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食道がんステージ4の治療や余命は?がんとの共存について解説

食道がんステージ4の治療や余命は?がんとの共存について解説

食道がんのステージ4期は、食道周辺だけではなく、他の臓器にもがん細胞の転移が見られる状態です。食道がんという病名ですが、全身に何かしらの影響が出始めているケースもあるでしょう。この記事では、食道がんステージ4の際に選択される治療法や余命について解説しています。

また、食道がんの症状や治療法について詳しくは以下の記事をご覧ください。
>>食道がんとは?その症状と治療法について

日置医院長

この記事の監修者
日置クリニック 院長
日置 正人 医学博士

【経歴】
昭和56年3月 
大阪市立大学医学部卒業
昭和63年3月 
大阪市立大学大学院医学研究科卒業
平成5年4月 
医療法人紘祥会 日置医院開設

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食道がんステージ4とは

食道がんステージ4は、肺や肝臓など他の臓器にがんが転移している状態です。

食道がんが粘膜下層まで広がった場合、半数以上の患者さんにリンパ節転移が認められます。「食道がんは治りにくい」といわれるのは、こうした転移のしやすさが原因といえるでしょう。

食道がんステージ4の状態と症状

食道がんステージ4の状態と症状

(参照:食道がん治療|https://ganjoho.jp/public/cancer/esophagus/treatment.html

食道がんステージ4は他の臓器にも転移が見られるか、転移がなくても悪性腫瘍のサイズが粘膜層から飛び出して、食道周囲の組織に侵食を始めている状態です。

例えばリンパ節にがんが転移すると、食道の周囲の神経などを圧迫して声がかすれたり、飲み込みにくさを自覚したりします。また気管や気管支、肺に転移すると咳が出たり、声がかすれたりといった症状が現れることもあります。背骨に転移すると背中や胸の痛みも現れます。食道は重要な神経や血管、臓器が周辺にあるため、浸潤・転移したときの影響は大きいといえます。

さらに食道は口から胃にかけて連続した臓器でもあるため、喉や胃にがんを併発することが少なくありません。

食道がんステージ4の治療法

食道がんステージ4の治療法
食道がんの治療は、患者さんの状態やがんの進行度によってさまざまな治療法を組み合わせて進めるのが一般的です。ステージ4の場合や再発がんの治療は、主に化学療法をメインとして進めます。また手術を望まない場合や手術を受ける体力が十分でない場合も、放射線療法や化学療法をメインとして治療を進めます。

食道がんステージ4の治療法
(参照:食道がんのステージと治療の選択|https://www.esophagus.jp/public/cancer/05_stage.html

食道がんステージ4の治療を選択をする際のポイントの1つに「PS」と呼ばれる指標があります。PSは、身体の活動状態をあらわすスコアです。活動状態スコアは0〜4の5段階で評価され、自分自身で問題なく他の人と同じように社会生活を送れるか、日常生活である程度のサポートが必要なのか、介護を要する状態なのかという身体活動の状況を加味して治療の選択をしていきます。

化学療法

化学療法は、抗がん剤などを投与して全身に散らばったがん細胞を攻撃する治療法です。食道がんステージ4は食道より広範囲、ときに全身にがん細胞が広がっていることもあります。そのため食道がんの場合は化学療法だけで完治させることは難しく、多くは放射線療法や手術と組み合わせて治療を進めます。

抗がん剤は血流に乗って全身を巡ります。目には見えない、全身に散らばっている可能性のあるがん細胞を死滅させる効果が期待できる反面、全身の健康な細胞にも攻撃してしまうため、副作用が出やすいという欠点があります。

抗がん剤の種類や副作用について、詳しくは以下の記事ご覧ください。
>>抗がん剤の種類について
>>抗がん剤の副作用について

食道がんの化学療法の場合、投与+休止で1コースと考えます。抗がん剤は投与後数週間でじわじわ効果を発揮するので、必ず投与と休止1組で1コースとしています。

食道がんで使用される抗がん剤で多いのは、シスプラチンとフルオロウラシルの組み合わせです。コース初日にシスプラチンを点滴して、それに加えてフルオロウラシルをコース初日から4・5日連続して点滴静注します。副作用への対処なども必要になるため、一般的には入院して治療するのが基本です。慣れてくると通院治療をすすめる医師もいます。

近年では効果が得られにくいときの補足治療として、ドセタキセルに変更・追加する例もあります。また、3剤併用療法といって初めからドセタキセルを加えて治療する方法も徐々に浸透し始めてきています。

放射線療法

放射線療法は、食道がん治療の大きな柱の1つ。強いエネルギーが体のなかを通り抜けていく性質を利用して、がん細胞に対してダメージを与えることを狙った治療法です。

がん細胞は正常な細胞に比べて分裂のスピードが速いので、放射線によるダメージを受けやすい特徴があります。治療として用いる場合は抗がん剤と組み合わせるのが一般的ですが、症状緩和を目的とする場合放射線療法を単独でおこなうこともあります。

まずは治療として放射線療法をおこなう場合について解説します。
治療の場合、食道をはじめ臓器を温存するための治療計画を立てます。場合によっては腫瘍が小さくなったあとに手術療法と組み合わせて取り除けるようにして完治を目指す手段もあります。

放射線は、がん腫瘍がある病巣そのものと、その周囲やリンパ節を中心に照射する治療法が取られます。照射範囲は腫瘍のある部位や進行度によって異なります。
CTなどによる画像検査で照射範囲を定めて毎日少しずつ放射線を当てていくのが基本です。1回の照射時間が1〜5分程度と短いことも、患者さんにとっては負担が少なくメリットといえるでしょう。放射線を照射する機械が体の周りを回転して、体の外からがん腫瘍のある体内へと向けて照射します。

一方で、症状を和らげるための放射線療法は単独で用います。
食道を塞ぐ病巣を小さくして口から食べ物を食べられるようにしたり、骨や脳などがん細胞が転移した場所に向けて照射し、痛みなどの症状を和らげたりする目的でおこないます。

化学+放射線療法

食道がんにおいて手術療法と並んでがん治療の大きな柱となるのが、抗がん剤を使う化学療法と放射線療法を組み合わせた方法です。両者を組み合わせる方法を「化学放射線療法」といいます。

他のがんであれば、化学療法や放射線療法は根治が望めないほど進行している場合に取られる策というイメージがあるかもしれませんが、食道がんの場合、この2つを組み合わせた化学放射線療法は、ときに手術に匹敵する効果が期待できます。

また、手術療法と組み合わせ、治療効果を上げようという試みで取り入れられることもあります。

手術をしないで治療したいと希望がある場合

食道がんの治療では、手術をする際に声帯や気管を切除する必要が出てくる症例も少なくありません。声帯や気管を切除してしまうと生活の質(QOL)が著しく低下します。

仮にがんが治ったとしても、その後の人生に重荷を背負うことになるのではないかと考える患者さんも少なくありません。
できるだけ今後の人生を考え「QOLを維持したい」という希望に合わせて、手術をせずに化学放射線療法で治療をするケースもあります。

さまざまな理由により手術ができないと判断された場合

がん細胞が限られた範囲にとどまっていても、年齢や基礎疾患があることにより全身の状態から手術をするには負担が大きすぎると判断された場合、化学放射線療法を選択することもあります。

手術で取りきれないほどがんが進行している場合

がんが深く広く進行していて手術は難しいと判断された場合に、化学放射線療法を選択する場合があります。また、その他の治療を試みたもののがんが消えずに残存した場合や、いったん消えたけれど再発した場合のサルベージ治療として、化学放射線療法が取り入れられることもあります。

対症療法・緩和治療

対症療法・緩和治療と聞くと、がんが進み手の施しようがない状態の人のためのものというイメージがあるかもしれません。しかしがんのステージに限らず、早い段階で見つかっても、本人や家族の不安や苦痛が大きいことがあります。

患者さんの家族が抱える身体的・心理的・社会的な問題を的確に評価して苦痛の回避と軽減を図るのが対症療法です。また、がんが進行した状態においては、苦しみを和らげ生活の質を維持するための緩和治療を中心に対処していくことも対症療法といわれています。

日本では、苦痛を感じるまで患者さん自身が我慢をしてしまったり、家族内だけで対処しようとしたりする傾向があります。しかし本来対症療法や緩和治療は、がんと診断されたときから誰でも受けられるのが理想です。

食道がんを発症し、病状が進行すれば食べ物をうまく飲み込めなかったり食べられなかったり、声が出にくくなったりなど日常生活に苦痛を感じる症状が生じることもあるでしょう。
また、がんが転移していれば呼吸をするたびに痛みを感じたり、頭痛や背部痛など日常的に感じる痛みや重だるさ、治療にともなう副作用などが生じたりすることも少なくありません。

体の苦痛だけではなく、その時々に患者さんのQOLや人生の楽しみを脅かすものに対処し苦痛を感じることなく過ごすための治療が対症療法です。

食道がんステージ4の余命は?

食道がんステージ4の余命は?
(参照:がん情報サービス|https://hbcr-survival.ganjoho.jp/graph?year=2014-2015&elapsed=5&type=c01#h-title

食道がんステージ4の5年生存率に着目すると、確かに悲観的になってしまう数値ではあるでしょう。5年生存率とは、文字通り「がんと診断されてから5年目に生存が確認できている」値です。
生存していても、毎日が不安や治療による苦痛の連続だった場合、その時間は「自分らしく」いられない時間かもしれません。

治療ばかりに気を取られるのではなく、「自分らしく・楽しい毎日」を生きるために、海外では既に「がんとの共存」という考え方も普及しつつあります。

がんのステージについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。
>>がんのステージってなに?ステージの分類や生存率について

がんとの共存という考え方もある

近年ではさまざまな遺伝子異常や生活習慣による健康被害の影響により、3人に1人はがんで亡くなる時代と考えられています。

実際にがんを患っても、特に高齢者は体の負担やそのあとの健康寿命などもふまえ、薬の副作用や手術による体へのダメージを考え、治療をまったくしない方法を選択するケースも出てきています。

がんとの共存という考え方もある
(参照:生存率はがんと闘い共存するための一つの指標 国立がん研究センターが5年生存率など2報告書を公表|https://scienceportal.jst.go.jp/explore/review/20170821_01/

こちらは大腸がんのデータですが、75歳以上を境目に、治療を何もしないでがんと共存する選択をする人が増えています。欧米では、体への負担が大きく日常生活の質を落とすことになりかねない抗がん剤などを使わないがん治療にシフトしている実例もあります。

食道がんとは異なりますが、例えばなかなか完治が難しいとされている膵臓がんでは、ほとんどの場合手術の対象にならないとされています。無駄に手術し、体への負担を大きくして生活の質を落とすぐらいなら何もしないと考える例もあり、がんとの共存を試みる医師や患者さんもいます。※1

※1 がんメディカルサービス
抗がん剤は時代遅れ?アメリカは抗がん剤を使わない治療にシフトしている

まとめ

まとめ
食道がんステージ4期。さまざまな体の症状が出始めて、患者さんとしては辛さを感じ始めるかもしれません。そんなときこそ、医療や社会資源を上手に活用し、QOLをできるだけ低下させない方法を検討してみませんか?

毎日を穏やかにストレスなく過ごし、がんと共存していくことも延命へのサポートになるはずです。治療を続けることにとらわれず、いろいろな方法を模索してみてもよいかもしれません。

近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。

なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。

フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。

それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。

>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ

がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。

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この記事の執筆者
日置クリニック コラム編集部

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