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前立腺がんの初期症状は?原因・検査・最新の治療法まで徹底解説

前立腺がんの症状・原因・検査・治療まで徹底解説|初期症状の気付きから最新の治療法まで

前立腺がんは、男性に特有の臓器「前立腺」に発生するがん。50歳以降から徐々に増え始め、高齢男性に多く見られます。初期段階では自覚症状が乏しいことが多く、気付かないまま進行してしまうケースも少なくありません。

しかし、近年血液検査でできる「PSA」という腫瘍マーカーで手軽にチェックできるようになりました。定期的な検査によって早期に発見できれば、治療の選択肢も広がり予後の改善が期待できます。

この記事では、前立腺がんの症状、原因、診断方法、ステージ分類、治療法について解説し、早期発見の重要性と予防のポイントについてもお伝えします。

※大腸がんの概要については以下の記事を参考にしてください。
>>大腸がんとは?その症状について

日置医院長

この記事の執筆者
日置クリニック 院長
日置 正人 医学博士

【経歴】
昭和56年3月 
大阪市立大学医学部卒業
昭和63年3月 
大阪市立大学大学院医学研究科卒業
平成5年4月 
医療法人紘祥会 日置医院開設

詳しいプロフィールはこちら

前立腺がんとは

前立腺がんとは
(参照:前立腺とは?|前立腺がんについて|What’s? 前立腺がん、https://www.zenritsusen.jp/about/what/

前立腺がんは、前立腺という男性特有の臓器に発生する悪性腫瘍です。前立腺は膀胱のすぐ下に位置し、尿道を取り囲むように存在しています。前立腺の代表的な機能は、精液の一部を構成する前立腺液を分泌することです。前立腺がんは高齢男性に多く見られ、加齢とともに発症リスクが高まる傾向があります。

前立腺がんの腫瘍は前立腺の辺縁領域にできやすいため、初期段階では症状が出にくく、進行してから排尿障害などの症状が現れるのが特徴です。早期発見のためには、PSA検査などによる定期的なチェックが重要といえるでしょう。

前立腺がんに気付いたきっかけ

前立腺がんは、初期の頃には症状が現れにくいです。前立腺がんに気付いたきっかけの一例として、人間ドックなどの血液検査で前立腺がんの腫瘍マーカーである「PSA」が高値になり、発見されることも少なくありません。

また、前立腺がんに関する症状が何も出ていなくても、尿路系にできる結石が原因で血尿が出た場合に検査をして偶発的に見つかることもあります。

なかには何の症状もなく、前立腺がんがかなり進行してしまい、腰の痛みや足のしびれなどが原因で整形外科を受診、画像診断などにより前立腺がんの兆候が見つかり、その結果、前立腺がんが発見される症例もあります。

前立腺がんの症状

前立腺がんは、初期の頃に気付かれることはほとんどありません。前立腺がんは、前立腺の中のどの辺から腫瘍が生じるかによって、自覚症状の出方にも違いがあります。

初期症状

前立腺がんは一般的に初期の頃に自覚症状が出ることはほとんどありません。前立腺がんは尿道から離れた辺縁領域にできやすく、そのため自覚症状が現れにくいからです。
なかには尿道近くに腫瘍が形成され、排尿障害などの症状が早期に現れることもありますが、基本的にはある程度進行してから症状が現れる傾向にあります。

進行時の症状

進行時の症状
前立腺がんは一般的に辺縁領域に悪性腫瘍ができやすいです。辺縁部分に生じた前立腺がんの場合、進行して大きくなるとともに尿道を圧迫したり、尿道内に露出するようになります。この頃になると、さまざまな形で排尿に関する異常な症状が現れ始めます。

  • 夜中に何回もトイレに通う夜間頻尿症状
  • 排尿時に放物線を描いて飛ばない尿線細小症状
  • 排尿し終わるまでに時間がかかる排尿遅延症状
  • 力まないと尿を出し続けられない尿線途絶症状

 

この辺りは排尿にともなう直接的な症状として現れます。前立腺がんの進行症状として、他にも残尿感、尿漏れ、尿に血が混じる血尿、精液に血が混じる血精液などが現れることもあります。

転移したときにあらわれる症状

前立腺がんがさらに進行し、前立腺以外の場所に転移するとさまざまな症状が現れ始めます。転移したときの代表的な症状の一つが骨転移です。前立腺から転移しやすい骨は骨盤や腰椎、大腿骨などが比較的よく見られます。

骨盤や腰椎などに悪性腫瘍が転移すると、背中や腰の痛み、足のしびれなどの症状が出てきます。神経症状が出ている場合はがんがかなり広がってきている状態で、脊髄神経を圧迫しているために起こります。

また、リンパ節に転移することもあります。リンパ節ががんに犯されてリンパ液の流れが滞ると、足や陰嚢、下腹部にむくみが生じることもあります。

一般的にリンパ節付近にまで転移が生じると、腎臓から膀胱へ尿を送る尿管もがんに浸潤されていることも少なくありません。尿の流れが悪くなれば水腎症を起こしたり、腎臓の動きが悪くなる場合もあります。

前立腺肥大症との違いは?

前立腺肥大症との違いは?
(参照:前立腺がんってどんな病気?|もんなか泌尿器科 門前仲町 清澄白河 江東区、https://www.monnaka-urology.com/column/zenritsu_gan.html

前立腺がんと同様に、排尿障害が現れやすい疾患の一つに前立腺肥大症があります。前立腺がんと似たような症状が出るので、しっかりと鑑別することが重要です。前立腺肥大症とは、前立腺自体が大きくなり尿道が狭まることで排尿障害を初めとした頻尿や残尿感などの排尿トラブルに見舞われる疾患です。

前立腺肥大症は加齢により比較的起こりやすい疾患ですが、悪性腫瘍とは異なり良性の疾患です。そのため、検査をして前立腺がんとの判別が重要になります。

前立腺がんの原因

前立腺がんの明確な原因は現在のところ解明されていませんが、いくつかの要因がリスクとして挙げられています。大きな因子の一つに加齢があり、50歳以降から罹患率が高まります。また、遺伝的背景も無視できない要因の一つで、近親者に前立腺がんを患った人がいる場合は発症リスクが高まるとされています。

さらに、欧米型の高脂肪食や、動物性脂肪の過剰摂取が前立腺がんのリスクに関連しているとする研究もあり、食生活の欧米化が日本における患者数増加の背景にあるとも考えられている実態もあります。加えて、前立腺の働きに関与する男性ホルモン(アンドロゲン)との関連も注目されており、ホルモンバランスががんの発育に影響を及ぼす可能性も考えられています。

詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>“前立腺がんとは?初期症状・検査・治療・生存率まで医師監修で徹底解説”

前立腺がんの検査・診断

前立腺がんの検査・診断
(参照:腺友ネット、https://pros-can.net/01/01-2.html

前立腺がんは、悪性腫瘍ができ始めた初期には症状がないことがほとんどです。自覚症状がないため自分で気付くのは難しいのが現状です。できるだけ早い段階で前立腺がんを見つけたいと考えた場合には、定期的に検査を受けることが非常に有効な手段となってくるでしょう。

PSA(腫瘍マーカー)

PSA(腫瘍マーカー)
(参照:前立腺がん | 中京病院 | 地域医療機能推進機構、https://chukyo.jcho.go.jp/medicalsubjects/%E5%89%8D%E7%AB%8B%E8%85%BA%E3%81%8C%E3%82%93/

PSA検査は、前立腺がんを早いうちに発見するために有効な検査の一つです。PSAは腫瘍マーカーと呼ばれる検査で、悪性腫瘍の組織細胞が血液中に放出するタンパク質を検出します。一般検診で受ける血液検査に組み込んで検査できるので、近年では非常に活用されるようになりました。血液検査で前立腺がんの可能性を示す画期的な検査です。初期症状が出にくい前立腺がんの早期発見につながる検査として活用されています。

直腸診

直腸診は医師が肛門から直腸に指を差し入れ、直腸の壁越しに前立腺を直腸を直接触って検査する方法です。前立腺は解剖学的に直腸のすぐ前側にあるため、前立腺の背面を直接触診することができます。肛門から指を挿入されるので抵抗感を抱く人も少なくありませんが、前立腺の状態を直接知り、かつすぐにチェックできるため非常に有用な検査の一つともいえるでしょう。

経直腸超音波

前立腺がんの超音波検査には、お腹の外側からジェルを塗り検査する方法と、お尻の穴から直接器具を挿入し検査する経直腸超音波法の2つがあります。前立腺がんの検査としては、お尻から直接器具を挿入し観察する方法のほうが有効です。
直腸診ではとらえきれなかった腫瘍をとらえたり、腫瘍マーカーでは拾いきれなかった腫瘍の存在を確認することもできるため、超音波検査もまた早期発見に非常に有効な検査の一つです。

MRI

MRI検査は磁石の力を利用してコンピューターで画像化する検査です。前立腺がんの発見につなげるばかりではなく、発見された前立腺がんがどの程度進行しているかなども合わせて検査できます。

前立腺生検

前立腺生検
(参照:前立腺癌 – 患者さんへ|岐阜大学大学院医学系研究科 泌尿器科、https://www.med.gifu-u.ac.jp/gifuuro/sinryou/pc.html

前立腺がんの確定診断のために必要なのが、前立腺生検です。生検とは、生体の組織を特殊な器具で採集して顕微鏡で確認し、がん細胞の有無をチェックする検査です。前立腺がんの場合、がん細胞の悪性度も合わせてチェックできます。前立腺生検は、PSA検査で基準値を超えている人、直腸診で明らかにがん初見が見られる人、超音波検査でがんの疑いがある人、MRI検査で異常所見がある人などが対象となります。

前立腺生検は専用の器具を用い、おおむね10〜12箇所以上を穿刺して、前立腺のさまざまな場所から組織を採取します。

採取方法や検査後の患者さんの病状により異なりますが、近年では日帰りで検査できる施設も増えてきました。入院になったとしても、特に症状がなければ1泊程度の入院で済む場合がほとんどです。

骨シンチ

骨シンチ
(参照:MRI・骨シンチグラフィー | 50歳を過ぎたら注意!前立腺がん | 患者・ご家族の皆様 | 武田薬品工業株式会社、https://www.takeda.co.jp/patients/p-cancer/medical/3_8.html

前立腺がんが発見されれば、前立腺がんの広がり具合をチェックするのに骨シンチグラフィーと呼ばれる画像検査もおこないます。骨シンチは最終的な治療方針を決定するための検査の一つです。前立腺がんは骨転移しやすいので、骨シンチは比較的よくおこなわれます。

CT検査の機械で検査するのですが、通常のCT検査とは違い「放射線同位元素」と呼ばれる物質を含んだ薬剤を静脈注射などで体内に注入したあとに撮影します。放射線同位元素はがんのある部分に集まるので、画像で見たときにがんのある部分が黒く検出されます。

前立腺がんの病期

前立腺がんの進行度を把握する際に、「病期(ステージ)」という分類が用いられます。病期は、がんの大きさや周囲組織への浸潤の有無、リンパ節や他臓器への転移の有無などによって分別され、前立腺がんの場合一般的には、以下のように分けられます。

  • ステージⅠ・Ⅱ(限局がん):前立腺内にがんがとどまっており、他の組織へは広がっていない段階。
  • ステージⅢ(局所進行がん):がんが前立腺の外に広がり始め、近接する組織への浸潤が見られる状態。
  • ステージⅣ(転移がん):リンパ節や骨、その他の臓器に遠隔転移を起こしている状態。

 

病期の判定には、PSA値やグリソンスコアなどの悪性度評価とあわせて、MRIや骨シンチなどの画像検査が用いられます。

詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>“前立腺がんとは?初期症状・検査・治療・生存率まで医師監修で徹底解説”

前立腺がんの治療

前立腺がんの治療
前立腺がんの治療は、がんの進行度や悪性度、患者の年齢や体力、合併症の有無などによって異なります。早期でリスクの低い前立腺がんであれば「監視療法(アクティブサーベイランス)」といって、経過観察を主体にした治療も選択されます。進行がんや高リスク群には以下のような治療法が検討されます。

  • 手術療法:前立腺全摘出術が中心。ロボット支援手術なども普及しています。
  • 放射線療法:外照射や小線源療法があり、手術に匹敵する治療効果を持つとされます。
  • ホルモン療法:アンドロゲンを抑制することでがんの進行を抑える治療。転移がんにも用いられます。
  • 化学療法:ホルモン療法が効かなくなったがん(去勢抵抗性前立腺がん)に対して使用されます。

 

患者の希望や生活の質(QOL)への配慮も含めて、医師と相談しながら最適な治療方針を決定するのが一般的です。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>“前立腺がんの余命・生存率とは?ステージ別の特徴と進行スピード・治療法を解説”

フコイダン療法

フコイダンとは、海藻類(モズクやコンブ)に多く含まれる硫酸化多糖の一種で、がん細胞に対するアポトーシス誘導作用や免疫活性化作用などが報告されています。前立腺がんに対しても、サポート治療としてフコイダンを取り入れるケースもあります。

フコイダンを活用した臨床報告は、前立腺がんに限らずさまざまながんの症例で報告されています。

詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>“臨床結果 – フコイダンラボ”

まとめ

前立腺がんは進行が比較的ゆるやかで、早期に見つかれば治療によって十分完治を目指せます。一方で初期には症状が乏しく、気付かないまま進行してしまうリスクもあります。PSA検査などの定期的なチェックは、がんの早期発見につなげられます。

食生活や生活習慣を見直し、遺伝的な素因があれば意識的に生活習慣の見直しや定期的な検診を検討しましょう。ちょっとした意識がけでも、発症リスクの低下に役立つはずです。自分や家族の健康を守るためにも、前立腺がんについて正しい知識を持ち、早めの対策を心がけましょう。

近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。

なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。

フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。

それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。

「中分子フコイダン」を用いた臨床結果の一例を紹介しています。どういった症状に効果があるか具体的に知りたい方は臨床ページをご覧ください。
>>「中分子フコイダン」を用いた臨床結果

>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ

がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。

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この記事の執筆者
日置クリニック コラム編集部

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