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慢性骨髄性白血病の症状は?診断から治療までを解説!

慢性骨髄性白血病の症状は?診断から治療までを解説!

この記事では、慢性骨髄性白血病の症状、診断方法、治療法、および治療に伴う副作用について詳しく解説します。慢性骨髄性白血病について詳しく知りたいと言う方は必見です。

日置医院長

この記事の監修者
日置クリニック 院長
日置 正人 医学博士

【経歴】
昭和56年3月 
大阪市立大学医学部卒業
昭和63年3月 
大阪市立大学大学院医学研究科卒業
平成5年4月 
医療法人紘祥会 日置医院開設

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慢性骨髄性白血病の概要

慢性骨髄性白血病(Chronic Myeloid Leukemia, CML)は、骨髄の中にある「造血幹細胞」が異常な増殖を起こし、骨髄内に過剰な白血球が蓄積する慢性の病態です。
慢性骨髄性白血病は「慢性期、加速期、急性(転化)期」の3期に分類されます。

白血病の分類と慢性骨髄性白血病の種類

白血病は、急性白血病(Acute Leukemia)と慢性白血病(Chronic Leukemia)に分類されます。急性白血病は急速な進行を示し、未熟な白血球(白血球の前駆細胞)が異常な増殖を起こします。

一方、慢性白血病は進行が緩やかであり、成熟した白血球が増殖します。成熟した白血球ではありますが、正常な白血球のような機能は発揮しません。分類をわかりやすく図表にしました。

急性白血病 急性リンパ性白血病(ALL) リンパ球ががん化して異常な増殖をする病気。
急性骨髄性白血病(AML) 骨髄中の造血幹細胞の異常増殖が原因。
慢性白血病 慢性リンパ性白血病(CLL) リンパ球ががん化して異常な増殖をする。
急性型よりも進行が遅く、初期症状が軽い場合もある。
慢性骨髄性白血病(CML) 骨髄中の幹細胞から発生。
進行が緩やかで、初期症状が軽い場合もある。

慢性骨髄性白血病の主な症状

慢性骨髄性白血病(CML)の初期段階では、症状がほとんど現れないことも。各種血球は正常に機能するので症状につながりません。しかし、病期が進行し異常な血球が増えてくるとさまざまな症状が現れます。

疲労感や貧血、発熱などの全身的な症状

 

  • 疲労感
    持続的な疲労感や体力の低下を感じることがあります。日常の活動において疲れやすくなります。また食欲減退からの体重減少につながることもあります。
  • 貧血、出血傾向
    病状が進行し正常な赤血球をはじめとした血球数の変動や機能の低下がおこると、貧血が発生することもあります。貧血症状としては、倦怠感、息切れ、めまい、頭痛などが挙げられます。また、些細な出血が止まりにくく、内出血が出やすくなります。
  • 発熱
    体温の上昇や微熱が続くこともあります。これは白血球の異常な増殖による炎症反応によるものです。

骨髄の異常による血液の異常、出血傾向などの血液に関する特徴的な症状

 

  • 血液の異常
    異常な白血球の増殖により、正常な血液中の細胞(赤血球、白血球、血小板)の数や機能が低下します。この結果、貧血(赤血球不足)、白血球数の増加、血小板数の減少が生じます。
  • 出血傾向
    血小板数の低下により、出血しやすくなります。血小板は出血したら傷口をふさぐ役割を持ちますが、血小板数が少なることで軽度の出血では鼻血や歯ぐきからの出血、皮下出血が現れるのです。重度の場合は出血がダラダラと長く続いたり、内出血が長くとどまり、なかなか消えないなどの症状が生じることもあります。
  • 脾臓の腫れ
    約半数の症例で脾臓の腫れが触診にて確認できます。

慢性骨髄性白血病の診断方法

慢性骨髄性白血病の診断方法
慢性骨髄性白血病(CML)の診断には、主に2種類の検査が行われます。

血液検査

血液検査は疾患が疑われるときに必ず行う検査のひとつ。血液中の異常な細胞の存在や造血細胞の数や機能の異常を確認するため、赤血球、白血球、血小板の数や比率などを検査します。

骨髄穿刺(生検)

血液検査で異常が見つかった場合、さらに詳しい診断のために骨髄穿刺(生検)が行われます。骨髄穿刺は、特殊な針を用いて骨髄の細胞を採取し、顕微鏡で異常な細胞を確認します。

染色体、遺伝子の検査

慢性骨髄性白血病では、BCR-ABL遺伝子の働きで、白血病細胞が作られます。この遺伝子異常(BCR-ABL遺伝子の存在)やフィラデルフィア染色体を検出することが診断につながります。

慢性骨髄性白血病の治療法

慢性骨髄性白血病(CML)の治療は、患者さんの年齢、病期、健康状態などをもとに個別性を重視して選択されます。一般的な治療法について解説します。

分子標的療法

最も一般的な治療法の1つ。抗がん剤を使用して白血病細胞を減少させる治療です。特にチロシンキナーゼ阻害剤は、CMLの治療において非常に効果的で、多くの症例で慢性期の治療法として選択されます。

化学療法

いわゆる抗がん剤治療です。慢性期の分子標的療法で効果が得られず、移行期や急性期に病状が進行すると、チロシンキナーゼ阻害薬では効果が得られなくなるため、抗がん剤などを併用し治療を進めます。

造血幹細胞移植

進行したCMLの治療法として、造血幹細胞移植があります。患者さん自身の骨髄を破壊し、健康な造血幹細胞を移植します。今まで試した治療などの効果がなく、急性期に移行した場合の治療法として検討されます。

慢性骨髄性白血病治療の副作用

慢性骨髄性白血病(CML)の治療は、副作用を伴うケースも。ここでは、一般的な副作用と管理、予防策について説明します。

治療に伴う副作用

治療に伴う副作用は個人によって異なる場合があります。治療を担当する医師との密な連携が重要です。不調を感じたら早めに医師への相談を検討しましょう。

 

  • 骨髄抑制
    白血病細胞を攻撃する化学療法などの治療法は、正常な造血機能も一時的に抑制する可能性があります。これにより、貧血、出血傾向、感染症などが生じることがあります。
  • 消化器症状
    吐き気、嘔吐、食欲不振、下痢などの消化器症状が治療によって引き起こされることがあります。
  • 皮膚症状
    発疹、かゆみ、乾燥などの皮膚症状が見られることがあります。
  • その他の副作用
    個人によって異なる場合もありますが、疲労感、筋肉痛、関節痛、頭痛などは一般的な副作用症状です。

慢性骨髄性白血病の生活変化とサポート

慢性骨髄性白血病(CML)の治療は、一般的に長期間にわたるものであり、治療過程や病状によって生活に大きな変化が生じます。患者さんとその家族が心理的・社会的なサポートを受け、穏やかに治療に臨める体制を整えることが重要です。

慢性骨髄性白血病の生活変化

CMLの治療は通常、長期間にわたります。定期的な医療チェックや治療薬の服用が必要で、日常生活のなかで治療スケジュールの調整や通院が必要になるでしょう。体力的な問題も生じますが、社会生活において仕事や学業に支障をきたすこともあります

心身ともにストレスを感じやすい環境にいる患者さんのメンタル状況を把握し、必要なサポートを提供することが重要です。

また、治療に伴う副作用についても確認しておく必要があるでしょう。副作用は個人によって異なり、体力やエネルギーの低下、日常活動の制限が生じることがあります。

早い段階で副作用を把握して、個別性に合わせた援助や対処方法の指導、処方薬でのフォローなど、バックアップできるよう医師や医療従事者との連携を図っておくことが重要です。

治療に伴うサポート

慢性骨髄性白血治療中の患者さんは、治療や生活の変化に伴って心身のサポートを必要とする症例も少なくありません。
医療スタッフ、心理カウンセラー、サポートグループなどの専門家への相談機会を設けて、患者さん自身の心身の状態や悩みを共有できる環境を整備しましょう。

また、患者さん自身だけではなく患者さんの家族も心理的なサポートが必要となることもあります。家族は患者さんの支えとなるだけでなく、自身の感情や心理的な負担も抱えてしまっているケースもあるのです。どのように対応すべきか、一緒に考えてくれる人を見つけることが重要です。一人で悩まずに、専門家にご相談ください。

がんの相談窓口を探したいときには、以下URLの「相談支援センター」が参考となります。
相談先・病院を探す 病院一覧(全国) 血液腫瘍

まとめ

まとめ

慢性骨髄性白血病(CML)は、造血幹細胞の異常な増殖により、骨髄に異常な白血球が蓄積する慢性の病態。長期にわたる疾患であり、患者さんとサポートをする家族双方のケアやサポートが重要です。正確な知識を身につけて適切なサポートを受けることで、より良い生活の質を得ることができるでしょう。本記事が皆様のお役に立てば幸いです。

近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。

なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。

フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。

それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。

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がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。

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この記事の執筆者
日置クリニック コラム編集部

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