸を増やすことが肝要。それは食生活の見直しによって、十分に可能です。また、アレルギー反応のメカニズムに着目し、おすすめの食べ物と控えたほうがよいものを紹介します。

酪酸菌の好物「水溶性食物繊維」をたっぷり摂ろう

腸内で酪酸を作る菌を「酪酸菌」と呼びます。酪酸菌は水溶性食物繊維をエサにして酪酸を作るため、食事から水溶性食物繊維をたっぷり摂れば、酪酸が増えると考えられます。

水溶性食物繊維は、野菜、キノコ、大豆製品にはあまり含まれないので、以下のような食品を意識して摂りましょう。

【水溶性食物繊維が多い食べ物】
大麦(押麦、もち麦、オートミール)、熟した果物、海藻類

食物繊維の働きなどについて、詳しくは以下の記事でも解説しています。
>>食物繊維とは?働きや摂取の方法についてご紹介

水溶性食物繊維なら海藻の「フコイダン」がおすすめ

海藻類には「フコイダン」と呼ばれる水溶性食物繊維が豊富。フコイダンは、免疫細胞のバランスを整える作用があり、アレルギーの原因となるヒスタミンの放出を抑える効果が期待できます。

実際、フコイダンをアトピー性皮膚炎モデルのマウスに投与し、症状が改善されたという報告もあります。※2
※2 NPOフコイダン研究所.抗アレルギー作用について

その他、フコイダンで報告されている作用は、現時点で以下のとおりです。

抗腫瘍・抗がん作用/抗アレルギー作用/肝機能向上作用/抗生活習慣病/抗ウイルス作用/抗ピロリ菌作用/血液凝固阻止作用/美肌作用/育毛作用

>>フコイダンについてもっと詳しく知りたい方はこちらへ。

ヒスタミンを含む食材は要注意

アトピーのかゆみの原因はヒスタミンだと述べました。食べ物のなかにはヒスタミンやヒスタミンによく似た物質(ヒスチジン)を含むものがあります。

青魚、肉類、チーズ、ほうれん草、里芋、タケノコ、トマトなどをたくさん食べると、アレルギーとは関係なく、体調や食材の状態などによって、蕁麻疹が起こることがあるそうです。

しかし、青魚にはアレルギーや炎症反応を鎮めるn-3系(オメガ3)脂肪酸が多く含まれるため、積極的に摂りたいところ。青魚で蕁麻疹が出るのは、青魚に含まれるヒスチジンが、ある種の菌が付着することによってヒスタミンに変換されるからです。つまり、問題は青魚そのものではなく、不適切な衛生管理にあります。大型の魚は流通段階で菌が付着し、ヒスタミンが蓄積している可能性がありますが、新鮮なイワシ、アジ、サバは比較的安全です。青魚は衛生的に調理して、できるだけ新しいうちに食べましょう。

よい油を選ぼう

n-3系脂肪酸は、良質な油の代表選手。青魚に含まれる「DHA」や「EPA」、エゴマ油やアマニ油に含まれる「α-リノレン酸」があり、特にDHAやEPAは、多くの研究で抗アレルギー作用が認められています。

反対に、n-6系(オメガ6)脂肪酸に属する「リノール酸」は、アレルギー反応を助長することが知られています。リノール酸は大豆油、コーン油、ごま油、ベニバナ油に多く含まれるため、調理に使う油をオリーブオイルに変えるのもおすすめです。

まとめ

 
アトピー性皮膚炎のかゆみは「ヒスタミン」によるものなので、ヒスタミンを含む食品は要注意。また、過剰なアレルギー反応を鎮めるには、「n-3系脂肪酸」を多く含む油を積極的に摂るとよいでしょう。さらに、免疫の要である腸内環境を整えるために、水溶性食物繊維をたっぷり摂ることも大切です。

フコイダンには試験管レベルの研究結果も多いですが、すでに次のような作用が実証されております。

抗腫瘍・抗がん作用/抗アレルギー作用/肝機能向上作用/抗生活習慣病/抗ウイルス作用/抗ピロリ菌作用/血液凝固阻止作用/美肌作用/育毛作用

なかでも注目したいのは、日本の死因第1位であるがんに対する作用です。

がん治療の統合医療においてフコイダンは、抗がん剤との併用が可能であり、かつその効果を高めたり、副作用を軽減したりすると期待されています。

>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ

毎日の食事に気軽に取り入れられることから、治療だけではなく予防のための活用も可能。

フコイダンは、さまざまな病気に対するよいアプローチを見込める成分です。健康維持にぜひお役立てください。

そんな美容と健康に対してさまざまな作用をもたらすフコイダンを効率的に摂取できる方法として、最近では「中分子フコイダンドリンク」にも注目が集まっています。

毎日飲むだけで簡単に続けられるので、フコイダンに興味がある方はぜひ、こちらもあわせて検索してみてはいかがでしょうか。

「中分子フコイダンドリンク」で調べると、中分子フコイダンや中分子フコイダンドリンクについてさらに詳しい情報を得ることが可能です。

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この記事の執筆者
日置クリニック コラム編集部

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