2024.02.02
がん【胃がんステージ4】症状・治療法は?余命についても解説
胃がんは主にステージ1-4に分けられています。その中でも最も進行している状態がステージ4。がん細胞が胃だけにとどまらず転移を起こしている状態です。この記事では、胃がんのステージ4について治療法や予後までを解説しています。
目次
胃がんステージ4とは
胃がんは、がん腫瘍の深さやリンパ節転移の有無に関係なく遠隔転移が認められた場合はもれなくステージ4となります。
胃がんにおける転移は、リンパ行性転移や血行性転移の他に腹膜播種性転移と言って、お腹の内側を覆っている腹膜というところにも転移していきます。この血行性転移や腹膜播種転移が認められた場合は、手術でがんを完全に取りきることが極めて難しくなるので基本的な治療法は薬物療法になります。
胃がんステージ4の状態と症状
初期の頃にはほとんど症状がないため見過ごされがちな胃がんですが、進行してくるとさまざまな症状が生じます。食べ物を吐いてしまったり食欲がなくなる、胸焼けがしたりゲップが出るなどが代表的な症状です。
さらに進行してくると下痢が続くことも増えてきます。これは胃の粘膜の広い範囲が侵されて、胃液の分泌が減り消化不良となるために起こる症状です。
逆に便秘になることもあります。この場合は食欲がなくなって食事や水を取る量が減ってしまうことによる副次的な症状の一つです。がんが大腸に及んでしまっている場合もこのような症状が起きます。さらに症状が進むと貧血状態になることもあります。
進行胃がんではがんの部分から出血が生じてくるため、多くの人に貧血症状が起きるとされています。また、食事量そのものが減ってくるので体重も減ってしまう人が目立ってきます。
胃がんステージ4の治療法
遠隔転移が生じている胃がんのステージ4。基本的な治療法は薬物療法や放射線療法が主軸です。また、完治するのが難しいと判断された場合には、そのときどきの症状に対して緩和する治療や患者さんのQOLを維持するための治療法が用いられます。
放射線療法
放射線治療は、放射線をがん組織に照射して、がん細胞が分裂して増える際に必要なDNAに作用させ、がん細胞の分裂増加を抑制し、がん細胞が自滅する現象を促す治療法です。
胃がんに対する放射線療法は、胃がんの細胞の放射線感受性が低いことや照射する範囲が広範囲になることから積極的に行われることは少ないです。胃がん治療においては出血の管理や疼痛の緩和などで用いられることはあります。
薬物療法
遠隔転移などが発生するステージ4の場合や手術でがんを全て取り除くことができないと判断された場合、再発が認められた場合は薬物療法が選択されます。薬物療法としては抗がん剤や分子標的薬を使用する化学療法と、免疫チェックポイント阻害剤を使用する免疫療法があります。
化学療法
胃がんの化学療法で鍵となるのはがん細胞にハーツというタンパク質があるかどうかです。日本人の胃がんではHER2(ハーツ)タンパク質が陽性のケースが15%ほどを占めていると考えられていて、HER2陽性の場合には2種類(フッ化ピリミジン+プラチナ製剤)の抗がん剤を併用しながら分子標的薬を加えてがん細胞を叩いていきます。HER2タンパク質が陰性の場合には、2種類(フッ化ピリミジン+プラチナ製剤)の抗がん剤に加えて免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせて治療を進めていきます。
(参照:胃がん 治療 |https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/treatment.html)
免疫療法
私たちの体の中には、本来、がん細胞を攻撃するための免疫力が備わっています。しかし、がんが進行する中でがん細胞はこの免疫力となるTリンパ球と結合し、がん細胞を攻撃できなくするような特性を得ることがあります。免疫療法は、このTリンパ球とがん細胞が結合するのを妨げ、Tリンパ球が本来の通りがん細胞を攻撃できるようにするための治療です。
支持・緩和療法
全身状態をみて、胃がんに対する積極的な治療が適用とならない場合や、薬物療法による効果が認められなくなった場合は症状を緩めるための支持療法や緩和療法が中心となっていきます。
支持療法
支持療法は、がん治療やその副作用による症状を予防、軽減する治療やケアのことを指しています。具体的には、化学療法や放射線治療による嘔気や嘔吐、食欲不振などの副作用に対処し食事を楽しむような工夫を取り入れたり、化学療法により生じる脱毛などを含む外見の変化に対する処置やサポートなども含めて、患者さんのQOLを維持できるサポートを指しています。
実際には、患者さんの副作用や症状に応じて、医師や看護師、薬剤師はもちろん、歯科衛生士、栄養士、心理士などの多職種が連携して患者さんの状態に応じた治療やケアを提供します。支持療法により、患者の苦痛が軽減されると、患者さんのQOLが向上し、メンタルも安定しやすくなります。結果として積極的な姿勢で治療を進めることが可能になるケースも多く、治療の効果が向上することもあります。
緩和療法
(参照:緩和ケア|https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/relaxation/index.html)
緩和療法は、緩和ケアとも言われており、包括的には「がんやその他の生命を脅かす疾患に関連する身体的、精神的、社会的な問題に対処し、患者と家族のQOLを向上させる」ケアとされています。
緩和ケアで特に重要視されているのは「痛みのコントロール」です。がんが進行すると、体のさまざまな部位に痛みを生じることもあり、身体的な活動はもちろん精神的な苦痛により社会生活に影響を及ぼすこともあります。
痛みを始めとした身体的な苦痛の緩和、心理的なケアを始めとして、それをサポートする家族支援なども含まれます。
緩和ケアはがん治療において辛さを感じている場合には、ステージに限らず早い段階で受けることも可能です。
胃がんステージ4の余命は?
(参照:がん情報サービス|https://hbcr-survival.ganjoho.jp/graph?year=2014-2015&elapsed=5&type=c01#h-title
胃がんステージ4の5年生存率は、数字としてみると決して良好とは言えません。しかしながら、症状と上手に付き合い、悲観することなく充実した人生を過ごすことは十分に可能であるといえるでしょう。
痛みに悩まされない選択肢を
胃がんでステージ4になってくると、患者さんからよく聞かれる悩みの一つに「痛み」があります。がんにより生じる痛みのことを「がん性疼痛」と言っています。
ステージ4の場合、痛みの他にも倦怠感や疲れやすさ、吐き気など日常生活を心地よく過ごせない不快な症状が生じることも少なくありません。
このような状態が続くと疲労が大きくなり、患者さんも積極的に治療ができなくなるばかりか生きることに対して苦痛を感じてしまい悲観的な生活になってしまうでしょう。
最近の考え方ではがんを治すこと以上に、生活の質をきちんと維持することも非常に重要だと考えられています。そして実際に、心や体の状態が安定していると治療効果が高まることも分かっています。
そのため、胃がんの治療においてはステージ4に限らず早期から緩和ケアやメンタルケアなどを積極的に取り入れて、治療の主軸として統合していくことが現代の治療では重要になってきています。
痛みやつらさに悩まされない生活を送るために、鎮痛剤だけではなく麻酔薬や抗不安薬を上手に活用しながら、カウンセリングなども散り入れ、不安や落ち込みなどの精神症状だけではなく、治療前後の痛みなどの身体症状を緩和し、苦痛の少ない治療を進めていく選択肢を検討することも重要です。
まとめ
胃がんステージ4は、がん細胞が胃だけでなく他の部位にも転移している状態です。この段階では手術でがんを完全に除去することが難しくなり、主な治療法は薬物療法や放射線療法になります。
胃がんステージ4は生存率に関わらず、症状管理やQOLの維持を重視した治療が行われます。痛みやつらさに悩まされない生活を送るために、緩和ケアやメンタルケアを重視しながら過ごすことが大切です。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
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