2025.01.29
がん大腸がんが転移したらどうすればいい?生じやすい転移や再発のリスクについて解説

大腸がんは日本人に多いがんの一つです。大腸がんの進行したステージⅣは、「末期がん」と同一視されることが多くあります。
しかし近年の医療技術の進歩により、ステージⅣであっても治療の選択肢が増え、必ずしも末期がんとはいい切れないケースもあります。
この記事では、大腸がんステージⅣの特徴や生じやすい転移、治療法について解説します。
大腸がんと診断された方やご家族の方が、不安を少しでも和らげ、正しい情報をもとに治療選択を考える一助となれば幸いです。
目次
大腸がんステージⅣ=末期がんではない
大腸がんのステージⅣと聞くと、ガンのステージにおいてはグレードが高く悲観的になってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、ステージⅣだからといって必ずしも「末期がんである」ということではありません。
ステージⅣというのは、あくまでも「原発巣に発生した大腸がんが、離れた臓器や組織に転移している状態」を示すものであって、いわゆる「末期がん」と表現される、「余命を宣告された状態」や「根治」が不可能である状態とは直接関連しません。
特に近年では、放射線治療や抗がん剤治療なども飛躍的に進歩しています。そのなかでも大腸がんは、さまざまな治療の選択肢があるがんです。
ステージⅣと診断された状態でも、なにもできないという状態ではなく、なんらかの治療が可能であるケースもあり、がん自体を根治できなくとも余命の延長につなげられる可能性も少なくありません。
大腸がんは大腸内のさまざまな場所にできる悪性腫瘍
大腸がんとは、大腸(結腸や直腸)の内壁にできる悪性腫瘍を指します。
大腸は主に結腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)と直腸にわけられます。
大腸がんは、ポリープががん化することもあり、粘膜から発生することも特徴です。
発症リスクには、食生活(肉中心の生活)や遺伝要因の他に炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)なども関与しています。
【部位ごとのがんの特徴】
・結腸がん:血便や粘血便、便秘や下痢の繰り返しが初期症状としてみられることが多い
・直腸がん:肛門に近いため、血便や排便痛が生じやすい
がんが進行すると、腸管の狭窄や閉塞を引き起こし、腸閉塞や腹痛といった症状も現れます。
詳しくはこちらの記事も参考にしてください。
>>大腸がんの初期症状とは?早期発見のために気にするべきことについて解説!
>>大腸がんの進行速度は?ステージ別の特徴や正しい治療法・生存率について解説!
大腸がんに生じやすい再発や転移について
大腸がんが再発する割合はステージによって異なり、進行するに従って再発率は高くなります。ステージ0〜Ⅰの場合約4〜7%、さらにステージⅡになると、再発率は約15%になります。ステージⅢになってくると30%程度と徐々に高くなってきます。
大腸がんで手術を受けた場合、原発巣だけではなく原発巣周辺のリンパ節も切除しますが、手術の時点で見つかっていないがん細胞や、取り切れなかったがん細胞があると原発巣周辺の組織や肝臓、肺などの臓器にも広がる可能性があります。
そして増殖したがん細胞が血液やリンパ液に乗って、体の他の場所に運ばれ、そこで病巣を作ることで転移が生じます。
肝臓に生じる肝転移
肝臓にがんが転移する肝転移は、大腸がんの再発でよくみられる血行性転移の一つです。肝臓には、胃や腸などの消化管からの血液が「門脈」という太い静脈を通じて集まります。
その血液中にがん細胞が混じって肝臓に到達し、増殖して転移が生じます。肝臓に転移が生じた場合、初期の頃は基本的に無症状ですが、進行すると肝臓がある右上腹部の張り感や痛み、腹水や両下肢のむくみ、黄疸などの症状が現れます。
肺に生じる肺転移
大腸がんの血行性転移で生じやすい転移が肺転移です。肺には、酸素を運搬するための血液が集まってくるため、がん細胞が引っかかり転移が生じやすくなります。
肺への転移がみられた場合も初期には自覚症状はほぼありません。病状が進行してくると咳や痰などが増え、気管支の粘膜が侵され始めると血痰が出てくることもあります。
がんの病巣が増大してくることにより気道が圧迫されて、狭窄や閉塞が生じ、息苦しくなってきます。
骨に生じる骨転移
骨への転移も起こりやすい血行性転移の一つです。大腸がんの場合、骨転移はあまり多くありませんが、直腸がんが生じた場合は起こりうる症状の一つといえます。
骨のなかでも転移しやすい場所は骨盤や脊椎、大腿骨、肋骨などです。骨に転移した場合に生じる主な症状は痛みです。うずくような痛み方が特徴で、進行がん特有の症状の一つともいえるでしょう。骨へのがんの浸潤が進行すると、骨の組織が破壊されてもろくなり骨折しやすくなることもあります。
脳に生じる脳転移
脳も血流が多い臓器であるため、血行性転移が起こることもあります。大腸がんの場合、脳転移はあまり多くはありません。脳転移が起こるとさまざまな症状を示します。
頭痛やめまい、吐き気、嘔吐、しびれ、運動麻痺や感覚麻痺などが現れます。脳に転移が見つかった場合速やかに治療しないと、脳が腫瘍に圧迫され命に関わることも少なくありません。
腹部に生じる腹膜播種
腹膜播種は、種をばらまいたかのようにがん細胞が散らばって広がるタイプの転移です。一般的にはがんがかなり進行した場合に生じます。
最初の頃は無症状ですが、進行するとお腹の張りや痛みを感じたり便秘が起きることもあります。お腹の張りはガスが溜まって生じるだけではなく、お腹の中に腹水が溜まることでも生じます。
リンパ節に生じるリンパ節転移
リンパ管は大腸の壁のなかに網目状に広く分布しているため、がんの進行によってリンパ管内にがん細胞が入り込むと遠く離れたリンパ節に運ばれて転移が生じます。
リンパ節は全身に張り巡らされたリンパ管の合流地点で、腹部や鼠径部、首や脇の下など全身に存在します。リンパ節転移が生じ、進行するとそのリンパ節に関連した場所に痛みやむくみが起こり、時としてしこりとして現れることもあります。
大腸がんの基本の治療とステージⅣの治療の違い
大腸がんの治療は、ステージ(進行度)によって異なります。
特にステージⅣ(がんが他の臓器に転移した状態)になってくると、
治療の目的が根治(完治)ではなく、延命や症状緩和に重きを置くケースも増えてきます。では実際に、治療の種別ごとによる違いをみていきましょう。
手術
・ステージⅠ~Ⅲ:根治手術が中心
・ステージⅠ~Ⅱ:腫瘍の切除のみで治癒が期待できる
・ステージⅢ:がんがリンパ節に転移している場合は、リンパ節郭清(がんが転移しているリンパ節を含めて切除)がおこなわれる
・ステージⅣ:手術適応が限られる
ステージⅣの場合、原発巣(大腸)と転移巣(肝臓や肺など)が同時に切除できる場合には手術が検討されることもある
※がんが多発している場合や体力が低下している場合は、手術自体が困難であるため、化学療法や放射線療法が優先されるケースもあります。
・症状緩和目的の手術:腸閉塞が生じた場合などには、ストーマ造設やバイパス手術が検討される
※ステージⅣになると、悪性腫瘍の状態によりQOLを著しく低下させる症状が生じることもあります。その場合、症状の緩和を目的として患者さんの体力的に手術を受けることが可能な場合に手術適応となることもあります。
薬物療法
・ステージⅠ~Ⅱ:基本的に薬物療法なし
※症例や医師の方向性により取り入れることはあります。
・ステージⅢ:補助化学療法が中心
※手術後に再発予防として、化学療法(抗がん剤治療)がおこなわれます。
例)FOLFOX療法:オキサリプラチン+フルオロウラシル+ロイコボリン
FOLFIRI療法:イリノテカン+フルオロウラシル+ロイコボリン
・ステージⅣ:全身療法が中心
転移が広がっている場合、抗がん剤治療や分子標的薬などが使用されます。ステージⅣの薬物療法は、がんの進行を抑え、症状緩和や延命を図ることがメインとなる場合もあります。
※分子標的薬:ベバシズマブ(アバスチン)やセツキシマブ(アービタックス)が使用されるケースもあり
※免疫チェックポイント阻害薬:ニボルマブやペムブロリズマブが適用されるケースもあり
放射線療法
・ステージⅠ~Ⅲ:補助的に利用
※大腸がん自体には放射線が効きにくいため、直腸がんなど特定部位のがんでのみ補助的に使用されることがあります。
例)術前放射線療法:腫瘍を縮小させて手術をしやすくするため
術後放射線療法:局所再発予防を目的とする
・ステージⅣ:緩和目的での利用が中心
進行がんや転移がある場合、痛みや出血を和らげるための緩和療法として使用されます。
例)骨転移による痛み:放射線を当てて疼痛を軽減させる
脳転移による症状:脳腫瘍の圧迫症状を緩和させるため
詳しくはこちらの記事も参考にしてください。
>>末期がんは完治できる?治療方法や中分子フコイダンの可能性について
まとめ
大腸がんステージⅣといわれると、「末期」=「余命がわずか」と捉えがちですが、実際には治療法が多岐にわたっており、生存期間を延ばすための選択肢も増えています。
特に放射線療法や薬物療法の進歩により、がんを完全に治すことが難しくとも、症状を緩和し、生活の質を保ちながら治療を継続できるケースもあります。
大腸がんと診断された際には、医師と十分に相談し、納得できる治療法を選択することが大切です。大腸がんステージⅣでもあきらめることなく、自分に合った治療法を見つけて前向きに向き合う姿勢を持ち続けたいですね。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
「中分子フコイダン」を用いた臨床結果の一例を紹介しています。どういった症状に効果があるか具体的に知りたい方は臨床ページをご覧ください。
>>「中分子フコイダン」を用いた臨床結果
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
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