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がんには「お茶」が効く⁉免疫力を高め、膀胱がんにもアプローチできる飲み物を解説

この記事ではがんに対して予防や抑制効果が期待できるとされている研究を参考に「お茶」の成分や効果効能を紹介します。また、免疫力を高め膀胱がんにもアプローチできる飲み物までを解説しています。

日置医院長

この記事の監修者
日置クリニック 院長
日置 正人 医学博士

【経歴】
昭和56年3月 
大阪市立大学医学部卒業
昭和63年3月 
大阪市立大学大学院医学研究科卒業
平成5年4月 
医療法人紘祥会 日置医院開設

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がんに効く飲み物は「緑茶」

がんに効く飲み物「緑茶」

日本人が習慣的に飲む「緑茶」。健康に良いことは、広く知られていますが、さまざまな研究によりがんの予防や進行の抑制につながる成分が含まれていると示唆されています。

緑茶成分の効果効能とがんの関係

乾燥した緑茶の葉にはさまざまな成分が含まれています。その中でも最も多いのがカテキンです。カテキン類は緑茶の渋味を出す成分。カテキン類は抗酸化作用が有名で、近年は緑茶が持つ抗がん作用に関心が集まり、研究が進められています。

■緑茶に含まれる成分の効能効果※6
カテキン類:抗がん作用、コレステロール値・血糖値・血圧の上昇を抑制する作用、抗アレルギー作用、体脂肪蓄積を抑制する作用など
ビタミンC:抗酸化作用
カリウム:血圧の上昇やむくみの抑制
テアニン(アミノ酸):血圧上昇を抑える
カフェイン:覚醒作用、利尿作用、疲労回復

緑茶ほどカテキン類が多く含まれる食品は珍しく、その中でもエピガロカテキンガレート(EGCG)という成分は、緑茶にしか含まれないと言われる特有の成分です。

カテキンとEGCGは緑茶に豊富に含まれる成分で、がんに対してさまざまな効果があるとされています。

【カテキン】
カテキンはポリフェノールの一種。緑茶に最も豊富に含まれる成分です。
主なカテキンの種類には
・エピカテキンガレート(ECG)
・エピガロカテキン(EGC)
・エピカテキン(EC)
・エピガロカテキンガレート(EGCG)
などがあります。
これらのカテキンは抗酸化作用を持ち、体内の活性酸素を抑制することで細胞の酸化ストレスを軽減し、がん細胞の発生や増殖を抑制すると考えられています。

【EGCG (エピガロカテキンガレート)】
EGCGはカテキンの一種で、緑茶中に最も多く含まれる成分です。EGCGはがん抑制効果が強く、細胞レベルで複数の作用機序を持っています。具体的には、以下のようながん抑制につながる効果が報告されています。
・抗酸化作用: 細胞を酸化ストレスから守り、がん細胞の発生や進行を抑制します。
・アポトーシスの誘導: がん細胞に対して自己崩壊を促し、がん細胞の死を引き起こします。
・腫瘍血管の抑制: がん細胞の栄養供給を阻害し、腫瘍の成長を制御します。

これらの成分は、緑茶の飲用でも効果があるとされています。ただし、緑茶に含まれるカテキンやEGCGの量は、栽培方法や製造方法によって異なります。

緑茶とがん治療に関する研究結果について

緑茶とがん治療に関する研究は、さまざまな疫学調査や臨床試験によって行われています。以下に代表的な研究結果をご紹介します。

・緑茶摂取とがんリスクの関連性:
国内外の研究では、緑茶の摂取が特定のがんのリスクを低下させる可能性が示唆されています。 緑茶に含まれる成分ががん細胞の増殖や転移を抑制する作用があるため、がんの再発を抑制する可能性があると考えられているのです。※1

※1 National Cancer Institute
Tea and Cancer Prevention

しかし、緑茶とがん治療の関係性は、現状のところはっきりとしたエビデンスは確立されておらず、個人差もあるのであくまでも健康増進のための手段のひとつと捉えておくとよいでしょう。

がん治療・予防を考慮したよりカテキンがより多く含まれる緑茶の選び方

がん治療・予防を考慮したよりカテキンがより多く含まれる緑茶の選び方

抗がん作用のあるEGCGはカテキン類(タンニン)の一種で、緑茶にのみ含まれる成分です。緑茶類の成分表を見てみると、抗がん効果を期待して緑茶を飲むのであれば玉露または煎茶が良いこともわかります。

(茶葉100gあたりのタンニン含有量)

緑茶の種類 茶葉中 抽出液中 抽出方法
玉露 10g 0.23g 茶 10 g/60 °C 60 mL、2.5分
抹茶 粉末で10g
煎茶 13g 0.07g 茶 10 g/90 °C 430 mL、1分
かまいり茶 - 0.05g 茶 10 g/90 °C 430 mL、1分
番茶 - 0.03g 茶 15 g/90 °C 650 mL、0.5分
ほうじ茶 - 0.04g 茶 15 g/90 °C 650 mL、0.5分
玄米茶 - 0.01g 茶 15 g/90 °C 650 mL、0.5分

また茎茶も緑茶の一種ですが、カテキン類は茎にはほとんど含まれていないため、EGCGを摂取するには向いていません。カテキンを日常的に摂取することを想定した場合、玉露は値段も高いので経済的に継続が難しいでしょう。その場合は煎茶が手に入りやすく常飲もしやすいのでおすすめです。

緑茶のパッケージや商品の説明には、カテキン含有量や茶葉の品種、製法、栽培方法に関する情報が記載されていることがあります。これらの情報を参考にしながら、自分の好みや目的に合ったカテキン豊富な緑茶を選べます。また、信頼性のある茶葉の販売業者や専門店で購入することも大切です。

膀胱がんにも緑茶がいいと言われている研究について

膀胱がんと緑茶の関連性については、いくつかの研究が行われています。以下に、膀胱がんと緑茶の関係についての調査結果の一部を紹介します。

(疫学調査の結果)
中国の研究では、緑茶の摂取が膀胱がんの発症リスクを低下させる可能性もあることが報告されています。特に、緑茶の摂取頻度が高いグループでは、膀胱がんの発症リスクが低かったとされています。また、日本の研究でも、緑茶の摂取量が多い人ほど膀胱がんの発症リスクが低下する傾向が見られました。※2

※2 フロントフィジオール ,2016年
お茶の消費と膀胱がんのリスク

ただし、膀胱がんの予防や治療において緑茶の効果があるかどうかは、まだ十分に解明されていません。また、具体的な効果や効能を断定するにはさらなる研究や臨床試験が必要なので現段階では追加調査の結果を期待したいところです。

免疫力を高める飲み物がキーワード

がんの予防や進行を遅らせるには「免疫力アップ」がキーワードです。免疫力が高いとがん細胞抑制遺伝子が働き、がん予防に一役かってくれるから。免疫力を高める飲み物と言えば、抗酸化作用や抗炎症作用があり、免疫機能をサポートする栄養素を含んでいます。以下に、がん予防に役立つ免疫力を高める飲み物の例をいくつか挙げます。

がんに効く飲み物「野菜・果物ジュース」

がんに効く飲み物「野菜・果物ジュース」

がんには野菜や果物のジュースが良いと言われています。それは食欲が低下したときに、摂取しやすいことと水分摂取も兼ねられるのが理由のひとつです。その中でも特におすすめなのはベリー系の成分が含まれているジュース。ブルーベリー、ラズベリー、ストロベリーなどのベリー類は、抗酸化物質や食物繊維が豊富に含まれています。これらの成分は免疫機能を活性化し、細胞の酸化ストレスから身体を守る役割を果たします。

きのこ・海藻類などを含めたスープやお茶

「きのこ・海藻」ががんに良いと言われている理由は、その中に含まれる特定の成分ががん予防や抑制に効果があるとされています。以下に、「きのこ・海藻」ががんに良いとされる理由を調査結果に基づいて解説します。

(きのこの効果)
・β-グルカン: きのこにはβ-グルカンという多糖類が豊富に含まれています。これは免疫システムを活性化し、がん細胞の増殖を抑制するとされています。

(海藻の効果)
・フコイダン: 海藻にはフコイダンと呼ばれる多糖類が含まれています。フコイダンは免疫システムを活性化し、がん細胞の増殖を抑制する効果があるとされています。特にモズクに多く含まれています。

これらの成分が、がん予防や抑制にどの程度の効果があるかは、まだ研究が進行中であり、個々のがんの種類や状態によっても異なる可能性があります。ただし、きのこや海藻は健康的な食事の一部として摂取することで、バランスの良い栄養摂取や免疫力の向上に寄与すると考えられています。

フコイダンには抗がん作用・抗コレステロール低下作用・血圧低下作用などが報告されており、がん治療に有効だとされています。フコイダンについてさらに詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。

>>フコイダンを抗がん剤と併用することで期待できる効果とは?

発がんリスクが高まる食べ物や飲み物

発がんリスクが高まる食べ物や飲み物

国際がん研究組織(IARC)主催の10か国、22人の専門家による会議では、明確にがん発生につながるリスクが提示されています。また、一部の食品や飲み物で長期間にわたって大量摂取した場合に、がんの発生リスクが高まる可能性があるとされるものもあります。

1.加工肉、赤身肉
ベーコン、ソーセージ、ハムなどの加工肉は、がんの発症リスクが増加するとされています。これは加工肉の保存によって発生する使われる保存料の物質が関与している可能性があります。

2.高脂肪食品
高脂肪食品の摂取が多いと、肥満やさまざまながんの発生リスクが増加する可能性があります。特に飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂取を制限することが重要です。

3.糖分の過剰摂取
高糖質の食品や飲み物の過剰摂取は、肥満や2型糖尿病のリスクを増加させる可能性があります。肥満はがんのリスク増加と関連していることが多く報告されています。ベリー系のジュースががんに良いと言っても、毎日飲み続けると糖分の摂りすぎになるため控えるのが無難。砂糖入りの清涼飲料水もがんのリスクを高める可能性があるため、節度を持って飲用しましょう

4.高塩分食品
長期間にわたって高塩分の食品を摂取することは、胃がんや高血圧のリスク増加と関連している可能性があります。塩分の摂取量を控え、バランスの取れた食事を心掛けることが重要です。

また、上記以外にも多量の飲酒などが挙げられます。以下では、がん患者が食べてはいけないものをまとめました。気になる方はぜひご覧ください。

>>がん患者が食べてはいけないものってあるの!?がんと食事について解説

生活習慣の乱れと食生活の意識は重要

がんは遺伝的要因だけでなく、生活習慣や食生活も重要な要素のひとつ。睡眠不足や運動不足、喫煙、過度のストレスなどの生活習慣の乱れは、がん発症リスクを増加させる可能性があります。

その中でもバランスの取れた食事はがん予防に不可欠。肥満や栄養不良はがんのリスクを増加させる要因となるため、健康的な食生活を心掛けましょう。また、喫煙や過度の飲酒は、がんのリスクを大幅に増加させるとされています。禁煙や飲酒量の制限は、がん予防において重要です。積極的に禁煙支援や減量プログラムに参加し、節度を持った飲酒を心掛けることが必要です。

また、生活習慣の乱れは、高血圧症・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病に繋がることもあります。生活習慣を見直すためにも、下記をご参照ください。

>>生活習慣病を予防する5つのポイント

がんに良い飲み物で手軽に取り入れられる「お茶」を活用する

がんに良い飲み物で手軽に取り入れられる「お茶」を活用する

がん予防や治療においてはカテキンを含む緑茶は注目され、研究が進められています。
緑茶は私たち日本人にとってなじみ深い飲料のひとつ。日常生活で取り入れられる手軽ながん予防策を、日常生活に取り入れてみてください。

近年のがん治療には統合医療も行われるようになっています。
中でも注目を集めているのがフコイダン療法。フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療に良い効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。

近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。

なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。

フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。

それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。

>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ

がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。

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この記事の執筆者
日置クリニック コラム編集部

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