2023.10.10
がん白血病の治る確率は?治療の進歩と生存率の実情について解説

白血病は、かつて「不治の病」とされていましたが、医療技術の進歩により、現在では治療によって長期生存や完治が期待できる病気になりつつあります。
この記事では、白血病の種類ごとの治療成績や生存率について詳しく解説していきます。
目次
白血病の治る確率
白血病の治る確率を調べた場合、医療機関による成績の違いや患者さんの白血病のタイプ、治療方針の違いが多種多様にあり、一概にはいえません。
一般的に重い病気と言われるものの中には、「この病気は予後がよい・予後が悪い」などと言われることがあります。予後というのは、病気がどのような経過をたどるかといった見通しのことで、病気の治りやすさと捉えることもできるでしょう。
予後を測る指標として、診断を受けた人のうち 5年後に生存している人の割合を示す5年生存率、あるいは5年相対生存率などのデータがあります。
一つの参考として、病気が発覚したあとのそれぞれの5年生存率を見ていきましょう。
急性白血病の治る確率
(参照:https://synix.co.jp/archives/2107)
急性白血病は、一般的に予後が悪いと思われがちな疾患です。
まずは、急性白血病の5年生存率をみてみましょう。こちらの表を参照に数値だけをみて見ると正直なところ低めであるといえるかもしれません。
急性骨髄性白血病(AML)の治る確率
では実際に急性骨髄性白血病の治療成績を見てみましょう。実際には遺伝的な異常の有無により違いはありますが、一般的には通常の寛解導入療法により得られる寛解導入率は50~85%程度との数字が出ています。
さらに完全寛解が得られた患者さんのうち、約40%程度は5年後までの無再発であるという数値も出ています。
患者さん全体で考えると、30%以上の方が治癒していると判断できるでしょう。
また、骨髄からの造血幹細胞移植を受けた方の治療成績を見ても一定の確率で長期生存、治癒が得られているというデータがあります。
急性骨髄性白血病の治療は難しい?
(参照:https://job.minnanokaigo.com/news/kaigogaku/no631/)
急性白血病は予後が良くない傾向にありますが、これは、急性白血病の中でも急性骨髄性白血病は高齢者が多いゆえに、抗がん剤治療に耐えられないと判断される例も少なくないことが影響している可能性があるでしょう。
項目 | 基準 |
---|---|
年齢 | 65 歳未満 |
心機能 | 左室駆出率(LVEF)50%以上 |
肺機能 | PaO2M/ 60Torr 以上またはSpO290%以上(room air) |
肝機能 | 血清ビリルビン2.0 mg/dL 以下 |
腎機能 | 血清クレアチニン施設基準値の上限の1.5 倍以下 |
感染症 | 制御不能の感染症の合併なし |
(参考:http://jsco-cpg.jp/guideline/12.html)
急性骨髄性白血病において、強力な化学療法を受けられるかどうかの基準の一つに、「65歳未満」という基準があります。
白血病が発症する患者さんは60歳以上に急増している実態もあるため、強力な化学療法を受けられないと判断されるケースが少なくありません。このことが、急性骨髄性白血病の5年生存率の低下に影響を及ぼしている可能性があります。
急性骨髄性白血病(AML)の小児や若年者の生存率は良好
(参照:https://oici.jp/hospital/news/5462/)
一方で小児や若年者の急性骨髄性白血病(AML)は、2006〜2011年に治療がおこなわれた小児と若年成人で5年生存率がそれぞれ77.0%、66.5%とされています。
特に小児の急性白血病の治療成績は、化学療法の進化とともに著しく向上しています。
さらに急性リンパ性白血病でも近年では、治療成績は非常によい成績を収めていて、現在のところ全体の患者さんの80%以上が完全寛解しています。
多くの症例では化学療法での治癒も可能ですが、一部の例では造血幹細胞移植を必要とする例も少なからずあります。
①フィラデルフィア染色体などの治癒が困難であると予測される染色対象がある場合
②1歳未満の乳幼児白血病の場合
③1回の寛解導入療法で完全感覚が得られなかった場合
上記の①、②、③などについては、化学療法のみでは満足のいく治療成績が得られていません。
また、フィラデルフィア染色体陽性例については、 分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬)の導入によっても大きく予後が改善しました。
>>AYA世代(若い世代)のがんは種類が違う?問題点や支援の概要
急性リンパ性白血病(ALL)の治る確率
急性リンパ性白血病の場合、通常の寛解導入療法では80%前後の患者さんが完全寛解に至ると言われています。
しかし、今までのデータでは再発するケースもあり、長期間にわたって生存できる患者さんは決して多くはありませんでした。
しかし近年、予後が悪いと言われていたフィラデルフィア染色体陽性のタイプに有効な分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬)が積極的に使われるようになり、その効果が非常によい数値を示しています。
慢性白血病の治る確率
(参照:https://www.blincyto.jp/epidemiology)
一方で慢性白血病の治る確率はどのようになっているのでしょうか。
さまざまな種類のある白血病ですが、日本で一番多いのは慢性白血病の中でも「慢性骨髄性白血病(CML)です。
慢性骨髄性白血病(CML)は、過去の治る確率を見ると、非常に悲観的に考えざるを得ない実情があります。
しかしながら近年は、別の動向を見せているようです。
慢性骨髄性白血病(CML)の治る確率
(参照:https://www.gan-kisho.novartis.co.jp/cmlstation/cml/transition)
慢性骨髄性白血病は染色体異常によるものと病気の要因がはっきりしたことにより、分子標的薬が治療方針の主軸となりました。
それにともない治療成績も飛躍的に向上しています。
近年ではチロシンキナーゼ阻害薬と呼ばれる分子標的薬の使用により、慢性骨髄性白血病の5年生存率は90%以上と非常に良好です。
慢性リンパ性白血病(CLL)の治る確率
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(参照:https://www.rinpasyu.jp/inspection05/)
一方で慢性リンパ性白血病は、欧米では白血病全体の20−30%を占めますが、日本では1〜2%とそもそも罹患率が低めです。
慢性リンパ性白血病の自然経過は非常に多様で、生存期間の範囲は約2年から20年以上で、中央値は約10年という数値もあります。
日本人の罹患率が低いせいか、参照となるデータは海外のものですが一般的には病気の進行は非常に緩やかです。
こちらの表を参照すると、生存率は診断時のステージより大きく異なるといえそうです。
5年生存率=治る確率・死ぬ確率ではない
白血病の「治る確率」を考える際に、「5年生存率」という指標はよく使われます。しかし、この5年生存率は、単に治る確率や死ぬ確率を表しているわけではありません。
5年生存率とは、「診断後5年経過した時点で生存している人の割合」を示す指標であり、必ずしも「完治」を意味するものではありません。
例えば、白血病の中には治療を続けながら長期生存するタイプもあれば、5年を超えて再発するケースもあります。また、白血病の種類や進行度、患者の年齢や健康状態によって生存率は大きく異なります。そのため、「5年生存率=治る確率」ではないことを理解することが重要です。
白血病の生存率は個人差が大きい
白血病の生存率は一概に「何%」とは言い切れません。なぜなら、白血病は種類ごとに治療効果や経過が異なり、個人の体質や治療への反応にも大きな差があるためです。
例えば、小児の急性リンパ性白血病(ALL)は治療成績が非常によく、5年生存率が90%以上に達するケースもあります。一方で、高齢者の急性骨髄性白血病(AML)の一部は治療が難しく、治療後の経過に個人差が大きいのも特徴です。
また、慢性骨髄性白血病(CML)などでは、分子標的薬の登場によって治療が大きく進歩し、適切な治療を受けることで長期的な生存が可能になっています。最近では、慢性白血病の患者の中には、通常の生活を送りながら長期にわたり治療を続けることができるケースも増えてきています。
このように、白血病の生存率は個々の状況に大きく左右されるため、一概に「何%が治る」と断言するのは難しいです。
そのため、診断後は自身の病型や治療法をよく理解し、医師と相談しながら最適な治療を受けることが重要です。
白血病治療の進化
かつて白血病は「不治の病」と言われ、診断後に急速に進行して命を落とすケースも多く見られました。しかし、近年の医学の進歩により、白血病の治療成績は飛躍的に向上しています。
特に、分子標的薬や新しい化学療法、造血幹細胞移植の発展により、治療が困難だった白血病の種類でも、長期生存が可能なケースが増えてきました。
かつては治療が難しかった白血病も、現在では治療法の進歩により「治る病気」になりつつあります。もちろん、すべての白血病が完治するわけではありませんが、医療の進歩によって「白血病=必ず死ぬ病気」という時代は過去のものになりつつあります。
白血病の診断を受けたとしても、最新の治療法を活用し、医師と相談しながら適切な治療を受けることで、長期的な生存が期待できます。治療法の選択肢も広がっているため、希望を持って前向きに治療に取り組むことが大切です。
白血病の予後についての考え方
5年生存率を含め、データで示されるのは一般的にはすべて過去のことです。
白血病を含めた血液のがんの場合、薬の開発が今なお進んでいて、過去のデータの治療状況と現在の状況が異なることも少なくないです。
また、白血病はタイプや病期、染色体や遺伝子の様態などを含めると非常に多種多様で、実際にどのような経過をたどるかは患者さんの年齢や全身の状態によっても違います。
5年生存率や治る確率など、過去のデータにとらわれすぎず、自分の状態にあった治療を続けることが重要です。
まとめ
白血病の治療成績は日々進化しており、新しい薬や治療法が開発されています。
そのため、過去のデータだけをもとに「治る確率」を判断するのではなく、最新の医療情報をもとに治療を進める気構えが重要です。
また、白血病のタイプや病期、遺伝子異常の有無などによって治療方針は大きく異なります。医師と相談しながら個々の病状に適した治療を受けることが、生存率を高める鍵となります。
白血病は「治らない病気」ではなく、「治る可能性がある病気」へと変わりつつあります。
希望を持ち、適切な治療を受けることで、よりよい未来を目指していきたいですね。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
「中分子フコイダン」を用いた臨床結果の一例を紹介しています。どういった症状に効果があるか具体的に知りたい方は臨床ページをご覧ください。
>>「中分子フコイダン」を用いた臨床結果
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
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