2021.08.31
がん抗がん剤の副作用について
目次
抗がん剤の副作用:種類と時期
従来の抗がん剤(細胞障害性抗がん薬)は、細胞の分裂に障害を与えることで抗腫瘍効果を発揮します。したがって、分裂が盛んな正常細胞にも障害を与えることになります。細胞分裂が活発な部位(組織)には口腔粘膜、消化管粘膜、骨髄、毛根などがあり、これらの部位に副作用がでやすくなります。
抗がん薬の副作用には、自分でわかる副作用と検査でしかわからない副作用があります。
治療直後には、インフュージョンリアクション(急性輸注反応)、アレルギー反応、不整脈などが出現することがあります。その後、1~2週間までに吐き気や食欲低下、口内炎、下痢、全身倦怠感(だるさ)などがみられ、2週間以降からは手足のしびれ(末梢神経障害)、脱毛、皮膚の異常(色素沈着など)などが出現します。
採血をしなければわからない副作用として、白血球や血小板の減少、貧血、肝機能障害や腎機能障害があります。これらの異常が出現する時期は、薬の種類や量、患者さんの体調によって異なります。
分子標的薬および免疫チェックポイント阻害薬の副作用
分子標的薬は、がん細胞だけが持つ分子を標的としてつくられた薬ですが、副作用がでないわけではありません。一部の分子標的薬では、間質性肺炎や皮膚症状など重篤な副作用がでることもあります。
免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞を排除する免疫細胞のブレーキをはずして攻撃力を高める薬です。一般的に、通常の抗がん剤(細胞障害性抗がん剤)と比べて副作用が少ないと言われていますが、全身の免疫システムが乱れてしまい、思わぬ副作用がおこることもあります。
分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬には、薬ごとに特徴的な副作用がありますので、医師や薬剤師の説明を聞いて確認してください。
危険な抗がん剤の副作用:発熱性好中球減少とは?
抗がん剤治療の一般的な副作用として、骨髄抑制(こつずいよくせい)があります。これは、骨髄の血液をつくる働きが低下している状態で、赤血球、白血球、および血小板の数が減少します。
このうち、白血球、なかでもその多くをしめる好中球があるレベルまで減ると発熱をともなうことがあり、これを発熱性好中球減少症(febrile neutropenia: FN)と呼んでいます。多くの抗がん剤の好中球減少のピークは10~14日頃にくることが多いですが、7日目頃にくるものもあります。また抗がん剤(または投与スケジュール)によって発熱性好中球減少症のリスクが高いものと、低いものがあります。
発熱性好中球減少症は、ガイドライン(発熱性好中球減少症(FN)診療ガイドライン(日本臨床腫瘍学会(編)2012年発行))によると以下のように定義されています。
①好中球数が500/μL未満、又は1,000/μL未満で48時間以内に500/μL未満に減少すると予想される状態で、かつ②腋窩温37.5℃以上(口腔内温38℃以上)の発熱を生じた場合
具体的な症状は、発熱(腋窩温37.5℃以上)とそれに伴う悪寒、寒気、震え、頭痛、関節痛などです。
これらの症状がある場合、すみやかに主治医や治療を受けている医療機関に相談してください。発熱性好中球減少症は、ときに急速に重症化して命にかかわることもあるため、迅速に対処することが重要です。
抗がん剤の副作用を防ぐには?
抗がん剤の副作用を完全に防ぐことは難しいこともありますが、できるだけ軽くすることがよい状態で治療を持続させるコツでもあります。
まずは、抗がん剤治療中に気づいた症状は、我慢せずに主治医または看護師に伝えることが重要です。現在では、薬である程度、副作用をコントロールすることが可能となりました。※1
吐き気・嘔吐を防ぐセルフケア
抗がん剤の副作用でよくみられる吐き気・嘔吐は、睡眠や食事など日常生活に悪影響をおよぼし、生活の質を低下し、治療への前向きな気持ちを失わせる原因となります。
もちろん吐き気・嘔吐に対しては、薬(制吐剤)で治療することが多いのですが、自分でできる対策もあります。ここでは、吐き気・嘔吐に対して自宅でできる対策(非薬物療法)を紹介します(参考:がん患者の消化器症状の緩和に関するガイドライン2011年版(日本緩和医療学会(編))。
環境を整える
まずは基本的なことですが、吐き気がひどくならないように、まわりの環境を整えましょう。具体的には、次のことが効果的です。
- においの強い食事、香水、芳香剤を避ける(においが吐き気を悪くする原因のことが多いため)
- 吐いた物や汚れた服、シーツなどはすぐに片付ける
- 換気を良くし、部屋のにおいを減らす
- 部屋に食べ物などの強いにおいが入ってこないようにする
- 食事のにおいで吐き気が悪くなる場合、家族との食事の時間や場所を変える。
マッサージ
10分間の足のマッサージを3日間続けることで、がん患者さんの吐き気や痛みが軽くなったという研究報告があります。ご家族の方がマッサージをしてあげるといいですね。
指圧
嘔吐・吐き気を軽くするつぼ「内関(ないかん)」を指圧することが有効であったとする報告がいくつかあります。別名をP6あるいはPC6とも呼ばれています。
TENS(経皮的末梢神経電気刺激)
TENS(経皮的末梢神経電気刺激)とは、皮膚に電極をつけて電気刺激を行う方法です。TENSにはがん性疼痛を軽くする効果が確認されていますが、吐き気にも効くようです。
指圧と同様に、さきほどの「内関」に電極を設置することで、吐き気・嘔吐が軽くなったという報告があります。ちなみにTENSの装置は市販されていますので、試してみてもよいでしょう(通常のマッサージ器としても使えます)。
しょうが
しょうがが吐き気・嘔吐の軽減に有効であったとする報告があります。特に3つの外科治療後の患者さんを対象にした試験では、2つの試験でプラセボより有意に嘔気・嘔吐を軽減し、吐き気止めの薬(メトクロプラミド)と同等であったとしています。
イメージ療法
好ましいイメージを連想することで、リラクセーションを得る方法です。音楽とともに行ってもOKです。例えば、大好きな場所(山や海など)への旅行を連想してみましょう。
音楽療法
音楽を聴いてリラクセーションを得る方法です。もちろん好みの音楽でよいのですが、できればクラシックなどの落ち着く音楽がいいでしょう。
以上が、吐き気・嘔吐を軽くするために自宅でできる非薬物療法です。これらを組み合わせて試してみてください。
まとめ
抗がん薬の副作用には、アレルギー反応、吐き気や食欲低下、口内炎、下痢、全身倦怠感(だるさ)、手足のしびれ(末梢神経障害)、脱毛、皮膚の異常(色素沈着など)、白血球や血小板の減少、貧血、肝機能障害や腎機能障害などがあります。これらの副作用が出現する時期や程度は、薬の種類や量、患者さんの体調によって異なります。
また、がんには、手術や化学療法などさまざまな治療法がありますが、その中でも近年注目されているのが「中分子フコイダン療法」です。
海藻類に含まれるフコイダンという成分を、機能性を保ちつつ腸管から吸収されやすい分子量に整えたものが中分子フコイダン。抗がん作用をはじめ、以下のような作用も報告されています。
抗腫瘍・抗がん作用/抗アレルギー作用/肝機能向上作用/抗生活習慣病/抗ウイルス作用/抗ピロリ菌作用/血液凝固阻止作用/美肌作用/育毛作用
中分子フコイダンを摂取することで、抗がん剤との組み合わせによる相乗効果や、副作用の軽減などが期待できる治療法で、実際の臨床結果でも、確かな可能性を感じさせる症例が数多く存在しています。
中分子フコイダン療法についてもっと知りたいという方には相談・お問合せも承っておりますので、がん治療の選択肢の一つとして、ご検討の一助となれば幸いです。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
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