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膵臓がんステージ4の治療方法は?症状や余命について解説!

膵臓がんステージ4の治療方法は?症状や余命について解説!

膵臓がんは、その発見が非常に難しいことで知られています。がんのなかでも特に進行が速く、初回治療時には約80%の患者がステージ4に達しているという実態もあるのです。このような実態があるからこそ、膵臓がんステージ4の余命や治療法について理解することは、患者さんやその家族にとって非常に重要になるでしょう。

本記事では、 膵臓がんステージ4の特徴や治療法、そして余命に関する情報を詳しく解説していきます。

※膵臓がんの概要については以下の記事を参考にしてください。
>>膵臓がんとは?その症状について

日置医院長

この記事の監修者
日置クリニック 院長
日置 正人 医学博士

【経歴】
昭和56年3月 
大阪市立大学医学部卒業
昭和63年3月 
大阪市立大学大学院医学研究科卒業
平成5年4月 
医療法人紘祥会 日置医院開設

詳しいプロフィールはこちら

膵臓がんステージ4とは

膵臓がんステージ4とは
(参照:https://ganjoho.jp/public/cancer/pancreas/treatment.html

膵臓がんステージ4は、膵臓以外の臓器に遠隔転移が生じている状態です。膵臓がんが転移しやすい場所には、周辺の臓器である肝臓や腹膜を始め、肺、リンパ節、骨などがあります。
膵臓は主血管やリンパ管が豊富なため、転移を起こしやすいといえます。

膵臓がんステージ4の状態と症状

膵臓がんステージ4の状態と症状
膵臓がんステージ4の症状は進行状況や腫瘍の大きさ、位置により個人差が大きいのですが、膵臓自体に腫瘍が生じていることによる黄疸や腹痛、背部痛、食欲不振や下痢などの消化器症状が見られます。食が進まなくなり、消化不良を起こすことで栄養を補給しにくくなり、体重の減少も実感するようになります。

また、肺などに転移すると息苦しさや運動時の疲労感、咳や血痰などが見られることもあります。

骨にも転移しやすいがんなので、転移した場所の痛みや骨折、歩行時の痛みや違和感が生じることもあります。

年齢に適さない運動障害などから、原発した膵臓がんが発覚することもあるのです。

膵臓がんステージ4の治療法

膵臓がんステージ4の治療法
(参照:https://ganjoho.jp/public/cancer/pancreas/treatment.html

膵臓がんステージ4は、悪性腫瘍の浸潤(※1)範囲が広がり遠隔転移なども認められ、手術の適用外となっている状態です。切除不能の膵臓がんには「局所進行切除不能(膵臓に生じている腫瘍の数や大きさにより切除不能)」か「遠隔転移をともなうことによる切除不能」の2つのパターンがあります。

※1:浸潤 がんが周りに広がっていくこと

一次化学療法

一次化学療法

(参照:https://suizogan.com/treatment/drug-therapy.html

化学療法は、切除不能となる遠隔転移をともなう症例に対して適用されます。

まず最初に用いられる一次化学療法は、「フォルフィリノックス(FOLFIRINOX)療法」と呼ばれるオキサリプラチン+イリノテカン塩酸塩+5-FU+ホリナーとカルシウムを用いた多剤併用治療法を2週間ごとに点滴投与する治療法です。

また、もう一つの方法として「ゲムシタビン塩酸塩+ナブパクリタキセル療法」として、週1回の点滴を3週連続、4週目をお休みの4週間1コースを繰り返す方法が用いられます。

代表的な化学療法はこの2種類ですが、このほかにもゲムシタビン単独投与の方法やS-1単独療法もあります。

治療方法は、病気の進行具合やどこにどのぐらいの大きさの悪性腫瘍があるのか、患者さんの年齢や体力なども考慮して総合的に判断し、医師と相談のうえで決めます。

二次化学療法

膵臓がんでは、患者さんの体力や免疫に問題がなければ早くから多剤併用療法を導入しますが、ときとして一次治療での効果の実感が薄くなってしまうこともあります。

その際に、使用される薬剤を変更して治療を続けられるのが二次化学療法です。基本的には一次療法では使用していない薬剤を選択します。また、がん発生にともなう要因に遺伝子的な異常がある場合には、それに合わせた薬剤を用います。

一次治療で「フォルフィリノックス(FOLFIRINOX)療法」を用いた場合には「ゲムシタビン塩酸塩+ナブパクリタキセル療法」、「ゲムシタビン塩酸塩」を混在した薬剤を用いた場合には「5-FU(フルオロウラシル)」を含んだ薬剤を用いて二次治療を進めます。

抗がん剤について詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>抗がん剤の種類について
>>抗がん剤の副作用について
>>膵臓がんステージ2・3の治療法は?原因や余命について解説!

対症療法・緩和治療

膵臓がんステージ4の場合、ときに根治とは別の対症療法目的で手術がおこなわれることもあります。悪性腫瘍により胃や十二指腸が圧迫されて狭窄し、食物が通らなくなった場合などに、がんが切除できなくても迂回路を作るためのバイパス術がおこなわれる場合もあります。

また、胆汁が流れる管が圧迫され黄疸症状が強い場合には、胆汁をつまらなくさせるためのドレナージをおこなう場合もあります。

膵臓がんを治療するわけではなく、腫瘍増大にともなう苦痛症状を軽減させるために用いられる方法です。

また、膵臓がんにより生じている痛みや、骨に転移した場合の運動障害などにより著しくQOLが下がる場合もあります。痛みをコントロールするだけではなく、病状に左右されないようにさまざまな症状に対して緩和できるような治療を積極的に用いることも膵臓がんステージ4の特徴の一つといえるでしょう。

終末期医療について詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>末期がんとは|そもそも治る?治療方法とは?

膵臓がんステージ4の余命は?

膵臓がんステージ4の余命は?
(参照:https://hbcr-survival.ganjoho.jp/graph#h-title

膵臓がんステージ4は、5年生存率だけ見ると残念ながら悲観的な数字であるといわざるを得ません。しかしながら膵臓がんは、欧米諸国でもいろいろな組み合わせで抗がん剤治療と研究が試みられています。多剤併用療法によりさまざまな有用性が報告されているのです。

日本では、難しい膵臓がんの治療も基本的には保険診療で受けられます。さまざまな試みがされている膵臓がん治療の最先端を、日本では比較的容易に受けることができるのです。

化学療法や手術など、海外では保険診療で受けられない治療も日本では保険診療内で治療を受けることが可能なので、他の国と比較すると膵臓がんを克服できる可能性が高い環境が整っているといえるでしょう。

先に挙げている5年生存率は2015年のものを参照しています。最新のものはまだ提示されていませんが、上昇傾向になると考えている専門家もいるようです。

発見が非常に難しい膵臓がん。初回治療時のステージ4は約80%

発見が非常に難しい膵臓がん。初回治療時のステージ4は約80%
(参照:https://cancer.qlife.jp/pancreas/pancreas_feature/article4180.html

膵臓がんは、早期発見が非常に難しいといわれているがんの一つです。初期症状がわかりにくく、自覚症状もないため残念ながら初期に見つかることはほとんどないのが実情です。

実際に膵臓がんは初回治療の際にはステージ4以上であることが約80%というデータもあります。それほど早期発見が難しいため、膵臓がんと申告されると悲観的な状況に受け止められやすいのです。

膵臓がんは予後不良のイメージが強い病気ですが、近年抗がん剤の選択肢が増え、抗がん剤の治療効果によっては、手術不能といわれた症例でも手術が可能になったケースもあります。

膵臓がんの治療方法に関する研究・工夫も進み、かつて治らないといわれていた膵臓がんは、今では治るがんへと変わりつつあるのです。

しかし膵臓がんは、インターネットなどを参照すると悲観的になるような情報も多く、気持ちが落ち込みやすい傾向もあります。

インターネットの情報はあくまでも参考程度とし、必ずしもその情報は自分の病状にマッチしたものではないのです。自分ではない誰かの情報をそのまま自分のこととして受け止めるのではなく、悲観的にならないように意識し治療を受けることも重要です。

「病は気から」が実験で証明された

古くからの日本のことわざで「病は気から」というものがあります。大阪大学の研究によると、ストレスが免疫機能に一部関与していることがわかりました。

膵臓がんステージ4という事実を重く受け止めるのも、ストレスにつながりかねないといえるでしょう。悲観的なストレスはがんと闘うための免疫機構に影響を与えるといっても過言ではありません。

事実としての認識程度にとどめて、「 毎日を負担なく過ごす」ことも視野に入れて生活したいですね。

(参照:https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2014/20141125_1

まとめ

まとめ
膵臓がんステージ4の診断を受けると悲観的になりがちですが、近年では治療法の進展により希望も見えてきています。一次化学療法や二次化学療法、対症療法・緩和治療など、個々の患者の状態に応じた治療法が選択され、より効果を高める治療も海外では積極的に導入されているのです。

また、最新の研究や治療法の進歩により、余命や生活の質が向上する可能性も高まっています。膵臓がんと診断された場合は、医師としっかり相談し、自分に最適な治療法を選択することが重要です。治療の選択肢が広がるなかで、前向きに治療に取り組む姿勢が、最終的には病気との闘いにおいて重要な要素となるでしょう。

近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。

なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。

フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。

それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。

>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ

がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。

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この記事の執筆者
日置クリニック コラム編集部

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