2024.05.29
がん肺がん初期症状とは?見逃しやすい兆候と進行時の変化を徹底解説

肺がんは、日本人のがん死亡原因の上位を占める疾患です。早期に発見できれば治療の選択肢も広がり、生存率も大きく異なってきます。しかし、肺がんは初期の段階では自覚症状がほとんどない、または風邪や加齢のせいなど、別の軽症疾患と見過ごされやすいのも特徴です。
この記事では、肺がんの初期症状として注意すべきサインと、進行してから現れる症状をわかりやすく解説します。自分自身や大切な人の健康管理のために、ぜひ参考にしてください。
※肺がんの概要については以下の記事を参考にしてください。
>>肺がんとは?種類・症状・治療法をわかりやすく解説
目次
肺がんとは
(参照:https://www.tokushukai.or.jp/treatment/thoracic_surgery/hai_gan.php)
肺がんは、肺の細胞が異常増殖を起こし、腫瘍を形成する悪性疾患です。日本では現在でもがんによる死亡原因の上位を占めています。早期治療により治癒率が異なるため、早期発見が非常に重要です。しかし肺がんは、初期段階では自覚症状が乏しいため、見逃されやすいのも特徴の一つです。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>肺がんとは?種類・症状・検査・治療法をわかりやすく解説
肺がんの初期症状
肺がんは初期の段階では目立った症状が出にくく、なんらかの症状があったとしても風邪や加齢による変化と勘違いされやすいのも一つの特徴です。「この症状があれば肺がん」というようなわかりやすい初期症状はありません。
また、肺がんにはさまざまな症状があり、進行した場合でも、病状や経過には大きな個人差がみられます。この点を理解しておくことが重要です。
軽い咳や痰
肺がんの症状として見られやすいのが、長引く軽い咳や痰の増加です。長く咳が続く、痰が絡む感じが取れないなど、慢性的な症状を実感している場合には一度受診を検討しても良さそうです。
血痰
痰に血が混じる血痰は、肺がんを疑う重要なサインの一つです。わずかな血の筋などでも続くようなら医療機関を受診することを検討しましょう。
発熱や倦怠感
原因不明の微熱が続いたり、全身のだるさを感じる場合もあります。がんによる慢性的な炎症反応や免疫応答が関与しています。
肺がんが進行してから見られる症状
肺がんが進行し始めると現れる症状には以下のようなものがあります。もともとあった症状はより顕著で深刻になります。腫瘍の大きさや転移部位により多彩な症状が現れることもあるでしょう。
胸の痛み
胸膜にがんが及ぶと、胸の奥がチクチクするような痛みを感じることがあります。ちなみに、肺には痛みを感じる神経はありません。
息切れ・呼吸苦
小さな動作や軽い運動で息切れを感じるようになるのも肺がんの症状の一つです。肺の機能が徐々に低下し、呼吸が浅く苦しくなるケースもあります。
体重減少
食事量が変わらないのに体重が減っていくのも肺がんの進行例のサインの一つです。炎症性サイトカインの影響などで、食欲が落ちたり代謝が変化することがあります。
強い咳や喀血
進行すると、咳が激しくなり、血をともなう咳(喀血)が増えることがあります。気道を圧迫したり侵食することで出血が起こります。
声のかすれ
がんが進展して反回神経という声帯の働きに関与する神経を圧迫すると、声帯の動きが悪くなり声がかすれることがあります。これは肺門部や縦隔リンパ節への浸潤で起こりやすい症状です。
胸水
がんが胸膜に浸潤すると、胸腔内に液体がたまり(胸水)、呼吸困難が増します。胸水が溜まってくると治療が難しくなるケースもあります。
骨転移による痛み
骨への転移により、腰や背中、肋骨などに痛みが出ます。夜間痛や安静時痛など、通常の筋肉痛と異なる性質の痛みが特徴です。
脳転移による神経症状
肺がんは脳へも転移しやすく、頭痛、吐き気、視力障害、手足のしびれや麻痺、意識障害など多彩な神経症状を引き起こします。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>肺がんステージ4とは?症状・転移先・治療法と向き合い方を解説
肺がんの種類
(参照:https://www.msdoncology.jp/haigan/category/)
肺がんは、肺の細胞内にがん細胞が異常増殖を起こし、腫瘍を形成する悪性疾患です。肺がんは主に2種類に大別されます。
- 小細胞肺がん(SCLC)
- 非小細胞肺がん(NSCLC)
増殖が非常に早く、早期に転移しやすいのが特徴です。主に喫煙者に多く見られ、診断時にはすでに広範囲に広がっていることもあります。化学療法や放射線療法を中心とした治療がおこなわれます。
肺がん全体の約80〜85%を占め、「腺がん」「扁平上皮がん」「大細胞がん」などに分類されます。進行は比較的緩やかで、早期であれば手術による切除が可能な場合も少なくありません。分子標的薬や免疫療法など、新しい治療が進んでいる領域でもあります。
肺がんのステージ分類
(参照:https://www.cancer-support.net/case-studies/lung-cancer/)
肺がんの、非小細胞がんは、その進行度に応じてステージI〜IVに分類されます。
- ステージI
- ステージII
- ステージIII
- ステージIV
がんが肺内に限局している状態。早期発見できれば手術での根治が期待できます。
肺内に加え、近傍のリンパ節への転移が見られる段階です。手術を中心に抗がん剤なども併用します。
縦隔リンパ節や周囲臓器に浸潤している段階です。治療は手術、化学療法、放射線を組み合わせる治療が検討されます。
ほかの臓器への遠隔転移をともなう進行がんです。根治は難しいですが、薬物療法などで延命や症状緩和を目指します。
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小細胞肺がんは一般的に「限局型」と「進展型」の2段階に分類されます。
- 限局型:がんが片側の肺とその周辺リンパ節に限局していて、放射線治療と化学療法を組み合わせた治療で高い効果が期待できます。
- 進展型:がんが胸郭外や他臓器へ転移している状態。治療は主に化学療法が中心で、全身への治療をおこないながら症状の緩和や生存期間の延長を目指します。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>肺がんとは?種類・症状・検査・治療法をわかりやすく解説
肺がんのリスク要因
肺がんはさまざまなリスク要因が複雑に絡み合って発症します。最も有名なのは喫煙ですが、それ以外にも家族歴や環境要因などさまざまな要因が考えられています。自分のリスクを理解し、予防や早期発見の意識を高めることが大切です。
喫煙・受動喫煙
肺がんの代表的なリスク要因の一つは喫煙です。タバコの煙には数十種類の発がん物質が含まれ、長期間の喫煙習慣が肺細胞の遺伝子を傷つけてがんを引き起こします。また、周囲の人が吸うタバコの煙を吸い込む受動喫煙でもリスクが増加することが知られています。
家族歴
肺がん患者の家族がいる場合、自分自身も肺がんになるリスクが高いことがわかっています。これは、遺伝的な要素だけでなく、生活習慣や環境を家族で共有することも影響していると考えられています。喫煙歴がなくても家族歴がある人は注意が必要です。
環境汚染・職業有害物質の曝露
大気汚染、特に粒子状物質(PM2.5)や排気ガスに含まれる発がん性物質の長期曝露もリスクを高めます。また、アスベスト、ラドン、ヒ素、クロム化合物などの有害物質を扱う職業では、曝露によって肺がん発症率が上昇します。こうしたリスクを減らすために、職場での安全管理や空気環境の改善が重要です。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>肺がんとは?種類・症状・検査・治療法をわかりやすく解説
肺がんの早期発見につなげるための検診
肺がんは早期にはほとんど自覚症状がないため、症状が出たときには進行しているケースも少なくない病気です。しかし、無症状のうちに見つけて治療を始められれば高い完治率が期待できます。日本では40歳以上を対象に、年1回の肺がん検診が推奨されています。定期的な検診によって早期発見・早期治療を目指しましょう。ここでは、肺がん発見につながる一般的な検査について解説します。
レントゲン検査
胸部X線撮影(レントゲン)は最も一般的な肺がん検診の方法です。肺全体を簡便に撮影でき、腫瘤や異常陰影をとらえることが可能です。デメリットとして、小さい早期がんや骨や血管に重なった部分のがんは見逃される場合もあります。
喀痰細胞診
長期の喫煙歴がある人などに推奨される検査で、痰の中のがん細胞の有無を顕微鏡で調べます。肺の末梢にがんがある場合には見つかりにくいのですが、より気道の出口に近い位置に生じている中央型の肺がん(扁平上皮がんなど)では有用とされます。レントゲンで異常がなくても、喀痰細胞診でがんが見つかる場合もあります。
肺がん確定診断のための精密検査
検診や症状をきっかけに肺がんが疑われた場合、より詳しい検査で診断を確定します。がんの位置、広がり、組織型を把握し、治療方針を決めるための重要な検査です。
画像検査(X線、CT、PET)
胸部X線は患者さんにとって負担が少なく簡便な検査ですが、小さな腫瘍は見逃されることもあります。CTはより詳細な画像で腫瘍の大きさや位置を把握できます。PET検査では、がん細胞の代謝の活発さを可視化して転移の有無を判別したり、治療効果の判定にも役立ちます。
気管支鏡検査
細い内視鏡を気管支に挿入し、直接病変を観察したり組織を採取(生検)したりします。中心型肺がんの診断に特に有効で、細胞診や病理診断に必要な細胞を採取できます。
生検・病理診断
がんを確定診断するには組織を採取して顕微鏡で調べる病理診断が必要です。気管支鏡などでの採取した組織の生検のほか、CTガイド下経皮的針生検、胸腔鏡検査など、腫瘍の部位や患者さんの状態に応じた方法で検体を採取したあとに、細胞を顕微鏡で調べ検査します。
血液検査・腫瘍マーカー・遺伝子検査
血液検査では全身状態の評価や、CEA、CYFRA、ProGRPなどの腫瘍マーカー・特定の遺伝子の変異を調べる検査を実施します。腫瘍マーカーは診断の補助、治療効果のモニタリング、再発の早期発見などに活用されますが、診断を確定するものではありません。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>肺がんとは?種類・症状・検査・治療法をわかりやすく解説
肺がんの治療法
肺がんの治療は、がんの種類(非小細胞肺がん・小細胞肺がん)、進行度(ステージ)、患者さんの全身状態や希望を総合的に考慮して決定します。複数の治療法を組み合わせることもあり、患者さん一人ひとりに合わせた治療が重視されています。
薬物療法
肺がん治療に用いられる薬物療法は、抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などを用いるのが一般的です。全身に広がったがん細胞を攻撃できる治療法です。
抗がん剤:従来から用いられる細胞障害性抗がん剤。増殖の速いがん細胞を中心に攻撃できます。がん細胞以外にも、細胞分裂が速い通常細胞も攻撃してしまうのがデメリットです。
分子標的薬:がん細胞特有の遺伝子変異やタンパク質を狙い撃ちする治療です。EGFR変異やALK融合遺伝子などの有無で適応を判断します。
免疫チェックポイント阻害薬:免疫ががんを攻撃する力を高める薬です。近年、進行肺がんでも治療成績が改善しています。
手術
早期の非小細胞肺がんに対する基本的な治療です。がんを完全に取り切ることを目的とします。
- 肺葉切除:最も標準的な術式で、腫瘍を含む肺の1葉を切除します。
- 部分・区域切除/楔状切除:早期で小型のがんの場合におこなわれる、より縮小した切除法です。
- 肺全摘:がんが広範に及ぶ場合に、片側の肺全体を切除することもあります。
術前後には患者さんの呼吸機能や全身状態をしっかり評価し、負担を減らす工夫をします。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>肺がんとは?種類・症状・検査・治療法をわかりやすく解説
放射線療法
放射線治療は、細胞に放射線を照射して細胞分裂をしているDNAを損傷させ増殖ができなくなる働きかけを目的としておこなわれます。切除が難しい症例や高齢・合併症で手術ができない場合、手術を望まない患者さんに対してや、進行がんの事例での緩和治療の一環としても用いられます。
定位放射線治療(SBRT)
非小細胞がんの1期であれば定位放射線治療(SBRT)と呼ばれる照射方法を用いることにより治療の効果を上げることがわかっています。基本的に肺がん治療の場合、手術適用であるならば手術による切除が優先されます。しかし、手術を受けられないなんらかの理由や患者さんの希望により、放射線治療を進めるケースもあるのです。
従来の放射線療法であれば肺がんの照射する場所によって、がん細胞以外の細胞にもダメージが及ぶこともありました。現在用いられている定位放射線治療とは、照射する範囲をCTを使ってシミュレーションしてから照射をおこないます。
一般的な肺がんの放射線治療の場合、呼吸により肺が動いてしまうため、照射範囲を限定して照射していても正常な肺の細胞もダメージを受けて肺炎などを引き起こすことがありました。
この問題を極力回避するための照射方法が定位放射線治療です。この照射方法は呼吸によって照射するがんの位置がずれたときに、コンピューター制御で放射線照射が止まるように制御します。
つまり、呼吸をしていてもほぼがんだけを集中的に照射することができるので、ピンポイント照射法とも呼ばれているのです。この方法を従来の放射線療法と比較すると、格段に正常組織の障害が減少するようになりました。
フコイダン療法
肺がんの早期段階からも患者さんの体力維持や免疫力のサポートを目的に、補完医療としてフコイダン療法が検討されるケースもあります。
フコイダンは海藻由来の多糖体で、免疫調整作用や抗腫瘍効果が期待されています。そのなかでもがん治療のサポートとなるべく注目されているのが中分子フコイダンです。肺がん治療においては標準治療と併用する臨床報告も増えています。詳しい臨床例はこちらもご覧ください。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>臨床例③:ステージⅢCの肺がんの遠隔リンパ節転移(69歳男性)
>>臨床例⑤:ステージⅢBの肺がんの再発と頸部リンパ節転移(72歳女性)
まとめ
肺がんは早期にはほとんど症状が出にくく、気付いたときには進行しているケースも少なくありません。長引く軽い咳や血痰、原因不明の倦怠感など、些細な変化でも見逃さずに医療機関で相談することが大切です。定期的な健康診断やCT検査を活用して、早期発見・早期治療につなげましょう。自分の身体の声に耳を傾けることが、肺がんから命を守る第一歩になるはずです。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
「中分子フコイダン」を用いた臨床結果の一例を紹介しています。どういった症状に効果があるか具体的に知りたい方は臨床ページをご覧ください。
>>「中分子フコイダン」を用いた臨床結果
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
がんの種類を知る
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