2022.01.06
フコイダン高分子フコイダンとは?その特徴や構造について解説
目次
フコイダンとは
フコイダンは、褐藻類と呼ばれる昆布やわかめ、もずくなどの海藻に含まれるぬめりのモトで、食物繊維の一種。海藻の種類や、フコイダンの大きさなどによって、効果が少しずつ異なります。
フコイダンと分子量
フコイダンについてお伝えする前に、まずは分子量についてご説明します。フコイダンは、分子量がその効果に影響を与えているためです。
分子量とは
分子量とは、その構造に含まれる元素の原子量を全て合計したもの。
元素の原子量は、C(炭素)=12、O(酸素)=16、H(水素)=1などと決まっています。たとえば、水素2個と酸素1個で構成される「水(H2O)」は、分子量18です。分子量に単位はありません。
炭素や水素などの元素がいくつも集まって、糖や硫酸基、グルコン酸といったフコイダン特有の基本構造が作られ、この基本構造が非常にたくさん連なることでフコイダンとなります。天然のフコイダンは、分子量が20〜30万のものが多く、非常に大きな塊(高分子)です。とはいえ、分子量の大きさは、分子の大きさと全くのイコールではありません。構造が糸状なのか、球のようになっているのか、枝分かれがたくさんあるのかなどによっても、塊としての大きさが多少変わります。フコイダンは、長く連なった糸状の構造が横に何本もくっついたシートのような構造です。
海藻の種類と分子量
*順番を入れ替えてここへ移動します(弊社にて対応します)
高分子フコイダン
販売されているフコイダンは、大きさによって高分子フコイダン(分子量10000以上)、中分子フコイダン(分子量1000〜10000)、低分子フコイダン(分子量1000以下)に分けられます。高分子フコイダンは、海藻から抽出されたそのままの状態のフコイダンをさすことが多いです。
フコイダンとしての性質が最も強い
高分子フコイダンはほとんど加工されていない天然の状態なので、フコイダンとしての性質が最も強いです。
抗アレルギー作用や抗生活習慣病作用、抗がん作用など、フコイダンはさまざまな効果を持っています。こうした作用を余すことなくしっかり取り入れたい場合には、できるだけ高分子のものがよいのです。それなのになぜ、分子量の小さなフコイダンが存在するのでしょうか。
そのままでは吸収されにくい
天然のままのフコイダンは、分子量が大きすぎるため体の中に吸収されにくいという難点があるのです。
食べ物は胃で消化される段階で小さく分解され、そして小腸で吸収されていきます。小腸にはたくさんの小さなヒダがあり、小さく分解された栄養素はこのヒダを通り抜けて血液中に入り込むのです。このことからもわかるように、体に吸収するためには、小腸のヒダを通り抜けられるよう、ある程度栄養素を小さくしなくてはいけません。
フコイダンは、食物繊維の一種です。食物繊維は「消化・吸収されずに大腸まで届いて便秘解消などの効果を発揮する」ものなので、そもそも体の中で分解されにくい成分。単純に海藻を食べるだけでは、分子量の大きな塊であるフコイダンを体に吸収するのは難しいです。いくら高分子フコイダンの効果が強くても、体に取り込むことができなくては意味がありませんよね。
では、フコイダンを体に吸収させるにはどうしたらよいのでしょうか。
塊を維持しつつ体内への吸収にもちょうど良い【中分子フコイダン】
そこで、人為的にフコイダンを小さくし、体に吸収しやすくしたものが「中分子フコイダン」です。中分子フコイダンは、天然のフコイダンを分子量1000~10000程度にまで小さくしたもの。しかし、ただ小さく分解できればよいというものではありません。フコイダンが作用を発揮するには、いくつかのフコース(糖)、硫酸基、グルコン酸などが連なった基本構造を崩さないことが大切です。
中分子フコイダンであれば、構造を壊さない大きさが維持されているため、健康効果が損なわれていません。フコイダンの効果を効率よく取り入れることができるでしょう。
以下の記事では、中分子フコイダンの構造、性質、吸収性を説明します。
>>中分子フコイダンとは?
フコイダンには抗がん作用がある
フコイダンの持つさまざまな作用の中で、今最も注目を浴びているのは、抗がん作用です。ここでは、3つの抗がん作用をご紹介します。
アポトーシス作用
フコイダンは、がん細胞にアポトーシス作用をおこすことで抗がん作用を発揮します。
アポトーシスは、細胞にもともと備わっているシステムで、DNAに異常がでた細胞や細胞分裂に失敗した細胞を自動的に消滅させてくれるものです。このシステムによって、本来であればがん細胞は消滅していきます。
がん細胞の中には、アポトーシスから逃れて生き延びるものが多いです。ですから、がん細胞でもアポトーシスが起こるよう促すことができれば、がんを発症しにくくなります。この働きについてもっと詳しく研究が進められていけば、フコイダンを治療へ応用することができるかもしれません。
免疫力強化
フコイダンは、がん細胞を攻撃するNK細胞の働きを高める作用があります。
NK細胞は、体の免疫をになう白血球の一種で、がん細胞・ウイルスに感染した細胞など、体にとって害のあるものを攻撃するようにプログラムされた細胞です。NK細胞の働きは、加齢とともに少しずつ弱まることが知られています。そこで、NK細胞の働きを回復させるのがフコイダンというわけです。
実際、フコイダンを摂取した人の体内では、NK細胞の働きが活発になりました。実際にがん細胞の増殖やがんの発症を抑えられるかどうかはまだわかっていませんが、実用化が期待されています。
血管新生抑制
血管新生抑制作用は、実際の抗がん剤にも存在する重要な作用です。がん細胞は、栄養をたくさん取り入れて大きくなるために、自分のまわりに新しい血管を作る(血管新生)という性質があります。
血管新生抑制作用とは、血管新生を邪魔して、がん細胞を兵糧攻めにして消滅させるような作用です。フコイダンにも血管新生抑制の作用がわかっており、現在、人の体内でも効果があるかどうかの検証が期待されています。
フコイダンに副作用はない
フコイダンは、海藻に含まれる食物繊維です。がん細胞にダメージを与える作用は発見されていますが、その他の正常な細胞にはダメージを与えないと考えられています。
抗がん剤で吐き気や脱毛などの副作用が起こるのは、抗がん剤が正常な細胞にも少なからず影響を与えてしまうためです。フコイダンはがん細胞だけにアプローチするため、現状では、抗がん剤のような副作用はないだろうといえます。
がん細胞のみに働きかけ、正常細胞に対してはダメージを与えないという実験結果もあります。
フコイダンとがんについて、さらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
がんの症例別に、中分子フコイダン療法による6つの臨床報告も載せています。
>>フコイダンはがんに作用する?フコイダン療法と低分子・中分子・高分子の違い
まとめ
今回は、フコイダンについて、また、その効果について、現在わかっていることをご紹介しました。海藻に含まれる天然のフコイダンは、体の中で分解・吸収がされにくいです。一方で、あまり小さく加工しすぎても効果が弱まってしまいます。中分子フコイダンは、このデメリットを克服したもの。フコイダンの効果を積極的に取り入れたい方は、中分子フコイダンを試してみませんか。
近年ではがん治療の統合医療にも、フコイダンが用いられるようになっています。
中分子フコイダンが持つ作用が、がん治療に良い効果をもたらすと期待されているためです。
具体的には、フコイダンは抗がん剤との併用が可能であり、かつその効果を高めたり、副作用を軽減したりする可能性が示唆されています。
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
フコイダンには、まだまだ秘められたパワーがあると考えられます。
今後研究が進むことで、私たちの健康に対しても医療分野に対しても、さらなる恩恵をもたらしてくれることでしょう。
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