2024.06.27
がん胃がんの検査方法とは?前兆の症状や費用について解説!
胃がんは、日本人に多く発症するがんの一つです。胃がんの前兆を逃すことなく早期発見できれば、高い完治率を誇るのも胃がんです。
しかし、初期段階では自覚症状がほとんどなく、進行してから気付かれることも少なくありません。そのため、日頃から胃がんの前兆や異変を見逃さず、定期的な検査を受けることが大切です。この記事では、胃がんの前兆や検査方法、さらにそれにかかる費用について詳しく解説します。
胃がんとは
胃がんとは、胃の内側を覆う粘膜細胞ががん化する病気で、胃壁に発生する悪性腫瘍の一つです。胃は食物を消化する重要な役割を持つ臓器で、がんが発生すると消化不良、食欲不振、腹痛などの症状が現れます。
胃がんは、早期の段階で発見されれば治療の成功率は高いですが、進行すると他の臓器へ転移するリスクなどもあり、どの段階で発見するかにより治療の成功率が大きく変わります。
日本ではピロリ菌感染や高塩分の食事が主なリスク要因とされています。
胃がんの概要についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
>>胃がんとは?原因・治療法・予防法を分かりやすく解説
胃がんの前兆
胃がんは、初期段階ではほとんど自覚症状がないため、発見が遅れることが少なくありません。胃がんの初期症状や前兆にあたる症状として、げっぷや吐き気、胸やけなど消化器症状が出現するとこもありますが、これらの前兆は必ずしも胃がん特有のものではありません。これらはストレスや消化不良、胃炎など他の胃疾患でも見られるため、軽視されがちです。
こうした症状が継続的に見られる場合は、胃がんの前兆である可能性も考えられるため、早期に医師の診察を受け、必要な検査をおこなうことが重要です。
胃がん初期の概要についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
>>胃がんの初期「ステージ0-1期」の症状・治療法・余命を解説。食べてはいけないものは?
胃がんの検査
胃がんは日本人のがん罹患率が多いがんです。罹患率・死亡率ともに男性の方が女性より高いのが特徴で男女ともに50歳代から増加し始め、高齢になるほど増えていきます。胃がんにかかっても自覚症状や前兆が比較的乏しく、進行するまで気がつきにくいのも胃がんの特徴です。一方で、胃の痛みや出血、食欲不振など日常生活に不便を感じる不快な症状でもあるため、症状鎮静化を目的とした受診をきっかけに検査を受けて、がんが見つかることもあります。
(参照:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000114067.pdf|P2)
胃がんの検査には、問診や画像診断、内視鏡検査、生検などがあります。ここでは、検査方法の詳細について解説します。
問診
胃がんの検査の第一歩として、おこなわれるのが「問診」です。問診では、患者さんが感じている症状、生活習慣、過去の病歴などを詳細に聞き取ります。
たとえば、症状がいつから始まったのか、悪化しているのか、あるいは改善しているのかなど、患者の現状を把握するための質問がなされるのが一般的です。
また、これまで他の病院での診察や治療を受けた経験があるか、過去の診断や治療内容、服用している薬やアレルギーの有無なども合わせて確認します。
さらに、胃がんにともなう問診では患者さんの家族歴も確認されます。胃がんやその他のがんを経験した血縁者がいるかどうかといった情報も、がんリスクを評価するために重要です。
胃部X線検査(バリウム検査)
日本では胃がんの罹患率が高いことから、胃がんの早期発見につながる検査を積極的に行っています。厚生労働省のガイドラインでも2年に1回の胃がん検診を受けるようにとのガイドラインも制定されています。実際に各自治体のがん検診などでもおこなわれている、比較的身近に感じられる胃がんの検査の一つが「バリウム検査」です。
一般的にバリウム検査は自治体で受けるとなると、無料〜数千円程度の比較的安価な費用で受けられます。実際に西東京市のホームページを参考にすると、胃がん検診のバリウム検査を受ける際は無料との記載がありました。(参照:https://www.city.nishitokyo.lg.jp/kenko_hukusi/seizinhoken/kensin/igankenshin.html)
バリウムは硫酸バリウムと呼ばれる造影剤の他に発泡剤なども合わせて混合され他薬液のことを指しています。発泡剤によりしぼんだ胃を膨らませて撮影するレントゲン撮影検査です。
一般的には、バリウム検査のほうが液体を飲んでレントゲン撮影をするだけなので簡単だと思われがちです。しかし、患者さんによっては必ずしも簡単ではありません。
撮影台に乗りながらではありますが、体を動かして撮影する過程でどうしてもゲップをしてしまい、その都度発泡剤を飲まされて検査を継続するため、「苦しかった」と訴える人もいます。
胃内視鏡検査(胃カメラ)
胃がんの精密検査の一つとして、口から内視鏡を入れて胃の内部を観察する「胃カメラ」もあります。胃カメラとは、実際には内視鏡検査のことで、内視鏡のチューブを飲み込んでその先にある胃の粘膜を観察する検査です。
内視鏡チューブの先端には、ライトとCCDカメラが付いており、胃の病変を直接目で見て胃の粘膜の異変をとらえます。胃の粘膜を直接観察し、がんが疑わしい場合は合わせて広がりや深さなども確認します。
時にはその場で疑わしい病変を採取して検査をしたり、そのまま病変部位を取って治療を施す場合もあります。
近年では、口から入れる内視鏡の他に、体への負担を配慮した鼻の穴からカメラを挿入し観察する経鼻胃カメラ検査を行える施設も増えています。
しかしながら、その場で治療や細胞診を必要とする場合は口からアプローチする経口内視鏡のほうが適しているといえるでしょう。
胃カメラは内視鏡チューブを直接飲み込み、検査が終了するまで口を開けっぱなしにしなければならないため検査自体に苦痛を感じる方も少なくありません。
特に喉の違和感を完全に取る方法はなかなかないため、どうしても吐き気をコントロールできず、終始むせこみがおこったり苦痛を感じる場合にはバリウム検査の方が検査しやすいといえます。
バリウム検査と胃カメラの比較
一般的な胃がん検診では、バリウム検査か胃カメラのどちらかを胃がん発見のための導入検査としています、胃カメラとバリウム検査は両方とも一長一短で胃がん検診としてどちらが優れているかというのは一概にいえません。
以下にバリウム検査と胃カメラのメリット・デメリットを比較しました。
メリット | デメリット | |
胃カメラ |
・直接的に胃の内部を観察でき、詳細な粘膜の異常を確認できる ・がんやその他の病変をその場で発見し、必要に応じて細胞診や治療を行える ・最新技術では鼻からの挿入により、体への負担が軽減された検査方法もある ・正確性が高く、早期発見に有効 |
・検査中にチューブを飲み込む必要があり、吐き気や不快感をともないやすい ・特に喉の違和感を感じやすい方には苦痛をともなう ・検査費用がバリウム検査に比べて高いことがある ・麻酔を使用する場合もあり、検査後に多少の回復時間が必要 |
バリウム検査 |
・比較的簡単に行える検査で、身体への負担が少ない ・自治体の検診では無料または低コストで受けられることが多い ・内視鏡検査に比べて、不快感が少なく、ゲップや動作の苦労を除けば検査による侵襲は軽い ・全国的に広く普及しており、手軽に受けられる |
・精度が胃カメラに劣り、がんの発見が難しい場合がある ・がんの疑いがある場合でも、追加で内視鏡検査が必要となることが多い ・バリウムを飲む過程や発泡剤を飲むことが苦手な方もおり、不快感を訴える場合がある ・検査後のバリウム排出のため、下剤が必要になる |
ただし、胃カメラに関しては決定的に優れている点が1つあります。それは、胃カメラの場合、通過する過程で観察できる食道の状況も詳細に観察できるということです。
胃と食道は連続した臓器であるため、時として胃がんにともない食道がんの病変が発見できることもあります。
バリウム検査の場合は食道がバリウムをざっと流れてしまうため、レントゲンで病変を確認することは非常に困難です。
また、スキルス性胃がんという表面に腫瘤が隆起しないタイプの胃がんであれば、バリウム検査での発見は困難を極めることがあります。スキルス胃がんは胃カメラで確実に確認できるというわけではありませんが、胃の粘膜を直接観察できる胃カメラのほうがスキルス胃がんの検診に関しては向いているといえるでしょう。
胃がんに併発して起こりうる食道がんの概要についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
>>食道がんの初期「0・1期」の症状は?治療法~再発予防、余命までを解説
超音波内視鏡検査(Endoscopicultrasonography:EUS)
病状や症状として疑わしい場合は、必要に応じて超音波内視鏡検査をおこなうこともあります。胃カメラの装置の先端部に超音波装置が付いているチューブを用いて粘膜下の深層部や胃の壁などを観察します。
超音波内視鏡検査は胃がんの浸潤やリンパ節の腫れなども合わせて調べられるので胃がんの広がり具合を確認する際に使われます。
CT検査(ComputedTomography)
リンパ節転移の有無や広がりを調べる時にはCT検査が有用です。CT検査はX線で体の周辺から撮影したデータをコンピューター処理により、輪切り状にして確認することができる検査です。
がんの広がり具合や他の近隣臓器への転移の有無などを調べることができ、治療方針を決めるときの判断材料になります。より鮮明な撮影像を抽出したい場合には、造影剤と呼ばれる薬液を注入してCT撮影をおこなう造影検査もあります。
MRI検査(Magnetic Resonance Imaging)
MRI検査は、磁気と電波を使って体内の詳細な画像を得る方法で、放射線を使用しないのが特徴です。MRIは軟部組織や血管の詳細な画像検出に優れていて、胃がんの転移や他の臓器への影響を確認する際に役立ちます。
CTは短時間で撮影が可能で、骨や急性疾患の診断に優れている一方、放射線を使用するため被曝のリスクが高いのが難点です。一方MRIは被曝の心配がなく、精密な画像撮影が可能ですが、撮影時間が長く磁器を使うため、金属を体内に入れている患者などは受けられない場合もあります。
CTとMRIそれぞれに得意な画像検出があるため、どちらも検査目的に応じて適切に使い分けられます。
PET検査(PositronEmissionTomography)
PET検査は、がん細胞が通常の細胞よりも多くのエネルギーを消費する特性を利用して、体内のがんの位置や大きさを検出する画像診断法です。
PET検査では、ブドウ糖に放射性同位元素と呼ばれる物質を含めた薬剤を体内に注入し、その物質ががん細胞に集まる様子を撮影します。
がん細胞はより多くのブドウなどを消費するため、がんの転移や再発の確認が可能となり通常の画像診断では見つけにくい小さな病変も発見できる可能性があります。
しかし、PET検査は放射性物質を使用するため一定の被ばくリスクがともないます。また、費用が高額なため、すべての医療機関で対応できるわけではありません。
がんとブドウ糖の関係性についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
>>がんとブドウ糖の関係性とは?がんが増殖する仕組みと取るべき栄養素についても解説
ヘリコバクターピロリ抗体検査(血液検査など)
ヘリコバクターピロリ抗体検査は、血液中にヘリコバクターピロリ菌に対する抗体が存在するかどうかを確認するもので、ピロリ菌に感染しているかを調べるための検査です。
ピロリ菌は慢性的な胃炎や胃潰瘍を引き起こすだけでなく、長期感染によって胃がんのリスクも高めることが知られています。
この検査により、ピロリ菌の感染状況が分かり、感染が確認された場合には除菌治療を検討することができます。
ただし、この検査は胃がんの有無を直接確認するものではなく、あくまでリスク評価の一環としておこなわれます。
ペプシノゲン検査(ABC検査)
ペプシノゲン検査は、血液中に含まれるペプシノゲンという酵素の値を測定することで、胃の粘膜の健康状態を評価する検査です。
ペプシノゲンの値が低下している場合、胃の萎縮や慢性胃炎が進行している可能性が高く、胃がんのリスクが増加することがわかっています。ペプシノゲン検査は血液検査で検査が可能で、しかもバリウム検査よりも早期の胃がんの発見率は約2.7倍も高いといわれています。
胃がんリスクの初期段階の検査として有効といえるでしょう。しかし、ペプシノゲン検査自体では胃がんそのものを直接診断することはできません。また、値が高くても必ずしも胃がんが存在しているとは限らず、追加の精密検査が必要となる場合もあります。
自宅でできる胃がんリスク検査キット
近年、胃がんリスクを簡単に自宅で調べることができる検査キットも登場しています。一例として、とある検査キットでは尿を自宅で採取し、検査キットをラボに送付するだけで胃がんのリスクを判定することが可能です。通常の検査に比べて非侵襲的かつ、手軽にリスクを把握できるのがメリットです。
検査の流れは非常に簡単で、まず検査キットを購入し、自宅で尿を採取して送付します。そのあと、自宅で検査結果を受け取ることができます。万が一リスクが高かった場合には、どの科でどのような追加検査を受けるべきか、具体的な提案を受けることもできます。
しかしながらあくまでもセルフ検査キットの一つなので、医療現場で受ける検査の補助的な意味合いで検討しましょう。
胃がんの検査や治療にともなう費用
胃がんに限らずですが、日本では「国民皆保険制度」を導入しているためすべての国民が何らかの公的医療保険に加入しています。
加入している保険や年齢収入により最終的に支払う金額は1割から3割程度になりますが、医療保険が認められている保険診療以外の治療や薬などを使用する「保険外診療(自由診療は全額自己負担となります。
一般的な胃がんにともなう検査費用の目安
胃がんの発見や病状を把握するための検査には、さまざまなものがあります。10割負担の場合の、検査費用の目安は以下のとおりです。
- 内視鏡検査 15,000~20,000円
- バリウム検査 5,000~10,000円
- 超音波内視鏡検査 16,000円
- 内視鏡検査を含む生検 32,000円
- CT検査 16,000円
- CT造営検査 28,000円
- ヘリコバクターピロリ菌抗体検査 3,000~5,000円
- ペプシノゲン検査 4,000円
使用している健康保険にもよりますが、何かしらの症状があればこのうちの1割から3割を自己負担として支払い検査を受けることができます。しかし健康診断として受けるのであれば、費用の10割が自己負担となることもあります。
高額療養費制度
保険診療については医療費の一部を自分で支払うことになりますが、手術や長期間に及ぶ薬物療法などを受けることを考えると、がん治療の金銭的負担は少なくありません。医療費が高額になることも多々あるため、医療費を軽減できる高額療養費制度については仕組みなども含めて理解しておくことが重要です。
(参照:https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000138069.pdf|P31)
厚生労働省の資料を参照すると、年齢や収入により月単位の上限は異なりますが、患者さん自身の医療費の支払いが高額になってしまった場合、制度を活用することで1月あたりの自己負担限度額を決まった額まで抑えることができます。
まとめ
胃がんは、早期発見によって治癒の可能性が大きく高まる病気です。前兆となる症状を見逃さないことはもちろん、定期的な検診を受けることが健康を守るための大切な心がけとなるでしょう。
胃カメラやバリウム検査、さらには新しい検査技術も加わり、個々の状況に合った検査を選択できるようになっています。費用面においても、公的な医療保険や高額療養費制度の活用で、負担を軽減する方法がありますので、ぜひ検査を積極的に受けることを検討しましょう。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
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