2021.12.28
がん大腸がんになったら食べてはいけないものとは?生活習慣から手術後の注意点まで徹底解説

大腸がんは、日本人のがん死亡率でも上位を占める疾患です。現在のところ、生活習慣や食事が発症リスクに大きく影響すると考えられています。そのため、日々の食べ物や習慣についても振り返っておきたいところです。
特に、加工肉や飲酒・喫煙などは大腸がんの原因になることもわかっています。また、再発防止のためには手術後の食事管理も重要で、腸の働きをサポートする意識的な食事の工夫も求められます。
この記事では、大腸がんにつながる生活習慣やリスク因子、手術後の食事の注意点について詳しく解説します。
目次
大腸がんは日本人の悪性腫瘍による死亡率の主要疾患
(参照:https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/clinic/colorectal_surgery/140/index.html)
近年、日本人の2人に1人ががんを発症 しているという状況ですが、そのなかでも大多数を占めるのが大腸がんです。大腸がんを細かくみると結腸がんと直腸がんに分類され、結腸がんはさらに上行結腸がん・横行結腸がん・下行結腸がん・S状結腸がんにわけることができます。
このなかでも、がんが多く発生するのはS状結腸と直腸です。S状結腸と直腸は食べ物を口から摂取して、胃や小腸を通過し、消化吸収された残渣物からさらに水分が吸収されて最終的に便となる流動物が長く留まるところです。
つまり便となる流動物にがんになりやすい物質が含まれていた場合、長く留まるS状結腸や直腸の粘膜細胞に影響を与え、それが繰り返されることによって細胞ががん化し悪性腫瘍になると考えられています。
大腸がんを引き起こす原因
(参照:
https://gan-mag.com/prevention/22.html)
大腸がんを引き起こす原因として明確な因果関係が考えられているのが食事とたばこです。その中でも食事は、大腸の粘膜とダイレクトに接触するため、がん化の要因になることがわかっています。
(参照:https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/276.html)
日本人の食の欧米化=動物性脂肪の摂取の増加にともない、大腸がんが増加していると考えられています。
加工肉
(参照:https://www.karadacare-navi.com/foods/19/)
欧米型の食生活のなかでも大腸がんとの因果関係が示されたのはハムやウインナー・ベーコンなどです。ハム・ウィンナー・ベーコンなどの加工肉は、世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)により「加工肉を食べると大腸がんになりやすくなる」という発表がなされました。
市販のハムやウインナーベーコンなどの主原料は豚肉です。豚肉にはミオグロビンと呼ばれる赤い色素が含まれていて、時間が経って酸化すると茶色く変色してしまいます。茶色く変色するのを防ぐ目的で使用されているのが食品添加物である「亜硝酸ナトリウム」という物質です。
亜硝酸ナトリウムは、肉に含まれるアミンという物質と反応して発がん性物質の「ニトロソアミン類」を発生させてしまいます。これらの物質が含まれた食物の残渣物が大腸に長く留まることにより、大腸がんを発生させていると考えられています。
喫煙・飲酒
(参照:https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/259.html)
飲酒と喫煙は、大腸がんのリスクを高める要因として知られています。長期間にわたって多量の飲酒や喫煙を続けることで、がん発症リスクが大きく上昇するといわれています。
飲酒
アルコールそのものが発がん性物質であるとともに、体内で分解される過程で発生するアセトアルデヒドが発がん性 を持っています。ビール、日本酒、ワインなど種類を問わず、アルコール摂取量が多いほどリスクが上昇するため、節度ある飲酒を検討しましょう。
喫煙
たばこは、大腸がんを含むさまざまながんのリスク要因です。たばこには5000種類以上もの化学物質が含まれていて、そのなかでも70種類以上が発がん性物質であるということがわかっています。そのなかでもニコチンやタールは特に発がん性が高いとされています。大腸がんに限らず、たばこはさまざまながんの発生原因です。可能な限り禁煙を目指すのが望ましいですね。
大腸がんにつながるリスク
大腸がんのリスク要因として、生活習慣や遺伝的要因が大きく影響していることもわかっています。ここでは、大腸がんを発症しやすくする具体的なリスクについて解説します。
肥満
肥満は大腸がんのリスク要因の一つとして知られています。脂肪組織は、炎症物質を分泌する働きも確認されているため慢性的な炎症が引き起こされやすくなります。
肥満にともなうインスリン抵抗性の増加や脂肪細胞から分泌されるホルモンが、がん細胞の増殖を助長する可能性も指摘 されています。適正体重を維持し、バランスの取れた食生活を心がけることが重要です。
食生活
大腸がんの発症リスクを高める要因として、肉類だけでなく日常の食生活全般が関与しています。特に以下の要因が指摘されています。
高脂肪食
脂肪分の多い食事は、大腸がんのリスクを増加させる可能性があります。特に動物性脂肪の過剰摂取は腸内での胆汁酸の分泌を増やし、それが腸内細菌によって代謝される過程で発がん物質が生成 されやすくなります。揚げ物やバター、ラードを多く使った料理は、日常的に摂りすぎないよう注意が必要です。
食物繊維不足
野菜や果物、全粒穀物などに含まれる食物繊維は、便のかさを増やし腸の蠕動運動を促します。腸の蠕動運動が速やかになれば、腸内に発がん物質があったとしてもスムーズに排出されるため、大腸がん予防に役立つとされています。反対に、食物繊維が不足すると便の滞留時間が長くなり、発がん物質が腸壁に長時間接触することになりがちです。
添加物や保存料
(参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000195.000033602.html)
市販のお惣菜や加工食品には、保存料や着色料などの添加物が含まれているものも少なくありません。食品添加物が腸内で発がん性物質に変わるリスクが指摘されています。特に合成着色料や防腐剤などを多く含む食品を日常的に摂取しないよう意識することが大切です。
遺伝
大腸がんには遺伝的要因も大きく関わっています。家族に大腸がんを患った人がいる場合、遺伝的にリスクが高まるケースも報告されています。なかでも「家族性大腸腺腫症(FAP)」や「リンチ症候群」といった遺伝性疾患を持つ人は、若年期から定期的な検査を検討しましょう。
リンチ症候群の場合は20-25歳から開始して1年に1度、家族性大腸腺腫症(FAP)の場合は10~12歳から2年に1回のペースで大腸がん検診を受けることが望ましいと されています。
大腸がんの手術後の食事
大腸がんにつながるリスクのある食事や気をつけたい生活習慣があることがわかりました。知らず知らずに過ごしていて大腸がんになってしまった場合、手術等の治療を受けることになります。
大腸がんになって悪性腫瘍を手術等で摘出した場合、「食べてはいけないもの」のほかに食べ方にも注意が必要です。
大腸がんの術後は腸の機能がどうしても低下しています。食物や食事のタイミング等によるちょっとした刺激に対しても下痢や便秘をしやすくなります。
手術の影響により腸の蠕動運動が鈍くなり、胃や小腸を通過した食べ物のカスを運ぶ働きが悪くなっているためです。
また、術後3ヵ月程度は腸閉塞が起こりやすい時期でもあります。治療法や患者さんの状態により多少の差はありますが、術後の食事は段階を経て徐々に元に戻していくのが基本です。少しずつ食べる量を増やしていく食べ方がよいでしょう。
術直後から術後1~2週間はお粥がメイン
術直後から術後2~3日は流動食から始めます。そのあとは五分粥になり、徐々に全粥にしていきます。
おかずは軽く噛んだだけで潰せる程度に柔らかく調理した、野菜や魚の煮物などが基本です。食欲がないとき、お腹の調子が悪いときはポタージュやゼリー、ムースなど口当たりがよく消化のいいものにします。
術後1週間程度は、病院で食事の管理をしていることも多いため、医師の指導に基づいて食事摂取を進めましょう。
また、体調に異変があれば担当の看護師に共有しましょう。食事の進め方を調整する必要がある場合もあります。
退院~術後1ヵ月間は全粥から柔らかい米程度
術後1ヵ月くらいまでは、柔らかめのご飯や柔らかく煮たうどんなどを活用し、通常食に戻していく期間にします。おかずは肉や野菜、魚、乳製品、果物などをできるだけ柔らかく調理して取るようにしましょう。
術後1カ月間は控えたい・避けたい食品
大腸にとって消化吸収に負担のかかる玄米や中華麺、脂身の多い肉、食物繊維の豊富な根菜類、乾物類、漬物、繊維の多い果物、しらたき、香辛料、炭酸飲料、揚げものなどは手術した大腸に負担がかかるため控えておきたい食品です。
術後1ヵ月以降は徐々に普通食へ
術後1ヵ月以降は腸の働きも徐々に戻ってきます。通常食に戻しながら、徐々に摂取量も増やしていきましょう。
お腹の調子と体調をみながら色々な食材や献立を試し、食べる量も少しずつ増やしましょう。油類を使ったものも少しずつ食べてみて、問題がなければ徐々に食べる量を増やします。
術後1〜2ヵ月経つと、食欲が戻ってくる傾向にありますが食べ過ぎるとお腹が張るため要注意。食欲が戻る=腸の機能が元通りではありません。
術後は排便習慣が変わる
大腸がんの手術後は、排便の変化が起こります。例えばですが、1日1回の排便だった人でも、手術後1日に5〜6回も排便がみられたり、下痢や軟便、便秘になったりもします。
排便の変化は切除の部位によっても異なりますが、そのなかでも肛門に近い部位になるほど排便機能の障害が強くなる傾向にあります。直腸やS状結腸を切除した場合は、排便の回数が増えるのが一般的です。
結腸がんで結腸を切除した場合には一時的に水様便から軟便になります。個人差もありますが排便のリズムや便の正常の変化は時間の経過とともに落ち着き、2~3ヵ月から、遅い人でも半年ほどで日常生活には支障をきたさなくなります。
しかし、中には排便回数の頻度が多いまま続くこともあります。
下痢・便秘時の食事
手術後は腸の動きが低下するため、大腸が運ばれてきた食物残渣の水分を十分に吸収できず下痢や軟便が生じやすくなります。だからといって水分摂取を控えてはいけません。下痢で水分が失われやすくなるため、水分を控えてしまうとかえって脱水症状を引き起こしてしまう危険性があります。
下痢がひどいときには、すりおろしたリンゴや柔らかく煮込んだうどん、お粥やお豆腐など消化にいい食べ物が望ましいです。
一方で便秘は、腸の動きの低下により便を送り出す働きが低下したため生じます。また、結腸部分の吻合部の状態により便の通過がスムーズにいかなくなることも要因の一つです。
便秘の改善にもバランスのいい食事を取りつつ、水分も多めに取るように心がけましょう。一般的に便秘には、食物繊維がいいといわれていますが、手術後は腸の動きが悪いため消化によくないため控える方が望ましいです。
牛乳や乳酸菌飲料などは、便秘がちなときにも飲めて排便の調節のサポートにもつなげられます。
まとめ
大腸がんは、生活習慣や食事の影響を受けやすいがんの一つです。特に加工肉やアルコール、喫煙、肥満などが発症リスクを高める要因として挙げられます。
また、遺伝的要因も無視できないため、家族に大腸がん患者がいる場合は定期検査が必要になることもあるでしょう。
大腸がんの手術後は腸の機能が低下しがちであり、消化に優しい食事を心がけることが大切です。日常生活の見直しと適切なケアをおこない、がん予防と再発防止に努めましょう。
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フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
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がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
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