2024.04.04
がん逆流性食道炎と食道がんの見分け方|似た症状に潜むリスクと見逃さないポイント
胸やけや喉の違和感、呑酸(すっぱいものがこみ上げる感覚)などの症状に悩まされた経験はありませんか?これらは「逆流性食道炎」でよく見られる症状ですが、実は「食道がん」に気がついたきっかけの症状としても聞かれることがあります。
初期の食道がんと逆流性食道炎では似通った症状がいくつかあり見分けがつきにくく、受診が遅れてしまうケースも少なくありません。
この記事では、逆流性食道炎と食道がんそれぞれの特徴と見分け方のポイントをわかりやすく解説し、注意すべき症状や診断方法、リスクの高い人の特徴まで網羅します。気になる症状が続く方は、放置せずに早めの対応を検討しましょう。
逆流性食道炎と食道がんの症状の違い
胸やけや喉の違和感、飲み込みにくさなど食道に関連する症状が現れたとき、最初に思い浮かべるのは「逆流性食道炎」かもしれません。しかし、食道がんでも似たような症状が現れることがあります。ここでは、逆流性食道炎と食道がんの症状やサインの違いに着目し、見分け方のヒントをわかりやすく整理します。
逆流性食道炎と食道がんどちらにもみられる症状
逆流性食道炎と食道がんの初期、どちらにもみられる症状には以下のものがあります。
- 胸やけ(胃酸のこみ上げるような不快感)
- 呑酸(すっぱい液体が喉元に上がるような感覚)
- 胸の軽い痛み・違和感
- 喉のつまり感や異物感
- 食後に悪化する不快感
逆流性食道炎では、食後や就寝時など、胃酸が食道へ逆流しやすい体勢やタイミングで症状が強くなる傾向があります。食道がんも早期にはこうした症状が出ることがあります。慢性的に続く胸やけや喉の違和感を「逆流性食道炎だろう」と放置してしまう患者さんも少なくないようです。
食道がんのみに起こりうる症状

(参照:食道がん治療の最前線 〜集学的治療やロボット手術で、患者さんの負担軽減と治療効果の向上を|「がん治療」新時代、https://gan-mag.com/gastrointestinal/7197.html)
初期の頃には逆流性食道炎と食道がんは共通する症状もありますが、食道がんであれば進行するにつれて特有の症状が現れてきます。以下のような症状は、食道がんに特徴的な進行症状の代表例です。
- 食べ物の飲み込みづらさ(嚥下障害)
- 体重の急激な減少
- 声のかすれ・声枯れ(反回神経への影響)
- 持続する胸の痛みや背中の痛み
- 出血や吐血・黒色便
- 咳、痰
初期には喉のつまり感であった症状が徐々に悪化し、固いものが飲みにくくなります。さらに進行すると、水やお粥のような柔らかいものでも詰まるようになります。
がんによる全身状態の悪化や、飲み込みにくさによる栄養不足などが原因で体重が減ることもあります。半年で5kg以上の減少などが見られることもあります。
食道がんに特徴的な症状の一つです。リンパ節に転移が起きると喉や神経が圧迫され、声の異常が出ることがあります。
食道に生じた悪性腫瘍により局所浸潤やリンパ節転移などが起こります。食道がんの場合、深部にしみこむような痛みとして自覚されます。
がんによる出血がある場合、吐血やタール状の便(黒色便)として現れることがあります。便として排泄される前に、消化管内の滞在時間が長いため血液が変色し、黒色を呈するようになります。
食道がんが進行してくると、腫瘍が大きくなった影響により呼吸器にも影響を及ぼし始めます。咳や痰は、呼吸器系への浸潤や転移が見られることにより生じる特徴的な症状です。
これらの症状は、逆流性食道炎ではほぼ見られません。食事が通らない、どんどん食が細くなる、声が出しづらい、体重が急に減ったといった症状は、進行した食道がんに特徴的な症状といえるでしょう。
食道の役割

(参照:食道がん治療の最前線 〜集学的治療やロボット手術で、患者さんの負担軽減と治療効果の向上を|「がん治療」新時代、https://gan-mag.com/gastrointestinal/7197.html)
食道は胃から口までを結ぶ筒状の臓器です。消化器官の一つで、口から取り込んだ食べ物を食道の壁を作る筋肉の動きで胃に向かって送り出します。
食道の基本構造と働き
食道の内側の表面は粘膜でできています。食道の表面は扁平上皮細胞でできていて、食道腺から分泌される粘液が内側全体に満ちているため、食べ物がスムーズに胃のほうへと送り出されます。
食道は内側から粘膜、粘膜下層、固有筋層、外膜という順番で構成されています。食道の通過時間は、液体なら口から飲み込んだあとおよそ1秒ほど。固形物でも、飲み込んでから7秒ほどで胃に向かって送られていきます。
逆流性食道炎とは

(参照:逆流性食道炎の治療と検査。健診会東京メディカルクリニック,東京都 北区、https://www.c-takinogawa.jp/outpatient/department-list/gastroenterology/news02.html)
逆流性食道炎とは、胃の内容物が食道に逆流し、食道の粘膜が胃酸によって傷つけられて炎症が起きている状態です。胃と食道は隣り合っている臓器ですが、食道の粘膜と胃の粘膜は異なる構造をしています。胃の粘膜部分は胃酸の強力な酸性液に強い構造になっていますが食道の粘膜は胃酸に強い構造はしていません。
逆流性食道炎は、残念ながら一度生じてしまうと完全に治せる病気ではありません。しかし胃酸や胃の内容物の逆流を防げるようになれば、症状を緩和させることもできます。軽症であれば、食事や生活習慣の改善だけで劇的によくなる可能性もあります。
逆流性食道炎の主な症状
逆流性食道炎ではさまざまな症状が現れます。なかでも逆流性食道炎に特徴的な4つの症状があり「胸焼け、呑酸(どんさん:すっぱいものが胸や口などに上がってくる状態)、つかえ感、胸の痛み」です。
その他にも、ゲップや胃もたれ、お腹の膨満感や吐き気などの症状が出てくることもあります。胃酸や胃の内容物が口の中まで逆流し、酸にさらされる機会が増えると声のかすれや虫歯などの症状が生じることも。
しかし一方で、半数近くの方はまったく自覚症状なく過ごしています。
胃とつながる場所「食道胃接合部」の異常「バレット食道」
食物は口から入ったあと食道を通過して胃に入り、消化吸収の過程が始まります。胃と食道がつながる部分は、食道胃接合部と呼ばれています。食道胃接合部は、逆流性食道炎などによる刺激が長期間加わると、食道がんにつながるおそれがあります。
近年注目されている食道がんの発生要因の一つが、この食道胃接合部に生じる粘膜異常「バレット食道」です。バレット食道は、食道粘膜が変質し大きさや形の異なる細胞が入り乱れた粘膜になってしまった状態を指します。
食道の粘膜は通常、薄くて平らな「扁平上皮」という細胞からできていますが、バレット食道は縦長で円柱形をした「円柱上皮」という細胞に置き換わってしまった状態です。バレット食道自体は悪性ではなく、積極的な治療はおこなわれません。しかし、がんが発生することもあるため、バレット食道と診断されたら定期的に検診を受けることが大切です。
食道がんの要因として考えられる食道の異常には、逆流性食道炎による胃酸の逆流のほかに、食道括約筋がしまったままになってしまう「食道アカラシア」という病気も要因の一つです。食道アカラシアは食道内に長く飲食物がとどまり、その刺激が加わることがあります。
逆流性食道炎の検査・診断

(参照:診断方法|逆流性食道炎|四谷メディカルキューブ、https://www.mcube.jp/department/reflux_esophagitis/diagnose/)
逆流性食道炎を最終的に確定させるためには、内視鏡検査をするのが一番確実です。とはいえ、内視鏡検査は患者さんに対する負担も大きく、受診した日にすぐに検査できるわけではありません。
内視鏡検査の前に逆流性食道炎を診断するうえで重要なのが、症状を深堀するための詳しい問診です。胸焼けや呑酸などの典型的な症状以外にも、逆流性食道炎に関連したさまざまな症状を見過ごさないために「Fスケール問診票」というのを活用して、逆流性食道炎の可能性が高いかどうかを診断の目安とすることがあります。

(参照:web版Fスケール(FSSG)問診票 | エーザイ Medical.eisai.jp 医療関係者向けサイト、https://medical.eisai.jp/region/alimentary/f-scale/)
食道逆流症診療ガイドラインを参照すると、逆流性食道炎を疑う症状に対して胃酸の分泌を抑える投薬治療をおこない、症状が改善したら経過観察に入る診断的治療で進めます。
診断的治療で症状が改善しない場合や悪化する場合など、さらなる病状の診察と把握のために内視鏡検査に移って確定診断とすることもあります。なかには逆流性食道炎と疑って治療を始めても、別の病気が隠されていることもあるため、他の疾患を疑っての追加検査として内視鏡検査に進むケースもあります。
逆流性食道炎の治療法
逆流性食道炎の治療の主な目的は、日常生活に支障をきたす不快な症状を減らすことです。できるだけ粘膜障害を改善させ、食道狭窄や粘膜からの出血などの合併症の発生予防を目指します。
逆流性食道炎と診断された場合、初期治療として胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)を8週間服用して症状が改善するかどうかをチェックします。合わせて食事や生活習慣の改善も実践し、状況に応じて他の薬を追加する場合もあります。
逆流性食道炎が重症だった場合、薬などを使って一時的に症状が改善しても、薬を中止すると再び症状が悪化することも。なかには食道がんにつながりうるバレット食道を生じてしまう危険性もあるため、治療を継続しながら定期的な内視鏡検査をおこない、食道がんの兆候を早めにキャッチする患者さん自身の意識付けも重要です。
逆流性食道炎の原因・なりやすい人
逆流性食道炎は、胃酸が食道へ逆流することで食道粘膜に炎症を起こす病気です。つまり、何らかの要因により「胃酸や胃の内容物が逆流しやすい素因がある人」はなりやすいといえます。
逆流性食道炎になりやすい要素としては、加齢により食道下部の筋肉がゆるむことや、肥満、猫背が癖になっている人、腹圧の上昇(食後すぐ横になる習慣や過食)などが挙げられます。また、喫煙や過度の飲酒、脂っこい食事、チョコレート、カフェイン、ストレスは胃酸が多く分泌されるため、悪化要因といえるでしょう。
食道がんとは
食道がんとは、その名のとおり食道のなかに悪性腫瘍が発生した状態のことを指します。基本的に食道がんは、食道の壁の内側から発生します。食道がんはその細胞の特徴から扁平上皮がんが多いですが、ごくまれに胃や大腸の粘膜から発生する腫瘍と同じような腺がんも見られます。
食道がんが発生する場所は、主に食道の上の部分、真ん中の部分、下の部分、さらに胃と食道の接合部と大きく4つに大別されます。
早期の食道がんの症状
食道がんは基本的に、進行するまではほとんど特徴的な症状は現れません。人により悪性腫瘍が生じる部位によっては、熱いものやすっぱいものを食べたときに喉がしみる感じがしたり、咳き込むときに喉に違和感を覚えたりすることもあります。ごくまれに胸の奥にチクチクとした違和感を感じる人もいるようです。
食道がんの進行症状
食道がんも進行してくると、腫瘍部分が食道の内側に向かって増大し食道の内腔が狭くなります。そのときになって初めて、飲み込みにくさや食べ物が喉や胸につかえる感じの自覚症状が現れ始めます。胸焼けや胃もたれが生じることもあるため、胃の調子が悪いととらえてしまう患者さんもいるようです。なかには食道がんの症状と気付かず、市販の胃薬でやり過ごそうとする人も少なくありません。
さらに進行すると、食道周辺にあるその他の呼吸器系の臓器や、連続してある消化器系の臓器にも転移が見られ始めます。そうなると呼吸器系の症状や声を出す神経などに影響を与えることもあり、声がかすれたり咳き込んだりなどの症状も現れ始めます。
食道がんの検査・診断
食道がんの検査にもさまざまな方法がありますが、内視鏡検査をして疑わしい組織を採取し、病理検査で細胞を確認してがん細胞があれば確定診断となります。また、食道がんの広がり具合を見るためにCTやMRIなどの画像診断をして、病期などの進行度を把握します。
詳しくはこちらの記事も参考にしてください。
>>食道がんの初期「0・1期」の症状は?治療法~再発予防、余命までを解説
食道がんの治療法
食道がんの主な治療法は「内視鏡治療・放射線・化学療法・手術」です。食道がんの進行具合により、選択される治療方法が異なります。ここでは、ステージ別の治療法について解説します。
食道がんステージ0-1期

(参照:食道がんのステージと治療の選択|日本食道学会、https://www.esophagus.jp/public/cancer/05_stage.html)
食道がんの初期ステージである「0」の場合、病変が粘膜下層までに限局しています。内視鏡での切除が適応です。1期でがんが粘膜筋板を越えていても、周在性や腫瘍の大きさ、全身状態により手術や放射線、化学放射線療法などを組み合わせて選択し、しっかりととり切るための治療を進めます。初期段階の治療については、こちらの記事も参考にしてください。
>>食道がんの初期「0・1期」の症状は?治療法~再発予防、余命までを解説
II期〜III期

(参照:食道がんのステージと治療の選択|日本食道学会、https://www.esophagus.jp/public/cancer/05_stage.html)
全身状態が良好の場合、化学放射線療法を先行しておこない手術をするか、切除可能であれば手術後に化学療法をします。手術不能例では化学放射線療法をおこない、必要に応じて緩和対症療法を取り入れます。進行期の治療については、以下の記事も参考にしてください。
>>食道がんステージ2・3の治療法・余命を解説!こんな症状は要注意
IV期(遠隔転移あり)

(参照:食道がんのステージと治療の選択|日本食道学会、https://www.esophagus.jp/public/cancer/05_stage.html)
全身状態がよく、患者さんの体力があるようなら化学放射線療法や化学療法を中心として治療を進めます。全身状態が悪い、体力がない、食道の通過障害があるなどの場合は、緩和的な治療や対症療法を優先して進める場合もあります。化学療法がうまく効いて腫瘍のサイズが小さくなったなどの反応が得られれば、残されている腫瘍部分を切除するための手術が検討されることもあります。
ステージ4食道がんの情報や治療については以下の記事も参考にしてください。
>>食道がんステージ4の治療や余命は?がんとの共存について解説
食道がんの原因・なりやすい人
食道がんの発生要因の一つとして、生活習慣に影響を受けることも少なくありません。長年の生活習慣の影響で食道の細胞に負担がかかり、新しい細胞が生み出される際に変異した細胞が生まれやすくなり、そのうちにがん細胞が発生してしまうと考えられています。
食道を通過していく刺激物や生活習慣のさまざまな要因が、食道がんの発生に影響を及ぼすと考えられています。
若いときからの喫煙習慣や連日の大量飲酒などは、食道の粘膜に刺激を与える大きな要因の一つです。また熱いものや辛いものが好き、運動不足で野菜や果物などの抗酸化物質を摂取する習慣がないなども、発がんに影響を与える因子です。
逆流性食道炎と食道がんの違いを見分ける
逆流性食道炎と食道がんは、いずれも「胸やけ」や「呑酸」など類似した症状が現れることがあり、自己判断では見分けがつきにくいこともあります。「万が一食道がんだったら……」と考えると、早期に正確な診断を受けることは良好な予後につなげるためにも重要です。ここでは、両者を見分けるための検査方法や、注意すべき症状の違いについて解説します。
胃カメラ(内視鏡検査)が有効
逆流性食道炎と食道がんは初期症状が似ていることもあるため、確実に見分けるには内視鏡検査(胃カメラ)が有効です。内視鏡では、食道粘膜の炎症の程度や潰瘍の有無、がんのような疑わしい病変の有無を直接観察できます。必要に応じて組織を採取し、病理診断をおこなうことでがんの有無や進行度を正確に評価できます。
逆流性食道炎が長引く人は注意
逆流性食道炎が慢性化し、長期にわたって食道粘膜が胃酸にさらされると、「バレット食道」と呼ばれる前がん状態に進行する可能性があります。逆流性食道炎の症状があり、薬を服用しても症状が改善しない、繰り返し症状が出る、飲み込みにくさや胸の痛みが強くなる場合には要注意です。
まとめ
逆流性食道炎と食道がんは、初期には「胸やけ」「喉の違和感」「呑酸」など共通する症状があり、自己判断では見分けが難しいです。しかし、食べ物が飲み込みにくくなる嚥下障害、体重の急激な減少、声のかすれ、黒色便などがみられる場合は、食道がんが進行しているおそれもあります。
症状が長引く、薬を使っても改善しないなどの場合には、胃カメラ(内視鏡)検査による精密なチェックを受けることを検討しましょう。なかでもバレット食道と診断された方は、定期的な経過観察を怠らず、がん化のリスクに備えましょう。症状を軽視せず、早期発見・早期治療につなげることが健康を守る第一歩となるはずです。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
「中分子フコイダン」を用いた臨床結果の一例を紹介しています。どういった症状に効果があるか具体的に知りたい方は臨床ページをご覧ください。
>>「中分子フコイダン」を用いた臨床結果
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
がんの種類を知る
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