2021.10.29
健康の科学食物繊維とは?働きや摂取の方法についてご紹介
「食物繊維をとるために野菜サラダを意識して食べている」という方は多いのではないでしょうか。実は、食物繊維は2種類存在し、葉物野菜だけでなく様々なものに含まれています。今回は、食物繊維について、またその効果的な摂り方について解説していきます。
目次
食物繊維の働き
食物繊維は、機能性成分の1つとして定められており、健康に関して様々ないい影響があることがわかっています。※1
※1 運動・からだ図解.栄養学の基本.p160−161.p172-173
腸内細菌と密接に関わっている
食物繊維は、消化されずに大腸まで届くという特徴から、以前はあまり重要ではない栄養素だと考えられていました。
食物繊維が腸内細菌のエサになることがわかり、今では第6の栄養素と呼ばれるほど重要視されています。良い腸内細菌を増やし、腸内環境を向上させ、排便をスムーズにするのが主な働きです。
また、食物繊維が腸内細菌に分解されたときに生じる中鎖脂肪酸は、吸収されるとエネルギーとして使用することができます。体脂肪になりにくい油で、最近ではダイエットに良いとして人気です。MCTオイルと呼ばれ、ケトン体ダイエットにも用いられています。
コレステロール値や血糖値など病気にも好影響
「脂肪の吸収を抑える」「食後の血糖値の上昇を穏やかにする」などの効果を謳ったトクホの商品を見たことがありますでしょうか。これらのトクホの成分である難消化性デキストリンは、食物繊維のことです。
食物繊維には、体の中でさまざまな物質を吸着させながら移動するという性質があります。腸の中で糖質やコレステロール、コレステロールから作られている胆汁酸などの物質を吸着させ、体の外へ排出することが出来るのです。
これにより、コレステロール値を低下させたり、血糖値の急激な上昇を抑えたりといった効果を発揮します。
また、がん予防や糖尿病の改善効果も明らかになっており、健康に関して注目の栄養素です。
食物繊維には2種類ある
実は、食物繊維は2種類に分けられ、それぞれをバランスよく摂取することでより良い効果を得ることができます。食品には2つの食物繊維がどちらも含まれますが、その比率は異なります。
水溶性食物繊維
水に溶けてゼリーのようになり、栄養の吸収をゆっくりにする働きがあります。急な血糖値の上昇を抑えたり、コレステロールの吸収を穏やかにしてくれる働きは、水溶性食物繊維のものです。
グルコマンナン、アガロース(寒天)などの成分が水溶性食物繊維にあたります。
水溶性食物繊維は基本的に含有量が少なく、たくさん摂るのは少し難しいかもしれません。納豆やごぼう、海藻、ライ麦やオートミールなどの穀物に比較的多く含まれます。※2
不溶性食物繊維
水には溶けませんが、水分を吸うことでカサが大きくなるという特徴があります。便を大きくすることができるため、大腸が刺激され、排便を促す効果が期待されます。
便秘で悩んでいる方に積極的に取り入れてもらいたい食物繊維です。
セルロース、キトサン、ペクチンなどの成分が知られています。
豆類、きのこ、穀物、切り干し大根など多くの食品に含まれているため、水溶性食物繊維よりも摂取しやすいでしょう。※2
食物繊維の摂り方のコツ
食物繊維の1日の摂取目標量は、20g前後です。
令和元年の調査では、日本人の成人の1日平均摂取量は年代にもよりますが15〜18g程度で、10年ほど前に比べると増加してきています。あと少し増やすために、食物繊維をたくさんとるコツをお伝えします。※3
食物繊維は、カサが大きく、噛みごたえのあるものが多いです。過熱してカサを減らし、柔らかくすることで量を食べることができます。
食物繊維がより多く含まれる食品に置き換えることも簡単で効果的です。白米から玄米や雑穀米に変える、パンは全粒粉パンやライ麦パンなどに変えるだけでも摂取量を増やすことができます。
貴重な水溶性食物繊維が摂れる海藻類は、サラダや味噌汁に加える習慣をつけると良いでしょう。
食物繊維の摂取量が極端に少ない人と比べると、摂取量が多い人ほど得られる健康効果は大きいです。ですが、24g以上の摂取ではあまり効果が変わらないとされ、さらに摂りすぎはビタミンの吸収阻害などのデメリットが現れる可能性があります。
サプリメントなどで食物繊維を補充したい方は、用法用量を守るようにしましょう。食事で十分に意識できている方は、サプリメント等に頼らなくても大丈夫です。
まとめ:食物繊維を食生活に取り入れてみましょう
食物繊維は、野菜だけでなく多くの食品に含まれ、さまざまな効果を発揮する”機能性食品”の1つです。
今の食生活に少しだけプラスして摂取できるよう、意識してみてはいかがでしょうか。
また、もずくやめかぶ、昆布に含まれる「フコイダン」という成分には健康に対するさまざまな作用があることが報告されているため、積極的に普段の食事に取り入れてみるといいでしょう。
フコイダンで報告されている作用は、現時点で以下の通りです。
抗腫瘍・抗がん作用/抗アレルギー作用/肝機能向上作用/抗生活習慣病/抗ウイルス作用/抗ピロリ菌作用/血液凝固阻止作用/美肌作用/育毛作用
中でも注目したいのは、日本の死因第1位であるがんに対する作用です。
がん治療の統合医療においてフコイダンは、抗がん剤との併用が可能であり、かつその効果を高めたり、副作用を軽減したりすると期待されています。
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
毎日の食事に気軽に取り入れられることから、治療だけではなく予防のための活用も可能。
フコイダンは、様々な病気に対する良いアプローチを見込める成分です。健康維持にぜひお役立てください。
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