2023.10.10
がん【簡単理解】白血病とは?原因や症状、診断に伴う検査や最新の治療法を解説
まだはっきりとメカニズムが解明されていない「白血病」。今回は白血病の原因と症状、診断に伴う検査や最新の治療法までを解説しています。
目次
白血病とは?簡単に状態を解説
白血病は、主に日本人に多く見られる疾患です。症状としては、発熱、だるさ、貧血、出血傾向などが見られ、病気が進行すると骨髄やリンパ節、脾臓などに腫瘍が形成されることもあります。
治療法としては、抗がん剤や造血幹細胞移植が行われることがあります。しかし、白血病は進行が早く治療も難しいため早期発見が重要です。定期的な健康診断や病気に関する正しい知識を持つことが重要と言えるでしょう。
白血病の原因
白血病の原因は明確にはわかっていませんが、多くの場合、遺伝子の突然変異が関与していると考えられています。
白血球は、正常に機能するために必要な遺伝子に異常が生じることでがん化することがあります。白血病には、特定の遺伝子の変異が関与していることが知られており、これらの遺伝子の異常が、白血球ががん化する原因となることがあります。
また、環境要因や生活習慣も、白血病の発症リスクを増加させる可能性があると考えられています。例えば、放射線や化学物質の影響を受けること、免疫機能の低下などが、白血病の発症に関係しているとされています。
白血病は、血液や骨髄の細胞が正常に発達しないことで発症します。異常な白血球が大量に作られてしまい骨髄や血液を占拠するのです。
正常な血液ができる仕組み
正常な血液は、骨髄、リンパ節、脾臓、胸腺などの臓器が関与し、必要な血球や血小板を生成して作られます。
(出典:https://www.frutafruta.com/minagiru/mechanism/)
通常血液は、造血幹細胞から始まります。これらの幹細胞は、骨髄に存在し、新しい血球や血小板を生成する能力を持っています。幹細胞は、分化して赤血球、白血球、血小板になり、それぞれの役割を果たすために体内に送り出されます。
(出典:https://mpn-japan.org/menu001)
赤血球は、酸素を肺から体内に運び、二酸化炭素を体外に排出する役割を担います。白血球は、体内の異物や病原体を攻撃し、免疫系の機能を維持します。血小板は、出血を止めるために傷口の修復を促進します。
正常な血液が生産されるためには、適切な栄養素やホルモン、免疫系の正常な機能など様々な要因が必要です。
白血病の種類
白血病は、病理学的特徴や発症原因によっていくつかの種類に分類されます。主な白血病の種類には以下のようなものがあります。
急性リンパ性白血病(ALL) | 幼児期から若年層にかけて最も多く発生するタイプで、リンパ球ががん化して異常な増殖をする病気 |
急性骨髄性白血病(AML) | 40歳以上の成人に多く、骨髄中の造血幹細胞の異常増殖が原因 |
慢性リンパ性白血病(CLL) | 60歳以上の成人に多く、リンパ球ががん化して異常な増殖をする。 急性型よりも進行が遅く、初期症状が軽い場合もある |
慢性骨髄性白血病(CML) | 30歳以上の成人に多く、骨髄中の幹細胞から発生し、特定の遺伝子の変異が原因。進行が緩やかで、初期症状が軽い場合もある |
リンパ腫性白血病 | 白血病の一種で、リンパ節やリンパ管、脾臓などのリンパ組織ががん化して異常な増殖をする |
白血病の症状
白血病の症状は、病気の進行の程度や種類によって異なりますが、一般的には以下のような症状が現れます。
貧血やそれに伴う疲れやだるさ
白血病が進行すると、正常な赤血球の生産が抑えられるため、貧血を起こすことがあります。貧血の症状としては、息切れやめまい、疲れやだるさ、皮膚の蒼白などがあります。
発熱や感染症の発症
白血病患者は免疫力が低下しているため、感染症にかかりやすく、発熱や風邪症状、喉の痛みなどが現れることがあります。
皮膚や粘膜の出血傾向
白血病が進行すると、血小板が正常な数値よりも低下するため、皮膚や粘膜から出血することがあります。特に歯磨きや歯ぐきの出血、鼻血、下血などが現れることがあります。日常生活の中でも起こり得ることですが複数の症状が併発して起こる傾向にあります。
骨痛
骨髄中の異常な白血球の増殖が増え骨髄を圧迫することで、骨痛が現れることがあります。比較的病状が進行したときに起こる症状です。 これらの症状が現れた場合は、早期の診断と治療が重要です。白血病は病気の進行が早いため、気になる症状が現れたら早めに医療機関の受診を検討しましょう。
白血病の診断方法について
白血病の診断には、様々な検査が行われます。具体的には以下のような方法があります。
血液検査
白血球の数や割合、骨髄の状態などを調べるために、血液検査が行われます。白血球の異常な増殖や減少、貧血や血小板の低下などが見つかる場合があります。
骨髄検査
骨髄から採取した細胞を顕微鏡で観察します。異常細胞の発見の有無に役立ちます。
免疫学的検査
白血球の種類を特定する検査です。これにより、白血病の種類や亜型を特定することができます。
画像検査
白血病の進行状況や、周囲の臓器や組織に影響を与えていないかを調べる検査です。レントゲン、CT、MRIなどのことを指します。
これらの検査を総合的に判断し、白血病の診断と進行具合を確認します。診断が確定した場合、病気の種類や進行度合いに応じて、適切な治療方法が選択されます。
白血病治療について
白血病の治療は、白血病の種類、進行度合い、年齢、健康状態、患者の意思などを考慮して、以下のような治療方法が選択されます。治療は併用して進めることもあります。
化学療法
化学薬剤を投与することで、がん細胞を破壊する治療方法です。多くの場合、投薬は静脈内注射や経口投薬によって行われます。治療薬には、患者の病気の種類や進行度合いに応じて、様々な種類があります。
放射線療法
放射線を標的となる場所に照射することで、がん細胞を破壊する治療方法です。化学療法と併用されることもあります。
骨髄移植
健康な骨髄を提供者(ドナー)から採取し、患者の骨髄に移植することで、正常な血液細胞を再生する治療方法です。骨髄移植は、ドナーからの提供物を利用する場合と、自己の骨髄を利用する場合があります。
免疫療法
免疫力を上げる薬剤を投与することで、がん細胞を攻撃する治療方法です。多くの場合、化学療法と併用されることがあります。
白血病の治療は場合により副作用が発生することがあり、それらに対する支援や対策も必要です。治療の選択や進め方は、専門医の判断によって慎重に検討されます。
白血病治療の副作用
白血病の治療では、副作用が発生することがあります。副作用の種類や重症度は、治療法の種類、使用量、治療期間、患者の個人差などによって異なりますが、一般的な副作用には、以下のようなものがあります。
消化器系の副作用
吐き気、嘔吐、下痢、口内炎、食欲不振などの症状が現れることがあります。
血液の副作用
赤血球や血小板などの血液細胞の数が減少するため、貧血、出血、感染症などの症状が現れることがあります。
神経系の副作用
頭痛、めまい、手足のしびれ、筋肉痛などの症状が現れることがあります。
心臓・肺の副作用
心筋炎、肺炎、息切れなどの症状が現れることがあります。
眼の副作用
角膜炎、視力低下、瞼の痙攣などの症状が現れることがあります。
治療開始前に医師が副作用のリスクと対策を説明し、定期的に患者の状態を評価しながら治療を進めていきます。治療において、副作用に対する支援や緩和ケアを行うことも重要です。
白血病は予防できるのか
現在のところ、白血病を完全に予防することはできません。白血病の原因は複雑で、一般的に遺伝子の変異や環境因子、ウイルス感染などの要因が関与しています。これらの要因には、個人のコントロールできないものも含まれます。 ただし、白血病のリスクを低減するためには、以下のような健康的なライフスタイルを維持することが重要です。
健康的な食生活
ビタミンやミネラル、抗酸化物質を含む野菜や果物、低脂肪の肉や魚などをバランスよく摂取することで、免疫力を高めることにつなげられます。
運動
適度な運動は、免疫力を高めることができます。
喫煙をしない
喫煙は、白血病を含む多くのがんのリスクを増加させます。
減酒または適量飲酒
過剰なアルコール摂取は、白血病のリスクを増加させることが知られています。
環境の注意
環境汚染、有害物質の曝露などを避けることが、白血病のリスク低減につながる場合があります。
以上のように免疫力を維持したり、異常細胞の増殖につながる生活習慣を改めることで白血病につながるリスクを少しでも少なくすることができるかもしれません。
現状では科学的に予防できる手段は立証されていないので定期的な健康診断や早期発見に努める意識を持つことも大切です。
白血病治療における新しい進歩と将来の見通し
白血病の治療において、近年多くの進歩がありました。以下に最近の治療の進歩について解説します。
免疫療法
免疫療法は、白血病細胞を攻撃する免疫細胞を活性化する治療法です。現在、急性リンパ性白血病の治療に用いられています。この治療法は患者の免疫系を活性化し、白血病細胞を攻撃するため、他の治療法に反応しなかった患者にも有効な治療法として期待されています。
ゲノム編集技術
ゲノム編集技術を用いた治療法は患者自身の細胞を修正することで、白血病細胞を攻撃する治療法で、現在臨床試験が行われています。この治療法は、患者自身の免疫細胞を改変して白血病細胞を攻撃するため、将来的には白血病の治療に有効な治療法として期待されています。
ターゲット療法
ターゲット療法は白血病細胞の特定の標的分子に結合して、その機能を抑制する治療法で、現在、急性骨髄性白血病や慢性骨髄性白血病の治療に用いられています。この治療法は、白血病細胞に特異的に作用するため、健康な細胞に影響を与えることが少なく副作用も少ないとされています。 これらの進歩により白血病の治療において、より効果的かつ副作用も少ない治療法が開発・研究されています。将来的にはより効果的な治療法が開発され、患者の生存率向上につながることが期待されています。また、早期発見や予防の取り組みも進んでおり、白血病を含むがんの予防や治療に向けた研究が今後ますます進展することでしょう。
まとめ
白血病はまだまだ未知の疾患。ですが、日々研究者の努力や臨床現場の進歩により少しずつ変化が起きてきています。いずれにしても健康的な生活習慣は白血病のみならず様々な疾患の発症予防につなげられる要因のひとつとなるでしょう。健康寿命の延伸を目指し、毎日こつこつと意識して生活を送ることが大切です。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
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がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
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