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重複がんとは?

最近のがん治療の進歩にともなって、がんを克服する「がんサバイバー」が急増しています。これに伴い、たとえ最初の「がん」を治療により克服しても、他の臓器に別の「がん」が発生することも決してまれではなくなりました。

また、がんと診断された人に、ほぼ同時に他の部位にがんが見つかることもあります。

例えば、タレントの堀ちえみさんが、舌がんに対する手術をうけた直後に食道がんが見つかり、内視鏡による切除をうけました。幸いにもステージ0と非常に早期だったとのことです。

このように、がんと診断された患者さんや、治療をうけたサバイバーに、同時あるいは時間がたってから新たに発症した別のがんを「重複がん」と言います。

今回は、重複がんについて、その頻度、原因や多い臓器の組み合わせ、および発見する方法などについて解説します。

日置医院長

この記事の監修者
日置クリニック 院長
日置 正人 医学博士

【経歴】
昭和56年3月 
大阪市立大学医学部卒業
昭和63年3月 
大阪市立大学大学院医学研究科卒業
平成5年4月 
医療法人紘祥会 日置医院開設

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重複がんとは?

がんと診断された人に、他の部位や臓器に発生した新たながんのことを重複がん(あるいは、多重がん)と呼びます。

日本における35万人以上のがんと診断された患者を追跡調査した研究によると、2.5年(中央値)の観察期間中に13,385人(3.8%)が重複がんを発症していました。※1

この重複がんの発生率は、年齢や性別を問わずに一般人口でのがん発生率に比べて高いことより、がんと診断された人では、新たながんを発症するリスクが上昇することが示されました。

とくに、60歳代で最初のがんと診断された人では、その後の10年間に新たにがんと診断される率は13%(男性で16%、女性で9%)にまで上昇するとのことです。

>>そもそもがんとは?がんの正体と治療法について詳しくはこちら

※1Incidence of metachronous second primary cancers in Osaka, Japan: update of analyses using population-based cancer registry data.Takahiro Tabuchi et al.Cancer Sci.Jun;103(6):1111-20. doi: 10.1111/j.1349-7006.2012.02254.x. Epub 2012 Apr 11 :2012

重複がんの原因(重複しやすいがんのパターン)


重複がんの原因としては、遺伝子異常などの素因によるもの、環境や生活習慣(喫煙、飲酒、食事、運動など)の関与によるもの、あるいは最初のがんに対する治療の影響(抗がん剤や放射線治療による二次性発がん)などがあります。

このため、最初のがんの種類によって、次に発症しやすい重複がんが違うことがわかっています。※2

例えば、肺がんと診断されたサバイバーは、少なくとも10年間は、喫煙が原因と考えられているがん(肺がん、喉頭がん、咽頭がん、口腔がん、食道がん(扁平上皮がん)など)を発症するリスクが高いことが報告されています。※2

最初のがんが消化管(胃がんや大腸がん)の場合は、重複がんとしてやはり消化管のがんが多いことがわかっています。例えば、胃がんと診断された人では大腸がんが発生することが多く、大腸がんと診断された人では胃がんのリスクが高まることが報告されています。

乳がんの場合、重複がんとして卵巣がん、膵臓がん、および皮膚がんが多いことが報告されています。

※2 Risk of second primary malignancies among cancer survivors in the United States, 1992 through 2008.Nicholas Donin et al.Cancer.Oct;122(19):3075-86. doi: 10.1002/cncr.30164. Epub 2016 Jul 5.:2016

重複がんのリスクを高める因子とは?

最近の研究によると、重複がんのリスクを高める因子があることがわかっています。

アメリカのある施設で治療を受けた6,481人の乳がん患者を対象として、最初のがんの治療後に、重複がんを発症したかどうかを調査した研究です。※3
観察期間中に、全体のサバイバーのうち822人 (全体の12.7%)のサバイバーが、重複がんを発症しており、このうち508人(62%)は肥満に関連するがん(乳がん、大腸がん、子宮頸がん、卵巣がん、すい臓がん等)でした。

さらに、重複がんができやすい危険因子を調査したところ、肥満が重要な因子であることがわかりました。実際に、肥満の指標となる体格指数(ボディマスインデックス、BMI)が、5 Kg/m2増加するごとに、すべての種類の重複がんの発症リスクが7%(肥満に関連する重複がんの発症リスクが13%)増加するという結果でした。

したがって、がんサバイバーでも、重複がんを防ぐために、食事や運動などの生活習慣に気をつけて、適正体重を保つことが重要であると考えられます。

※3 Body Mass Index and Risk of Second Cancer Among Women With Breast Cancer.Heather Spencer Feigelson et al.J Natl Cancer Inst. 2021 Sep 4;113(9):1156-1160. doi: 10.1093/jnci/djab053.

重複がんを見つけるためには?

いずれにしても、一度がんと診断された人は、重複がんのリスクを念頭におき、より慎重ながん検診が必要です。とくに抗がん剤や放射線治療を受けた人では、重複がんのリスクが高くなる可能性があります。もちろん、最初のがんの治療を受けた病院で定期的な再発や転移のチェックは受けると思いますが、多くの場合、必要最小限の検査しか行わないため、他のすべての臓器のがんの検査まではカバーしていません。

より早期に重複がんを発見するためには、やはり最初のがんを治療した病院での定期検査に加え、対策型(自治体の)がん検診や任意型のがん検診(人間ドック、がんドックなど)が欠かせません。

例えば、大腸がんと診断された人は、胃がんのリスクが高いと考えられるため、定期的に胃内視鏡検査を受けるべきでしょう。

>>がんを早期発見するには?検査方法などを詳しく解説

まとめ

がんと診断された人に、他の部位や臓器に発生した新たながんのことを重複がんと呼びます。最初のがんの種類によって次に発症しやすい重複がんが違うことや、肥満などリスクを高める因子が報告されています。一度がんと診断された人は重複がんのリスクが高いことより、定期的な検査(がん検診)が推奨されます。

がんには、手術や化学療法などさまざまな治療法がありますが、その中でも近年注目されているのが「中分子フコイダン療法」です。

海藻類に含まれるフコイダンという成分を、機能性を保ちつつ腸管から吸収されやすい分子量に整えたものが中分子フコイダン。抗がん作用をはじめ、以下のような作用も報告されています。

抗腫瘍・抗がん作用/抗アレルギー作用/肝機能向上作用/抗生活習慣病/抗ウイルス作用/抗ピロリ菌作用/血液凝固阻止作用/美肌作用/育毛作用

>>フコイダンについてもっと詳しく知りたい方はこちらへ。

中分子フコイダンを摂取することで、抗がん剤との組み合わせによる相乗効果や、副作用の軽減などが期待できる治療法で、実際の臨床結果でも、確かな可能性を感じさせる症例が数多く存在しています。

中分子フコイダン療法についてもっと知りたいという方には相談・お問合せも承っておりますので、がん治療の選択肢の一つとして、ご検討の一助となれば幸いです。

近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。

なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。

フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。

それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。

>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ

がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。

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この記事の執筆者
日置クリニック コラム編集部

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