2023.05.30
がん白血病の種類と特徴を徹底解説:タイプ別症状と治療法の違い
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白血病は、血液をつくる細胞に異常が生じることで起こる血液のがんの一種です。この疾患は進行速度や異常が生じる細胞の種類によって、さまざまなタイプに分類され、それぞれ異なる症状や治療法を持っています。
特に、急性と慢性、骨髄性とリンパ性という2つの軸で分類されることが一般的で、患者の状態に合わせた治療が求められます。この記事では、白血病の主要な種類ごとの特徴や治療法について解説するとともに、急性と慢性、骨髄性とリンパ性の違いも掘り下げています。
白血病の種類
(参照:
https://oshiete-gan.jp/leukemia/facts/type/)
白血病は、血液や骨髄の細胞が異常増殖する疾患です。白血病はその性質や進行速度に基づき、いくつかのタイプに分類されます。それぞれの特徴を詳しく解説します。
>>【簡単理解】白血病とは?原因や症状、診断に伴う検査や最新の治療法を解説
白血病の種類
白血病の種類について、ご紹介いたします。
>>白血病の症状とは?種類・原因・診断・治療法を解説
急性骨髄性白血病(AML)
急性骨髄性白血病(以下AML)は、骨髄でつくられる白血球の前駆細胞が未成熟なまま異常増殖する病態です。正常な血液細胞がつくられなくなることで、貧血、感染症、出血傾向などの症状が現れます。
AMLは進行が速く、子どもから成人、高齢者までさまざまな年代が罹患します。白血球の過剰な増殖が血液や骨髄を圧迫し、さまざまな症状が現れます。
急性骨髄性白血病(AML)の治療法
薬物療法が治療の基本です。一般的には寛解導入療法と地固め療法の2段階でおこなわれます。進行例では造血幹細胞移植が選択されることもあります。
急性前骨髄球性白血病(APL)
(参照:https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/blood-cancer-genetics/genetic-testing/)
急性前骨髄球性白血病(以下APL)はAMLの一種で、PML-RARA融合遺伝子という特異な遺伝子が確認できます。このタイプは、出血や血栓形成のリスクが非常に高いのが特徴です。
急速な進行が見られますが、近年治療法の開発により予後が大幅に改善されています。適切な治療を受けた場合、生存率は比較的良好です。
急性前骨髄球性白血病(APL)の治療法
APLの治療にはビタミンAを活性化した、全トランスレチノイン酸を用いた治療薬「ATRA」が用いられます。ATRAの開発により、APLの治療成績は飛躍的に向上しました。
急性リンパ性白血病(ALL)
急性リンパ性白血病(以下ALL)は、リンパ系細胞の前駆体が異常増殖する疾患です。ALLは小児で見られやすい白血病で、そのなかでも6歳以下の発症が多いのも特徴です。一般的に小児の治療成績はおおむね良好です。
小児では全体の約80%が寛解に至る一方、成人では予後が厳しい場合も少なくありません。
急性リンパ性白血病(ALL)の治療法
薬物療法が基本で、まずは抗がん剤を始めとした複数の薬剤を投与し、白血病細胞の消失を試みます。また、分類に応じて分子標的薬や造血幹細胞移植が適用になる場合もあります。
慢性骨髄性白血病(CML)
慢性骨髄性白血病(以下CML)は、フィラデルフィア染色体という特異な遺伝子異常が原因で発症するケースがほとんどです。進行は比較的緩やかで、3段階(慢性期、移行期、急性転化期)に分けられます。
初期には無症状であることが多く、定期健康診断の血液検査で発見されることも少なくありません。人によっては倦怠感や腹部膨満感、食欲不振など日常にもありがちな諸症状が見られることもあります。
慢性骨髄性白血病(CML)の治療法
分子標的薬の一種であるチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)が第一選択の治療法です。進行例では薬物療法や造血幹細胞移植が検討されることもあります。
骨髄異形成症候群(MDS)
骨髄異形成症候群(以下MDS)は、骨髄の造血幹細胞が異常をきたし、正常な血液細胞が減少する病態です。MDSは前白血病状態とも呼ばれ、急性骨髄性白血病(AML)に進行するリスクがあります。
赤血球や白血球、血小板などの正常な血球成分が減少するため、貧血、出血傾向症状が生じ、高齢者に多く発症します。また、骨髄での造血が不完全になるため、全身の免疫力が低下しやすくなります。
骨髄異形成症候群(MDS)の治療法
症状を緩和する支持療法が基本ですが、状態により造血幹細胞移植や薬物療法が適用となる場合もあります。
慢性リンパ性白血病(CLL)
慢性リンパ性白血病(以下CLL)は、成熟したリンパ球(B細胞)が異常増殖する疾患です。進行が非常に緩やかで、診断後も無治療で経過観察されるケースも少なくありません。
無症状のまま進行する場合が多いですが、症状が生じた場合にはリンパ節腫大や倦怠感などが現れることがあります。
慢性リンパ性白血病(CLL)治療法
進行例では薬物療法や免疫療法が適用されます。最近では、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬が効果をあげています。
>>慢性リンパ性白血病(CLL)の症状・検査・治療と予後を徹底解説
成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)
成人T細胞白血病リンパ腫(以下ATL)は、HTLV-1ウイルス感染によって引き起こされる疾患です。九州地方など特定の地域に多く見られます。
白血病細胞が増える場所により発熱、リンパ節腫大、皮膚病変などの症状が現れます。
成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)の治療法
薬物療法が中心ですが、急性型では予後が厳しい場合もあります。最近では造血幹細胞移植や新しい分子標的薬も研究されています。
急性白血病と慢性白血病の違い
白血病は主に「急性」と「慢性」に分類されます。病気の進行速度や発症する細胞の成熟度に基づき判別します。急性白血病は進行が速く、未成熟な細胞が急激に増殖するのが特徴です。一方、慢性白血病は進行が緩やかで、比較的成熟した細胞が異常増殖します。以下に、急性と慢性の違いを詳しく解説します。
急性白血病の特徴
急性白血病は、各種血球成分に発達する前の未成熟な芽球(がきゅう)が骨髄や血液中に増殖し、正常な血液細胞の数が減少します。
正常な血球成分が減少することでさまざまな症状が生じ感染症への抵抗力の低下、貧血、出血傾向が顕著になります。
症状が突然現れ、放置すると数週間から数ヵ月で命に関わる可能性も少なくありません。
一般的には薬物療法が主な治療法で、寛解導入療法と地固め療法がおこなわれます。場合によっては造血幹細胞移植が適用されます。早期治療が非常に重要なのが特徴です。
・代表的なタイプ
急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)
慢性白血病の特徴
慢性白血病は、成熟した白血球が異常増殖する病態です。異常な成熟細胞が徐々に増殖し、骨髄や血液に蓄積されます。急性白血病とは異なり進行は緩やかです。多くの場合、初期には症状がほとんどなく、健康診断などで偶然発見されることも少なくありません。
無症状の期間が長く続くことが一般的ですが、放置すると急性転化して進行が速くなる可能性もあります。
無症状時期の初期には経過観察がおこなわれることが多いですが、進行に応じて分子標的薬や薬物療法などが適用されます。
・代表的なタイプ
慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)
急性と慢性の共通点
(参照:https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/blood-cancer-genetics/blood-cancer/leukemia/)
どちらのタイプでも、正常な血液細胞の生成が阻害されることで健康に悪影響を及ぼします。
特に慢性白血病は初期症状が乏しいため、定期的な健康診断が早期発見につながるケースも少なくありません。
また、急性白血病は早期に治療を開始することで寛解の可能性が高まり、慢性白血病は適切な管理で長期間の生存へと結びつけることが期待できます。各タイプの特性を理解し、早期の診断と治療が重要な疾患であるといえるでしょう。
骨髄性とリンパ性の違い
(参照:https://oshiete-gan.jp/leukemia/facts/basics/)
白血病は、その発生源となる細胞の種類によって「骨髄性」と「リンパ性」に分類されます。病気の性質や進行、治療方針を決定する重要な基準の一つです。以下に、それぞれの特徴や違いを解説します。
骨髄性白血病の特徴
骨髄性白血病は、骨髄でつくられる「骨髄系幹細胞」から派生する異常によって発症します。骨髄系幹細胞は、赤血球、血小板、一部の白血球(好中球、好酸球、好塩基球など)に分化します。
骨髄内で異常細胞が過剰に増殖し、正常な血液細胞の生成を妨げます。その結果、貧血、出血、感染症が起こります。
リンパ性白血病の特徴
リンパ性白血病は、骨髄でつくられる「リンパ系幹細胞」から派生する異常によって発症します。リンパ系幹細胞は、T細胞、B細胞、NK細胞などのリンパ球に分化します。
このリンパ系幹細胞が異常をきたすことで発症します。
異常なリンパ球が骨髄内や血液中に増殖し、正常な血液細胞の生成を妨げます。また、リンパ節や脾臓が腫大することもあります。
減少する血球成分の種類別、白血病の代表的な症状
白血病の症状は、白血病のタイプや進行度によっても異なります。しかし、正常な血球細胞の減少によって症状が生じるため、症状の強弱や有無に個人差はあるにせよ共通して以下のような症状が現れることもあります。
1. 貧血に関する症状(赤血球の減少)
白血病では赤血球の生成が妨げられるため、貧血症状が生じます。
主な症状
- 顔色が青白くなる。
- 疲れやすい、倦怠感が強い。
- 息切れや動悸。
- 頭痛や集中力の低下。
2. 出血傾向(血小板の減少)
血小板の減少により、血が止まりにくくなります。
主な症状
- 鼻血が頻繁に出る
- 歯茎からの出血
- 少しの刺激で青あざができやすい
- 女性の場合、月経が異常に重くなることがある
3. 感染症にかかりやすくなる(白血球の減少)
白血病細胞の増加により正常な白血球が減少し、免疫力が低下します。
主な症状
- 風邪をひきやすくなる
- 発熱が続く(原因不明の高熱)
- 口内炎や喉の痛みが治りにくい
- 肺炎や尿路感染症など、重症化しやすい
4. 骨や関節の痛み(異常細胞の増加)
骨髄内で白血病細胞が増殖し、骨や関節を圧迫するため、痛みが生じることがあります。
主な症状
- 足や背中などの骨の痛み
- 動いたときの関節痛
5. リンパ節や臓器の腫れ(異常細胞の増加)
白血病細胞がリンパ節や臓器に蓄積することで腫れが起こります。
主な症状
- 首、脇の下、足の付け根などのリンパ節の腫れ
- 肝臓や脾臓の腫大による腹部膨満感や違和感
6. 体重減少と食欲不振(異常細胞の増加)
白血病の進行にともない、代謝が異常になることで体重が減少します。
主な症状
- 食欲が低下する
- 原因不明の体重減少
まとめ
白血病は一見同じ病名のもとに分類される疾患ですが、急性や慢性、骨髄性やリンパ性といった分類によって進行の仕方や治療法が大きく異なります。それぞれの白血病に応じた適切な診断と治療が重要であり、早期発見が予後を大きく左右します。
また、治療法の進歩によりかつては難治性とされたタイプの白血病でも、寛解や長期生存が可能となってきています。自身や家族の健康を守るために、白血病に関する知識を深め、異変を感じた際には迅速に医療機関の受診を検討したいですね。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
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