2024.10.04
がん男性の乳がん。原因、対策、治療法までを詳しく解説
女性の疾患のイメージが強い乳がんですが、実は乳がん患者の100人に1人は男性です。
男性の約1000人に1人の割合で発症すると言われています。男性にも、目立ちませんが乳腺があるため、乳がんを発症する可能性はあるのです。この記事では男性の乳がんについて詳しく解説しています。
目次
男性乳がんの原因
男性の乳がん。いくつかの危険因子はありますが、大多数を占める要因は遺伝的なものです。遺伝的素因を持っていても必ず発症するわけではありませんが、リスクが高いと思う場合には定期的な検査を検討するとよいでしょう。
遺伝要因
遺伝的な要因で乳がんや卵巣がんになることを「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(以下:HBOC)」といい、「BRCA1・BRCA2」という誰もが持つ遺伝子に生まれつき遺伝的な変化が生じています。 この2つの遺伝子に変化を持つと診断された男性のうち、BRCA1の遺伝子変化を保持する人はおよそ100人に1人、BRCA2遺伝子の変化を保持する人は12人に1人が乳がんを発症するとの報告もあります。
HBOCと診断されるためには、家族の病歴だけではわかりません。確定診断には遺伝子学的検査を受ける必要があります。遺伝子検査は、家系としてリスクが高い人に必要に応じて実施されます。
ホルモン要因
女性の乳がんと同じように、男性の乳がんの場合でもホルモンの影響を受けて発症することもあります。女性ホルモンのひとつであるエストロゲンが増大している状態であれば、乳がんを発症することがあるのです。
例えばですが、肝硬変や遺伝性疾患であるクラインフェルター症候群が該当します。これらの疾患では、体内の女性ホルモン値が上がるため、乳がんの危険因子といえます。
環境要因
生活習慣などで放射線に被ばくする機会が多い場合には発症要因のひとつになります。被ばくや生活習慣などにより、がん遺伝子やがん抑制遺伝子に影響を及ぼすことで乳がんが発症するケースもあります。生活習慣や仕事の内容などで被ばくする機会があれば、定期的にチェックするようにしましょう。
男性乳がんの症状
男性の場合、基本的に胸部に脂肪が少ないため外観上の異変などから乳がんが発見されるケースも少なくありません。乳房のしこりや皮膚のひきつれ、陥没などの症状が見られます。また、乳頭からの分泌物などでも発見されることがあります。
一方でリスクとしては、乳腺の組織が薄いので周辺組織への浸潤も比較的進みやすい傾向にあります。 胸部の些細な異変でも変化を実感したら早めに専門医の受診を検討しましょう。
※ 浸潤:がんが周りに広がっていくこと
男性乳癌の予防対策・検査
男性は基本的に女性のように乳がんに対しての予防検診などは実施されていません。ですので、自分で意識的にセルフチェックなどを取り入れ、必要に応じて病院などでの検診をうける必要があります。
とくにリスクの高い人は普段から意識的に胸部のセルフチェックを行いましょう。セルフチェック方法は女性の「ブレスト・アウェアネス」と同様に行います。
ブレスト・アウェアネスについてはこちらの記事を参考にしてください。
>>初期乳がんの症状は?早期発見の対策と意識すべき生活習慣について解説
男性の乳がんの検診は基本的に保険診療外で自己負担になってしまいます。それでもリスク管理のためには検討したいところですね。
「日本遺伝性乳がん卵巣がん総合診療制度機構」では遺伝的にリスクの高い男性に対しては以下のようなチェック指標を推奨しています。
- 35歳以上になったら1年に1回※
- マンモグラフィーを受ける
- 専門医での視診・触診の検診を受ける
※女性化乳房の場合は50才以上から
※男性乳がんの家族歴がある場合には最も早く罹患した人の診断時年齢から10歳若い時に
乳がん検診について
男性であれば、乳腺外科への受診は気持ちとして気後れしてしまうかもしれません。ですが医療スタッフはプロフェッショナルです。乳腺外来に男性がいても通常通りの業務を行うでしょう。
それでも気になる場合には、総合病院の乳腺外科などであれば、他の診療科との待合スペースと混合になっている場合もあり、待合室で待っているのにも気を使わないで済むかもしれません。
また、女性のパートナーと受診して付き添いであるように待つなど工夫をされている方もいます。
受診したいけれども悩んだ場合には、一度病院に電話してみて待合室の環境や対策できることなどを相談してみるのもよいでしょう。
ここでは、乳がん検診で検査する内容について解説します。
超音波検査
体外から超音波を当てて超音波の入り方により、画像として検出します。乳腺に起こる異変を確認する検査です。男性の場合は乳腺が薄いので、病変は比較的確認しやすいとされています。
マンモグラフィー
胸部の乳腺を2枚の透明な板で挟んで、レントゲンで照射し撮影する方法です。乳房としての膨らみがなくても、しっかりと撮影できるよう検査技師がサポートしてくれます。検査を受ける際は、検査技師の指示に従うよう意識することが大切です。
セルフチェック
男性の乳がんは、生じた後は比較的進行が早い傾向にあります。HBOCと診断されたら、胸部のセルフチェックをする習慣をつけるとよいでしょう。
(参照:https://johboc.jp/guidebook_g2022/q36/)
ポイントとしては以下になります。
①外観上の変化がないかチェックすること
②しこりの有無を確認すること
男性乳がんの治療
男性の乳がん治療は基本的に女性と変わりません。 男性であっても乳がんの病態は女性と同じです。ですので、乳がんのステージやサブタイプなどを検討した上で、それぞれにあった治療法で進行していきます。
外科治療
腫瘍を取り除ける場合には、手術で取り除きます。乳がんの大きさや広がりによって、腫瘍そのものと周辺のリンパ節を合わせて摘出します。 ステージや転移の仕方によって切除する範囲は異なります。
薬物治療
乳がんのサブタイプによって使用する薬物は異なります。基本的にはホルモン治療、抗がん剤、分子標的薬を使用します。また、組み合わせて治療を進めることもあります。 術後の補助療法として薬物療法を追加で行うケースもあります。
放射線療法治療
放射線療法の有無はがんのタイプとステージによって異なります。 術後の補助療法として取り入れるケースもあります。
詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
>>乳がんの治療法とは?乳がんの進行度に応じた「薬物・手術・放射線」などの治療法選択の考え方を解説
まとめ
男性の乳がんは女性に比べて珍しい疾患です。発症要因は遺伝的要因やホルモンの影響、環境要因などさまざまな要因によって引き起こされる可能性があります。
男性の乳がんは、遺伝的要因となって発症するケースが多いです。遺伝的要因として「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」と呼ばれる病態で、先天的に「BRCA1・BRCA2」といった遺伝子の変異が関連しています。
男性乳がんの予防対策や検査については、男性は女性と同じような予防検診が実施されていないため、セルフチェックや専門医での検診が重要です。とくに遺伝的リスクの高い人は定期的なセルフチェックが重要です。異変を感じたら早めに病院受診を検討しましょう。早期発見・早期対処に努めることが大切です。
男性乳がんに関する意識と早期発見の重要性を認識し、適切な予防対策と検査を行うことが、この疾患に対する効果的な対策です。
「女性だけの疾患」と思わず、外観上の変化や乳頭からの分泌が確認できた場合、早めに専門医への受診を検討しましょう。
その意識付けがこの疾患を乗り越える大きな一助となるはずです。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
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