2023.10.10
がんスキルス胃がんになりやすい人は?原因と早期発見・予防策について解説
スキルス胃がんは、進行性の早さと治療の困難さから難治性のがんとして注目されているがんの一つです。
その発生原因は完全には解明されていませんが、複数の要因が組み合わさり発症すると考えられています。発生要因については諸説ありますが、特にヘリコバクター・ピロリ菌の感染や特定の生活習慣が大きく影響しているといわれています。
この記事では、スキルス胃がんの主な原因となりやすい人の特徴を紹介し、早期発見と予防策について解説します。
※胃がんの概要については以下の記事を参考にしてください。
>>>胃がんとは?その症状や治療法などについてご紹介
目次
スキルス胃がんになりやすい人
実は現在のところ、スキルス胃がんの明確な原因はわかっておらず、いくつかの要因が考えられています。まだはっきりと原因がわかっていないため、複数の要因が重なり影響しあってスキルス胃がんが発生すると考えられています。
そのなかでも、有力な原因と考えられているのがヘリコバクター・ピロリ菌の感染です。その他にも生活習慣や食習慣、ストレス、家族性要因などもスキルス胃がんとの関連づく要因だと考えられています。
ヘリコバクター・ピロリ菌に感染している人
ヘリコバクター・ピロリ菌は細菌の一種で、強い酸性の胃液にも耐えられる性質を持ちます。感染してしまうと胃粘膜のなかに住み着くこともわかっています。
またヘリコバクター・ピロリ菌に感染しているとスキルス胃がんの罹患率が約5倍も違うというデータも出ています。
昔の日本ではヘリコバクター・ピロリ菌感染の患者も多く、子供の頃に感染して何年も胃のなかに持っている人もいました。ヘリコバクター・ピロリ菌は口から口などの経口感染が主な感染ルートと考えられているので、衛生環境が十分に整っていなかったかつての日本では、比較的感染しやすい状況であったといえるのでしょう。
ヘリコバクター・ピロリ菌の感染が長引くと、胃粘膜に慢性的な炎症を起こします。炎症が長期に及ぶことで胃粘膜が萎縮して「萎縮性胃炎」という状態になります。胃炎状態が長く続くことで、胃の粘膜ががん化しやすくなります。
(参照:https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/287.html)
実際にヘリコバクター・ピロリ菌の感染は、WHOにより1994年に確実な発がん因子として認定されています。
ヘリコバクター・ピロリ菌の感染が考えられる場合、除菌治療を受けることを検討しましょう。
食生活が乱れている人
食生活においても考え方は同様です。胃の粘膜が荒れ、炎症が生じる機会が多ければ、胃粘膜の細胞ががん化しやすくなります。
たとえば塩分の摂りすぎは、胃粘膜を荒らして食品内に含まれている発がん性物質の影響を受けやすくします。
また、発がん性物質が含まれていると考えられている食品添加物の摂りすぎや、肉や魚の焼け焦げた部分を大量に摂取することは発がんを促す可能性があることも指摘されています。
さらに、野菜や果物などの抗酸化物質を摂取する習慣が少なければ、免疫細胞によるがん化を抑える働きが低下します。
喫煙・飲酒の習慣がある人
喫煙や飲酒習慣も胃がんにつながる関連因子の一つです。タバコの煙には細胞分裂する際に遺伝子をコピーする細胞を傷つけたり、がん化を促す発がん性物質が多数含まれていることがわかっています。
また、飲酒習慣は胃粘膜にダメージを及ぼし、炎症を起こしやすくなります。喫煙や飲酒習慣がある人も、胃がんになりやすい要因を持つといえるでしょう。
遺伝によるもの
遺伝の影響により胃がんになりやすい傾向があるとも考えられています。近しい親近者や家族に胃がんになった人がいれば食事や生活習慣が似ていることが多いため、同じくがん化しやすい傾向にあると考えられているのです。
スキルス胃がんとの関連性を示唆する遺伝子の研究もなされていますが、いまだに決定的な研究結果は出ていません。
スキルス胃がんに男女差はある?
スキルス胃がんは、他の胃がんタイプと比較して、若年女性において発症率が高いという特徴を持っています。通常、胃がんは50歳以上の高齢男性に多く見られる病気ですが、スキルス胃がんは20~40代の比較的若い世代の女性に生じやすい傾向を持っています。
一部では女性ホルモンとの関係性も示唆されていますが、はっきりとした原因はわかっていません。
スキルス胃がんを早期発見する検査は「胃カメラ」
近年日本では、定期検診として40歳以上の方には年1回のバリウム検査、50歳以上の人には2年に1回の胃カメラ検査もおこなわれるようになりました。
日本において、悪性腫瘍による死亡率では今なお上位にある「胃がん」。そのなかでも、治療が非常に難しく難治性であると考えられているスキルス胃がんのリスクを考えると、早い段階で発見するためには胃カメラは非常に効果的な検査であるといえます。
バリウム検査では胃の内部の形などを参照して検査をしますが、初期のスキルス胃がんでは見過ごされてしまうこともあるのです。
より確実性を求めるなら、直接胃の粘膜を目視で確認できる内視鏡検査をすることが推奨されています。
早期発見の重要性
スキルス胃がんは、一般的に難治性のがんとして知られています。スキルス胃がんを克服することを考えるなら、重要になるのは「早期発見」です。
スキルス胃がんは、初期段階で小さな未分化型の陥凹がんとして始まります。この初期病変が粘膜下層に浸潤し、典型的なスキルス胃がんへと発展するには通常2〜3年を要するとされています。スキルス胃がんは特に進行が早く初期症状の自覚が乏しいため、早期発見が非常に重要です。
早期段階で発見されたスキルス胃がんは、その大きさが2cm以内であれば内視鏡による治療も可能です。この時点での治療ができれば、根治の可能性を大いに高めます。一方で、病変が大きくなり手術が必要となるケースでも、スキルス胃がんへの進展前に治療をおこなうことで完治のチャンスが増します
スキルス胃がんを予防するには
スキルス胃がんの予防について、現在のところ確立された方法は出されていません。進行が早く予後が不良なため、予防と早期発見が特に重要です。以下の方法を通じてスキルス胃がんのリスクを低減し、早期発見に努めましょう。
健康的な食生活を送る
胃がんのリスクを減少させるためには、食生活の改善が効果的です。塩分の摂取を減らし、保存食や加工食品の消費を控えることを意識しましょう。代わりに、新鮮な野菜や果物を多く摂取することで、胃の健康をサポートしがん化を予防する免疫力UPにつなげましょう。
健康診断を定期的に受ける
スキルス胃がんは初期症状が現れにくいため、定期的な健康診断が非常に重要です。特にリスクファクターを複数持つ人は、年に一度以上の胃内視鏡検査(胃カメラ)を受けることを検討する必要があります。
飲酒・喫煙を制限する
喫煙と過度のアルコール摂取は胃がんのリスクを高めます。禁煙とアルコールの制限を心がけて、胃の健康を保ち、がんの発生リスクを低減しましょう。
ヘリコバクター・ピロリ菌を取り除く
胃がん予防策としてヘリコバクター・ピロリ菌の除菌治療は非常に有効とされています。ヘリコバクター・ピロリ菌は胃粘膜に慢性的な炎症を引き起こし、長期にわたる感染が胃がんのリスクを高めるとされています。除菌治療は通常、1週間の抗生物質投与により約80%で除菌が完了します。
ヘリコバクター・ピロリ菌感染が疑われる場合、健康保険適用で除菌治療を受けるための条件は以下のとおりです
- 内視鏡検査や造影検査で胃潰瘍または十二指腸潰瘍が確定された患者
- 胃MALTリンパ腫の診断を受けた患者
- 特発性血小板減少性紫斑病の患者
- 早期胃がんに対する内視鏡治療後の患者
- 内視鏡検査で胃炎が確定診断された患者
以上の条件に当てはまる人は、保険適用でスキルス胃がん予防の一助になるので、ぜひ治療を検討してみてください。
まとめ
スキルス胃がんの発生原因は多岐にわたり、一つの要因だけでなく、複数のリスクファクターが組み合わさることで発症するとされています。ヘリコバクター・ピロリ菌の感染が主要な要因である一方で、不健康な食生活、喫煙、過度の飲酒、ストレスも胃の健康に悪影響を与え、がん化を促進することが示唆されています。
複数の要因を持っている場合、定期的な健康検診の実施と健康的なライフスタイルの維持がスキルス胃がん予防の鍵となるでしょう。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
がんの種類を知る
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