2024.06.27
がん抗がん剤の種類について
抗がん剤とは?
抗がん剤は、がん細胞を殺傷したり増殖を抑えたりする薬(細胞障害性抗がん薬)のことですが、広い意味では、がんに対する治療薬をすべて含みます。
抗がん剤を使った全身療法は、血液のがん(白血病や悪性リンパ腫)と固形がん(血液のがん以外のがん)の両方に対して行われます。一つの薬を単独で使用する場合と、複数の薬を併用する場合があります。
一般的に、固形がんの場合は、抗がん剤は進行がんの治療で使われることが多いですが、放射線治療と併用したり、手術の前後に補助療法として使用されることもあります。
最初の抗がん剤は、第二次世界大戦中に兵器として使用されていたマスタードガスを改良して作られたナイトロジェン・マスタードで、悪性リンパ腫の治療にはじめて使用されました。その後、多くの抗がん剤が開発され、最近では分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などが登場し、広く使われるようになってきました。
ここでは、がんの薬物療法で使われる細胞障害性抗がん薬、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬について解説します。
細胞障害性抗がん薬
がんの特徴である分裂をくり返して増殖している細胞を攻撃する薬です。細胞障害性抗がん剤には、アルキル化剤、代謝拮抗薬、白金製剤、抗腫瘍性抗生物質、トポイソメラーゼ阻害薬、微小管作用薬など様々な種類の薬があります。
・アルキル化剤(シクロフォスファミドなど):細胞のDNA合成を阻害し、がん細胞の分裂・増殖を抑制する
・代謝拮抗薬(5-フルオロウラシル、ゲムシタビンなど):DNA合成に必要な物質に類似した構造をもつ化合物の投与により、がん細胞の増殖を抑制する
・白金製剤(シスプラチン、カルボプラチンなど):がん細胞のDNAと結合することでDNAの複製を阻害し、がん細胞の細胞死を誘導することで抗腫瘍効果を発揮します
・抗がん性抗生物質(アクチノマイシンD、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ドキソルビシンなど):がん細胞の細胞膜を破壊したり、DNAやRNAの合成を阻害することで抗腫瘍効果を発揮します
・トポイソメラーゼ阻害薬(イリノテカン、エトポシドなど):DNA複製に必要な酵素を阻害し、がん細胞の細胞死を招くことで抗腫瘍効果を発揮します
・微小管作用薬(タキサン、ビンカアルカロイドなど):細胞の分裂を停止させることによって、抗腫瘍効果を発揮します
また、フコイダンは海藻由来の多糖類で、抗がん・抗ウイルス・抗酸化などの生理機能が報告されています。フコイダンを抗がん剤と併用することのメリットを下記で詳しくご紹介しているので、参考にしてください。
>>フコイダンを抗がん剤と併用することで期待できる効果とは?
分子標的薬
分子標的薬とは、がん細胞が持っている特定の分子(遺伝子やタンパク質)をターゲットとして、その作用を抑える薬のことです。分子標的治療薬は2001年より日本でもがん治療に導入され、徐々に増えてきました。
分子標的薬には、大きく分けて細胞のシグナル伝達(増殖などを促すため、細胞内で指令が伝わっていくシステム)を阻害するものと、血管新生(がんに栄養を運ぶ新しい血管が作られること)を阻害する薬などがあります。
これまでのがん治療では、ある特定の臓器に発生したがん(たとえば大腸がん)に対しては、どの患者さんに対しても同じ抗がん剤が使われ、効くか効かないかは、実際に試してみないとわかりませんでした。このため、効果のみられなかった患者さんでは副作用に苦しむだけの意味のない治療となる可能性がありました。
これに対し、分子標的薬の場合は、がんの特定の遺伝子やタンパク質を調べることによって、効果が期待できる患者さんだけに投与することができます。このような患者さん一人ひとりのがんの個性にかなった医療を、がんの個別化医療、あるいは精密医療(プレシジョン・メディシン)といいます。
最近では、いろいろな種類のがんの治療において、がんに特徴的な多くの遺伝子変異を一度に調べ(がん遺伝子パネル検査)、対応する分子標的薬を決定することが増えてきました。
例えば、乳がんや胃がんの患者さんでは、がんの組織でHER2(ハーツー)というタンパク質が異常に増えている場合、トラスツズマブ(商品名ハーセプチン)というHER2を標的とする分子標的薬を使用します。
肺がん(非小細胞肺がん)では、がんの組織の遺伝子検査を行い、EGFR遺伝子、ALK融合遺伝子、ROS-1融合遺伝子、BRAF遺伝子などに変異がある場合、それぞれに対応する分子標的薬が用いられます。
免疫チェックポイント阻害薬
人のからだには、がん細胞を免疫機能で除去するシステムがあります。この免疫による攻撃の要となるのがT細胞と呼ばれる免疫細胞です。このT細胞には、暴走を防ぐために免疫チェックポイント(PD-1)と呼ばれるブレーキがあります。
がん細胞は、免疫細胞からの攻撃を逃れるために、PD-L1(またはPD-L2)というタンパク質をつくり出し、これがT細胞のPD-1に結合するとブレーキが作動し、がん細胞への攻撃が抑制されます。
このPD-L1とPD-1との結合をブロックする薬が、免疫チェックポイント阻害薬です。代表的な免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブ(商品名オプジーボ)とペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)はPD-1に対する抗体であり、先回りしてT細胞のPD-1に結合することで、がん細胞にブレーキを踏ませないようにする作用があります。
これにより、免疫細胞のブレーキを解除して働きが復活させ、がん細胞への攻撃を強化することができると考えられています。
免疫療法は、がん細胞と戦うために免疫システムを活性化、またはサポートする治療法の一つです。近年では、がん治療でこの免疫システムが注目されています。がん免疫療法について具体的な治療方法を知りたい方は、下記をご参照ください。
まとめ
抗がん剤(細胞障害性抗がん薬)には、アルキル化剤、代謝拮抗薬、白金製剤、抗腫瘍性抗生物質、トポイソメラーゼ阻害薬、微小管作用薬など様々な種類の薬があります。また最近では、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などの新しいタイプの抗がん剤も開発され、治療成績の改善につながっています。
また、がんには、手術や化学療法などさまざまな治療法がありますが、その中でも近年注目されているのが「中分子フコイダン療法」です。
海藻類に含まれるフコイダンという成分を、機能性を保ちつつ腸管から吸収されやすい分子量に整えたものが中分子フコイダン。抗がん作用をはじめ、以下のような作用も報告されています。
抗腫瘍・抗がん作用/抗アレルギー作用/肝機能向上作用/抗生活習慣病/抗ウイルス作用/抗ピロリ菌作用/血液凝固阻止作用/美肌作用/育毛作用
中分子フコイダンを摂取することで、抗がん剤との組み合わせによる相乗効果や、副作用の軽減などが期待できる治療法で、実際の臨床結果でも、確かな可能性を感じさせる症例が数多く存在しています。
中分子フコイダン療法についてもっと知りたいという方には相談・お問合せも承っておりますので、がん治療の選択肢の一つとして、ご検討の一助となれば幸いです。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
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