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S状結腸がんとは?症状・原因・治療法を徹底解説!早期発見がカギになる理由とは?

S状結腸がんとは?症状・原因・治療法を徹底解説!早期発見がカギになる理由とは?

S状結腸がんとは、大腸がんの一種で結腸の末端部に発生するがんです。近年、生活習慣の変化や食の欧米化、高齢化にともない、大腸がん全体の発症率も増加しています。

そのなかでも便が停滞しやすいS状結腸は、がん発症リスクが高い部位です

この記事では、S状結腸がんの症状・原因・治療法について詳しく解説します。健康維持や早期発見のために、正しい知識を身につけていきましょう。

日置医院長

この記事の監修者
日置クリニック 院長
日置 正人 医学博士

【経歴】
昭和56年3月 
大阪市立大学医学部卒業
昭和63年3月 
大阪市立大学大学院医学研究科卒業
平成5年4月 
医療法人紘祥会 日置医院開設

詳しいプロフィールはこちら

S状結腸がんとは

S状結腸がんとは
(参照:https://www.ach.or.jp/disease/colorectal-cancer/

S状結腸がんとは大腸がんを細かく分類したうちの1つです。大腸がんと分類されるものの中の約6割は、肛門に近い直腸とS状結腸に生じます。なぜこの部位に悪性腫瘍の発症が集中するかというと、S状結腸と直腸に便が長い時間とどまるため、粘膜と便との接触が長時間続くためよりがんが発生しやすいと考えられています。

S状結腸とは

S状結腸とは
(参照:https://kieikai.ne.jp/news/detail.php?seq=389
S状結腸とは、大腸の一部であり、結腸の末端部分に位置する部位です。結腸のなかでも直腸に近い部分であり、S字にカーブしている形状が特徴です。その形から「S状結腸」と呼ばれています。

S状結腸がんの初期症状・気づくきっかけ

S状結腸がんの初期症状・気づくきっかけ
(参照:https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/clinic/colorectal_surgery/150/index.html
S状結腸がんを含む大腸がんは、基本的に自覚できる初期症状はほとんどありません。進行するごとになにかしらの症状が出現します。
基本的には、自覚症状が生じている場合はある程度がんが進行していると考えられます。

初期症状が乏しいため、気づいたきっかけは「健康診断」による異変により精密検査に進み発覚するケースのようです。

S状結腸がんの検査・診断

S状結腸がんの診断のためにおこなわれる検査は、基本的に大腸がんの検査と同じです。ここでは、確定診断に向けておこなわれる検査や病状の把握のために実施される検査について解説します。

便潜血検査

便潜血検査
(参照:https://www.yusokensa.com/kensin07s1.html

日本では大腸がんを早期発見するために、40歳以上を対象とした大腸がん検診が広くおこなわれています。日本の生活様式の変化とともに、40歳以上から徐々に大腸がんに罹患する人が増えてくるためです

近年、職場の検診や自治体の検診などで広く実施されている検査方法が「便潜血検査」という方法です。便潜血検査は便のなかに血液が混じっているかどうかを調べる方法で、肉眼ではわからない消化管からの出血の有無を検出できます。

潜血検査の大きなメリットは、食事制限などの必要がなく、専用の容器に自分で便を採取して提出するだけという簡便さです。精度を高めるため、続けて2日間の便をそれぞれ採取する2日法が現在では主流です。大腸がんの初期の場合、腫瘍自体から毎日出血するとは限らないため、2日分の便を調べることで発見率を高めています。

大腸内視鏡検査

便潜血検査で陽性になった場合、次の精密検査として内視鏡検査があります。肛門からカメラを挿入し、盲腸まで内視鏡を挿入して直接観察します。カメラで粘膜の状態を確認していて異変があればその組織を採取します。採取した組織は病理検査に出して組織を確認し、悪性腫瘍かどうかの確定診断をします。

注腸造影

内視鏡検査の普及により用いられることは減ってきましたが、肛門から造影剤と呼ばれるバリウムと空気を入れ大腸内をレントゲン撮影する注腸造影も大腸がんをみつけるための検査の一つです。大腸の壁に生じた変化を映し出すことにより、がんの位置や大きさ形周囲の組織との位置関係などを判断するのに役立ちます。

CTC検査

CTC検査はCTコロナグラフィーともいわれ、CT装置で大腸を撮影する方法です。検査をするときに肛門から炭酸ガスを入れてCT撮影をします。内視鏡検査のように肛門から内視鏡を挿入することがないため、患者さんの心理的な負担が少ないのも特徴の一つです。

MRI検査

磁気を用いてCT検査同様大腸がんと周囲の臓器の位置関係や、リンパ節転移の有無を調べることができます。

エコー検査

腹部のエコー検査は、超音波を体に当てて人を組織の構造や動きを調べます。肝臓への転移の有無を調べるのに役立ちます。患者さんの負担が少ないのも特徴の一つです。

PET-CT検査

PET-CT検査は、がん細胞が通常の細胞よりもブドウ等を多く消費する性質を利用して撮影する検査です。がんの大きさや位置、活動性などを調べることができ、比較的小さながんも検出可能ですが早期がんの発見には向いていません。

S状結腸がんのステージ・分類

S状結腸がんのステージ・分類
(参照:https://www.yokohama-naishikyou.com/colorectal_cancer/

S状結腸がんのステージ分類は、基本的に大腸がんと同様に扱います。がんの進行度合い(ステージ)によって治療法や予後が異なり、一般的には大腸がんと同様にステージ0〜Ⅳの5段階にわけられています。

ステージ0(上皮内がん)

がんが粘膜内にとどまっている状態で、転移がないため早期発見されれば内視鏡手術で完治が期待できます。

ステージⅠ(粘膜下層浸潤がん)

がんが粘膜下層まで達しているが、リンパ節や他臓器への転移はない状態です。外科手術や内視鏡切除が一般的で、治癒率が非常に高いです。

ステージⅡ(固有筋層浸潤がん)

がんが筋層や漿膜下層まで浸潤しているが、リンパ節への転移はない状態です。外科的切除が主流で、場合によっては補助化学療法がおこなわれます。

ステージⅢ(リンパ節転移あり)

周囲のリンパ節にがんが転移しているが、他臓器には転移していない状態です。手術に加えて化学療法が併用され、再発リスクも徐々に高まるステージのため慎重な経過観察が必要です。

ステージⅣ(遠隔転移あり)

他臓器(肝臓や肺など)に転移がある状態で、根治が難しいこともあります。薬物療法を中心に、症状緩和や延命治療を導入することもあります。原発巣と転移巣の同時切除が可能なケースでは手術が検討される場合もあります。

S状結腸がんの原因とポリープとの関連性

ポリープがあるとガンになりやすいと考える方もいるようですが、全てのポリープががんになるかというとそうではありません。

ポリープなどを含めた消化管粘膜にできる突起物のことを「腫瘍」といい、良性と悪性にわけられています。がんは悪性腫瘍と表記されることがある一方で、ポリープは一般的に良性です。

ポリープであればあまり心配することはありませんが、そのなかでも1cmを超える大きさのものがあればがん化しやすいこともわかっています。また、1cm以下のポリープであってもがんになる可能性はゼロではありません。

1つの基準として、「ポリープの大きさが6mm以上」であればあらかじめ切除しておくか、定期的に検査を受けて早期発見・早期対処ができるように心がけておくのが重要です。

S状結腸がんに関連して心配しておかなければいけないポリープは「家族性大腸腺腫瘍」と呼ばれる、無数にポリープができる病態です。これは生まれながらに持っている遺伝子が原因の病気で、放置するとがん化することがわかっています。

こちらの記事も参考にしてみてください。
>>大腸がんの初期症状とは?早期発見のために気にするべきことについて解説!

S状結腸がんの治療方法

S状結腸がんの治療は、ステージに応じて内視鏡治療や手術療法薬物療法などから選択されます。自分の状況にあった治療法を見極めるために、適切な治療法について知識を深めていきましょう。

内視鏡治療

内視鏡治療
(参照:https://ph-lab.m3.com/categories/clinical/series/featured/articles/133

S状結腸がんをはじめ、内視鏡を用いて良性のポリープやがんを切除する治療を内視鏡的治療といいます。大腸がん治療ガイドラインでは、内視鏡治療が適当になるケースは次のような場合です。

  1. 大きさは2cm未満
  2. 陽性と判断したポリープまたはリンパ節転移の可能性がほぼない粘膜内のがん、粘膜下層の浅い部分にとどまっているがん

基本的には内視鏡で切除したがんは病理検査に回ります。その結果によっては追加で外科的な手術が必要になる場合もあります。

内視鏡治療は茎のあるポリープ型の早期がんや良性のポリープを切除する「ポリペクトミー」という方法と、平坦な形をしたがんを生理食塩水などで土台から膨らませ切除する「EMR・ESD」と呼ばれる方法のいずれかで除去します。

ESDに関しては、高い技術が要求されるため、実施できる医療機関に限りはありますが、従来2㎝未満だった切除可能最大径が2〜5㎝にまで拡大しました。

手術

手術
(参照:https://www.coloproctology.gr.jp/modules/citizen/index.php?content_id=12
S状結腸がんの手術はがんの大きさや広がり具合により手術方法は腹腔鏡手術と開腹手術のいずれかにわけられます。

腹腔鏡手術

腹腔鏡手術
(参照:https://byoin.city.fuji.shizuoka.jp/bumon/shinryou/geka/kyoushika.html

腹腔鏡手術では、小さな傷が複数箇所と切除した腸を取り出す層が4~5cmほどの小さな傷で済みます。開腹手術に比べ、患者さんの体の負担も軽く済むのが一般的です。

腹腔鏡手術は、かつて早期がんのみに限られていましたが現在ではロボット支援腹腔鏡手術などさまざまな技術が進歩し、同時に手術に用いられる器械の性能も向上してきているため、リンパ節の切除が必要な進行がんでも手術適用になるケースが増えてきました。

開腹手術

開腹手術の場合、一般的にお腹を15〜20cmほど切開して、悪性腫瘍がある部分とその周囲のリンパ節を取り除きます。S状結腸に発生した悪性腫瘍を取り除く術式は「S状結腸切除術」という方法でおこなわれます。

いずれも目にみえないがんも含めて摘出できるように、がんの両端からそれぞれ10cmぐらいのところを目安に、腸管とリンパ節も切除し、残った腸管同士をつなぎ合わせる「吻合」という方法でつなぎ止めます。

症例にもよりますが、S状結腸がんの場合肛門を温存して悪性腫瘍部分を取り除くことが可能です。

薬物療法

S状結腸がんの薬物療法は、基本的に大腸がんの薬物療法に準じておこなわれます。大腸がんの薬物療法の場合、抗がん剤と分子標的薬が主な選択肢です。

抗がん剤はがん細胞の増殖を抑えたり遺伝子にダメージを与えたりすることで、がん細胞を死滅させたり大きくなることを抑える働きを持っています。

しかし抗がん剤は、増殖の早い正常細胞にも働いてしまうため白血球数の低下や粘膜障害など、正常の細胞にもダメージを与えてしまいます。

そこで近年、がん細胞を狙い撃ちできる分子標的薬が登場し大腸がんの治療として用いられるようになりました。大腸がんの一部であるS状結腸がん、でも薬物療法は用いられて主に以下の2つの目的で用いられています。

  1. 手術後細胞レベルで残っているがんを攻撃して再発を予防する補助化学療法
  2. 手術では切除が困難な進行再発がんに対して進行を遅らせたり、縮小させる薬物療法

S状結腸がんの場合、通常いくつかの抗がん剤と分子標的薬を組み合わせて治療を実施します。基本となる薬はフルオロウラシル(5-FU)と呼ばれる薬です。フルオロウラシルという抗がん剤を中心に、血管新生阻害薬と呼ばれる分子標的薬や抗eGFR抗体薬と呼ばれる分子標的薬を組み合わせて薬物療法が進められます。

詳しくは以下の記事も参考にしてください。
>>抗がん剤の種類について(細胞障害性抗がん薬・分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬)

S状結腸がんの生存率

S状結腸がんの生存率
(参照:https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/clinic/colorectal_surgery/160/index.html

S状結腸がんの生存率は、ステージごとに大きく異なります。「S状結腸がん」独自の参考になるデータは、今回の調査においてはみつけられませんでした。しかし、分類としては「結腸がん」に分類され、さらに位置関係的には直腸がんの生存率も参考にできそうです。

S状結腸がんは、ステージが早期であればあるほど治癒が期待できることがわかるため、早期発見・治療がカギとなるでしょう。定期的な大腸検診や便潜血検査を受けることで、初期段階で発見することが重要といえます。

まとめ

S状結腸がんは、大腸がん全体のなかでも発症しやすい部位です。S状結腸は便の停滞が長引くことで発がんのリスクが高まるとされています。S状結腸がんは初期症状が少ないため、定期的な大腸検診や便潜血検査を受けることで、早期発見につなげる一助にできます

発見が早ければ、内視鏡治療や手術による完治が期待できる一方で、進行してしまうと治療が難しくなるため、普段からの健康維持への意識づけが重要です。

気になる症状が出る前でも、健康診断などで検査は手軽にできます。早期発見・対処のためにも意識的に検診を活用することを検討しましょう。

近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。

なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。

フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。

それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。

「中分子フコイダン」を用いた臨床結果の一例を紹介しています。どういった症状に効果があるか具体的に知りたい方は臨床ページをご覧ください。
>>「中分子フコイダン」を用いた臨床結果

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がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。

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この記事の執筆者
日置クリニック コラム編集部

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