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膵臓がんステージ4の治療方法は?症状や余命について解説!

膵臓がんステージ4の治療方法は?症状や余命について解説!

膵臓がんは「発見が難しく、進行が早い」とされる非常に厳しいがんの一つです。中でもステージ4は、すでに他の臓器やリンパ節への転移が確認されている段階であり、根治的な治療が困難なことも少なくありません。

この記事では、膵臓がんステージ4の定義や症状、治療法、余命の現状に加え、近年注目されている心と体の関係や補完療法まで、大切な情報をわかりやすく解説します。
この情報が、あなたの「今できること」を見つける手助けとなれば幸いです。

日置医院長

この記事の監修者
日置クリニック 院長
日置 正人 医学博士

【経歴】
昭和56年3月 
大阪市立大学医学部卒業
昭和63年3月 
大阪市立大学大学院医学研究科卒業
平成5年4月 
医療法人紘祥会 日置医院開設

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膵臓がんとは

膵臓がんとは
膵臓がんは、消化液や血糖を調整するホルモンを分泌する「膵臓」に発生する悪性腫瘍です。初期段階では自覚症状がほとんど現れず、発見された時点ですでに進行しているケースもあることから、「沈黙の臓器にできるがん」とも呼ばれています。日本では年々罹患者数が増加傾向にあります。

膵臓がんのステージ4とは

膵臓がんも他のがんと同様に、がんの進行の程度をステージという病期で分類します。ステージ4はがんの広がり方に関わらず、周辺のリンパ節への転移や他の臓器の遠隔転移が確認されている状況です。

膵臓は、解剖学的な構造や周辺組織との位置関係から非常に転移しやすい臓器でもあります。周辺には胃や腸、肝臓などがあり、リンパ管や主要な血管も豊富なため、転移しやすい状況になっているのです。

膵臓の働き

膵臓は肝臓や腸などと比較するとなじみがない臓器かもしれませんが、人体にとって重要な役割を持っています。膵臓の重要な働きの一つに消化液を分泌する機能があります。

膵液には糖を分解するアミラーゼ、タンパク質を分解するトリプシン、脂肪分解するリパーゼなどの消化酵素が含まれています。これらの消化液は1日に約1リットル以上分泌されているのです。

そしてもう1つの機能はホルモン分泌機能です。血糖値を下げるインスリン、血糖値をあげるグルカゴン、そしてインスリンやグルカゴンなどのホルモンの分泌を抑制するソマトスタチンなどの分泌を担っています。

膵臓がんの原因・リスク

膵臓がんの原因・リスク
膵臓がんのリスクには、家族歴や既往歴などの体質的な要因だけでなく、喫煙・飲酒・肥満といった生活習慣の影響も大きいとされています。この章では、膵臓がんの発症につながりやすい主なリスク因子と、それに関わる生活習慣について解説します。

膵臓がんの発症原因につながりやすいリスク因子

膵臓がんにはいくつかのリスク因子があります。注意すべき膵臓がんのリスク因子は次の4つです
①膵臓がんの家族歴や既往歴
②膵管の変化
③膵臓の病気
④糖尿病

特に重要な要素になっているのは家族性膵臓がんの人です。親兄弟、姉妹、子どもに膵臓がんの患者がいる人で、罹患数が2人以上いる家系を「家族性膵がん家庭」とカテゴライズしています。実際に膵臓がんの発症原因として5倍以上になると考えられているのです。

また、膵管の変化や膵臓の疾患も膵臓がんにつながりやすい原因の一つです。糖尿病も膵臓がんの原因につながる疾患とされています。詳細については後述します。

膵臓がん発症リスクにつながりやすい生活習慣

飲酒や喫煙・肥満も膵臓がんのリスクになりえます。喫煙は膵臓がんに限らずあらゆるがんの危険因子です。実際に膵臓がんの発症リスクとしては1.7〜1.8倍 になると考えられています。

飲酒も膵臓がんの発症原因の一つです。実際に慢性膵炎の原因として多いのはアルコールの摂取。適量ならよいのですが飲み過ぎは危険と考えておきましょう。

さらに肥満も発症リスクを1.7倍以上 に高めます。特に20代の肥満男性は3.5倍 まで膵臓がんのリスクが高まるので要注意です。

膵臓がんにつながりやすい病気

膵臓がんは、突然発症するというよりも、膵臓に関わる他の病気や異常が原因となって、徐々に進行していくケースも少なくありません。特に、膵嚢胞・膵炎・糖尿病といった病気は、膵臓がんの前段階や関連リスクとして位置づけられています。

ここでは、膵臓がんの発症リスクを高める代表的な疾患について、個別に詳しく見ていきましょう。

膵嚢胞

膵臓がんは、その発生の9割以上が膵管から生じるといわれています。つまり膵管の変化が生じている状態は膵臓がんの大きな危険因子となっているのです。

その一つとして膵管の拡張が見られる膵嚢胞は膵臓がんになりやすい疾患の一つとされています。膵管の拡張については2.5mm以上の拡張は膵臓がんのリスクとされ、要注意と判断します。

膵炎

慢性膵炎や急性膵炎などの膵臓の疾患があると膵臓がんのリスクが高まります。急性膵炎は膵液によって膵臓が溶けてしまう急性の疾患で、強烈な痛みを引き起こすのが特徴です。中高年になってから急性膵炎を発症したときには要注意です。治療後も最低2年間は注意して経過観察することが大切です。

慢性膵炎は炎症が長く続くことで膵臓が繊維化し、硬くなり機能が衰えていく状態です。慢性膵炎も膵臓がんになる可能性が跳ね上がるといわれています。

糖尿病

糖尿病と膵臓がんには、密接な関係があるとされていて、近年の研究でもその関連性が注目されています。特に2型糖尿病の人は、膵臓がんの発症リスクが約2倍に 高まるという報告もあります。

糖尿病によって慢性的に高血糖状態が続くと、インスリンの分泌や膵臓の内分泌機能に負担がかかり、膵臓組織にダメージを与えることがあります。また、インスリンの過剰分泌や膵内環境の変化が、膵臓細胞の異常な増殖(がん化)を誘発するというメカニズムも指摘されています。

糖尿病を持っている人は、血糖コントロールだけでなく、膵臓の状態を定期的にチェックすることも、膵臓がんの早期発見にもつながるでしょう。

膵臓がんの検査

膵臓がんは、早期発見が難しいとされるがんの一つです。そのため、複数の検査を組み合わせて精密に診断をおこなうことが重要です。膵臓がんの検査では、血液検査や画像診断、内視鏡検査などが用いられ、がんの有無や進行度、転移の状況を詳しく調べていきます。ここでは、それぞれの検査方法の特徴や役割について解説していきます。

血液検査

膵臓がんを診断するための血液検査では採取した血液の中から、膵臓の酵素、腫瘍マーカー、糖尿病について検査します。膵酵素や腫瘍マーカー、血糖値の検査はいずれも膵臓がん以外の原因でも異常値を示すことがあります。ですので、膵臓がんを疑う異常がある時は、画像検査や病理検査と組み合わせて検査を進めるのが一般的です。

画像診断

膵臓がんの疑わしい症状がある場合や血液検査で異常が疑われた場合、画像検査に進むこともあります。画像検査にはいくつかの種類があり、どの検査にも長所と短所があります。それぞれの長所を活かしながら膵臓がんの発見へとつなげるのが一般的です。

エコー

体の表面に当てた器械から超音波を発し、臓器に反射した超音波の様子を画像化する検査です。患者さんに負担がなく短時間でおこなえるのはメリットですが、膵臓は体の奥の方にあるため胃や腸などにガスがたまっていると、超音波が膵臓まで届かず十分に観察できないのがデメリットです。

CT

CT検査は、X線を体の周囲から当て、体を1〜2mmほどの幅で横断面で輪切りにした画像を抽出する検査です。膵臓全体をくまなく検査することができます。膵臓を精密に調べたいときは造影剤と呼ばれる薬液を注射してから造影CTの検査をおこないます。

MRI・MRCP

強力な磁力と電波を使い、CTと同じように体を輪切りにした画像を抽出する検査です。CTと同様により詳しく調べたいときには造影剤を使って検査を進めます。またMRIの装置を使ってMRCP胆道撮影という検査をおこなうこともできます。これは造影剤を使わずに膵管や胆管の詳細な画像が取れる方法です。

内視鏡検査(EUS・ERCP)

CTやMRIなどによる画像検査で膵臓がんが疑われた場合は、次に超音波内視鏡検査へと進みます。内視鏡の先端に超音波を発する装置がついているものを使用し、胃や十二指腸の壁越しに膵臓を観察する超音波内視鏡検査・EUSという方法です。

体外から検査する腹部エコーは画像の抽出には限界がありますが、EUSであれば体の内側から膵臓に対して至近距離で検査できるため、他の画像検査より詳細に膵臓を観察することができます。

膵臓がんの症状

膵臓がんが怖いといわれる要因には、初期の段階ではほとんど自覚症状がなく、見つかった時点である程度進行してしまっていることが多いところです。

膵臓がんの症状が現れたときには、ある程度進行していたととしても、なるべく早く異変に気付き治療に移るためには、膵臓がんの自覚症状について知っておくことが大切です。

腹痛

膵臓がんの症状の一つとして多く見られるのが腹痛です。腹痛につながる要因としては、がんによって膵液の流れる管が狭くなり、膵液の流れが悪くなるからです。膵液の流れが滞ることによって膵臓自体に炎症が広がることで生じます。また、がんが膵臓のまわりにあるお腹の神経を巻き込むことで強い腹痛につながることもあります。

腹痛は自覚しやすい症状の一つではあるのですが、お腹が痛い=膵臓に異変があると考える人はあまりいないかもしれません。

そのため、胃の不調かな?と思ってしまい、病院を受診しないケースもありえるでしょう。また、膵臓の異変については、お腹のレントゲンや一般的な内視鏡で検査をしても異常は見つからないことも少なくありません。原因がはっきりしないまま過ごしているうちに黄疸が現れるようになり、はじめて膵臓がんを疑うケースもあるのです。

黄疸

膵臓がんの代表的な症状の一つに黄疸があります。膵臓がんが原因による黄疸は、肝臓で作られた胆汁という消化液が、膵臓がんにより増大した悪性腫瘍によって圧迫され胆管の流れが滞ることで胆汁により全身が黄色くなるために生じます。

背部痛

背部痛も膵臓がんにともなって見られる症状の一つです。食事をした直後は消化のために膵液の分泌が促されます。膵臓がんにより膵管を圧迫していると、膵管の内側にかかる圧力が高まってしまい背中側に痛みが出るのです。膵臓は胃の裏側にあるため、背中側に痛みが生じます。

特に甘いものや油っこいものを食べ過ぎたときに背中が痛くなる場合は、膵臓の異常発見につながることもあります。甘いものや油っこいものは消化のために多くの膵液が必要になるため、膵管の圧力が高くなりやすいのです。

下痢・軟便

下痢や軟便も、膵臓がんにより生じやすい症状の一つです。膵臓が作る膵液には、食べたものを分解する消化酵素が含まれています。それが不足することで消化吸収がうまくいかなくなり、下痢や軟便といった症状が現れます。

腹水

膵臓がんが進行すると、腹腔内に「腹水(ふくすい)」と呼ばれる液体が異常にたまることがあります。これはがん細胞が腹膜に転移したことによって、腹膜から分泌される液体の吸収と排出のバランスが崩れ、液体が腹腔内に漏れ出してしまう現象です。

腹水がたまると、お腹が張って苦しくなったり、食欲が低下したり、体を動かすのもつらくなることがあります。また、見た目にもお腹が膨らんでくるため、体重が増えたように感じる人もいますが、これは水分による増加であり、栄養状態はむしろ悪化しているケースも少なくありません。

膵臓がんにおける腹水は、病状がかなり進行していることを示すサインの一つです。根本的な治療が難しい場合には、腹水を抜いて一時的に症状を和らげる「腹水穿刺(せんし)」や、腹水濾過濃縮再静注法(CART)などを用いた栄養状態の管理、痛みや不快感の緩和を重視した緩和ケアが中心となることもあります。

ステージごとの症状が知りたい場合にはこちらの記事も参考にしてください。
>>膵臓がんステージ2・3の治療法は?原因や余命について解説!
>>膵臓がんステージ1の症状は?原因や検査方法を解説!

膵臓がんの転移

膵臓がんの転移
膵臓がんは転移しやすい特徴もあります。膵臓は胃や大腸と違って筋層がありません。これは、がん細胞に対する防御機能が低いともいえるのです。そのため、膵管にがんが発生した場合、がん細胞は容易に膵臓の外へと広がってしまうのです。

しかも膵臓の内部には多数のリンパ管や血管が通っています。膵臓の周辺には胃や十二指腸、大腸などの消化管や主要な動脈、大動脈、門脈などの重要な血管があります。その構造と周辺組織の解剖学的な位置付けにより、転移の早いがんといわれているのです。

肝臓

膵臓がんの転移先として多いのが肝臓です。これは、膵臓からの血液が門脈という血管を通じて肝臓に流れ込む構造上、がん細胞が血流に乗って肝臓に運ばれやすいためです。

肝転移が起きても、初期には自覚症状がほとんどありません。しかし、進行すると食欲不振、体重減少、倦怠感、右上腹部の違和感や痛み、黄疸などが見られることもあります。

肺も膵臓がんの遠隔転移先として知られています。肺転移は、血液やリンパ液に乗ってがん細胞が運ばれ、肺に定着することで起こります。

肺転移がある場合でも、初期段階では咳や息切れなどの症状がないことも珍しくありません。。しかし、進行すると呼吸困難、胸痛、血痰などの症状が現れることがあります。

膵臓がんが骨に転移することは比較的まれですが、がんの進行が高度な場合には見られることがあります。骨転移は、腰や背中、骨盤、脚の骨に多く発生する傾向があります。

骨転移により、骨の痛み、運動制限、病的骨折(わずかな衝撃で骨が折れる)、高カルシウム血症(倦怠感、吐き気、意識障害をともなう)などの症状が出ることもあります。

腹膜

腹膜播種(ふくまくはしゅ)は、膵臓がんの進行例でよく見られる転移形式のひとつです。がん細胞が腹腔内に散らばり、腹膜に付着・増殖することで起こります。

腹膜転移によって腹水がたまると、腹痛、食欲不振、消化不良などの症状が見られるほか、腸閉塞を引き起こすこともあります。

膵臓がんステージ4の治療法

膵臓がんステージ4の治療法
膵臓がんのステージ4は、がんが膵臓の外にまで広がり、他の臓器やリンパ節への遠隔転移が確認されている状態です。この段階では外科的手術による根治は困難であることが多く、延命と症状の緩和を目的とした治療が中心となります。

治療の選択肢には、全身に作用する薬物療法(化学療法)をはじめ、がんの進行を抑える放射線療法、そして患者さんの苦痛を軽減しQOLを維持する緩和ケアなどがあり、それぞれの治療は患者さんの状態に応じて組み合わせながらおこなわれます。

ここでは、ステージ4膵臓がんに対しておこわれる主な治療法についてわかりやすく解説します。

薬物療法

ステージ4の膵臓がんに対して最も一般的におこなわれるのが、薬物療法(化学療法)です。転移が広がっている段階では外科的切除が難しいため、全身に作用する抗がん剤によってがんの進行を抑える治療がおこなわれます。

代表的な治療方法には以下のようなものがあります。

ゲムシタビン(Gemcitabine)療法:副作用が比較的少なく、高齢者や体力が低下している患者にも使用されやすい治療です。がんの増殖を抑え、症状の緩和や延命効果が期待できます。

FOLFIRINOX療法(5-FU+オキサリプラチン+イリノテカン+ロイコボリン):比較的体力のある方に適用される強力な多剤併用療法で、ゲムシタビン単剤よりも効果が高いとされています。ただし、副作用も強いため、患者の全身状態を考慮して選択されます。

ゲムシタビン+ナブパクリタキセル(アブラキサン)併用療法:2010年代に登場した新しい組み合わせ療法で、FOLFIRINOXよりは副作用がやや軽いとされつつも、ゲムシタビン単剤よりも高い効果が報告されています。

薬物療法は膵臓がんの治癒を目的とするのではなく、「延命」と「症状緩和」を目指した治療です。治療の効果は個人差があり、がんの進行スピードや患者さんの体調、合併症の有無などによって使用できる薬剤やその組み合わせが変わります。

放射線療法

放射線治療は放射線を外に繰り返し照射することで、がん細胞を死滅させ病気の進行を食い止める治療法です。膵臓がんでおこなわれる放射線治療は多方向から弱い線量のX線をがんに向けて照射し、がんのある部位で重なり合うことで線量が最大になるような治療がおこなわれます。

重粒子線や陽子線などの粒子線は、X線とは異なり体の表面近くではエネルギーが低く体の奥まで進んで粒子が停止する直前にエネルギーが最大になるという特徴があります。そのため、粒子線の深さや幅を調整することで、膵臓がんの周囲にある正常な組織の影響を少なくできる方法として取り入れられているのです。

緩和ケア

膵臓がんステージ4では、根治を目的とした治療が難しいケースもあり、患者さんの生活の質(QOL)を維持・向上させるための「緩和ケア」が非常に重要です。

緩和ケアとは、単に「終末期のケア」ではなく、がんと診断された時点から痛みや不安、吐き気、食欲不振などの身体的・精神的なつらさを軽減するためのケアを指します。

膵臓がんでは、特に腹痛・背部痛・食欲不振・黄疸・腹水などが出やすいため、痛み止めの使用や黄疸の軽減のためのドレナージ処置、栄養サポートなども含まれます。

また、精神的な支援やご家族のサポートも含め、いろいろな職種が連携して「その人らしく」過ごせる時間を支えるのが緩和ケアの目的です。

膵臓がんス テージ4は手術の適応にならないことが多い

膵臓がんのステージ4では、すでに他の臓器やリンパ節への遠隔転移が確認されている状態であり、がんが膵臓の外に広がっているため、原則として手術による根治は難しいとされています。

外科的切除は「がんを取り切れる状態」が前提ですが、ステージ4の場合、転移病巣が多発していることもあり、仮に膵臓を切除しても全身のがんを制御できないため、手術による治療効果が期待できません。

しかし、手術がまったくおこなわれないわけではなく、黄疸や腸閉塞などの症状を緩和する目的でバイパス手術やステント留置などの対症的な手術がなされる場合もあります。

このような手術は、がん自体を治すことが目的ではなく、患者さんのQOL向上を図るための選択肢として実施されます。

標準治療以外の治療

標準治療以外の治療
膵臓がんのステージ4においては、標準治療(薬物療法・放射線療法など)での改善が難しいケースもあります。

一部の患者さんやご家族は、補完代替医療と呼ばれる標準治療以外の選択肢に関心を持つこともあるでしょう。

代表的なものとしては「フコイダン療法」や「光線力学療法」などがあげられますが、効果や安全性については、慎重な評価が必要です。ここではその一例として「フコイダン療法」について解説します。

フコイダン療法との併用

フコイダン療法とは、モズクやコンブ、ワカメなどの海藻に多く含まれる水溶性の食物繊維「フコイダン」を摂取することで、がんに対して何らかの有用な作用を期待する補完療法の一つです。

フコイダンには、動物実験や基礎研究において、がん細胞のアポトーシス(自然死)を促す作用や免疫細胞の活性化、血管新生の抑制効果などが示唆されています。これらの特性から、がんの進行抑制や副作用軽減への効果が期待されています。

標準治療だけでは不安を感じている方や、何か一歩前に踏み出したいと考える方にとって、フコイダン療法は選択肢のひとつとなる可能性があります。がんの種類や進行度にかかわらず、幅広く取り入れられている点もこの療法の特徴です。その詳しい内容に関心のある方は、以下のページをご参照ください。

>>>専門医と始めるフコイダンサプリ療法について

膵臓がんステージ4の余命は?

膵臓がんステージ4の余命は?
(参照:https://hbcr-survival.ganjoho.jp/graph#h-title

膵臓がんは「がんの中でも特に予後が厳しい」といわれており、ステージ4における5年生存率は約1.5%と報告されています。

これは、診断時にはすでに他の臓器へ転移しているケースが多く、手術が難しいことも一因です。

しかし、生存率はあくまでも統計上の「平均値」です。実際には一人ひとりの体力、治療への反応、生活環境、精神的な支えによって経過は大きく異なります。

また、近年では新しい治療法の進歩により、生存期間を延ばせる可能性も広がってきています。さらに、痛みや不安を和らげる「緩和ケア」の質も向上しており、治療の先にある“その人らしい時間”を大切にする医療が進んでいます。

たとえ数字が低くとも、そこに込められた未来は一人ひとり異なります。必要以上に悲観せず、「今できること」に目を向けながら、心と体のバランスを大切にしていきましょう。

発見が非常に難しい膵臓がん。初回治療時のステージ4は約80%

発見が非常に難しい膵臓がん。初回治療時のステージ4は約80%
(参照:https://cancer.qlife.jp/pancreas/pancreas_feature/article4180.html

膵臓がんは、早期発見が非常に難しいといわれているがんの一つです。初期症状がわかりにくく、自覚症状もないため残念ながら初期に見つかることはほとんどないのが実情です。

実際に膵臓がんは初回治療の際にはステージ4以上であることが約80%というデータもあります。それほど早期発見が難しいため、膵臓がんと申告されると悲観的な状況に受け止められやすいのです。

膵臓がんは予後不良のイメージが強い病気ですが、近年抗がん剤の選択肢が増え、抗がん剤の治療効果によっては、手術不能といわれた症例でも手術が可能になったケースもあります。

膵臓がんの治療方法に関する研究・工夫も進み、かつて治らないといわれていた膵臓がんは、今では治るがんへと変わりつつあるのです。

しかし膵臓がんは、インターネットなどを参照すると悲観的になるような情報も多く、気持ちが落ち込みやすい傾向もあります。

インターネットの情報はあくまでも参考程度とし、必ずしもその情報は自分の病状にマッチしたものではないのです。自分ではない誰かの情報をそのまま自分のこととして受け止めるのではなく、悲観的にならないように意識し治療を受けることも重要です。

「病は気から」が実験で証明された

古くからの日本のことわざで「病は気から」というものがあります。大阪大学の研究によると、ストレスが免疫機能に一部関与していることがわかりました。

膵臓がんステージ4という事実を重く受け止めるのも、ストレスにつながりかねないといえるでしょう。悲観的なストレスはがんと闘うための免疫機構に影響を与えるといっても過言ではありません。

事実としての認識程度にとどめて、「 毎日を負担なく過ごす」ことも視野に入れて生活したいですね。

(参照:https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2014/20141125_1

膵臓がんの進行は抑えられるのか

膵臓がんは発見が難しく、進行の早いがんとして知られていますが、適切な薬物療法や放射線治療を組み合わせることで、がんの増殖を一時的に抑えることは可能です。FOLFIRINOXなどの抗がん剤レジメンは、ステージ4の患者でも腫瘍の縮小や生存期間の延長に寄与することが報告されています。

一方で、近年注目されているのが「心の状態と免疫機能の関係」です。ストレスを感じると、体内でコルチゾールというホルモンが過剰に分泌され、免疫細胞の働きが抑制されることがわかっています。これはがんの進行にも間接的に影響を及ぼすとされるのです。

実際に、穏やかな心の状態を保ち、笑いや安らぎを感じる時間を多く持つ人の方が、がん細胞を攻撃するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)の活性が高いという結果が報告されました。

つまり、膵臓がんと向き合う中で、「心穏やかに過ごすこと」も治療の一部といえます。緩和ケアや家族との時間、趣味や自然とのふれあいなど、日々の生活の中で自分らしい心の安定を取り戻すことが、免疫機能の活性化、そしてがんの進行抑制につながる可能性があるのです。

まとめ

膵臓がんステージ4と診断されたとき、多くの方が不安や恐怖に襲われるのは当然のことです。しかし、医学の進歩により薬物療法や緩和ケアの選択肢は確実に増えています。また、フコイダンなどの補完療法を取り入れることでQOL(生活の質)を保ちながら過ごす人もいます。

そして今、注目されているのが「心の状態が免疫力に影響を与える」という事実。穏やかな気持ちで毎日を過ごすことは、がんと向き合ううえでも大切な“治療”の一部になりえるのです。

一人で抱え込まず、医療チームや家族と連携しながら、自分らしく過ごす時間を大切にしてください。膵臓がんステージ4であっても、できることはたくさんあるのです。

近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。

なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。

フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。

それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。

「中分子フコイダン」を用いた臨床結果の一例を紹介しています。どういった症状に効果があるか具体的に知りたい方は臨床ページをご覧ください。
>>「中分子フコイダン」を用いた臨床結果

>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ

がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。

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この記事の執筆者
日置クリニック コラム編集部

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