2022.03.30
健康の科学免疫とは?免疫に関するのウソ・ホントについて解説
「〇〇を食べて免疫力アップ!」などという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
実は、”免疫力”や”免疫を高める”というのは、医学的にはあまり正しい表現とは言えません。
免疫とは一体何なのか、また、免疫を低下させないためにどうしたらよいのか。ちまたに溢れる”免疫”のウソ・ホントを解説します。
目次
免疫は体を外敵から守る仕組みのこと
免疫は、外敵から体を守るための仕組みのことです。この免疫のシステムによって、花粉症やハウスダスト等にアレルギー症状を起こしたり、細菌やウイルスに簡単に感染しないようにしたりと体が守られています。
体には1kg以上の菌が住んでいる
私たちの体には、もともとたくさんの菌が住み着いています。腸内や口の中に特にたくさんいて、正常細菌叢(そう)を形づくり、人と細菌とがお互いに影響しあっているのです。
正常細菌叢は、外から有害な細菌が侵入してきたときに体内で増殖しないよう邪魔していたり、ヒトの正常な免疫機能を維持するサポートをしていたりすることがわかっています。
※1 腸内細菌の基礎.栄研化学
免疫の主役は白血球
免疫には、大きく分けて2つの種類があります。感染症に対抗するための、自然免疫と獲得免疫です。細菌やウイルスなどが体内で異常に増えたときに活躍します。※2
自然免疫というのは、生まれながらに持っている生体防御のシステムです。特定の外敵を認識・記憶することはできませんが、広く様々な外敵をターゲットにします。マクロファージ、好中球などと名前のついた白血球が細菌やウイルスを食べ、体を守るという流れです。
獲得免疫というのは、一度出会ったを細菌やウイルスを記憶しておくことで、次に出会ったときにより効率よく倒すことができる生体防御のシステムです。記憶のために、白血球が個々の外敵に合わせてオーダーメイドで”抗体”という物質を作ります。
感染を繰り返すほど獲得免疫の反応は増幅され、たくさんの抗体を作れるようになります。ワクチンは、獲得免疫のシステムを利用して作られたものです。
※2 休み時間の免疫学 第3版 p58-59,p66--67
免疫が”低下”している人とは
医学的には、”免疫低下”や”免疫抑制”という表現がよく使われます。
高齢者、糖尿病の方、ステロイドや免疫抑制剤を使用している方、肝臓や腎臓が悪い方、がんの方などはもともと免疫が低下している状態だと判断するのです。
このような方々は、実際に白血球が少ないなどで、健康な人ならかからないような感染症を起こすことがあります。
自分で気をつけられるものは、糖尿病の治療をきちんと続けること、腎臓や肝臓が悪い人は、それを悪化させるような生活習慣(塩分の高い食事やアルコールの大量摂取)を改めることです。
「免疫に良い」のウソ・ホントを解説
世の中には、「免疫力アップ」を謳った商品や健康法がたくさんありますが、それらの真偽のほどはどうなのでしょうか。
「平熱が低いとよくない」は誇張表現
平熱は概ね35℃台~36℃台程度で、最大2℃ほど個人差があります。ですが、平熱の範囲では免疫細胞の働きにさほど違いはありません。
東洋医学では、「未病」という何らかの病気の前段階であることが”冷え”に繋がると考えられています。肩こりや腰痛、高血圧、ほてりなど、冷えによって起こるとされる症状は様々です。
しかし、冷えという概念自体が、西洋医学ではあまり見られません。
一方で、”低体温”が免疫の働きと関連していることは事実です。
事故などで脳にダメージを受けたとき、ダメージの進行を遅らせるために体温を32〜34℃程度に下げる”低体温療法”を行うことがあります。この時、感染症にかかるリスクが少し高くなるとわかっていますが、これは低体温の影響で白血球の動きが悪くなり、白血球が細菌を食べる能力も落ちるためです。※3
平熱が34℃まで低い方はいませんので、あまり気にしなくて良いでしょう。冷えやそれに伴う症状が気になる方は、体を温める食べ物・飲み物を意識して摂る、服装に気を付けるなどしてください。
※3 中等度低体温下における単球の遊走・貪食並びに殺菌能の検討.木村昭夫ほか.日救急医会誌 1998;9:332-5.
「ストレスがよくない」はホント
睡眠時間が短かったり疲れがたまったりしているときに、口唇ヘルペスやカンジダになった経験のある方はいないでしょうか?これらは、体にかかるストレスの影響でアドレナリンやノルアドレナリンといった物質が分泌され、白血球の働きが低下し、普段はかからないような感染症になってしまった例です。※4
疲労や睡眠不足、過度な運動などが体にとってのストレスとなります。体調管理には十分に気をつけましょう。
「食べ物やサプリで免疫アップ」とまでは言えない
食べ物やサプリで栄養バランスを整えることは、免疫アップというより、正常な免疫機能の維持のために必要という表現の方が正確です。
免疫を担う白血球や抗体のおよそ60~70%は腸内にあるので、腸内環境を整えるような健康食品・サプリなどはある程度効果が期待できるかもしれません。
腸管免疫という言葉もあり、腸の健康と免疫は密接に関わっているためです。腸内細菌のバランスが崩れると、免疫系にも悪影響があり、感染症やアレルギーなどを起こすといわれています。※5
ビタミンや微量元素などの摂取も同様です。
例えば、ビタミンAは粘膜の機能を維持するために必要なもので、不足すると粘膜のバリアーが弱くなり細菌が侵入しやすくなります。ビタミンDは、自然免疫を担うマクロファージを作るときに必要です。
栄養不足は免疫低下を引き起こし、感染症にかかると、いつも以上にビタミンなどの栄養を消費することになります。栄養不足にならないようにバランスよく食事を摂ることが大切です。※6
「免疫アップ」を謳うような商品は、あまり過剰な期待をせず、正常な免疫の働きを維持させる目的で使用するのがよいでしょう。
※5 腸管免疫と腸内免疫.上野川 修一.一般社団法人 全国発酵乳乳酸菌飲料協会
発酵乳乳酸菌飲料公正取引協議会
まとめ:免疫についておさらい
免疫は、白血球やそれによって作られる抗体などによる生体防御の反応のことを指します。
正常な免疫の働きを維持するためには、よく寝て、適度に運動をして、バランスの良い食事をするなどのように、健康的な生活を送ることが大切です。
「免疫力を上げる」などと謳った商品や健康法を取り入れたい場合は、あまり過剰な期待をせず、上手に活用するようにしましょう。
また、もずくやめかぶ、昆布に含まれる「フコイダン」という成分には健康に対するさまざまな作用があることが報告されているため、積極的に普段の食事に取り入れてみるといいでしょう。
フコイダンで報告されている作用は、現時点で以下の通りです。
抗腫瘍・抗がん作用/抗アレルギー作用/肝機能向上作用/抗生活習慣病/抗ウイルス作用/抗ピロリ菌作用/血液凝固阻止作用/美肌作用/育毛作用
中でも注目したいのは、日本の死因第1位であるがんに対する作用です。
がん治療の統合医療においてフコイダンは、抗がん剤との併用が可能であり、かつその効果を高めたり、副作用を軽減したりすると期待されています。
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
毎日の食事に気軽に取り入れられることから、治療だけではなく予防のための活用も可能。
フコイダンは、様々な病気に対する良いアプローチを見込める成分です。健康維持にぜひお役立てください。
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