2024.12.24
がん子宮頸がんの手術とは?術式の種類・適応・後遺症まで徹底解説
子宮頸がんと診断されたとき、初期の場合の治療の中心となるのが「手術」です。比較的早期の子宮頸がんでは、がんを局所的に切除することで根治を目指せる可能性があります。だからこそ適切な術式を選ぶことが治療成績を大きく左右するといえるでしょう。
子宮頸がんの手術と一口にいっても、円錐切除術・レーザー蒸散術・単純子宮全摘出術・広汎子宮全摘出術など、進行度や妊娠の希望によって選択肢はさまざまです。広く切除した場合には手術後のリンパ浮腫や排尿障害などの後遺症が生じる可能性もあるため、患者さん自身でも治療前に正しい知識を持つことが重要です。
この記事では、子宮頸がん手術の術式、適応、妊孕性温存の可否、後遺症までをわかりやすく解説します。治療に向き合う方が安心して選択できるよう情報をまとめています。
※子宮頸がんの概要については以下の記事を参考にしてください。
>>子宮頸がんとは?その症状と治療法について
目次
子宮頸がん治療の手術

(参照:子宮頸がんの治療│近畿大学病院、https://www.med.kindai.ac.jp/diseases/cervical_cancer.html)
子宮頸がんで「がん病変あり」と確認された場合、最初におこなわれるおもな治療法は手術です。子宮頸がんの進行分類でみると「ステージⅠ〜ステージⅡ」と判定された場合には、手術治療から入ります。がんの進行具合に応じて、適した術式を選択するのが一般的です。

(参照:子宮頸がんの治療│近畿大学病院、https://www.med.kindai.ac.jp/diseases/cervical_cancer.html)
手術でがん実質を切除する場合、基本的には根治を目指します。一般的には手術適用となるのは前がん病変である0期から、骨盤内に達する前のステージⅡまでの子宮頸がんが手術適用になります。
円錐切除術

(参照:子宮頸がんの手術 | NPO法人キャンサーネットジャパン、https://www.cancernet.jp/cancer/cervical/cervical-surgery)
子宮頸がんは、早期であれば手術によってほぼ確実にがんすべてを切除できると考えられています。がんの前の段階である「前がん病変」の時期とステージⅠAが適応です。
円錐切除術は、がん病変部分を含む子宮頸部の組織を円錐状に切り取ります。その後切除した組織は病理診断をして、組織の端にがん細胞が認められない場合は、「陰性」と判断され治療は終了です。万が一切除した断端部分にがん細胞が認められた場合、追加で病変組織の摘出を検討・実施します。
レーザー蒸散術

(参照:子宮頸部レーザー蒸散術 |婦人科専門GYNメディカルグループ【公式】、https://gyn-md.jp/menu/surgery/laser/)
レーザー蒸散術は、前がん病変(CIN2〜CIN3)やごく早期の子宮頸がんに対しておこなわれる治療法のひとつです。病変組織を切り取るのではなく、レーザー光を照射して異常細胞を蒸散(焼灼)させます。
レーザー蒸散術の特徴は以下のとおりです。
①子宮頸部の形を大きく変えずに治療できる
子宮頸部の長さを保ちやすく、将来の妊娠・出産への影響が比較的少ないとされています。
②出血が少なく、治療時間も短い
外来でおこなわれることも多く、身体への負担が軽い治療です。
③病理検査用の組織が残らない
切除ではなく蒸散のため、治療後に「断端にがん細胞が残っていないか」を確認することができません。病変の範囲が明確であること、浸潤が疑われないことが前提条件です。
単純子宮全摘出術

(参照:子宮頸がんの手術 | NPO法人キャンサーネットジャパン、https://www.cancernet.jp/cancer/cervical/cervical-surgery)
単純子宮全摘出術は、子宮だけを摘出する方法で周辺にある卵巣や卵管などは残存させます。子宮を摘出する場合、今まではお腹を切開する開腹手術が主流でした。近年では膣からアプローチして、お腹は開けずに摘出する「膣式手術」や小さな切開創だけで摘出できる「腹腔鏡下手術」のいずれかが主流です。
準広汎子宮全摘出術

(参照:子宮頸がんの手術 | NPO法人キャンサーネットジャパン、https://www.cancernet.jp/cancer/cervical/cervical-surgery)
準広汎子宮全摘出術は、単純子宮全摘出術より少し切除範囲を広げ、子宮を支える靭帯などを含む子宮傍組織の一部と、膣の一部(2cm程度が目安)を切除する方法です。切除された組織に対しても病理検査をおこない、今後の治療方針の参考とします。
広汎子宮摘出術

(参照:子宮頸がんの手術 | NPO法人キャンサーネットジャパン、https://www.cancernet.jp/cancer/cervical/cervical-surgery)
子宮頸がんのステージⅠB〜ステージⅡBまでは、より範囲を広げて切除する広汎子宮全摘出手術がおこなわれます。子宮そのものだけではなく、卵巣・卵管・子宮傍組織に加え膣の一部も3〜4cm程度広めに切除します。
合わせて骨盤リンパ節も切除する「リンパ郭清術」もおこなわれます。基本的に卵巣・卵管は合わせて切除するのが一般的ですが、年齢や組織型進行期により切除せずに残すことを検討する症例もあります。
妊孕性の温存を考える場合の手術の条件
子宮頸がんにかかったとしても、進行の程度により子宮を温存して妊娠を可能にする手術もあります。妊娠を成立させるためには胎児を育てる「子宮」があること、卵子を作り出す「排卵」があることが絶対条件です。
子宮頸がんの病変ができる子宮頸部は、妊娠にともなって徐々に大きくなっていく子宮を支える役目を持ちます。
妊娠を望む場合、子宮頸部の長さをできるだけ残すことも重要です。子宮頸がんになったとしても妊娠・出産を希望する場合の手術をする場合、治療の基準としてステージ1Bの1期以下が条件で、腫瘍のサイズが2cm以下と小さく、明らかなリンパ節転移が認められないなどの状態を確認したうえで卵巣と子宮そのものを残せるのかどうかを決めます。
一般的に妊孕性を残すための手術には、円錐切除術の他に広汎子宮頸部摘出手術という術式が適しています。
広汎子宮頸部摘出術

(参照:子宮を温存する子宮頸癌手術を開始! | 島根大学医学部、https://www.med.shimane-u.ac.jp/h_docs/2015031900111/)
広汎子宮頸部摘出術は、子宮体部を残してがんのある子宮頸部を周囲の組織とともに大きく切除します。切除したあとに子宮体部と膣をつなぎ合わせる手術法で妊娠や出産の可能性を残すことができます。
とはいえ、広汎子宮頸部摘出術で手術したとしても妊娠や出産にまったく影響がなくなるわけではありません。手術後に妊娠が成立した場合は、一度手術をしているので腹腔内の癒着や子宮頸部の狭窄(子宮の出口が細くなってしまう状態)など、妊娠や出産が難しくなる場合も少なくありません。
妊娠できる環境を残すために、本来切除すべき部分を温存することもあるため、、妊娠を希望する場合は産婦人科との連携が必須です。
また、術後の再発の可能性を限りなく防ぐためや早期発見・早期対処のために継続的な定期検診も欠かせません。
手術による後遺症
子宮頸がんを根治する場合におこなわれる手術ですが、正常な子宮の形や骨盤内の状況にも変化があります。少なくとも何らかの合併症や後遺症が生じる可能性はあります。
円錐切除術であれば子宮頸部の長さが足りなくなることにより早産の可能性が高まる可能性が生じます。骨盤内腔に広くアプローチする子宮摘出に関連する手術であればリンパの流れが悪くなることも少なくありません。リンパの流れが悪くなることで下肢のリンパ浮腫が生じやすくなったり、感染症(蜂窩織炎)が生じやすくなったりもします。
また、尿漏れや残尿感など排尿や排便に関するトラブル、腸閉塞が生じることもあります。骨盤内の組織を摘出することでさまざまなリスクは生じますが、日常生活に気を配ったり病院と連携しながら治療を受けることで病状のコントロールをつけることは可能です。
子宮頸がんの治療方針とステージ
子宮頸がんではステージ0〜IIまでは手術治療が中心となり、がんを局所的に切除することで根治を目指します。一方で、がんが子宮頸部を超えて骨盤内に広がるステージIII以降では、手術よりも放射線治療や化学療法などの全身的な治療が主体です。
治療の選択には、がんの広がりだけでなく、年齢・妊娠の希望・組織型なども考慮して進めるため、総合的な判断が重要です。
子宮頸がんのステージ
子宮頸がんでは、がんの広がり方の指標であるステージ分類を参照に治療方針を決定します。子宮頸がんのステージ分類は以下のとおりです。
- ステージ0(上皮内がん):がんが粘膜内にとどまる段階
- ステージI:がんが子宮頸部内に限局
- ステージII:がんが子宮頸部を超えて広がるが、骨盤壁までは達していない
- ステージIII:がんが骨盤壁に達する、または膣の下部まで広がる
- ステージIV:膀胱・直腸・遠隔臓器へ進展
ステージが早い(低い)ほど治療の選択肢が広く、治療成績も良好です。
子宮頸がんの手術以外の治療

(参照:子宮頸がん|産婦人科|新百合ヶ丘総合病院、https://www.shinyuri-hospital.com/department/21_obstetrics_and_gynecology/disease_01.html)
子宮頸がんもステージⅢ〜Ⅳになってくると、治療の選択肢は放射線治療や化学療法など全身的な治療も視野に入れてすすめます。
放射線療法

(参照:京府医大誌、http://www.f.kpu-m.ac.jp/k/jkpum/pdf/123/123-5/masui05.pdf|P5)
ステージⅠB〜Ⅱの患者さんでは、術後の再発リスクに応じて放射線治療をおこなうことがあります。子宮頸がんの放射線治療で根治を目指す場合、外照射法と内照射法を併用してすすめます。病状や進行度によっては後述する化学療法も組み合わせることもあります。
がんが子宮頸部を超えて骨盤内に浸潤し始めるステージⅢ以降では、化学療法と併用する同時化学放射線療法として放射線治療が用いられます。
外照射法
がん治療の一環としておこなわれる一般的な放射線治療の方法です。
体の外側から病巣に向けて放射線を照射します。外照射法は、がんの原発部分を含めリンパ節への転移を予防するために骨盤全体の広い範囲に照射します。一般的な照射スケジュールは、1日1回、週5回で5〜6週間継続します。
内照射法
子宮頸がんの場合には放射性物質を出す専用の器具を病巣の近くに挿入して、体内から放射線を照射する内部照射法もあります。内照射法は子宮と膣に専用の器具を挿入して目的の位置に固定します。内照射法では病巣に対して集中的に照射できるのが強みです。週1〜2回、合計3~4回ほどおこないます。
化学療法
子宮頸がんの場合、化学療法は一般的に放射線治療と合わせて用いられます。おもに使われる抗がん剤は「シスプラチン」と呼ばれる種類の抗がん剤を週1回、合計5〜6回程度投与します。
ステージⅢ以降の進行期のがんであれば、シスプラチンに加えて「フルオロウシル(5-FU)」や「パクリタキセル」など、複数の抗がん剤を用いて治療をすすめる場合もあります。
フコイダン療法
子宮頸がんの治療は、手術・放射線治療・化学療法が標準治療とされています。治療中の体調管理や副作用の軽減などの補助的な治療もありますが、そのなかでも当院が注目しているのは「フコイダン療法」です。
フコイダンは、モズク・メカブ・アカモクなどに含まれる多糖類で、体調のサポートや副作用の軽減ばかりでなく、免疫バランスのサポートにも活用できる可能性のある治療法です。以下のような作用が報告されています。
- 免疫機能の調整作用(NK細胞・T細胞の活性化)
- 慢性炎症の抑制作用(NF-κB経路の抑制)
- 血管新生抑制作用(がん細胞が栄養をえる新生血管を作りにくくする)
- アポトーシス誘導作用(がん細胞の自然死を促す働き)
これらの作用は、がん治療中に問題となりやすい免疫低下・慢性炎症・副作用による体力低下といった課題に対して補助的に働く可能性があると考えられています。
当院でも、卵巣がんの事例ではありますがフコイダン療法を取り入れたところ抗がん剤の副作用症状が軽減したばかりではなく、卵巣がんの指標である腫瘍マーカーの「CA125」が67から28へと低下し、正常値になった事例があります。
フコイダン療法には、がん治療にともなうさまざまな効果が期待できるのです。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>“フコイダンはがんに作用する?フコイダン療法と低分子・中分子・高分子の違い”
子宮頸がんの症状

子宮頸がんは、初期の段階ではほとんど症状がありません。そのため、症状が出てから気付くケースも多く、定期的な検診が非常に重要です。
初期症状
初期の子宮頸がんは無症状であることがほとんどです。子宮頸がんは初期のころに発見できると治療成績が良好です。そのため、症状がない=安心ではなく、検診による早期発見につなげる意識的な行動が重要といえるでしょう。
進行症状
子宮頸がんも進行するとともに徐々に何らかの症状が現れます。子宮頸がんが進行すると、以下のような症状がみられることがあります。
- 不正出血
- 性交時の出血
- おりものの増加
- 下腹部痛・腰痛
これらの症状は子宮頸がんに特徴的な症状ではありませんが、何らかの婦人科疾患である可能性が十分に考えられる症状です。気がついた時点で放置せず、早めに婦人科受診を検討しましょう。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>“子宮頸がん検診は高い?費用の目安とお得に受ける方法を解説”
子宮頸がんの検査
子宮頸がんの診断には、以下のような検査がおこなわれます。
- 細胞診(子宮頸がん検診でおもにおこなわれる検査)
- HPV検査
- コルポスコピー・生検
まずは細胞診で異常の有無を確認し、必要に応じて精密検査へ進みます。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>“子宮頸がん検診は高い?費用の目安とお得に受ける方法を解説”
子宮頸がんの予後・生存率
子宮頸がんは、早期に発見できれば治療成績が非常によいがんです。
ステージIであれば5年生存率は90%以上とされていますが、進行するほど治療が難しくなります。
予後を左右する最も大きな要因は「早期発見」です。そのため、症状がなくても定期的な検診を受けることが重要です。
まとめ
子宮頸がんの手術は、進行度や年齢、妊娠の希望などによって選択する方法が異なります。早期であれば手術のみで根治を目指せるケースも多く、適切な治療選択ができれば予後は比較的良好です。一方で、進行が進むほど治療は複雑になり、手術以外の放射線治療や化学療法が必要になることもあります。
だからこそ、早期発見と早期治療が何より大切です。定期的な子宮頸がん検診を受けること、異常を感じたら早めに婦人科を受診することが、自分の身体を守ることにつながります。
治療に不安を感じることもあると思いますが現代の医療では多くの選択肢があり、自分に合った治療法を一緒に考えてくれる医師がいます。正しい知識を持ち、納得できる治療を選ぶことが安心して前に進むための第一歩になるでしょう。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
「中分子フコイダン」を用いた臨床結果の一例を紹介しています。どういった症状に効果があるか具体的に知りたい方は臨床ページをご覧ください。
>>「中分子フコイダン」を用いた臨床結果
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
がんの種類を知る
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