2025.06.09
疾患コラムコロナ後遺症・ワクチン後遺症とフコイダン|慢性的な不調に悩む方へ、新しい可能性

「ワクチンを打ってから不調が続いている」「コロナにかかってから疲れがとれなくなった」——
そんな声を耳にする機会がありませんか?
現在もなお、新型コロナウイルス感染後の後遺症(Long COVID)や、ワクチン接種後の体調不良に悩む方が多く存在します。
この記事では、そうした慢性症状の背景にあるメカニズムと、海藻由来の天然成分「フコイダン」がもつ可能性について、医師の視点から解説します。
コロナ後遺症・ワクチン後遺症とは?
パンデミックが収束に向かってもなお、長引く不調に悩まされる方が後を絶ちません。
その代表例が、コロナ後遺症(Long COVID)とワクチン後遺症です。
これらに共通する症状には、以下のようなものがあります。
- 全身の倦怠感、ブレインフォグ(思考力の低下・頭のもやもや感)
- 頭痛、めまい、動悸
- 関節痛、筋肉痛
- 皮膚のかゆみや発疹
- 自律神経の乱れ
- 月経異常、血栓傾向
こうした症状の背景には、体内に残存するスパイクタンパクによる免疫異常や慢性炎症が関与していると考えられています。
なぜ不調が長く続くのか?——スパイクタンパクと慢性炎症の関係
新型コロナウイルスやワクチンによって生じる体調不良の一因として、「スパイクタンパクの持続的な影響」が注目されています。
スパイクタンパクとは、SARS-CoV-2ウイルスの表面に存在し、細胞に侵入する際に使われる突起状の構造です。

出典:城西国際大学
感染やワクチン接種によって体内にこのスパイクタンパクが一時的に生成されるのは自然なことですが、一部の人ではこのタンパクが長く体内に残り、免疫系を刺激し続けてしまう可能性が指摘されています※1、2。
具体的には、
- 血管内皮への結合による微小な炎症や血栓の形成
- マクロファージなど免疫細胞を介した炎症性サイトカインの慢性的な放出
- 中枢神経や自律神経系への影響による神経系の不調
といったメカニズムが考えられており、これがブレインフォグ、倦怠感、関節痛、皮膚症状など多様な慢性症状の原因となっていると推測されています。
まだ研究段階ではありますが、海外の論文では心臓や肝臓、脳などの組織からスパイクタンパクが検出されたという報告もあり※1、2、3、「目に見えない炎症」が長期間にわたって続くことが、回復を難しくしていると考えられます。こうしたスパイクタンパクが関与する全身のさまざまな不調については、海外では “Spikeopathy(スパイクオパシー)” と呼ばれ、その仕組みを包括的にまとめた総説も発表されています※4。
※1 スパイクタンパクの長期残存に関する報告(血中)
Persistent circulating SARS-CoV-2 spike is associated with post-acute COVID-19 sequelae. Clinical Infectious Diseases. 2023
※2 スパイクタンパクの長期残存に関する報告(単球内)
Persistence of SARS-CoV-2 S1 protein in CD16⁺ monocytes up to 15 months post-infection. Frontiers in Immunology. 2022
※3 ワクチン関連心筋炎におけるスパイクタンパク検出の報告
Circulating spike protein detected in post-COVID-19 mRNA vaccine myocarditis. Circulation. 2023
※4 スパイクタンパクの病原性を包括的に示唆する総説(“Spikeopathy”)
COVID-19 spike protein is pathogenic, from both virus and vaccine mRNA. Biomedicines. 2023
中分子フコイダンの可能性
そんなコロナ後遺症・ワクチン後遺症に対して、私が注目しているのが「中分子フコイダン」です。フコイダンはモズクやメカブなどの海藻に含まれる天然の多糖類で、様々な健康作用が注目されています。特に中分子フコイダンは、分子サイズが吸収効率や生理活性に適しており、理想的なフコイダンとされています。
中分子フコイダンがコロナ後遺症やワクチン後遺症に有効となる可能性として、以下の作用機序が挙げられます。
フコイダンの働き | 期待される影響 |
---|---|
抗ウイルス作用(スパイクタンパク中和作用) | フコイダンは特有の糖鎖構造を持ち、ウイルスのスパイクタンパクに結合して細胞への侵入を阻害する作用が報告されています。これは新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイクタンパクに対しても同様の作用が期待されており、体内に残存するスパイクタンパクの影響を軽減する可能性があります。 |
抗炎症作用(NF-κB抑制・サイトカイン低下) | フコイダンは炎症反応を引き起こす転写因子NF-κBの活性を抑制し、炎症性サイトカイン(IL-6・TNF-αなど)の産生を低下させる作用が知られています。これにより慢性炎症を抑制し、血管内皮の障害や組織損傷を防ぐ可能性があります。 |
抗凝固・抗血栓作用 | フコイダンはトロンビンやフィブリン生成を抑制し、血小板の凝集を阻害することから、微小血栓形成の予防や改善に寄与する可能性があります。微小血栓は慢性倦怠感や神経障害などの症状の一因と指摘されています。 |
免疫バランス調整作用(NK細胞、Th1/Th2調整) | 免疫細胞のバランスを正常化することで、アレルギー症状や自己免疫的な反応の抑制に役立つ可能性があります。 |
神経-免疫系の調整作用 | 慢性的な炎症や血栓症状は自律神経の乱れを引き起こし、ブレインフォグなどの症状を引き起こします。フコイダンはこの神経-免疫軸を穏やかに整える可能性があります。 |
・抗ウイルス作用(スパイクタンパク中和):
Natural fucoidans inhibit coronaviruses by targeting viral spike protein and host cell furin. Biochim Biophys Acta. 2024
・抗炎症作用(NF-κB抑制・サイトカイン低下):
Anti-Inflammatory Mechanisms of Fucoidans to Treat Inflammatory Diseases. Marine Drugs. 2021
・抗凝固・抗血栓作用:
Anticoagulant Activity of Sulfated Fucoidans from Brown Algae. Marine Drugs. 2011
・免疫バランス調整作用(NK細胞・Th1/Th2調整):
Characterization and Immunomodulatory Effects of High-Molecular-Weight Fucoidan from Undaria pinnatifida. International Journal of Biological Macromolecules. 2019
・神経-免疫系の調整作用:
Fucoidans: Exploring Neuroprotective Mechanisms and Biomedical Applications. Fish & Shellfish Immunology. 2023
実際の診療経験から
私が診察した患者さんの中にも、新型コロナ感染やワクチン接種後の長引く体調不良に悩まされている方がいらっしゃいます。
そうした患者さんの一部に、中分子フコイダンを継続して摂取していただいたところ、期待以上の良好な経過が得られた例があります。
実際に報告された具体的な体験としては、
- 「長く続いていた皮膚のかゆみや湿疹が改善した」
- 「ふらつきや視界のゆがみが急に取れた」
- 「全身のだるさが少しずつ和らいだ」
といった声が寄せられています。
これらの改善は、中分子フコイダンが持つ多面的な作用(前述の抗炎症作用、抗凝固・抗血栓作用、抗ウイルス作用)が複合的に関わっている可能性が高いと私は考えています。とくに、体内に残存するスパイクタンパクによる免疫系の持続的な刺激が抑えられることで、神経系への過剰な炎症や循環障害が軽減され、結果として神経機能の回復や全身の不調の改善につながったと推測しています。
また、中分子フコイダンは天然由来の成分であり、副作用の心配がほとんどないことも患者さんが安心して摂取を継続できる大きな理由です。慢性的な症状の改善には一定の期間が必要ですが、ステロイドや免疫抑制剤に見られるような重大な副作用がなく、安全に長期摂取ができることは重要な利点となっています。
医師としての考え
コロナ後遺症やワクチン後遺症は、症状やその背景にあるメカニズムが非常に多岐に渡るため、明確に有効と認められる治療法がまだ確立されていません。
現状では対症療法が主体となり、なかなか十分な満足が得られない方も少なくありません。
こうした状況のなかで、中分子フコイダンは抗炎症作用、血管内皮の保護作用、抗凝固作用、免疫調整作用など、さまざまな病態メカニズムに幅広く同時にアプローチできる、数少ない素材の一つであると私は考えています。
もちろん、中分子フコイダンがすべての患者さんに一様に効果を発揮するとは限りません。しかし、治療法が限られている現在の医療状況を考えると、副作用がほとんどなく標準的な治療や生活習慣改善とも併用可能な中分子フコイダンは、有力な一つの選択肢になり得るでしょう。
今後は、中分子フコイダンの具体的な有効性や適切な使用方法に関する研究や、さらに多くの臨床症例の蓄積が期待されます。中分子フコイダンという存在が多くの方に届き、希望となることを願ってやみません。
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