2022.01.06
フコイダン統合医療としてのフコイダン療法とは?
海藻類が身体に良いことは昔から知られていますが、近年ヌメリ成分であるフコイダンの研究が進められ、健康維持や病気の治療にも役立つ可能性が示唆されています。今回は特に、日本で死因の第1位になっているがんの治療効果を上げる低分子フコイダンの作用と統合医療で行われるフコイダン療法について説明します。
目次
フコイダンと統合医療
フコイダンはコンブやモズクなどの海藻類の表面にある、ヌメリに含まれる成分です。昔から海藻類は身体に良いといわれていますが、近年フコイダンの研究が進み、抗がん作用・抗潰瘍作用・抗ウイルス作用・抗生活習慣病作用などが報告されています。※1
これらの効果を期待してフコイダンを摂取する場合には、低分子化したフコイダンが使われます。ヒトの消化管は分子量が大きすぎると吸収されにくく、分子量3,000以下になるとよく吸収されます。※2
現在のがん治療においては、統合医療で抗がん剤と併用してフコイダンが使われています。統合医療とは、近代西洋医学に相補(補完)・代替療法・伝統医学等を組み合わせて行う療法です。※3フコイダンを併用した臨床試験では、併用による治療効果の改善傾向が示唆されています。※4
※2:低分子化によって得られる抗腫瘍効果と人体への安全性の確認(九州大学大学院細胞工学制御教室)
がん細胞が増えるメカニズム
私たちの身体には約60兆個の細胞があり、それぞれの部位で決まった役割を果たします。また細胞の遺伝子には自滅スイッチが組み込まれており、細胞は一定の周期で自滅スイッチを作動させることで身体の機能を保ちます。
細胞が分裂する際には遺伝子コピーが行われますが、何らかの原因でミスコピーが起きると自滅スイッチが正常に働かなくなり、無限に細胞が増殖を繰り返すようになります。これががん細胞であり、健康体であっても1日5000個程度のがん細胞が生まれるといわれています。同時に体内にはがん細胞を排除する自己防衛システムもありますが、生活習慣や加齢・ストレスなどにより、防御システムが上手く働かないとがん細胞が生き残り、どんどん増殖します。※5
※5:がん細胞出現のメカニズム(九州大学大学院細胞工学制御教室)
フコイダン療法とは
フコイダンは抗がん剤の他、放射線・手術とも併用することがあり、それらはフコイダン療法と呼ばれます。低分子フコイダンには次に紹介する3つの作用があり、これらの作用ががん治療に良い効果をもたらすことを期待して併用されます。
免疫機能の活性化
自己防御システムは、体内の免疫細胞が担っています。フコイダンの研究により、低分子フコイダンにはがん細胞に対する免疫を活性化する作用があることがわかりました。免疫細胞の一つであるマクロファージは、低分子フコイダンが持つ多糖体を感知できる受容体を持ち、体内で低分子フコイダンの多糖体を感知すると、他の免疫細胞に「外敵を攻撃せよ」という指令を出して免疫を活性化させます。
そもそもマクロファージがなぜフコイダンの多糖体に反応するのかについてはまだ明らかにはなっていませんが、フコイダンに多く含まれる多糖体の形が菌類の細胞壁の形に似ており、病原菌と勘違いして免疫が活性化されるのではないかと推測されています。※6
※6:腫瘍に対する免疫の活性化機構(九州大学大学院細胞工学制御教室)
血管新生抑制作用
がん細胞が増殖し続けるためには、栄養が必要になります。そこでがん細胞は栄養を得るために既存の血管から枝を伸ばすようにして新しい血管を作らせます。これが血管新生です。がん細胞の増殖が進むとがん細胞に栄養を運ぶ血管も増えるため、身体の必要な場所に血液が十分回らず、食事をしても栄養が足りなくなり痩せていきます。身体の抵抗力も弱まるため、悪循環に陥ります。
がんの増殖を食い止めるためには、新しく血管を作らせないことが必要です。がん細胞へ栄養を運ぶ道を遮断し、兵糧攻めにすることでがん細胞が弱り、勢いを失ってやがて死滅します。
がん細胞を使った試験では、低分子化フコイダンには血管新生を抑える作用が報告されています※7。
※7:がんの栄養補給路を断つ血管抑制作用(九州大学大学院細胞工学制御教室)
がん細胞へのアポトーシス誘導作用
通常、細胞には自滅プログラムが組み込まれていて、一定期間細胞分裂を繰り返した後自滅スイッチが入り、細胞死を引き起こします。この現象をアポトーシスといい、アポトーシスが作動することで体内の細胞は常に新しく入れ替わり、良い状態を保てるのです。
がん細胞はアポトーシスが作動せず、増殖の一途をたどります。抗がん剤はがん細胞を殺す目的で投与しますが、正常な細胞まで攻撃して副作用を引き起こします。がん細胞を使った低分子フコイダンの試験では、アポトーシス誘導作用によるがん細胞の増殖抑制効果が報告されています。同試験で正常細胞に対してアポトーシスは確認されていません。※8がん細胞だけを特異的に細胞死に導くメカニズムの解明が待たれます。
※8:がんを自滅に導くアポトーシス誘導作用(九州大学大学院細胞工学制御教室)
がん治療でフコイダンが注目される理由
近年のがん治療においては、統合医療も行われるようになりましたが、中でもフコイダンに注目が集まっています。その理由について次に詳しく解説します。
抗がん剤との併用が可能
抗がん剤の多くは活性酸素の力でがん細胞を死滅させますが、低分子フコイダンには抗酸化作用があるため、併用することによって抗がん剤の力を打ち消してしまうことが懸念されます。しかし実際にがん患者に低分子フコイダンと抗がん剤を併用した結果、副作用が緩和され検査結果も改善がみられました。このことから抗がん剤との併用は可能であり、かつ効果的であると考えられています。
併用のメリット
がん細胞に抗がん剤と低分子フコイダンを添加する試験をしたところ、抗がん剤の単独使用よりも、併用した方ががん細胞のアポトーシス誘導作用が2倍以上になることが確認されました。このことから、低分子フコイダンを併用することにより、抗がん剤によるがん細胞へのアポトーシスを促進させると同時に、正常細胞に与えるダメージを抑える効果が期待できると考えられています。つまり抗がん剤の効果を高め、かつ副作用も軽減することが期待できるということです。※8
食品成分であるフコイダンのさらなる研究に期待
これまでの研究により、フコイダンの様々な作用が解明され、抗がん剤との併用による効果が期待されるようになりました。今後さらなる研究が進み、がん細胞のみを特異的に攻撃するメカニズムが明らかになると、がん治療のさらなる発展へとつながるでしょう。
フコイダンは食品であるため、毎日の食事から気軽に摂取できるのが利点です。がん予防のための食習慣への活用が可能であることも魅力の一つです。
フコイダンには試験管レベルの研究結果も多いですが、既に次のような作用が実証されております。
抗腫瘍・抗がん作用/抗アレルギー作用/肝機能向上作用/抗生活習慣病/抗ウイルス作用/抗ピロリ菌作用/血液凝固阻止作用/美肌作用/育毛作用
さらに、そんな美容と健康に対してさまざまな作用をもたらすフコイダンを効率的に摂取できる方法として、最近では「中分子フコイダンドリンク」にも注目が集まっています。
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近年ではがん治療の統合医療にも、フコイダンが用いられるようになっています。
フコイダンが持つ作用が、がん治療に良い効果をもたらすと期待されているためです。
具体的には、フコイダンは抗がん剤との併用が可能であり、かつその効果を高めたり、副作用を軽減したりする可能性が示唆されています。
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
フコイダンには、まだまだ秘められたパワーがあると考えられます。
今後研究が進むことで、私たちの健康に対しても医療分野に対しても、さらなる恩恵をもたらしてくれることでしょう。
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