2022.03.30
健康の科学ピロリ菌とは?その特徴や胃がんとの関連性についてご紹介
「ピロリ菌ってよく聞くけど、除菌しないといけないのかな」
このように思っている方はいらっしゃいませんか?実際、ピロリ菌は胃以外にも体のさまざまな部分に影響を及ぼしているのです。
今回は、ピロリ菌による健康への影響、また、胃がんとの関わりについて解説していきます。
目次
ピロリ菌の特徴
ピロリ菌といえば、胃炎の原因として有名ですが、そのほかにも体にさまざまな悪影響を及ぼしていることがわかってきました。
ピロリ菌は全身に病気を起こす
2015年の段階で、全世界のおよそ50%の人がピロリ菌に感染していることがわかりました。世界でもっとも流行している感染症の1つと言えるでしょう。
胃潰瘍の原因として発見された菌ですが、その後、胃がんや胃MALTリンパ腫にも関係していること、鉄欠乏性貧血や蕁麻疹を引き起こすこともわかっています。
中でも比較的身近な病気である慢性蕁麻疹の方は、そうでない方の6倍もピロリ菌に感染している割合が高かったそうです。※1
胃に住み着き全身に影響を与えるピロリ菌に、自分が感染しているかどうか、どのように調べるのでしょうか。
ピロリ菌の検査方法
ピロリ菌がいるかどうか、検査する方法は主に2種類あります。呼気検査、血液検査です。
呼気検査というのは、ピロリ菌が胃の中で作り出すアンモニアがヒトの呼気に混ざることを利用したものです。専用の容器に息を吹きこむだけなので、とても簡単です。
健康診断などで採血をする時に「ついでにピロリ菌の検査も」という場合には、血液を使った検査も便利です。
どちらも痛みや辛さは少ない検査なので、機会があれば1度調べてみると良いでしょう。
ピロリ菌はうつる?
ピロリ菌は、井戸水などから感染することがわかっています。衛生環境が向上し井戸水を使用する機会が減ったこと、ピロリ菌の除菌がすすんでいることなどから、日本ではピロリ菌に感染している人の数は年々減少傾向です。
ヒトからヒトへの感染については、食べ物や飲み物の共有が最も多いルートと考えられています。
5歳くらいまでの子どもは大人に比べて胃酸が弱いため、ピロリ菌がすみ着きやすいです。小さいうちは、ピロリ菌に感染している大人と口移しや箸の使いまわしをしない、井戸水や川の水などを口に含まないように注意すると良いでしょう。
ピロリ菌と胃がんは密接な関係がある
ピロリ菌が引き起こす病気の中で、最も気にする人が多いのは、おそらく胃がんでしょう。実際、ピロリ菌の感染は胃がん発症のリスクを3-6倍も高めることがわかっています。※2
ピロリ菌が胃がんを起こす仕組み
ピロリ菌は、いくつかの方法で胃がんを作り出すことがわかっています。
胃の細胞の中に「がん細胞に変化させるタンパク質」の遺伝子を埋め込みます。
また、ピロリ菌は、がん細胞にならないように遺伝子を修正するタンパク質を壊してしまいます。遺伝子を変える働きにより、ピロリ菌に感染しているだけで胃がんになりやすい環境になってしまうのです。
さらに、ピロリ菌に感染すると、胃の粘膜がうまく作れなくなり、薄くなることもわかっています。胃粘膜が薄くなることを粘膜が”萎縮”すると言い、胃の見た目までも変化するのです。健康な胃は内側に細かいひだがたくさんありますが、萎縮した胃は、ひだが太くなっていたり、表面がつるっとしていたりします。ピロリ菌は、胃の細胞の遺伝子そのものを変化させてがんを作り出すため、除菌をしなくては胃がんを抑えることができません。
※3 Helicobacter pylori(Hp)感染胃炎の自然史理解に基づく胃癌診療.日本内科学会雑誌第104巻第3号
除菌で胃がん発症のリスク減少
ピロリ菌を除菌することで、胃がん発症のリスクは約半分にまで低下することがわかっています。
とはいえ、胃がんの原因にはピロリ菌の他にタバコや塩分の高い食事なども挙げられていますので、ピロリ菌の除菌だけで完全に胃がんを予防することはできません。※4
また、胃がんを発症するかどうかは、ピロリ菌を除菌するまでにどのくらい萎縮が進行していたかも関係しています。
ピロリ菌の有無と、胃の萎縮の程度で、胃がんになるリスクの高さを4段階に分類する”ABC検診”と呼ばれる検査があります。最も状態が悪いのは「ピロリ菌がいなくて、萎縮がある」ものです。ピロリ菌が住めないほど胃の状態が悪くなっており、胃がんになるリスクがとても高いと判断されます。
萎縮が進行する前にピロリ菌が除菌できるに越したことはありません。実際、高齢になってからの除菌よりも、若いうちに除菌を行った場合の方が、胃がんの予防効果は高いと言われています。※5
※4 Gastric Cancer: Descriptive Epidemiology, Risk Factors,Screening, and Prevention
※5 H.pylori感染の診断と治療のガイドライン-編集.日本ヘリコバクター学会ガイドライン作成委員会
まとめ:ピロリ菌と体への影響
ピロリ菌によって、胃炎や胃がん、貧血、蕁麻疹などヒトの体に様々な影響があることがわかっています。
体に負担の小さい簡単な検査で、ピロリ菌がいるかどうか調べることが可能です。ピロリ菌が陽性だった場合には、将来の病気のリスクを減らすためにも早いうちから除菌をしてみませんか?
また、もずくやめかぶ、昆布に含まれる「フコイダン」という成分には抗ピロリ菌作用、抗がん作用があることが報告されています。
ピロリ菌感染、胃がん予防に積極的に食事に取り入れてみてくださいね。
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