2023.07.28
老化の仕組み現代医療は「モグラたたき」?老化とミトコンドリアの関係について解説
【日置クリニック コラム編集部】
いつまでも若々しく健康でありたい。それは誰もが願うことでしょう。アンチエイジングは現代医療によって叶うものなのでしょうか?
日置院長は、アンチエイジングと現代医療との本質的な違いについて“モグラたたき” を例に解説しています。 ここでは、本書から一部を抜粋して、老化の根本原因ならびにアンチエイジングの本質について紹介します。
目次
現代医療は”モグラたたき”のようなもの!?
エイジング(老化)と、老化とともに増える疾患の関係は「モグラたたき」をイメージすると、とても分かりやすく理解できます。老化とともに増えるさまざまな疾患を持ったモグラが、老化の台の上に乗っていると想像してください。
疾患のモグラはそれぞれ身長が異なっていて、身長は伸びたり縮んだりします。
一方、モグラが乗っている老化の台は、時間とともにゆっくりと上昇していきます。モグラの頭上にはモグラの穴が見えます。そこからモグラの頭が出れば疾患が表面に現れます。
病気と診断されるのはどの状態なのか
癌のモグラであれば、穴から頭を出した時点で、臨床的に癌と診断されるということです。穴から頭を出していない状況では、病気ではない未病という状態、つまり、癌細胞はまだ芽生えていないのです。
老化の台が止まっていれば、モグラはいつまでたっても穴から頭を出さずに済み、いつまでも「元気で病気知らず」なのです。
しかし、残念ながら、現実にはそうはいきません。
老化の台の上昇速度には、かなり個人差がありますが、それでも確実に上昇していくのです。老化の台が速く上昇すればするほど、あるいは疾患を持ったモグラの身長が高いほど、モグラは早く穴から頭を出すことになります。
モグラを穴に引っ込めるには?
穴から頭を出したモグラを、穴の中に引っ込める方法は二つしかありません。一つはモグラたたきのハンマーで疾患のモグラをたたくこと、もうひとつは老化の台を下げることです。
頭を出したモグラをたたくのが現代医療です。老化の台の上昇をできる限りゆっくりさせるのがアンチエイジングです。(下図)
年齢とともに増える皮膚トラブルも”老化の台の上”に
くすみやしみ、たるみやしわ、あるいは乾燥や毛穴が開いてしまうといった皮膚のトラブルは、年齢とともに増加してきます。これらの症状も老化の台の上に乗っていると考えられます。
シミやくすみができるメカニズム
シミの本体であるメラニン色素はメラニン細胞で作られます。メラニン細胞は、表皮の最下層である基底層に点在しています。
ここで作られたメラニン色素は、表皮の肌細胞に渡され肌細胞の分裂に伴って表皮上部へと押し上げられます。
メラニン色素は通常なら28日間のターンオーバーによって角質細胞とともにはがれ落ちるのですが、もし、この皮膚細胞の分裂速度が遅くなれば、メラニン色素は40日、50日と留まることになります。
わずか0.1〜0.3mmの薄い表皮内に、2倍近くのメラニン色素や老廃物が蓄積してしまうのです。これがくすみです。
分裂速度が遅くなるのですから、表皮内は渋滞が起こっているようなものです。メラニン細胞で作られたメラニン色素が、皮膚細胞に引き渡されずに真皮層に落ち込んでしまうとシミが形成されます。
一方、真皮層では、線維芽細胞がコラーゲンを作って皮膚に弾力を与えています。線維芽細胞の活力が衰えると、コラーゲンを大量に作ることはできなくなり、皮膚の弾力は衰え、たるみやしわが形成されます。
日置院長が出した結論
日置院長が出した結論はとても単純でした。老化に伴って増える皮膚トラブルの共通した原因は、細胞の活動の低下であり機能の低下である。すなわち、老化の台の上昇速度を速める共通の原因は、細胞の活動の低下、機能の低下だということです。
”老化の台の上昇”を止められるのはミトコンドリア
それでは、現実的に、老化の台の上昇速度をゆっくりとすることが可能なのでしょうか。
結論からいえば可能であり、それを可能にするのがミトコンドリアなのです。21世紀になってミトコンドリアの研究が飛躍的に進み、ミトコンドリアこそが生命の進化の中心であり、アンチエイジングの主役であることが、いままさに解き明かされようとしています。
しかし、「私たちはどうすれば長寿が得られるのか」ということに関する知見は、まだそんなに多くはありません。
ただ少ない知見のなかでも、カロリー制限、低インスリン、 適度な運動は、長寿を得るための概ね共通した見解です。おそらく、これらは長寿を得るために最低限必要な条件といえるのでしょう。
私は以前から、このカロリー制限や適度な有酸素運動がミトコンドリアの機能を高め、 数を増やす、つまり、ミトコンドリアを鍛えることに大きくかかわっていることを強調してきました。
ミトコンドリアこそが、老化の台の上昇速度を遅らせることができるのです。
まとめ
ここまでで、老化の根本原因とアンチエイジングの本質についてお分かりいただいたかと思います。本書では、ミトコンドリアの仕組みや働きをもとに日置院長が提唱する「エイジングスパイラル理論」が紹介されています。
「エイジングスパイラル理論」による老化の仕組み
まず、現在ミトコンドリア老化説のなかで最も一般的な「老化ミトコンドリア原因説」では、活性酸素がミトコンドリアのDNAを傷つけ、それが蓄積することでミトコンドリアの機能が低下し、様々な疾患や老化を引き起こすとされています。
日置院長が提唱する「エイジングスパイラル理論」は、そこに新たな視点が加わります。
ミトコンドリアの減少がエネルギー不足を引き起こし、さらなるミトコンドリアの減少に繋がっていく。この負のスパイラルは、血液の循環不全などによる低酸素や糖質の過剰摂取、栄養不足などによって加速するとされます。
本書では、負のスパイラルが形成される仕組みが、日置院長独自の考え方として斬新かつ説得力をもって述べられています。
また、「エイジングスパイラル理論」に基づきながら、日常に取り入れられる食事法や運動法についても紹介しているので、本書を手に取っていただいたタイミングからすぐに実践していただけます。
ご関心ありましたら、ぜひとも本書をご覧いただけますと幸いです。
書籍情報
タイトル:アンチエイジングの仕組み
発売:2023/4/25
定価:1,540円(本体1,400円+税)
ページ数:256ページ
購入ページ:https://amzn.to/3ow6pI5
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